断罪の時間 〜Dance!な日常〜

2013年06月30日(日) 「ハル」

事故で最愛のハルを失ったくるみと、ハルのかわりとなるロボハル。
ロボットと人が心通わす奇跡を描いた、号泣必至の近未来ラブストーリー。
見に行くことに決めた切り札は【音楽:大島ミチル】ですw

 『ハル』
 ずっと一緒だと思っていた―

 ハルが死んだ
 くるみに、生きていることを思い出させるために、ぼくは人間になった
 ハルにそっくりな“ロボ”ハル
 心を閉ざした少女 くるみ
 「くるみさんの力になるために来ました」
 「ハルじゃないもん…」
 閉ざされた心。 ぼくはもう一度、君に生きてほしい
 「ハルはわるいヤツだったんですか?」
 「ハルはぜんぜんわかってない!!」
 ぼくはくるみさんにひどいことをしたんだ
 「わたし、ハルの気持ちをわかってなかった。ごめんね、ハル…」
 近未来の京都で生まれた、人とロボットの奇跡のラブストーリー

別冊マーガレットで年代を問わず女子の絶大な支持を得る漫画の映画化。
不法就労者ハルの台詞はすごかった。

 「金もってればさ、街中みんな優しくしてくれる」

“不法就労者ハル”がもっとも大事にしていたものはお金です。
身寄りのないハルやリュウはお金がなければ生きられないことを知ってた。
劇中は近未来設定ですが一体どこまで近未来なんだかわかりかねましたw
作業ロボットのキューイチなんて度肝抜くほど高性能。
藍染の工場で働いてたくらいですからね。
人間とほとんど変わらないような繊細な手先能力を備え、
人間化してからは機械音一切ナシ。
エネルギー補給してるとこなんてただの一度もありません!!
はっきり言ってヱヴァンゲリヲンよりも有能。
そして京都の古い街並みが舞台ゆえに、都市を見ることはありません。
都市がどこまで進化しているのかその科学力はまったく判断できないw
街並みと人自体に現在となんにも変化のない生活が、時代を曖昧にさせる。
おそらく車なんて今とはまったく違うカタチをしているはずなんです!!
科学力からすれば宇宙ステーションが完成していて全くおかしくない!!
つまりは世界の変わりようをわたしたちに見せず物語が展開します。
キューイチの圧倒的な科学力だけしか目にしないために納得しかねるのだ。
そんな世界観でいきなり飛行機が上空で大爆発するところから始まります。
考えれば考えるほどテロとしか思えない―
物語で“事故”としか扱われていない以上は、事故なんでしょう。
でも墜落せずに爆発、大爆発だよ?? 未来の科学力どうなってんだ―

 ロボハル「くるみさんはハルの何を守りたかったの?」

わたしは心で即答「すべてだよ」
くるみの台詞は「世界中のすべてから」

ニュアンスは内と外が逆だけどあたってたw
っていうか、ほんとうに好きだったら誰だってそうじゃないのかな。
“何かの部分”って言える人なんているのかな??
少女漫画がとんでもないクオリティでアニメ映画化されていました。
これはもうキャラクターから生活空間、細部までこだわりの映像です。
まさしく女子の期待を裏切らない出来映えかとおもわれますw

終盤に繰り出される禁断の大どんでん返し(どんでんって何??)
(注※大どんでん返しがこの映画のキモである以上ネタバレできない!)
まさかまさかの360度、いや、180度見方が変わってしまう大どんでん☆

この大どんでん返しをわたしに成立させるためには足りないものがある。
それはこの世界がどのように成り立っているのか、です
世界と登場人物に違和感がありすぎて…
女子であればそのシチュエーションだけで納得できるのでしょうか。
わたしにだってそのシチュエーションは理解できます。
そもそもウソを映画化してるわけですからぜんぜんイイんですけどねw
でも心が震えるほどの共感はなかった…

いいたいこと、大切なものは伝わりましたがもう一歩がほしい。
世界があってはじめて、ひとりひとりの生き方や考え方が見えてくる。
近未来設定されている以上、外からの説得力は切り離せないはずです。
ダンスでいえば、舞台をどのようにつくるのか考えます。
最終的にその世界を紡ぎ出すのは舞台装置でもなんでもない。
ダンサー自身です
内からの説得力がなければ世界は最初から破綻しています。
舞台に寄り添う、もしくは反抗する、選ぶのはダンサーです。
世界を味方にするも敵にするも選択次第。
その良し悪しはお客さんにすべてゆだねられています。
ダンサーのひとりひとりが生き方や考え方だといえるかもしれませんね。
アカデミックで崇高な域に到達したダンスにはあてはまらないかもですが、
より下界に下りてくれば下りてくるほどこれほど大事なものはありません。

“人に見せる”というのはほんとうに難しいです

ハルに関して言えるのは不幸だということでしょうか。
今までのこと、くるみに対して、あまりにも気付きが足りてなかったよね。
ほんとうに知りたいと思うのがその人が死んでからだなんてね…
それまではすべてを遮断できる、できてしまうものかもしれません。
自分自身の気持ちに見ていない“ふり”をしていたんだものね。
気がつけばそれが遅いってわかってしまうもの

ハルはくるみに傲慢な態度だった、あまえていたんです
くるみの一直線な思いに不誠実だったということでしょう
その罪の意識からでないとこの物語は始まりませんでした

映画の内容は“もう一度出発するために整理すること”
大切な人の死で混乱してまっさらに壊れてしまったハル
自分を再起動できるまでおそろしく地道な作業を繰り返したハル
嫌なものでも、つらくても、思い出して整理すること
それは生きることに深くつうじているんだとおもいます



2013年06月29日(土) 「攻殻機動隊ARISE」 Ghost Pain

時代を、世界を、席巻してきたジャパニメーション金字塔『攻殻機動隊』
続編というか、始まりが描かれることになりました。

 『攻殻機動隊ARISE』 border:1 Ghost Pain
 未来を、創れ―

 幻の痛みか… サイボーグ特有の幻の痛み
 カラダを機械化したあとでも脳は元のカラダを忘れない
 わたしには肉体の記憶そのものがない
 だからこれは、偽の記憶によって生じたゴーストの痛みってところかしら
 わからない。 何が現実なの? 何が真実なの?
 見つけたわ…
 わたしの現実を―

2027年、第四次非核大戦終戦から一年、戦禍の爪痕癒えぬニューポートシティで自走地雷を使った爆殺事件と、兵器売買における収賄容疑の掛った軍人が銃殺される事件があった。 雨烟る中、その軍人の電脳を求め墓地を暴く公安の荒巻大輔。 そしてその背中に冷たい銃口を向けたのは、殺された上官の容疑を晴らそうと動く陸軍義体化部隊【501機関】に所属する超ウィザード級ハッカーにして全身義体のサイボーグ、草薙素子だった。 だがこの事件を追いかけているのは草薙だけではなかった。 彼女を爆殺事件の犯人と疑い付け狙う“眠らない眼”を持つ男バトー。 銃殺事件と娼婦殺人事件の共通項を捜査する新浜県警の刑事トグサ。 そして【501機関】のクルツ中佐とサイボーグエージェントたちが草薙の動向を注視していた。 彼らが追い求めるものは、目の前の「事実」と失われた「真実」とが交錯する電脳社会の混沌に身を潜める。 自身の未来と掲げた理想のために草薙の本能が今、起動(アライズ)する―

最終的には意思を持った電脳神みたいになっちゃう草薙素子。
義体にアクセスできれば一瞬で下界におりてくることが可能です!
まぁそんな感じで収束している物語の超序盤戦。

バトーファン仲間のAみんとも話しましたが、そこそこ面白かった(爆
これまでの映像と物語が度肝抜きすぎて“フツー”な感じなのだw
過去に戻っているわけだし、未来は見えてるわけだし。
トグサなんかもっと後にしか入隊しないはずなのにいるし。
なんとも商業ベースなお話にも見えかねません!
そんな中、わたしやAみんの行き着く場所。

 バトーが活躍すればよし

うわちゃー、これがわたしたちのお金がもっていかれるすべてだなんて!!
なんとも救いようがないよなw
わたしたちはドキドキしながら見ていないのだ!
わたしたちはそもそも期待していないのだ!!

 でもそこそこ面白かったよ

これまで『攻殻機動隊』見てきて政府とか内部に敵がいるのは飽きましたw
わたしが願うのは草薙たちを上回る敵組織!!
なにしろ草薙たちは圧倒的に強いんですからね!!
世界最高の革新技術でつくられた義体や電脳を持っているんです。

 今回の自走地雷の変形出来すぎだろ!!
 前代未聞の金髪全裸少女の大群です!!

もうあんまり精巧すぎて草薙たちと圧倒的科学力の格差がわかんない!!
っていうか、地雷が格闘できる必要ないよね―
戦闘力の差が見た目でわからないってすごく大変w

さぁ音楽はコーネリアス。 印象薄ッッ!
これまでの『攻殻機動隊』圧倒的サウンドトラック群たち。
わたしですら何枚も揃えているくらいです!! いや…ほとんど、だねw
それを新しく塗り替えるだなんてのは、並々ならぬ才能が必要でしょう。
なんか同情しちゃいました。 ひとつくらいカッコイイ曲が聴きたいやい

 じめじめした薄暗さが永遠につづいちゃいそうな曖昧な世界でしたw

続編border:2 Ghost Whispersに期待したいと存じます!
さて、今作 Ghost Pain 一番の見所はお母さんの記憶消去でしょう。
なにげにさらっとこんなところに挿し込んで感想は終了ですw
劇場特典のMANUAL BOOKにはこんな記載がありました。

 『ARISE』は舞台が近未来である。であるから、近未来における、
 自我や身体の拡張や、記憶の操作などの問題をも含みこんだ、
 「政治」(公安)の問題を扱うことにならざるを得ないことになるだろう。
 これは『天地明察』『光圀伝』を経ることで作家的な新境地を拓いた、
 沖方丁にとって、さらなるビジョンを提示する機会に違いない。

どんな作品でもリアリティや説得力を生み出すのは簡単じゃあない!!
何作続くか知りませんが、是非ラストまで引っ張っていってほしいですね☆



2013年06月24日(月) 「今朝の秋」

つい深夜放送に見入ってしまいました…

 『今朝の秋』(1987)   作・山田太一
 家族に吹く隙間風

宮島鉱造は蓼科で隠居生活を送っていた。 ある日、一人息子の隆一が癌を患い余命がわずかであると知り東京の病院に駆けつける鉱造。 しかし、病気の息子に気の利いた言葉も駆けられずに迷っていると、二十数年前に離婚した前妻のタキがやって来る。 一人息子の死を目の前にして、別々の人生を送ってきた鉱造とタキは、親として何をどう行動すればいいのか。 悩みながらも、二人はやがて家族の絆の重さを感じ始める―

NHKプレミアムアーカイブス、すごく昔のドラマスペシャル。
息子に長くないことを悟られてしまった日の夜でした。

 隆一「お父さんと一緒に蓼科に行きたいなぁ」

 鉱造「病院を抜け出しゃいい」

鉱造は息子・隆一と病院を抜け出して故郷である蓼科に向かいます。
親子で規則を破って大冒険☆
隆一は最高の笑顔でした
人には、二度と来ない“その時”が一番大事なときがあるのかもしれません
鉱造は言いました。
 「多少の前後はあってもみんな死ぬんだ。特別なような顔をするな!」
隆一は素直にこう返しました。
 「でもお父さん80じゃない?わたしは50代ですよ…特別な顔するよ。。」

わたしは、男同士でしかわからないことがあるかもしれないとおもった
お母さんのほうは息子を連れ出したことに激怒します。

 その想いは“すこしでも生きていてほしい”という気持ちからでした

現実的な時間を求めていたんです
だけど父・鉱造は違った。 息子の蓼科に行きたいという夢を見ていた

 男はいつだってファンタジーを追っているのかもしれませんね

わたしは鉱造から目が離せなくなりました
主人公のその顔が、お爺ちゃんの顔がなんとも言えないんです
笠智衆ほどいい顔のおじいさんはこれまで見たことがありません

その家族は破綻していました
隆一の嫁は他に好きな男がいて、娘はそれを知っていた。
母は自分の生き方に手一杯。 父・鉱造は蓼科で一人暮らし。

 それでも人の命が家族をつなげようとした

どんなにそれが偽りであったとしても、つながろうとしたのはほんとうです
かなしくてさびしいものだったけれど感動しました

女性の社会進出など、時代の空気を切り取った丁寧なドラマでしたね



2013年06月19日(水) 「DEVIL SURVIVOR2」

 『DEVIL SURVIVOR2』
 世界の終末まであと7日― その選択が未来をつくる

 やあ、おはよう輝く者よ
 ぬあっ!? アルコル??
 そう、憂う者。 アルコル
 な、なぜここにいるんだ?!
 帰れって言われなかったのでねw 迷惑だったかい? 輝く者よ
 緑茶はないのかい? 輝く者よ…
 こ、コーヒーしかない。。
 そうか、でもこれは君がせっかく淹れてくれたものだ。 大切に飲もう
 せ、セプテントリオンでも、お茶を飲むんだ…
 小さなヤマトがわたしにおしえてくれたんだ。
 人間は、こういうかたちで談話の時間をもつのだと
 ヤマトが!?
 アルコル、ヤマトと君はどういう関係なんだ?
 友だち…だったとおもうよ
 だった?
 生まれたばかりの頃、彼にはあまたの可能性、選択肢があった。
 大きな力をもって生まれた彼はきっと良い選択をするだろうと思っていた
 今はそう思ってないってこと?
 彼が他の可能性を閉ざし早々に選択してしまったことを残念に思っている
 ヤマトの選択って?
 有能な人間が管理する、実力主義の世界。 それはそれで構わないが…
 構わないわけないよ! 有能とか劣るとか、そんなの誰が決められるんだ!
 峰津院大和には出来るようだ。 他の人間のような躊躇いはない。
 わたしは人間が選んだ選択に対して賛成も反対もしないつもりだが、
 可能性を閉ざし、頑なになることは思考の停止だ。 美しくない
 他の道も考えろ、ってこと?
 そういうこと、かなw
 ヒビキ、君は大きな力をもって生まれてきた存在だ
 望んだわけじゃない!
 才能とはそういうものだ。 望む望まざるは関係ない。
 そして今、それを悩み続けている。
 考え続けている限り、選択肢はありつづける。 きっと良い選択肢もある

 うん、コーヒーとは苦いものなのだな
 味もわかるんだ? 砂糖入れてみる?
 ためしてみよう。 うん、こっちのほうが好きだな。 ありがとうヒビキ
 そんな… たいしたことじゃないよ。。
 君が、選択肢を与えてくれたおかげでわたしはこの飲み物が好きになれた。
 ヒビキ、可能性とはそういうことだよ


アルコルくんの発言に唸りました!!
天真爛漫は考えてないってことじゃない。 きっと及んでないだけだよねw
頑なになることは“絶対の自分”を手に入れる術です。
そして、同時に可能性を閉ざす“了見の狭さ”を伴うもの…
そんな人は、思考停止とは言いたくないけど柔軟さが見当たらないのが事実。
選択肢と可能性、才能と苦悩  ほんとうにその台詞どおりです


 君の、わたしに対する認識が少し変わったようだ
 そりゃ話す時間をもつことができれば誰だって…
 理解は関係を進展させる。 嬉しいよ、輝く者よ



2013年06月14日(金) 「言の葉の庭」

『秒速5センチメートル』『星を追う子ども』につづく最新作。

 『言の葉の庭』   新海誠
 “愛”よりも昔、“孤悲”のものがたり。

靴職人を目指す高校生・タカオは、雨の朝は決まって学校をさぼり、
公園の日本庭園で靴のスケッチを描いていた。
ある日、タカオは、缶ビールを飲む謎めいた年上の女性ユキノと出会う。
ふたりは約束もないまま雨の日だけの逢瀬を重ねるようになり、
次第に心を通わせていく。
居場所を見失ってしまったというユキノに、
彼女がもっと歩きたくなるような靴を作りたいと願うタカオ。
六月の空のように物憂げに揺れ動く、
互いの思いをよそに梅雨は明けようとしていた―

 まるで世界の秘密そのものみたいに、彼女は見える
 「じゃ、また会うかもね。もしかしたら、雨が降ったら」
 雨の日だけの、約束のない逢瀬。

 あの人にとって15の俺はきっとただのガキだということ

 27才のわたしは15才の頃のわたしよりすこしも賢くない

 「あんたは一生ずっとそうやって、大事な言葉は絶対に言わないで、
  自分は関係ないって顔をして、ずっとひとりで生きていくんだ!!」

靴職人を目指す少年・タカオ
歩き方を見失った大人・ユキノ

やっぱり新海誠作品は現代模様だとおもう。 すごくよかった
小説を映画で見ているような感覚。
描写はたいへん美しく、その情緒にすべてがつまっている気がします
“物語”ではなく“風情”や“様子”

素直さは純粋さをもつと同時に鋭い。
ふたりが想いをぶつけあった場面には心が揺れました

心の中で“行け!”って何度もユキノに叫んでた
自分自身もユキノみたいに、どうにもならないときがありました
でも、それを救ってくれたのは誰かのやさしさです
あのとき二人が泣けたこと、それはものすごく大きな財産だとおもう
わたし自身も“その時”が来るまでは泣けませんでした

自分のことがわかってくると分析できるようになってしまうもの。
この世には涙を“利用”する女子だってたくさんいるくらいです!
泣くことだって人に見せる見られることで中身が変わってくる。
人間はいつでも「どう見られるか」がつきまとうのかもしれません…
どう見られるかによって自分の立ち位置が変わる社会だからです。
おそろしいことです
だけど、利用できるならその逆だってできる
自分に、自分自身に、偽りが見抜けるようになる
偽りがないように自分をすすめることだってできるはずです

さぁこんなのは理屈でしかないw

誠に大事なのは感情の爆発です。 止められないくらいの
嘘や純粋さが量れる、なんてのは考える余裕があるってことですからね!
まわりの一切が気にならなくなるくらいに泣いたことがありますか?
俺はあります それも悲しいとか悔しいって感情ではないもの

 自分にとってそれは“感謝”でした

うまくいくことがきっとすべてじゃない
言葉にはならなくてもきっとそういうことじゃないか、っておもうんです
言葉にしなくちゃわからない、それもたしかですが
言葉にしなくてもわかること、向き合えば“わかる”ことがあります
あの時のタカオとユキノは“同じ”だった気がする
どちらにもその人が必要でした
もしあの場面で泣けなかったとしたら、負を一生抱え込みかねません
だけどふたりにはそうならないものがそなわっていた
そんな気がしました

唯一わたしが疑問に感じたのは主人公タカオの人間力とその性格。
実のところ、タカオはかなりの人間力を備えているはず。
なぜならどんなことをするにも人と関わって生きることは難しいからです。
親が手を尽くしてくれるような家庭ではなく、自分の進学にしても
毎日の食事にしてもすでに気持ちは自立しています。
そして何よりも夢がある人物。 特筆すべきは、夢が“明確”なこと
持ち前のピュアさから学校やバイト先でも一目置かれていました。
その上、フツーに喧嘩できるくらいの男気さえも持ち合わせています。
どこからどう見てもあまりある未来を予感させます。

 だけど、夢を話せる“親友”はただの一人もいなかった

それは“ナイ”んじゃないか、わたしはそうおもいました。
靴職人は卑しい職業でもなんでもありません。
簡単に言えば『耳をすませば』の天沢聖司と同じスタンスではないですか。
聖司だって優等生気質でみんなから一目置かれていました。
だからといって同級生に自分の夢を話す場面はなかった。
夢を話したのは雫だけ。 これも同じスタンスです
自分の道を既に決めており、突き進んでいましたよね。
不安よりも希望にあふれていた聖司。
対して、タカオは“靴職人にはなれない”としていました。
その努力は半端じゃない域なのに“絶対的に足りない”とおもっている。

それには共感できる気がしました。
ダンスも「これでいい」なんてものはありえません。
いつだって足りない、足りてない。
だからこそ心意気が必要なんです。

それに、好きという感情と恋愛感情はまた違いますよね…
わたし自身、恋愛感情を挿むとどうしていいのか今でもわからなくなります
自分の気持ちを押し通したくなる
それと同時に相手がどう思うのか不安にだってなる
他人のことになればそれが行き過ぎだとわかることでも、
自分のことになるとわからなくなってしまうんです
タカオはその若さからか(経験のなさ)から早合点した格好です
ユキノの気持ちを聞くよりも先に自分を押し通してしまいました
その思い込みからの台詞が“若さ”なんだとおもったのです
興味がある人は是非その目でたしかめてみてください☆
賞味時間47分くらいですからストレスなく見れます!

blogにする頃にはレンタル商品になってるんだからへこみますねw
どれだけ更新に遅れをとっているんだか…(涙

この物語は“恋の結末”ではなく“成長”でした
その透明感のある映像はほとほと素晴らしかったです



2013年06月13日(木) 「ホークスvsスワローズ」

担当Stylistから感染チケットを3枚ももらってしまいました!(観戦

 プロ野球 セパ交流戦2013
 『ホークスvsスワローズ』

ちょうど時差ボケでボケボケ模様だったこともあり、行ってみることにw
せっかくなので誰か行ける人いないかあたってみると奇跡的にAみん行けた。
ジョーさんがいれば必ず勝つんですがあっさり断られました。
個人的には昨年、ホークス守護神ファルケン防具が最終回まさかの満塁ホームランを撃たれて負けた試合を観戦してしまって以来、わたしが見に行く試合はすべて負けています。
おかげさまでホークス熱烈ファンの知人友人からは“お前は球場へ行くな”と無言の圧力をかけられていました…(超実話
わたしはあくまでも中立の立場ですからわたしのせいじゃないんですけどねw
たとえホークスが負けたとしてもアウェイな相手を祝福することができます!
みんな心が狭いから、いや、自らの現実に勝てないから勝利に固執するのだ。
人生の代理戦争。 勝敗が決まるからこそ成り立つエンターテイメント
自分がうまくいかないことを押し付ける応援なんてほんとうの応援じゃない
ちなみに、わたしの父の観戦の仕方には息子として疑問が絶えません。

 勝ってる試合じゃないと絶対に見ない

よほどのことがない限り、負けてるチームを応援しようとしないのだ。
むしろ“時間の無駄”だと捉えているふしがある。
ある日、プロ野球情報に長けているタクシーの運転手さんが言いました。

 「ホークスが負けたときはドームからお客さんを乗せたくないね」

とんでもない悪態をつかれるのだそうです。
わたしは思います。 〜がんばっていない選手なんかいない〜
どうしてそれを認めてあげられないのかな
自分が気持ちよくなるためだけにチームが勝つことを強いているんです
そしてそれが水面下でチームを、野球を、支えているリアル

わたしたちの今日の応援席は【ボックスファイブ】
三塁側内野席上段につくられた特別席。 5人席を広々2人観戦
バックネット裏とは違う意味でセレブ観戦です!!
注文は備え付けられたi-padで行えます! すごいぞここ
こんなところで観戦できるだけでも人徳の為せる業でしょう!!(殴
よく見るとi-pad注文できないものがありました。 それは…

 ビール

それウソだろ―
仕方なく客席を回るビール売りに目をむけると意外な事実がわかりました。
面白いことに、わたしたちのところまでビール売りがやって来ないのだ!
きっと体力温存でしょうw
ここまで上ってくるだけでもけっこう大変ですからね。。
横ではAみんが目の色を変えて鋭い視線を売り子に向けてました―

 イケメン狩り

そう、これは狩人的人間狩猟術w
AみんのAみんによるAみんのためのビール売り。

 「あの子は野球部入ってそうだね〜」

そのアウターマッスルから厳しい選定がおこなわれているようです!!
顔が先なのかボディが先なのか気になるところですが怖くてきけませんw

 イケメンとのアイコンタクトに全女子力が傾けられているのだ

目が合わない男たちは無残にも次々に捨てられていきました…
ようやく来てくれた、お眼鏡に適った当選イケメンビール売り子w
Aみんは御満悦模様です!!
テンションの急激な上がりようにびびりつつもホークス優勢へ。
なんたって先発は摂津ですから☆
最近、大人の通過儀礼“ひとりカラオケ”をやってのけたらしいAみん。
そんなAみんが上機嫌でわたしに言います。

 「タイスケくんのためにかわいい女子売り子見つけてあげるわ」

なんという過剰な親切でしょう!!
Aみんが気を利かせてくれるなんてめったにあることじゃないよw
ぜんぜんわかっていませんでしたが勝てば交流戦優勝王手。
ホークスは11対4の大差でスワローズをくだしてしまいました。
試合終了後、バックスクリーンに映し出されるカープvsイーグルス戦!!
カープがイーグルスに勝てばホークスの交流戦優勝が決まる!!
なんとカープは九回ツーアウト、敵の同点ランナーが三塁。
大ピンチを迎えていた(超実話
ドームの全ホークスファンが呪…祈ります。
呪いが、祈りが通じたのか、カープは1点を守りきりイーグルスを撃破☆
広島のヒサシくんによると交流戦初戦でカープはホークスに2連勝していた。
つまりカープには貸しがあったのだw さすが仁義に厚い広島です!!

 ホークス、2013交流戦優勝!!!

たまたま球場に足を運んだだけですが思わぬときに居合わせてしまいました
セパ交流戦優勝、優勝です!!
怒涛の優勝セレモニー式典が開式、賞金を受け取る秋山監督!

これまでわたしが受けた数々の重圧が解き放たれた瞬間でしたね 笑
もう「お前は球場行くな」なんて言わせないよ絶対〜♪



2013年06月11日(火) オムニバスな記憶たち

◆これまでのblogに埋め込めなかった残骸のような記憶オムニバス◆
かるい気持ちで見ていってくださいねw


◎LHR→NRT◎
「申し訳ございません」客室乗務員さんの悲痛な声が響きます。
原因は機内食。 無情なカレーライス売切…

 もうBしか選べない

カレーライス、ものすごく食べたかったのに!!!
悔しさから拳を握りすぎて手のひらに爪が突き刺さりました。
ANAですから当然日本人が多いのだ。 カレーが完売なのも頷けますよね

 これが唯一の末尾席アドバンテージw

淋しい現実にわたしは空で誓います“次は絶対にカレーライスたべてやる”
自身の心の狭さと未来への希望を同時に確認する空になりました☆


◎SOHO Chinatown◎
ロンドンで最も有名な銅像 エロスの像を横目に、
二年前も訪ねた安くて美味い中華料理店【WONG KEI】ふたたび!
揚州炒飯とsoupだけでお腹いっぱいいっぱいですw
別腹も酷使、これ以上入らないくらいまるめこみました ほんと美味い!
チャイナタウンに行った際にはきっと行ってみてください☆
中国人STAFFの淡白さと目にも止まらぬ素早い対応は必見ですw
〜電光石火、それ接客の域かるく超えてるよ〜


◎M&S◎
マークス&スペンサー:オリジナルブランド食品に定評あるコンビニ。
パックランチなど手軽に買ってすぐ食べられるフード類が充実。
利用したのがお昼時なこともあり、店内には長蛇の列がッ!!
パスタを購入しましたが、レジでフォークをgetし忘れて絶望の淵へ。

 店員がフォークを入れてくれることはないのか

っていうか、ここは日本じゃなくてイギリスでした!
やむを得ず素手で食しました… 手軽すぎw
素手で食事するだなんていつ以来でしょう―!?
オマケ人生に入ってからは初めてかもしれませんね☆
〜記念すべき素手食になりました〜


◎思い違いもここまでくれば◎
ホテルの部屋には電子レンジがあったとおもって食品買って帰ると、
「電子レンジ」じゃなくて「金庫」でしたw
〜ぜんぜん違うよそれ〜


◎SmallApple◎
イギリスではフツーにリンゴを街中でかぶりついてる社会でした。
Oxfordでは特によく食べてましたね。
食卓に置いてないことがなかった気がします。
日本で生活してたイレーナさんとブライアンさんはいいました。

 「日本のリンゴは高すぎますよ」

そりゃまずもってリンゴの種類が違うw
わたしが食べたものはかなりの小ぶりでした!
〜リンゴの在り方ひとつでも文化が違えば日常食〜


◎MARMITE◎
あなたはMARMITEを食べたことありますか??
リアル酵母です。 パンにつけて食べる酵母
わたしはイレーナさんとブライアンさんに言われるがままに挑戦。

 えもいわれぬ味でした―

これまで食べてきたあらゆる味とは別次元の味覚です!!
どんな味なのかまったく説明できません!!
次元を超えるってこういうことかw

 これまでの味の概念が消し飛ぶその威力はまるでアルマゲストです
 出来るなら…出来ることなら、こんなダンスが踊ってみたい―

しかし食べれないことはありませんでした。
でも美味しいともおもえませんでしたw
兵士が気付け薬として持たされていた歴史もあるらしいマーマイト。
たしかに目が覚めたよおそるべし。 こんなの初めてだ
ホームステイしていなければ未来永劫、口にすることはなかったでしょうw
ここでわたしは発見しました。 それはダンスの力です
言葉や文章での説明がどんなに難しくとも、ダンスならできる!!
〜是非あなたも次元を超えてみてください〜


◎Hello Oxford◎
『TRA^VERSE』本公演はコミュニティダンスから始まりました。
赤いリボンを両手に持ってオックスフォード城そばの丘陵を登ります。
並んで頂上を目指しながら各々のダンスを繰り広げました。
丘の上はオックスフォード城塔と変わらないくらいの高さ。
そのラストは頂上で「Hello Oxford!!」って叫びながら踊ります!

神経を払う性質の踊りではありませんが、とても貴重な経験になりました

年齢や性別を問わず、みんなで踊るということはそれだけで意味があります
決して命を賭して踊ることだけが崇高なものじゃない
そんなことにあらためて気づかせてくれました


もしこれまでのblogを見てきてもらえたなら、滞在期間中が決して
“怠惰なLondon生活”ではないことがわかってもらえるかとおもいますw
世界最高峰バレエ全幕を見て身の程を思い知るを据えていたとはいえ、
かなりせわしなく観光もしています。
しかし、だからこそわたしにとって大事な時間でした
ダンスのことを考えず、ダンスのことを忘れて、友だちとロンドン散策
技術は毎日の厳しい積み重ねで向上させていくものでも、
人間性は自分の外世界との向き合い方です

自分だけでなく相手があることで人間はゆたかになるのだとおもいます



2013年06月10日(月) magicalpath

◎Heathrow Airport◎
オイスターカード、めちゃくちゃ使える!!! 旅の最大功労賞ですw
日本でいえばSuicaなどのICカード。
このカードなしにロンドン生活はありえませんでした!

 タッチ安堵ゴー

二年前は公演後ユーロスターでフランスへ渡っています。
そういうわけでヒースロー空港から帰国するのは実は初めて。
単独行動、それはスリルと緊張のサスペンス(爆

 行きはよいよい、帰りは怖い

ヒースロー空港マンモス大きすぎて気が気じゃなかったw
出国→みんなと合流→ついていくだけ
帰国→1匹おおかみ→右も左もわかんない
旅行会社の赤ラインが引かれた文章「空港には出発3時間前」
3時間前ってほんとにそうだよね…
ヒコーキに乗るまで、乗るまでが、大変なんです。。
国内なら1時間なのに過去2度も乗り過ごしてますから!!
ANA受付カウンター発見! チェックイン完了
今回は初の免税処理手続きに挑みました。

 失敗

うまくいってた、うまくいってたんです!
だけどヒコーキの時間、時間がッッ
長蛇の列の半分くらいまできたところで断念しました…
あと少しでフルコース食べれるくらいの現金が返ってきたはずなのに!!
税金を返してもらうには時間設定があまかった―
帰国したら何度か食事を抜いてつじつまを合わせたいとおもいますw

ゲート おっそろしく長い行列に阻まれました。
みんなが並んでいると不安にかられます。

 自分が真に並ぶべき列がどれなのか

わたしは並びました。 なにしろ人が通れないくらい並んでるんです
“人が通れない”これがわたしの判断を狂わせる原因でした…
実はこの列はぜんぜん別のヒコーキ列だったんです!!

 なんとこの列の先に他のゲートへの通路が左につづいていたのだ

ま、マジであぶなかった―
誰もおしえてくれる人なんていない。 自分で気づくしかない
こうしてギリギリイギリス出国に成功。
経験が動じない自分をつくってくれる。
慌てることはとても人を見苦しい気分にさせるものですよね。
次は堂々と帰れる自信がありますw
次がある、未来があるってことは、挽回できるってこと。

 過去は未来が帳消しにしてくれる

ヒコーキの中でわたしはメッセージを書きました。
その宛先はANAクルー! 公演成功祈願メッセージの仕返しですねw
このメッセージは個人的なものですが、
わたし自身のすべての人に対する感謝の気持ちそのものです

 先日は“ダンス公演成功祈願!!”メッセージありがとうございました
 おかげさまで『TRA^VERSE』Oxford城公演を踊りきることが出来ました
 このprojectは5/26〜29の4日間でダンスをつくって5/30〜6/2本番です
 そんな中でわたしはソロを踊らせてもらうことになりました!!
 わたしは3年前に大事故を経験して、もう一度踊るために
 あたらしい自分を一から積み上げてきました
 他の人からは努力にも見えないようなことを
 真剣に地道にやってきたことが花ひらいたのを実感しています
 今回わたしがつくったダンスは“橋”です
 素直に話すことは大変な障害がつきまといますよね
 これはダンスも同じです
 媚びず驕らずダンスを踊るのは言葉を選ぶことと似ているのかもしれません
 外見が個性的で変に思われることが多いわたしですが
 皆様のメッセージが勇気になりました
 わたしたちはその一言に幸せを、生きていることを感じるのだと思います
 わたしはそれをダンスにしていきたいとおもっています
 ほんとうにありがとうございました!!
 皆様も体に気をつけてお仕事がんばってください

ありがたいことに、ANAではこのようなメッセージを届けてもらえます。
文章にすると恥ずかしいものですが自分の気持ちがはっきりします。
このblogでも見知らぬ人に向けて発信している以上は、
なるべく誤解を招かないように神経を払っているものです。
〜その後なんと予想外の出来事がおきてしまいます〜
帰国後 6/20、手紙が届きます。 差出人を見て驚きました!!

 【全日本空輸株式会社 客室センター 客室乗務部】

手紙が郵送されてきたよ!!
まさか返事がくるだなんておもってもみませんでした
あんまり嬉しかったので載せさせてください

 先日はとても素敵なメッセージカードを送って頂き、
 ありがとうございました!
 私達クルー一同、タイスケさんのOxford城でのダンス公演は
 どうだったのだろう、是非見てみたいねと気になっておりましたので、
 ダンスが大成功されました事を聞き、
 自分自身の事の様に嬉しく感じております。
 今後もタイスケさんのダンスでのご活躍を心よりお祈りしております!!
 2013.05.25 NH201 NRT→LHR ANAクルー一同

こうして気持ちのやりとりが出来ることがダンスを飛躍させてくれます。
どれだけの人に素直な気持ちを受け渡していけるんでしょうか。
これは目に見えるひとつの答えです
わたしたちがしていることは決して無駄じゃない
実は2年前の公演のときもANAクルーからメッセージを戴きました。

 タイスケ様の想い、気持ちが多くの方へ届きますように。
 思いっきりダンスされて来て下さいネ!!

なんのために踊るのか、いつもいつでもそこが出発点
その確認がダンスを、わたし自身を、強く揺るぎないものにしてくれます



2013年06月09日(日) ヒッキーと歩くLONDON vol.3

◎Notting Hill(6/7)◎
初めてロンドンバスに乗りました!! ファーストインパクトです
Undergroundに比べて圧倒的に利用難度が高いBus移動。
(バスはヒッキーいなきゃ絶対乗れなかったね…)
次停留所の表示がないし、アナウンスもない。
おまけに道路の混雑状況に応じて進路変更までしちゃいます!
もう絶対無理w  2階建てBus(Double Decker)キタ―

 2階最前列に座ってみた

うおおおおお!!た、楽しい!!! 超遅いジェットコースター気分☆
バスだからフツー車みたいにフロントにエンジンなんか積んでない。
まるで崖っぷちに座っているような感じです… 空前絶後の2階建て新感覚
しかもその断崖絶壁が動くのだ。。

 あぶなく遺書でもしたためてしまいそうでしたw

LONDONの街並が前面に広がる車窓から押し寄せてくる―!!
ついにロンドン名物 2階建て赤バスを体感w
これでわたしも名実ともにロンドンっ子の仲間入りです☆ 殴
ノッティング・昼。
【Paul Amith Westbourne House】到着。
わたしがお世話になってるブティックのひとつポール・スミス。
JapanSTAFFに言われるがままフラグシップ店に行ってきました!
お世話になりすぎて、行かなかったらかるく首絞められそうです。
って、家そのものが店って何!? なんと大胆なw

 こんな家に住めたらいいね!(ブティックだけど

『ノッティング・ヒルの変人』で有名なこの街は建物が白、白、White!!
さすがは著名人が暮らす敗訴サイアティ地区☆
【Portobello Market】にも寄りました。
日本ならデパートで完結してしまうところですが、これがイギリスです!
今ではネットショッピングで事済んでしまう世の中。。
しかし、現実こそが人の営みですよね。

 見て、聞いて、歩いて

生きてる、みんな生きていました
触れてみなければ感じられないもの、それは息吹です


◎Vivienne Westwood World's End(6/7)◎
LONDONの最後を飾ったのはこのお店になりました!
Vivienne Westwood World's Endは世界で唯一のVivianne100%出資店。
Vivianne本人が最初に開いた店だと聞けばその意味も納得できます。
Vivianneはわたしが愛用する指輪のひとつ。
知る人ぞ知る指輪ではありますが、知らない人は知りませんよねw
もとは1971年に誕生した伝説のパンクショップ。
わたしが生まれる前ですからもうすぐ半世紀な本店です☆
入店してびっくりするのは床が傾いていること。 計画的建築
売場はまことに狭いけど、全デザインの突出レベルが半端じゃない!!
しかし日本で求めるものとは安さ段違い!! なんてこった
キーホールダーなんか“ビビッド男根”です…
トリコロールカラーはもちろんピンクまで勢ぞろいw

 ここの商品のすべては気恥ずかしさで引いてしまったら負け

キーホルダーは日本限定販売予定らしく値段は3〜4倍になるとのことw
そんなワールズ・エンドには日本女子がSTAFF勤務していました!!

 本店で働いてる、すなわち尋常ならぬ知識とセンス、そして服装
 むちゃくちゃ可愛くもカッコよかった!! 二律背反です!!

おかげさまでたいへん親身な対応してもらえましたw
店長がいないのを尻目に今日届いた商品を一面に並べてくれました☆
(もし店長がいたらかるく常連さん行きになるらしい)
ここは、レア物GETするためだけにはるばる客が来店する場所なのだ―
STAFFと同じ日本人でほんとうによかった(爆
わたしはもともとVivianneに絶大な思い入れがあるわけではありません。
自分にとって、すべては指輪から始まっていることでしたが…

 よくよく考えたら自分のお土産なんにも買ってなかった

帰国時間も差し迫っていたわたしです。 ここはもう迷うときじゃない
そんなときにワールズ・エンドにいたのも何かの縁でしょう
強烈なデザインでしたが思い切って購入!
思い切ったのは値段ではなく、己との闘いですw
〜帰国後の結果報告を先にしておきましょう〜

 モーゼの十戒みたいに人波が割れる

その着用威力は凄まじいものでした!!
向かってくる人がことごとく“一方的に”“避けてくれる”のだw
後遺症に悩まされている者にとってこんなに素敵すぎる服はない☆
わたしが体勢を決めさえすれば自動的に道が開く!! なんと素晴らしい
こんなふうに未来も拓けたらいいのにね 笑

 しかし、一歩間違えばそのまま中国マフィア直行ですw
 この服を着るときはサングラスなんて絶対かけちゃいけない

Vivianneで今年の夏はほんとに楽して道が歩けました(爆
日本女子お姉さんSTAFFのおかげですねw

日本人といえば、Royal Opera House shopSTAFFにもいました。
以前にもいたような気がして声をかけると別人でしたw
Royal Opera Houseで働く前は美術館にいたそうです。
二年前…その美術館は訪ねてない!
でも、話しかけたおかげで先輩たちへのお土産ばっちり買えました☆

 母国語にあんまりリラックスしすぎて自分のお土産を忘れたくらいです

出国した旅先で出会った日本人と日本語で話せるよろこび
自分が使う言葉が特別なものだと気付く瞬間ですね!
あたりまえのことは決してあたりまえじゃない
環境が変われば事態も一変してしまいます。 だけどそれこそがチャンス
もう一度“あたりまえ”を見直せるときです!
日本語を美しくつかっていたいですねw


ヒッキーと歩くLondonはこうして終わりました!
娘めぐっち連れていながらも毎日いろんなところに行けて大感謝祭です。
ヒッキーがこぼしたのは、
 「もし私だったらイギリスなんてなかなかこれないから
  計画たてて、行けるだけ回るだろうけどな」
独りだったらそういうふうに考えるかもしれない。
だけど今回のLONDONは、ヒッキーと一緒にいることがなによりも先です。
それはこちらがおもいきり迷惑をかけられる相手だから。
「いろいろ連れて行ってあげれなくてごめんね」とも言ってくれたけど、
こんなところで、イギリスで、わたしのために時間をつかってくれること。
それはなによりも代え難い どんなものとも比較にならないんです

 逆の立場で自分にそれができるか、これがこたえです

いつでもそんなものを共有している、できるのが友だちなんだとおもいます



2013年06月08日(土) ヒッキーと歩くLONDON vol.2

◎Abbey Rord(6/6)◎
CDジャケットに見た、あの伝説の横断歩道を渡ってきました!!
ジャケットに使われただけで2010年に文化財登録されてしまった横断歩道w
これが今なお、世界的金字塔として君臨する【The Beatles】の成せる業☆
バンド活動する人にとって、もはや聖地です。
The Beatles がいなければ今の世の流れはないのだ―
わたしなんか生まれてもいない、1970年に解散したロックグループ。
しかしその音は決して色褪せることはないでしょう。
誰かが音楽そのものをBeatlesのように変革してしまわないかぎり。
やってきたアビイ・ロード!!

 フツーの横断歩道だw

ビュンビュン通り過ぎる車たち!!
こんなところでk野さんの命令を遂行したら確実に車に撥ねられる―
受信した指令を崇高に決めるには並々ならぬ集中力が要る。
それには時間、時間が必要だ。
テキトーにやってできるポーズじゃないもんな…  直感した

 集中してるあいだに俺を始末する気ですね

【コマンド:命を大事に】 ただでさえ奇跡的にたすかった命です
たとえ未来永劫「臆病者」と罵られようともここで死ぬわけにはいかない。
〜生死の境とはいつもどんなときでも後悔しない答えを与えてくれる〜
アビイ・ロードでそんなものを学ぶとは思いもしませんでした!
k野さんのおかげですねw

横断歩道はBeatlesによって“ただの横断歩道”じゃなくなりました。
しかし、通る車が気持ちよく止まってくれるわけじゃない!
歩く観光客にとって伝説でも、走る車にとっては邪魔なだけ―
得体の知れない伝説と現実社会に矛盾を感じずにはいられませんでした☆


◎Baker Street(6/6)◎
物語の中での架空の人物、シャーロック・ホームズ。
Baker Street Station はホームズ色あふれる駅。
劇中でホームズとワトソン君が暮らすベーカー街に建立された博物館。
世界で一番売れてる探偵推理小説。 その力は現実をも浸食

 世界に愛されるってこういうことw

一時の流行ならまだしも、永続的につづきそうな伝説の域。
ハリー・ポッターはどこまで迫れるんでしょうね。 無理だろ
Londonにはそんな伝説がたくさんあるね!
日本にはそんな世界的な伝説はまずないね!
駅前のSherlock Holmes像と記念撮影。 積み重ねるご無体な思い出w
日本で“駅前”っていえば中堅ハチ公、いいや、忠犬だ!!

 一歩間違えれば駅前留学です

まだ一度も試してなかった Fish & Chips イギリス伝統の味。
揚げ魚とフライドポテトのコンビです。
ヒッキーが連れて行ってくれたのは【SEASHELL of LISSON GROVE】
“まっちゃんによる、Londonで一番美味しいFish & Chips店”
たしかに美味しかった!! 美味しかったけど!!

 正福の圧倒的勝利

何度でも繰り返したくなりますが、ホントに英国フードはマズイ!!
なぜこんなものを毎日食べれるのかさっぱり理解できない。
そう、なによりもわたしの舌が日本食に肥えすぎているのだ(爆
 からだづくりのためですからw
めぐっちを一日中連れ回したことになる前日。
この日のヒッキーと行くLondon散策は閉幕。 母と娘に大いなる休息を!


◎The British Museum(6/6)◎
入館時間ギリギリ、ガラゴロ牽いていたために入口で追い返された2年前。
復讐のときがついにやってきました(爆
よくよく考えたら大英博物館といいながら自国のお宝がメインじゃない。
元はといえば医師ハンス・スローン卿の個人収集品なのだ。
ロゼッタ・ストーンをはじめ、ラムセス2世胸像、アメンホテプ3世頭像、
館内最大展示物メソポタミア人面有翼牡牛像、果てはモアイまで。。
なんとヒンドゥー神ガネーシャまで鎮座してるくらいです!!
博物館の地下には展示していない歴史的遺物が大量に補完されています。

 ◆英国が片っ端からぶんどってきた他国の叡智◆

入場無料に「ありがたい」なんて思うのも筋違いな気がしてきますねw
世界三大博物館の実態は、そんなもので観光客が絶えない場所なのだ。
〜エジプトの人たちがどう思っているのか怖いね〜
面白かったのは“時計”のエリア。
永久に動き続ける機械には度肝を抜かれましたね…

 時計を見ていて時間をわすれるってどういうこと??

手に入れた新感覚 本当に面白くて全然飽きない!! 人類って凄い
そういうわけで、博物館の全エリアを巡りに巡って巡りきりました!
迷いに迷って迷いきりました、とも言えるw

 奪ってきた宝物どころか観光客の体力すらも根こそぎ奪う博物館

結局奪われるばかりじゃないか!!(爆
そう、それは一日じゃ見切れない膨大な展示品を一日で見切ろうとしたからw
だけど一日で見切ってやったぞ 豚野郎
さすが三大疲れる博物館!! もう二度と行かないからな

こうして午後のすべてを大英博物館に奪われてしまいました…
もうへろっへろです!!
世界的博物館にはくれぐれも気をつけてください!



2013年06月07日(金) ヒッキーと歩くLONDON vol.1

滞在はワシントンメイフェア。 4ツ星ホテル☆
最寄駅はGreen Park バッキンガム宮殿まで徒歩15分!
ホテル探し、かるく30分は迷ったけど(超実話
過去、ホテルネット予約で失敗したわたしは万全を期しました。
自分で選ぶよりも旅行会社の信用を選択。
国内ならやりようあっても海外でのミスは取り返しがつかない。

 失敗は予約した仲介会社が国外にあったことで、
 取り消すまで甚大な精神的苦痛をあじわいました

 インターネット環境の明暗です

しかし、そのおかげでわたしたちの生活は変わりました。
〜Wi-Fiによる通信天国〜 繋がる世界に激変
便利、便利です!! どんなことでもスマホが答えてくれる!!
すぐに連絡つく!! もう迷うこともない、人を頼らなくたっていい!!
 なんてこった
リスクのない旅ほど成長できないものはありません。
人間が開発した機械でリアル対人コミュニケーション能力の喪失…
これって本末転倒じゃないか―!?

 人間らしさって何だ

もちろん“便利”です、これまで出来なかったことが出来る!
それになんといっても“安心感”、いつでも友だちにメッセージ。
だけど、どうしても割り切れない。 不安がよぎる
目の前の人に尋ねず、機械に尋ねるって何!? まったく面白くない
 わたしたちの世界はどうなっていくんでしょうか
迷わないことが楽しいんじゃない、迷うから楽しいんだ
ハプニングこそが一番の経験になることをもう知っています
命綱くらいの気持ちでいいよね―


◎Primrose Hill(6/4)◎
滞在期間中はSwiss Cottage在住のヒッキーが案内を引き受けてくれました。
こんなに嬉しいことはありません!
LONDON初日は二つのエリアにきました!

 あの時のダンスで雨が上がってから青空は帰国するまでつづきます

ヒッキーも驚いてた。 LONDONでこんなに晴れが続くことない、ってw
やっぱわたしこそが晴れ男なのだ☆ 
ようやく運命も切り拓いたんだから間違いない 笑
Primrose Hillはハリウッド俳優のジュード・ロウやケイト・モスも住んでる高級住宅街。 地名にもなっているその丘からはロンドン市内が一望できます。 街は静かで、それこそ昔ながらの家が立ち並んでいました!
ヒッキーによるとLONDON滞在事情は大変苦しいものだそうです。
経済的に一軒家に住むなんてとんでもないみたい。
年季入ってる家は内部も古いらしく欠陥がよくあるらしいw
そして、LONDONのsweetsは悶絶するくらい甘すぎらしいw

 甘党であるはずのわたしでさえ気絶寸前でした

丘はところかまわず恋人たちが寝そべっていて地獄みたいでしたね。
そんな頂上で、わたしはヨガに集中。 ヒッキーが激写してくれました!!
まわりの視線が気になっていては集中力を削がれます。
いよいよ自分の力がためされましたね(爆

 k野大先輩にこの技とこの技やってこいって赤紙メッセージきてました

せずに帰国なんかしたら、おそらく会った瞬間に即体育館裏です―
全力でヨガに挑みましたね。
恐怖のおかg…でなかなかのポーズが決められましたよw
丘からの眺めは大変素晴らしく、すがすがしくて広い気分に☆
市街地よりも断然オススメw 行けばわかるさ

◎Camden Market(6/4)◎
マーケット内の屋台で食事を摂ることに。
閉店時間みたいなときだったからガンガン声をかけられます!!
中華にしようかって言ってたときでした。
 「お客さん!半額でいいアルヨ!ドリンクもつけるヨ!!」
飢えたハイエナのようにわたしたちを襲ってくるChinese店員(爆

 “売らなきゃ、客捕まえなきゃ殺される!”そんな勢いです☆

わたしは一通り全部巡ってからって性格なので「後でね」と去りました。
でも、特に他店舗に興味がわかなかったので戻って注文をしてみ…

 飲み物は付きませんでした

詐欺だねw しかしヒッキーとわたしは純日本人
その奥ゆかしさから店員を問いただすことはできませんでした。

 これが日本人です

美味しかったからよしとしましょう!!


◎Westminster Abbey(6/5)◎
Green Parkを南北に貫く並木道、The Broad Walkで最高の朝ヨガ毎日w
Londonは東京と違って緑が、公園が、あふれています!!
朝ヨガに励んでからバッキンガム宮殿へ行けば衛兵交替式時間。
せっかくなので行ってきました!

 交替するだけの儀式かとおもったらかるく1時間以上が経過

貴重な時間があっという間に交替式でもっていかれてしまいました!!
もう二度と見に行かないからな! 笑
面白かったのは楽隊の演奏がマイケル・ジャクソンだったこと。
ここってイギリスだよね??
国家兵隊の式典でそれ演奏しちゃっていいの? 米国いいの??

 イギリスは意外にも寛大でした

急いでホテルに帰ってたちどころに出発。 ウエストミンスター寺院へ
今日の待ち合わせはWestminster駅。
めぐっちとヒッキーを待たせてしまい、罪悪感から土下座を敢行。
ぜんぶ衛兵交替式のせいです 殴
地上に出るといきなりテムズ川!! 川向こうにはLondon Eye大観覧車!
右を向けば国会議事堂・世界遺産ビッグ・ベン!!
 これがロンドンです
国会議事堂の正式名称は新ウエストミンスター宮殿。
ビッグ・ベンを横目に通り過ぎて見えるは目的地、Westminster Abbey!
ウィリアム王子とキャサリン妃の結婚式が行われた教会ですね。
王家の冠婚葬祭を一手に引き受けている物凄いゴシック建造物です―
10世紀ごろから存在するも1745年にようやく西の2大塔が完成。

 ヘンリー7世の礼拝堂には本気で息をのみました

こんなものを人間がつくっただなんて凄すぎるぞ人類!!
教会内部は撮影禁止。 是非とも自らの目で確かめてみてください
ウェストミンスター教会庭で世界遺産ヨガを敢行。
三点倒立はオックスフォード城でやったし、次はシールシャだな。
両脚を直上にあげた瞬間でした!

 思わぬ強風でシールシャ倒立はあっけなく倒壊

キャサリン妃め… 次は絶対決めてやるからな!! 覚えとけ
ヒッキーが撮ってくれた倒壊までの連続写真に大爆笑ですw
近い将来、強風にも負けない強さと集中力を誓いました。

無様な姿を晒していてはk野先輩に永久に罵られる未来が待つだけです

◎Covent Garden(6/5)◎
あ、いたいた! コヴェントガーデンには必ず“浮いてる人”がいますw
あれっ、いなかった! よく見たら人だけがいない!!
 こうなってたか―  〜タネと仕掛けのプレミアム激写に成功〜
そのシステムは愚かしくもシンプルで美しいものでした☆
(※“浮いてる人”見たことない人には理解不能でしょうね…焦)
浮いてるだけで観光客相手に小金を荒稼ぎしてる人たちのことです。
この日はゴールドジャケットの人と浮いてるヨーダいたw
是非とも遭遇してみてください! 行けばわかるさ
仕事を終えたヒッキー夫・まっちゃん合流。
ヒッキー、まっちゃん、めぐっち、家族揃って食事です!
パエリアを囲むその食卓は絵に描いたような幸せの構図でした―
『Mayerling』開演前で時間無かったけど駆けつけてくれたまっちゃん。
仕事も忙しい時期らしいのにほんとにありがとう☆



2013年06月06日(木) 「Mayerling」

◎Covent Garden(6/5)◎
この期間近隣諸国に見たいダンスの展開なし、U.K 滞在です!
わたしは進む道の先に、見ておきたいダンスを必ず置きます。
そういうわけで今回初侵攻するは進撃の ROYAL OPERA HOUSE ☆
単なる観光やshoppingだけのために滞在を組み立てたりしない。
この国で一流と呼ばれるダンサーをこの目で見るんだ! 先ずは勉強だ

 『Mayerling』   振付: K.マクミラン
 Royal Ballet Company

実在したオーストリア皇太子の心中事件を題材とした全幕バレエ。
座席は、Orchestra Stalls Right 【M 24】。
このたびはヒッキーにticketを獲ってもらってます!! すっごくイイ席
凄い劇場でしたが凝縮感があり、広さは感じません。
生身の“人間”を見るにはこのキャパシティが限界でしょう。
パリ・オペラ座、ロシア・ボリショイ劇場と並ぶ世界三大バレエ団のひとつ。

 折しも今日は主役ダンサーの誕生日

そんなタイミングだったのも何かの縁かもしれません!
客席から惜しみない拍手が贈られ、花が舞散ります。
何度も何度もカーテンコール、終わらないカーテンコール。
そんな中、後ろのおじさん英国人のおそろしい発言を聞いてしまいます。

 「これまで見た中でワースト1だ」

どれだけ見てきた人かはわかりませんが驚愕の一言です!!
しかし、なんについてのワースト1か量りかねます。
わたしは悩みました。常人には考えられない修練からのバレエ技術ですよ?
悩みましたがまず最初は“その物語”についてです。

 とんでもなく暗い作品でした

ダンスというよりも芝居の要素が強い。
なんといってもそのラストは銃による自殺。
実際に拳銃を持ち「バキューン!」って…

 ダンスなら 死ぬところだって踊りでやってほしい

わたしは、それまでのダンスが一体なんだったのか疑ってしまいました
踊りって一体なんなのでしょうか
ここでの踊りはおおよそ苦悩や愛憎でした
しかし、いくら踊ったところで最期は銃によるなまなましい自殺です
ここでのダンスは創造力ではなく、現実に沿うものでした

 王侯貴族社会の地位に悩んで人生を棒に振るお話

悲劇には違いないけれども、まったくつまらない人間力です
共感のしようがない

これ見て主人公に同情する人いるの??
なにしろ全編にわたって飲んだくれの超ダメ人間です
いわゆるその地位から傍若無人の限りをつくしてきたんです
応援したい要素なんかない

 いきつく先は“勝手に死んでしまえ”でした

ひ、ひどい。。 我ながらこれはあんまりです
一流のバレエ団見に来てこれが作品のいきつく先だなんてあんまりです!!
逆のこといえば、主人公にはどうしようもなかった
女に救いを求めるだけで、なんとかしようとはしなかった

 あきらめたんだよね

共感はできませんでしたが、そんな命でも人の命です
そんな人でも死んでしまうほどの葛藤があった、そういったものでしょうか
なんでこんなの全幕にしたのかな… そういう人たちへの警鐘???
史実を伝えるのなら踊らなくていい、芝居のほうが適しています。
歴史にダンスの創造力はいらないんじゃないか
そのダンスは拡がりを感じるものではありませんでした
わたしに限っていえば、胸を突くことがなかった
まったくの他人事に見えてしまいました

その研鑽された技術にはただただ恐縮するしかない。
よく考えればダンスじゃなくバレエです。 ダンスと芝居のハイブリッド
物凄いブラットフィッシュソロにはほとほと感服してしまいましたが、
だけど物語のコアじゃないよそれ―

二年前に初めてパリ・オペラ座に行ったときなんか、
エトワールが出てきただけで泣いてしまいました
それは憧れや羨望からの感情ではありません
理屈じゃない  とんでもない輝きを感じたんです

じゃあ今日はどうして? なぜ同じものを感じないの??
世界最高のダンサーのはずです 驚異的な技術をもっているんです
同じ“バレエ”じゃないですか!!
その技術だけで泣いてしまってもおかしくないはずです

 まったく心が揺れなかった

なにがそうさせるんでしょうか?
きっとわたしが“見たい”ものじゃなかったからだね
この『Mayerling』を見て号泣する人がいるなんて到底おもえません
バレエは、そのほとんどが子どもでもわかる物語。
じゃあそんな物語が見たくて足を運びますか? そんなはずがない
物語をどう踊るのか、すべては内実のはずです

帰り道、わたしは相当うなだれていました。
時計を見ると23:00、全3幕3時間公演ですから終わったのは22:30。
おそろしく長いカーテンコールで22:45にはなってたかも。
日本ではありえない終演時間!!

 これがイギリスです



2013年06月05日(水) 怠惰なLONDON生活がいま始まる

怠惰な生活が出来るのは本番が終わった直後の“今”しかない―

◎Buckingham Palace(6/4)◎
いよいよLondon入り。
ホテルへ向かう途中、バッキンガム宮殿に立ち寄ってみました!
イギリス王室の正式な宮殿、女王公式の邸宅です。
前回は一泊しか時間なくて、大英博物館とロンドン塔で見事に散ったw
今回はとことん英国を満喫してやる…

 ここが英国王室の生活圏か!!

やってきたバッキンガム宮殿、辺りは世界からの観光客で渦巻いています。
皇居とは大違いだな。 だって普段は石垣しか見えないものね
ほんとうにここで女王が生活してるのかな??
宮殿の荘厳さから安易に納得してしまいそうになるところですw
確かに大きいが、そんなに広くないよね??
どちらかというと閉じ込められているように感じました。

 もし観光客全員が暴動をおこせば確実に宮殿を制圧できる気がする

昔ながらの衛兵よりもマシンガン構えてるコンバットスーツ兵士が現実です!
きっといつでも撃ち殺す準備は万端なんですよね…
さて、宮殿前にそびえる記念碑 Queen Victoria Memorial に向かいます。
ひとりガラゴロ牽きながら歩いていると女子に呼び止められました。

 「日本の方ですよね?」

あれっ!? どうしてわかったの??

 変装は完璧だったはずなのにッ!! 笑

まさか一瞬で見分けがついたとでもいうのだろうか…
いやそんなことはないだろ。。
今日はサングラスな上に、全身黒づくめみたいにしてるんだし…

 ってこれ 簡単に話しかけられるようなイデタチじゃないぞ!!

避けるだろフツー(爆
それでもいきなり声をかけられてしまった事実に怯みました
もしかしたら黒づくめでも“いいひと”オーラ出てたのやもしれぬw
とりあえずこれで納得しておこう!!

 話をしてみるととっても素敵な女子でした

アトリエ 月★庭 でカードなど創作業を営むアーティストmoetomoeさん。
彼女はヨーロッパをインスピレーションで巡る旅の途中。
こんなところで遭遇するのも不思議な縁でしょう。
さぁ写真を撮るときがきました!
観光地で恥ずかしい写真を撮るにはお友だちがいないと無理!!
良くも悪くも強烈な思い出を残すにはこれが一番ですw

イギリスが最も繁栄した黄金時代、ヴィクトリア女王の記念碑。
その時代は、東インド会社を使ってのインド支配拡大。
1857年から1859年に起こったインド大反乱を鎮圧。
インドを完全制圧、植民地化…

 って記念碑がどんなものか いきなり複雑な気持ちになりました!!

遊び気分でそんなのと写真撮っていいものか―
ええい、ここまで来て撮らないわけにいかないだろ!!

こうして恥を忍んだ記念写真の撮影に成功したのでした 笑

いきあたりばったりって なんて素晴らしいんでしょうか
この世でハプニングほど面白いものはありません☆



2013年06月04日(火) again

◎Celebration at Pegasus Theatre(6/2)◎
打上げは最終公演後、Pegasus Theatreで盛大に行われました。
わたしは一度Powell邸に戻ってあらためて行くことに。
集中力完全にキレてたw  シャワー浴びてすっきりしよう!
Oxford市街地からPegasus Theatreまでバスで一人旅。
Brianさんに乗降場所をプリントアウトまでしてもらいました。
バス停でバスを待ちます。
しかし、いくら待ってもバスが来ない。 なんで??
時刻表を見直すと、おぞましい真実が明らかになりました

 【日曜日 運休】

ゲえええええッッッ 気付くの遅すぎたあああああッ!!
かるく20分は費やしてしまいました(超実話
疲れてたし頭まわってなかったし、今日は日曜日だったよ―

 これがイギリスです

さすがに二度目のOxford生活、Pegasus Theatreまでの道くらいわかる。
わたしは歩き出します。 そのうちTaxiでも捕まえよう!
市街地から離れた時点でTaxiを二度と見ることはありませんでした―

 これがイギリスなんです

目的地まで40〜50分は歩いたかと思います。
でも、すがすがしかった
独りでしたがOxfordのいろんな表情を見ることができました。
本番が終わったからこそそんな気持ちになれたのだとおもいます。
ゆっくり日が落ちていくさまはほんとうに優麗でした
イギリスはサマータイム中で時計は1時間早まっています。
とはいえ夜22:00くらいでも日本の18:30くらいの感度ですw 明るすぎ!

 会場入りしたらParty終わってた

あたりまえかw  ほんとうに残念な男だよ俺は。。
みんなの憐れみを一身に受けながらわたしは残飯を食べまくりました!!
お腹空いてたんだよ俺は!!
ダンサー男子はその後PUBへ。 男の友情です
しかし条例によりPUBの営業時間は限られています。

 国家がお店でお酒を飲んでいい時間を取り決めているのだ

それでもギリギリまで飲みました。
ロイヤルのダンサーだったBruceの一言がうれしかった。

 「またお前とは踊りたいな」

わたしにはこの一言だけで充分でした。
たとえ社交辞令でも、踊りに魅力がなければ聞ける台詞じゃない。
きっと何かを受け取ってもらえたんだとおもいます。

 来た甲斐があった、そう思いました

わたし自身もBruceのダンスに触発されました。
Bruceの持つ、厚みのあるダンスに強烈な説得力を感じたのです。
人にはそれぞれ持ち味があり、同じことは決してできません。
しかし、同じことはできなくても同じ説得力ある踊りは出来るはずです。
その方法を編み出すのはこれからの課題のひとつ!
Bruceのダンスを見ることができて幸運でした


◎Workshop with Oxford Youth Dance Company and Slipstream(6/3)◎
翌日、CeciliaたちOxfordでダンスを主宰する人たちのWorkshopに参加。
会場は元消防署!! 消防署は改造されてアートセンターに!!
ホームレスや無職の人たちをアートの力で支援したり、公演を打ったり。
国や地域がアートの力を信じているのを実感しましたね…

 だってそんなものは日本にないのだから

子供たちはほんとうに創造力豊かですぐにダンスにしていきます。
踊ることに理由なんかいらない、そんなものをビシバシ感じる!
明日、わたしたちはいよいよOxfordを離れます。
最後の晩餐でわたしはラビオリを注文。
日本じゃ食べる機会なんてまずないし!って食べれば食べるほど味濃すぎ!
つらかったけど、今ではいい思い出w
そんな中、Ceciliaからメッセージカードを受け取りました。
って、そのCecilia直筆messageは達筆すぎてかるく読めませんでした!!
わたしは帰ってからBrianさんに解読を依頼(超実話

 Thank you Taisuke for your most wonderful solo.
 I could watch it 100 more times.
 Good luck with your dancing.
 Until we meet again.   Cecilia

Oxfordを去る前に解読できてほんとうによかったw

「また」そのときまでお別れです☆



2013年06月03日(月) 「TRA^VERSE」 最後の挑戦

◎『TRA^VERSE』最終日(6/2)◎ 〜日付押してるけど〜
ついに今日で本番が終わります!
読み返して愕然とするのは、あったこと書けているってほんの一部だけ…
優先順位をダンスから外せばまったく文章化できてませんw
Oxford最古のPUBで飲みまくったり、
ハンバーガーはレストランのものより路面店のほうが美味しかったり、
Oxfordでも【赤いきつね】がフツーに売ってたり、食べてもみたw
T.Yamamotoは道端でビール瓶の蓋を開けようとして文化財みたいの壊したり
練習や本番の合間にOxford女の子たちがくれたお菓子のカタチに、
「匍匐前進してる太った人に見える」と言ったら、
「それはウサギだよ!」ってすごい剣幕で目で殺されるし(超実話
〜見る角度を間違えたばっかりに危うく国際問題です〜
イギリス版おっとっと… おそるべし
面白いことがいつだって起きてたw
そんな毎日でしたが、わたしが考えていたのはいつもこれでした。

 今日のソロをどう踊るか
 どうやったらこれまでのソロを打ち破れるか

何のためにここにいるのか、観光でも友だちに会いにきたのでもない。
踊りにきたんです
見に来てくれる人の心にダンスでどれだけアクセスできるか
踊りに、ダンスに自分がどれだけ近づけるか
部屋に立てかけてるANA客室乗務員さんからいただいた応援メッセージ。
思い出だけではわすれてしまうことも、
ものとして“在る”とそれを目に入れるだけで浮ついた心は消し飛びます!
わたしのダンスにはすべてのものが味方になってくれる
わたしがしたいダンスはひとつ。

 舞台と客席の境界線をなくすこと

そのために何ができるか、この最終日にあらためて考えました。
踊るときに無心になるために今やっておかなきゃならないことがある。
この週末はCrossOverチームも城で公演をやっていました。
そうだ、リチャードがいるじゃないか!!
リチャードも二年前一緒に踊った仲間。 そのとき閃いた
客席にリチャードを見つけたらおもむろにハイタッチしに行ってやる―
これは賭けでした
Ceciliaが舞台を客席と分けるものとする考えなら完全な背反行為です。
だけどこれまでも、いつだってCeciliaは寛容でした。

 自分の責任で どれだけのことがやれるのか

自分のダンスを貫こうとすれば、必ず、条件に挑まなければなりません。
『TRA^VERSE』での自分の立場や役割、そこから出来得ることを考える。
作品の中で、どう自分が生きられるか対決する。
ただ言われたことをやる、なぞるだけなら考えなくたって出来る。
そんなものはカラダが利きさえすれば誰だっていい。
結局ぶつかるのは自分自身、自分との向き合い方です。
もし全出演者がこれに目覚めたら作品はおそろしい進化を遂げるはずです
みんなの意識が作品をとんでもないものに変えてしまうはずです

いよいよ最後のソロを踊るときがきました
Oxford Castle公演 最後の賭けに出るときです!!
前半部を踊りきり、集中を観客に切り替えました

 踊りながら客席にRichard Englishを発見

わたしは漫然とRichardの前にすすみました
手を挙げるとRichardもそれに応えてくれた

 「バシィッッッ!!!」

強烈に片手ハイタッチを決めた。

 それは、わたしがわたしでなくなった瞬間でした

大それた挑戦でしたが、本心から踊る実感にようやく到達できた気がします
自分が踊ったことよりも、ダンスがみんなと共にあったのを感じたんです
公演後、同僚のmゆみ姉さんはこう言ってくれました。
 「あの瞬間、会場の空気が変わったよ!」
心底苦言毒舌家であるmゆみ姉さんの発言ですから信用に足ります。
作戦は大成功だ☆☆☆  やりきった

こうして『TRA^VERSE』全4日公演を踊りきることができました


後から思うのは、実は初日からこれは出来たということです
先ず自分の役割やダンスをしっかりすることを踏まえたからこそ発展できたことではありましたが、もしその時間をリハーサル中に確認しておけば、もっと別のところに意識を向けることができたはず
“もしかしたらRichardでなく、見知らぬ人ともやれたかもしれない”
その可能性に気付けたことは発見でした

 もし次があるなら、ここから始めることができる

しかし、いずれにしても賭けでした
なぜなら自分の舞台ではないからです 本当には好き勝手出来ない
そんな中でギリギリを攻めること
だけど、これこそが大事なんだとおもうんです
自分がしたいダンスに本気で挑むからわかること
そして、全力投球したからこそ、Visionが一気に拓けたのだとおもいます
是非とも次のわたしのダンスに期待してください☆

『TRA^VERSE』に出演できてほんとうによかった!!



2013年06月02日(日) 友だち

◎『TRA^VERSE』公演まだ内容は三日目◎
いろんな人生の先輩の話を聞いて、いろんな思いの交錯を感じながら、
三日目の公演(6/1)には、ヒッキー夫婦がLondonから来てくれました!
そのことはわたし自身に想像以上の撃鉄を打ちます。

 “最高の踊りがしたい”、いつの間にか“しなければならない”に―

「めぐっちいるけど大丈夫かな?」そもそも始まりはここから。
生まれて3ヶ月の赤ちゃんが一緒なんです!
わたしは「全然大丈夫だよ」と答えていました。
あとからヒッキーに聞いたけど、イギリスでは赤ちゃん事情厳しかった。
レストランでもあまり入店できないとか拒否されるとか。
子供たちの送り迎えも義務付けられていたり。
みんな赤ちゃんを受け容れてくれるとおもっていたんです。
公演中、めぐっちは泣き出してしまいます。

 大丈夫じゃなかった

わたしは会場Staffが申し訳なさそうに誘導しているのを見てしまいました
屋外公演だったために本番中、そのすべてが見えていた
イギリス入国前、ヒッキーと連絡を取った際には、
「凄いじゃない!!海外進出してたのねw」なんて檄を飛ばしてくれた
わざわざ見に来てくれたことになんとしても報いたい

 応援してくれる感謝と、謝罪の意識が入り乱れた

そんな気持ちから気負いが、想像以上の重圧がかかっていました
緊張からくるパフォーマンスの背中合わせ

 わたしはガチガチになっていた

心持ちがダンスを揺らした それは自分の弱さを自覚する瞬間です
初日から“今日をどう踊るか”いつもイメージを整理、改めてきました
昨日から週末、客席はこれまでとまったく異なる様相になっていた
“見てもらう”ダンスには研ぎ澄ました集中を
しかし、“共有する”ダンスには毎日の進化が必要でした
自分はもとより、みんなを高揚させるには理屈じゃない勢いがいる
ところが芝生まで客席が押し寄せたことで使える舞台は大きく狭まっていた
イメージや作戦をいくら練っても、
観客ひとりひとりと向きあう“その時”に受け取る情報量は全てを上回る

 わたしは自分を発揮できていないのを感じました

発揮できなかったといっても、全力で挑んでいるのにウソはありません
全力で挑んでいるからこそ発揮できていないことがわかるのです
見に来てくれた人たちには「良かった」と言ってもらえたけれど、
自分の力はこんなもんじゃないはずだ もっと踊れたはずだ
“やりきっている”ことが最高のダンスになるとは限らない
“やらなければならない”が人をわくわくさせるはずがない
なによりも自分を楽しませる努力が足りていなかった
これはそっくり最終日への課題となりました

この日はサプライズがありました!! なんとギルが見に来てくれていた
ギルも「Taisuke! Beautiful dance!!」って、ごめんなさい
ギルは二年前、一緒につくった『火の鳥』を踊った仲間。
今回出演者にいないのがおかしいと思ってた。
本人に話を聞くとデンマークに行ってしまうことがわかりました…

 もう二度と会えないかもしれない

火の鳥のクリエーションでは最もパワフルだったギル。
ギルこそが火の鳥だったんです
彼女がいなければ“火の鳥”にはならなかった
イギリスから去ってしまうことを聞いてとても寂しくなりました
それでも会えて、ほんとうによかった

そして、ヒッキー家族とようやく邂逅できました!
メッセージのやりとりはしていてもお互いに顔を合わせるのは数年ぶり。
なんだか不思議な気分です!!
ヒッキー「めぐっち泣いちゃってまともに見れなくてごめんね…」
いや、それはこちらの考えがあまかったんだよ あやまるのはこっちだ
どんな感想よりも見に来てくれたことがすべてに優っています
夫・まっちゃんは見るからにイイ人だし、めぐっち超かわいすぎw
こうして日本を離れたところでも会える友だちがいる

わたしはほんとうにしあわせ者です―



2013年06月01日(土) 百聞がおしえてくれたこと

◎『TRA^VERSE』公演三日目◎
昨日、Powell邸ではホームパーティーが催されていました。
イレーナさんの旧友がたくさん招かれていたそうです。
そしてそのまま『TRA^VERSE』を見に来てくれました!
マンチェスター在住のオルガはそのまま一泊。
ダンサーは本番まで自由時間が与えられていました。
観光しようと思えばできたのですが、わたしは出かけないことを選択。
だって今日はLondonから友人家族が公演を見に来てくれるんです!!
ヒッキー、まっちゃん(夫)、めぐっち(娘 生誕3ヶ月)がッ☆
“見に来てくれる人がいる”
ダンサーとしてこれほどしあわせなことはありません!

 今までで最高の踊りを見てもらおう

Oxfordに来てからこんなにそわそわした気分になったことはないw
ヒッキーと踊ったあのときからもうずいぶん経っています。
だって結婚して娘が生まれてLondon生活しているんだものね!
“盛大に祝ってあげたい”
だけど自分に出来るのは踊ることしかない 精一杯やるだけだ

そういうわけで、オックスフォード城で一人朝ヨガしたあと、
Powell邸でセレブ休日を味わうことにしましたw
わたしはイレーナ、ブライアン、そしてオルガと過ごすことに。
ブライアンさんがわたしにこっそり声をかけます。

 「オルガの前では日本語を絶対に使わないように。
  とても気難しい人なんだ。 英語でしのぎなさい」

あれっ!? とんだ急展開です! 〜ずぶりと包丁で刺された気分〜
日本語ですべてが通じるから、すっかり危機感が抜け落ちていました。。
って、いきなり崖っぷちだよ!!

 人生はまったく甘くない

オルガにはその英語力をかるく窘められてしまいました… ちくしょー
考える際でも「わたしは日本語聞きたくないわ」 一蹴w
 一瞬でゴルゴダの丘 直行です
ここPowell邸には本棚がいたるところにあります。
覗いてみると目を疑いました… 驚くほど日本書があるのだ!!
『演劇百科大事典』1〜6、『日本現代演劇史』、『新歌舞伎の筋道』から
『石田三成』『文壇栄華物語』なんてものまで!!
『THE SAMURAI』遠藤周作だよ!『BLACK RAIN』井伏鱒二だよ!
これじゃあまるでリアル『犬とハサミは使いよう』です!!(爆
居間の一角にある机の下には日本語文庫本がずらりと並んでいました。
吉本ばななまで!! 〜本棚を見れば、人生が見える〜
日本人のわたしよりも確実に読まれてます…  なんてこった
イレーナさんは演劇研究家で先生、そしてブライアンは大学講師でした。
どこからどう見ても知性の夫婦!!
わたしはわたしで舞踊研究家ですw 〜これだけは太刀打ちできる〜
感覚だけで踊ってなくて本当によかったよ
今回の『TRA^VERSE』についてもいろいろ訊ねられました。
物語があるのか、どんなイメージなのか、どう捉えればいいのか
わたしは、この作品に、ダンスに、唯一の答えはないと返しました
ダンスにはやはり感性が外せません。 ダンサーにも見る側にも
わたしがしたい、するべき仕事、それは

 どんな人にも何かが見つけられるように踊ること

ダンスが上手、ではなく、この人のダンスには“何かある”
わたしは、いつもそんなダンスを目指しています

Brianさんはネイティヴ英国人、Irenaさんはなんと人生4ヵ国目。
ポーランドからドイツ、フランス、そしてイギリスです。
この辺の感覚は、わたしには理解の範疇超えてるw
留学はしたけど留学程度じゃまったく経験値たりない。。
国が陸で続いていることを実感しますね…
イギリスこそ海に囲まれているけど、世界を渡り歩いて生きてきた人。
詳しくは聞けていないけど、東京でも生活していた人なんです。
それだけで凄い人生だとおもえます!
もともとIrenaはCeciliaの二軒隣の家に住んでいた。
息子が同じ学校で同級生だったこともあって友達になったのだそうです。
Ceciliaのことも話してくれました

 Ceciliaは数年前、交通事故で息子を亡くしていた

複雑な気持ちになりました
わたしは交通事故から奇跡的に命がたすかった人間です
それもCeciliaには二年前に伝えてしまっていました
あのときCeciliaがどんなことを思ったか不安になったのです
思わぬところで事実を知ってしまいました…
二年前はわたし自身がやっと踊りに向かえるようになった年で、
実のところ前回のOxford公演が舞台に戻った最初でした
あの頃はまだまだ舞台に立つこと自体に不穏なものがありました
本当に踊れるのか、いつも自分を疑っていたんです
そんなだから、周りがあまり見えていなかったとおもいます
でも、今は違う。
今までやってきたことが、経験が、自分を信じさせてくれる。
今なら、人にはいろんな思いがあることを受け容れられる!!

 踊ろう、踊るしかない

オルガにはマンチェスターのことを聞いてみました。
折しも今、マンチェスターユナイテッド知らない日本人なんていないw
マンチェスターは緑豊かなところでとても住みよいって。
オルガが言ったのはイギリスには山がないってこと。
そういえばそうだ、とおもった。 丘くらいしかほんとうにないのだ

 わたしたちには自身で気付くことよりも
 聞かされて気付けることのほうがたくさんある

オルガも出身はポーランド。 建築家です
「いろんな人の注文がめんどくさい」って言ってた 笑
オルガも国を巡ってイギリスにたどりついたんだそうです。
不思議な縁ですよね?
イレーナさんにはオルガのような友だちが何人もいる。
オルガは舞台芸術の視点からわたしにipadで『TeZukA』を見せてくれた。

ダンスに映像をリンクさせ多大な効果を与えるあたらしい見せ方

凄い作品でした。 からだに足される映像が心地よく拡がっていきます
これは自分もやってみたい!!
でしたが、同時にダンスの力を著しく失っているともおもった
だって視覚化できないその拡がる何かこそがダンスだからです
それを映像化しちゃったら踊る意味はどこにあるのかな
そうだ、これは“より見やすく”している“作品”なんだ!
そして、映像をダンスに足してイメージを特定する試みです!
そういう意味ではマジで物凄い作品です!! 面白いし

わたしたちが“何か”を引き出そうとしているのなら
見ているお客さんはその“何か”を見出そうとしたとき
その何かがデリケートなものであるばかりに特定できない
それがダンスを捉えどころのない難しさと見える元凶といえます
わかりやすく、なんてのはエンターテイメントだもの
簡単にすることは創造性を著しく奪ってしまうことに他なりません
複雑で面白くないものが実は最もダンスを自由にします
みんな楽しさを共有するダンスだけを知りすぎてる
そもそもわたしたちの心のカタチがデリケートなんだから、
ダンスだって簡単にはいかないはずです
その複雑さを素直に踊ることがどんなに難しいか
実は先ほど元凶と申し上げたところこそがダンスの“おもしろさ”です
人前でそれを見てもらおうとするなら、
それだけデリケートな場が必要となるのも道理
そして、限られた時間の中で複雑なものを複雑のまま踊ることはできません
なんでもあべこべに踊っていいということにはならない
複雑なものからどれかに焦点をあてて選ばなくては受け取ってもらえません
これは初対面の人とどうやって話すか、に近い
行き着く先はやっぱりわたしたちの生き方に帰結します
環境は変えられなくても、感じ方、生き方は、選ぶことができる
寝たきりだったあのときがすべての始まりでした


ここまで長くなってしまいましたが、話すことで世界が拡がった日でした。
話す、話せることって素晴らしいですよね!
オルガは『TeZukA』だけでなく、いろんな衝撃的舞台を見せてくれました。
特に振付家シディ・ラルビ・シェルカウイの、世界各地での上演作品群。

みんなと話すために今日があった気がします

自分が言っちゃった一言ですがイレーナさんを唸らせた流れがあります。
Irena「タイスケは出かけないの?」

 「今日は出かけるよりも人です! オルガとはもうここでしか話せない
  こんな機会は二度とないですよ―」

Oxfordに来たのが初めてならきっと出かけていたでしょう。
弾みで言ってしまった返答でしたが、これがわたしです
後になってわかることですが、わたしたちにはその時々で、
豊かになれる時間の使い方があるということではないでしょうか
人の知識は凄いですよね、それぞれの生き方は刺激であふれています!
ひとりひとりが世界とどう向き合っているか、世界がどう見えているか、
みんな違うんです
そこには世界の秘密と魅力が隠されているのではないでしょうか

これはダンスそのものです
ここでしか見れない、こんな機会は二度とない
いつだって、どんなときも


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