猪面冠者日記
今さらだが当分不定期更新

2015年12月28日(月) メロディ2月号大奥

 メロディを買ったのは昨日なんだが、昨日の日記はもう上げちゃったのでこっちの日で。明日はいよいよ冬コミですわ。
(単行本派にとってはネタバレになっちゃうけど、これをアップしているのが4月27日で、明日はもう今回のエピソードも入った13巻が発売というわけで気にせず書いちゃいます)

 怒涛の黒船来航。それからほどなくして家慶は急死し、ようやくそのくびきから解放されたものの、相変わらず四面楚歌の家定様。二人目の正室が小人だったのも、その正室もまた早世したのは史実どおりだが、それを家定の流れを断とうとする一派がいるという背景で描くのは面白い。まあ実際そうだったんだろうけど。それにしてもこんなに何度も身内や家臣から毒殺されそうになる家定は本当に悲劇の女王だな。

 未来のことを考えるとこの家定の流れを断とうとする一派って、どう考えても水戸・薩摩のラインなんだがな。もちろん南紀派という線も大いにあり得るけど。ミソジニー丸出しの水戸斉昭はともかく、正弘とは気心を通じている島津斉彬が、実は家定暗殺の首謀格だったりなんかしたら、えげつない。ただ、家定が最終的には南紀派になることを考えると、案外そういうことなのかも…。

 立て続けに正室を毒殺で失った家定のために、正弘は斉彬に三人目の正室に相応しい男子を引き立ててくれるよう願い出る。はたして現れたのは男の篤姫…! おおおお、家斉の正室が薩摩出身の茂姫であることがここに来て繋がりましたなあ! その眉目秀麗さに「お万の方の再来」と息を呑む瀧山。しかし物語の中ではまだ明確に示されてはいないけれど、篤姫はそもそも大奥を水戸派に持っていくべく斉彬が送り込んだ工作員でもあるわけで、彼女、いや彼も決して家定にとって救いの王子様とはならないのかも、と今から不穏な心配で一杯だ。肝心の篤姫はまだセリフもろくに発してませんけど。

 あと思ったのは、これ男女逆転をどこまで通すのかな、ということ。写真が残っていない正弘や瀧山を男女逆転して描くのはまだなんとかなるけど、篤姫とかどうすんだろう。この姫は確か写真が残っていたんじゃなかったっけ。あるいは写真として残る篤姫は実は家定でした、とか。

 思えばこの物語は家光の落胤である千恵が、赤面疱瘡で死んだ家光に成り代わり、家光として生きて死んでいくことから始まっていった。とすれば家定がどこかの時点から篤姫に成り代わり、篤姫として死んでいく、ということで女王の物語の円環を閉じるということにするのかもしれない。




2015年12月27日(日) では29日に

 これをアップしている時点ですでに0時45分、日付は28日に代わっているんですが、まあそれはさておき。

 猪面冠者、なんとか新刊を皆様にお渡しできます。薄いコピー本になってしまいましたのが申し訳ないところですが。来年はがっつりしたものをお出しできるようにしますゆえ。

 ひとまずこれから風呂入って寝ます。明後日を楽しみにしております。




2015年12月02日(水) 黄金のアデーレ 名画の帰還

伏見ミリオン座2 18:10〜20:05 109分

 仕事でセミナーに参加するために午後に離席してセミナー後はそのまま直帰の予定だったんだけど、思いの外セミナーが早く終わった。おおこれなら「黄金のアデーレ 名画の帰還」の夜の回に行けちゃうんじゃない? しめしめ。とにかく早く帰れたおかげで明るいうちに太鼓を散歩に連れていけた。また今日はあったかいこと。上着の下で長袖二枚重ね着しているせいもあって、上着はいらないんじゃ、というくらい。

 伏見へ。ちなみに今作は27日から上映しています。早めに行けたおかげで整理番号は6。いいねいいね。夕食を上映前にするか後にするか迷うな。ま、結構早く終わることだし、終わった後で映画館からすぐにある広小路キッチンマツヤでがっつり食べようかな。

 さてアデーレと言えばもう、私ゃ泣きすぎて。まったくどうなっているのやら。趣味と務めを兼ねてこの手の映画を見倒し、それなりにうるさいつもりでいる私ですが、最初から最後までこうも泣かされるとは。冒頭でクリムトが「黄金の女」アデーレのスケッチをしている段階からしてゴゴゴときて、その後の回想シーンやらなんやらの時点でもうダダ泣きでやんの。それなりにうるさいって、我ながらどこが。ちょろいです。

 いやしかし言い訳臭いけど、ちゃんと作られた映画だったのは事実。欧州を舞台にした第二次世界大戦ものってほんとたくさんあるけど、中には雑な作りのものもあるしねえ。あと個人的にアメリカ万歳な内容は好きじゃないし。まあこれも主人公が親を捨て、夫と共にウィーンを脱出してアメリカへ亡命したという経緯があるし、何より肝心の絵を取り戻すために、アメリカ側での訴訟を抜きにできないし。ひとまず、劇中のアメリカ万歳は個人的許容範囲内。そもそも、根幹にあるのが両親や故郷との永遠の別れと引き換えにある自分の人生に対する葛藤だし。決して好きこのんでアメリカへ渡ったわけではないということは、最初から最後まで描かれている。だから主人公が奪われてしまったもの全ての象徴としての「黄金の女」なのね。裁判や法律への解釈は添え物に過ぎないのだと思う。

 史実どおり彼女は「黄金の女」を取り戻すけれども、この映画が良心的なのは、作品を取り戻すことはできたけれど彼女の本当の望みはそれではないということを、最後に分かりやすく強調してくれたこと。決してハッピーエンドではないのである。ちなみに帰りにはパンフも買いました。

 当初は広小路キッチンマツヤで食べようと思っていたんだけど、あんまりそういう気分じゃなくなったし、とにかく静かな喫茶店でおいしいコーヒーが飲みたくなったので、地下鉄で一駅乗って、栄の西原珈琲店でスペシャルブレンドと今週のサンドウィッチを。ベーコンとカレーソースを絡めた細切りポテトのサンド。おいしかった。サンドイッチができあがるまで、コーヒーすすりながらパンフレットを読んでました。至福。

 ちなみに映画の元ネタとなった現実の絵画「黄金の女」を巡るあれこれは、結構残念な内容なので、知らない方がある意味幸せではある(笑)。



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