猪面冠者日記
今さらだが当分不定期更新

2015年10月31日(土) ボーダレス ぼくの船の国境線

名古屋シネマテーク 14:20〜16:07 102分

 朝、軽めに食べて太鼓を散歩へ。11時半頃家を出て大須の香蘭園で久々のAセット。ええ、ラーメンとチャーハンのセットです。ザ・炭水化物万歳。それからすぐシネマテークへ行き、整理券を。早く行ったおかげで7番だ。ロビーの自販機でいろはすを買い、池下のペギーへ。いつもなら映画見終わってからゆっくりペギーでコーヒーを飲むんだが、今日は弟一家も含めて焼肉へ行くので、早めに帰って太鼓の散歩を済ませなければならないのである。映画前に行くペギーとはなんとも不思議だが、まあしょうがない。

 イラクとの国境に位置するイランのある村。一人の少年が国境地帯の川にある廃船を秘密基地にして、そこへ通うのを日課にしていた。しかしある日銃を携えた少年兵がそこに現れ、アラビア語で怒鳴りながらイラン少年に銃を向けてきた(ちなみにイランはペルシア語が公用語なのでアラビア語は通じない)。お気に入りの場所から引き下がることを余儀なくされた少年だったが、少年兵が勝手に陣取った船の半分には、少年が川で拾った宝物が貯められてあった。少年は宝物を取り返そうと、少年兵が占拠している領域に足を踏み入れる。

 非戦闘地域に閉じ込められた敵同士の人間ドラマというと 「ノー・マンズ・ランド」を思い出すが、あっちがおっさん同士の話であるのに引きかえこちらは子供同士なので、「ノー・マンズ・ランド」みたいな結末だったら嫌だなあと思いながら見続けた。鴨志田がその昔言っていた「少年兵は簡単に撃ってくる」という言も思い出しつつなおビビる。

 意外とこの少年兵が案外こらえ性があるのと、主人公の少年がすばしっこい質のおかげでどうにか惨事になることなく話は進んでいった。言葉が通じないながらもそれなりに交流もするようになり、また少年兵の意外な素顔が明らかになったり、さらに新たな珍客が現れたり。

 見ているこちらとしては、ぎりぎりこのまま平和にいくのかなとも思うものの、少年兵にとってこのおんぼろ船での暮らしがいつまでも続くものでもないことは分かるので、いつかは壊れるシャボン玉を見るような気持ちで見ていたのだが…。

 何とも言えぬ結末に何とも言えぬ余韻を噛みしめつつ、映画館を出た。結末の意味としては、主人公の少年は戦場のすぐ傍で暮らしつつも、それでもあとの二人とは遠く離れた所にいた、ということなのかもしれない。

 帰りの途中で松坂屋をちょっとだけ見て帰宅。焼肉屋に行ったのは結局7時半からだったので、映画の後にペギーに行くといういつものルートでよかったのかもしれない…。




2015年10月30日(金) ヴィジット

TOHOシネマズ 20:20〜22:05 94分

 ちょうど先週の金曜から始まったシャマランの新作が評判いい。やっといいシャマランを見られるのか! ホラーみたいだからうっかりネタばれ見ないうちに行ってこよう。というわけでレトルトのパスタをさっさと食べて太鼓の散歩をさっさと済ませ、TOHOシネマズへ。カウンターでチケットを取ってからベイシティをぶらぶら。なんかこの間も思ったけど、ここ寂れてきているなあ。やっぱり茶屋にできた巨大イオンに食われているのかな。ここが寂れるとここのTOHOシネマズにも影響が出るのでそれだけは勘弁して欲しいなあ。ちなみに茶屋のイオンにもイオンシネマって映画館があるみたいだ。そんなに大きくはないみたいだけど。

 さてヴィジットね。んぎゃあああああっ!! 恐かったよおおおおおっ!!!!

 はあはあ…。あ、いや「シックス・センス」のシャマランが久々にええもんを見せてくれました。もっとも私、賛否両論だった「ヴィレッジ」だって大好きですけどね。泣いたし。でもって否の方が圧倒的に多かった「レディ・イン・ザ・ウォーター」だって好きよ。つまらんかったけど(ボカ〜ン)。

 ただ今回の新作も「シックス・センス」のような万民受けする内容ではありませんよ、とだけ言っておく。でもひとまず誰が見ても出来の良さだけは認められる、そんな映画です。ただしホラーなんですな。そらもう純然たるホラーです。いつもの人情ドラマも今回は実に控え目! 「アメリカはド田舎に行くと気違いがいる」という、皆さんの大好きなジャンルで、その手のものが大好きな皆さんならきっちり満足できる、そういうものです。

 いやー、ほんとめちゃくちゃ恐かった。もともとホラー苦手ってのもあるけど(ならなぜ見に行った)、94分ならなんとか耐えられるかなあって。それに一応ハリウッドだから主役姉弟が死ぬってことはないだろうと踏んでだね…。まあでもそれを差っ引いても「ひーっ、もうやだああああっ! うう、なんでもいいから早く終わってくれ! 誰か、誰かタオルを…っ!」と心の中で叫びっぱなしでしたよ。というわけでもう一度観にいくことはおろか、うっかりテレビ放送でもされていたら、絶対見ないぞ(涙)。





2015年10月24日(土) サイボーグ009VSデビルマン

ミッドランドスクエアシネマ 14:30〜16:05 85分

 夏コミの打ち上げの席でも散々肴にした本作。没ゼロという歴史的大災害を乗り越えた我らにとり、想定外という言葉はありません。何が来ようと動じない、また何が来ようがやばいと思ったら事前に回避する能力を誰もが備えてございます。というわけで当初は私も回避するつもりでした。

 だってばかばかしいじゃないですか。なんでて、それに対して今さらくどくど説明する必要もないかと思われますけど。案の定、早い段階で見てきた諸氏の評判は芳しからず、ネットでも不評がもっぱらで…。そんなわけでますますどうでもいいかなあと思っていたのですが、レディースデーに見にいった友人らは「むしろ見に行ったらエエかも。なんやまんがまつりみたいやったし。突っ込みどころはいくらでもあんねんけど、デビルマンの部分だけはまあまあよかったで。まあ所詮90分弱のことやしなあ」などとのたまうではありませんか。なるほど、まあ確かにたかが90分弱、要はOVAとして制作したようなものをそのまんま映画館で流しているだけの代物なのだから、大した毒はないのかもしれない。島本先生だってデビルマンパートはよかったと言っていたし、この際009よりデビルマン目当てで行ってみっか。ちょうどミッドランドの鑑賞券が一枚あるし。有効期限が11月末だから使い切っちまうためにも行ってこよ。

 本作そもそもキャラデの段階から突っ込みまくりだったわけですが。あのー、これ担当したアニメーター、本来キャラデやっちゃいけないランクの人でしょ、どう見ても。キャラシートの段階で人体のデッサンが狂ってるって相当下手よ。これで動いたらどうなっちゃうの。特に腰から下がやばい。かつて安彦良和は足を描くのが苦手だからってキャラにむやみにでかいブーツを履かせて誤魔化したとゆうが、一方でこのキャラデ氏はごまかしようのない、足のラインにぴったりのブーツを履かせてやがる。ごまかせてねえじゃん、よけい目立っとるわ。本当に下手な人はごまかし方すら知らないということですね。よりによって石ノ森絵の中でも最も不細工だった頃を忠実にトレースした没のキャラデも突っ込みまくりだったけど、あれとは別の意味で嬉しくないわあ。

 さてそんなこんなで本編が始まりましたが。いきなりジンメン戦でトラウマ&スプラッタ。ここは原作ファンなら嬉しいところだよねえ。過程も何もすっ飛ばしていきなり顔の浮き出た状態のジンメンとの戦闘シーンってのも、解説不要の原作ファンがターゲットの作品だから別にええんですが。ちなみにこのシーンはこの後の数十分の展開に全然関係ありませんでした(ボカ〜ン)。ゲッターの時も没の時もそうだったけど、おいしいエピソードを後々の展開に絡めるっていうのが本当にできない監督よねえ。

 それやこれやのうちに飛鳥了登場。…いやああっ、何これ、視界に入れたくないっ(涙)。やー、キャラ表段階でもあかんかったけど、こうして動き出すと、ほんと有り得ないぐらい不細工なサタン様だわー。飛鳥了と言えば、性別を超えた美しさと神々しさを持ち、デビルマンの全キャラの中で一番美しくなければいけないはず…。それがなんだよ、このしまりのない垂れ目としまりのない下膨れ顔は…。了に比べれば明はまだかっこよく描けているように見えるけど、こっちも角度によっては妙に描線がゆるっとしているんで、どっちもどっちだなあ。

 了ですらこの有り様なので、赤い服を着たあの人たちについては、もういちいち言及すまい(笑)。一応没ゼロの紺野絵よりは見やすい絵柄だったけどさ。ほんと、毎週「ワンパンマン」を見られるこのご時世に、なんだってこの程度のクオリティのアニメを金払って劇場で見てるんだか(ボカ〜ン)。そおいやワンパンマンもこれも主題歌はどっちもJAM Projectだったわ…。JAM Proって、いつも作品の内容を知った上でメンバーで歌詞を作って、そこからいいのを使うと聞いたことがある。ワンパンマンもこれもちゃんと見てから作ったんだろうなあ…(わざわざ、なんのために、という言葉を飲み込みつつ…)。

 内容の方は劇場を出た瞬間に忘れるような程度のもんだったわけですが、それでも精一杯建設的なことを言うとすれば、「これ009関連は丸ごといらなくない?」ってぐらいだろうか。いや本当になぜ混ぜたんだ。デビルマンのパートはそれなりによかったよ、うん。

 アルベルトはちょっとしか出てこなくて本当にありがたかった(ボカ〜ン)。できればセリフなしでもよかったんだが。しかしどうしてもヒルダはねじこんでくるんだねえ。あそこだけすげー不快だったわ。まあわずかな程度だったけどさ。

 総じて、まんがまつりと言うよりは、雑な厨二設定が雑に転がっていく、出来の悪い90年代OVAみたいな内容でしたわ。まあ川越自身がまさに90年代OVAの「出来の悪い部門」の担当者だったので、むべなるかな。




2015年10月22日(木) ヒトラー暗殺、13分の誤算

TOHOシネマズ 20:25〜22:30 114分

 TOHOシネマズのサイトからvitというシステムを使って前日に席を指定し購入するというシステムがあるんだけど、今回は初めてそれを使ってみた。半年ぐらい前からだろうか、TCパスポートの形が変わって、vitにTCパスポートも使えるようになったと聞いたのでね。やってみたら、おお簡単。暗証番号も貰えたぞ。何より画面から座席指定できるってのがいいね。で、当日は映画館にあるvitの機械にこの暗証番号やら自分の電話番号やらを入力して整理券を発行してもらうのだな。

 ちなみに今日の上映ボックスはプレミア2。わーい、プレミアの大きなふかふかシート大好き!

 がっしがっしと自転車をこいでベイシティへ。TOHOシネマズの建物の二階にベイシティとを繋ぐ渡り廊下があって、vitはそこにあるんだけど…ってなくなってる。一階のチケットカウンターの方に行ったら、そのそばに移動していた。早速ピッピとやって整理券を出力。すると画面に「シネマイレージが未登録です」との文が。あ、てっきり昨日指定を取った時点で登録されたと思ってたんだけど、違ったか。うんうんん、ちゃんとポイント稼がないとね。登録後、普段カウンターでもらえるような整理券とは違う、スーパーのレシートみたいなペラペラの整理券が出てきた。うーん、このシステム自体は便利だけど、整理券がえらく安っぽいなあ。

 あのオリバー・ヒルシュビーゲル監督の新作、それも戦時中のドイツを舞台にした映画とくりゃ、そりゃもう期待の上にもなお期待となるのが人情というもの。ただそれが高すぎたせいもあってか、正直物足りなかった。史実だからしゃあないとは言え、時限爆弾の設計図を持ち歩いていたためにばれて即逮捕というのは間抜けすぎる。さっさと捨てろよ! いくら平凡ちゅう設定でもこういうドラマの主人公がそんなことしとったらいかんだろう(まあ史実なんでしょうけど)。なんかそっちに気を取られちゃって、シリアスな歴史ものとしては見られなかった。

 もっとも全てがつまらなかったわけではなく、ドイツの片田舎の凡庸な一青年の日常が、ナチスの台頭と共に徐々に変化していく様や、逮捕されてからのSSの面々とのやり取りなどはとても面白い。特に拷問の場にいる記録係の女性の描写などは、いかにもヒルシュビーゲルらしいもので、えげつない中にも繊細さがあって素晴らしかった。ただやっぱりなー。この間見た「顔のないヒトラーたち」の方が歴史の残酷さも、それに抗おうとする人々の力も、よく描けていたように思う。見た時期が近いだけにどうしても違いが気になってしまうね。

 終わった後はまたがっしがっしと自転車をこいで帰宅。さすがに夜はもう寒いが、自転車をこいでいればあったかい。今のところノースフェイスは不要だ。




2015年10月16日(金) 合葬

センチュリー2 17:10〜18:45 87分

 用事があって早退したのだが、思ったよりさっさと片づいてしまったので、今日が最後の「合葬」を観にいくことにした。しかし9月26日から始まって今日でラストか。早いなあ。整理券を貰うと、少し時間があったので、パルコのレストラン街でスープカレー。先に食べておいた方が早く帰れるのでね。

 原作が好きだし、松竹の時代劇は参勤交代に柘榴坂とはずれがなかったので楽しみにしていたのだが。うーん、まあたった87分だからそんなにストレスにはならなかったけど、あの杉浦日向子の原作でこれはないと思ったよ。とにかく画が貧相。よっぽど予算がなかったのかと思うしかないけど、「百日紅」で圧倒的に豊かな画を見てしまったのと同じ年にこれはないわ。また主役三人の演技がぺらい。時代劇やらせるんなら事務所は自分たちの秘蔵っ子らに最低限のことはもうちょっといろいろ仕込んであげてください、お願いします。三人の中では柳楽君が一番ましだったけど、それでも幕臣であることに誰よりも強い矜持を抱いている秋津には程遠く…。彼はむしろ新撰組に入っちゃう下級武士の方みたいなのの方が似合うでしょ。

 あと彰義隊の解釈として、この映画の作り手は彼らを太平洋戦争における若者のように捉えていないか? 少なくともそう思えて仕方がなかった。それは違うと思うしやめて欲しい。

 オダギリジョーは別として、若手役者の中でとびきり光っていたのは門脇麦ちゃん。秋津に婚約を破談にされる砂世の役。彼女は素晴らしかったわ。もう声の出し方からして主役三人とは雲泥の差だった。若手では結局彼女一人だけが江戸の武家の子女らしかったと思う(あ、でも町娘や女郎役の女の子たちもみんな上手かったわ)。ラストの方で原作にないオリジナルシーンがあるんだけど、もうこれは彼女のために用意されたんだろうなあ、そりゃ用意したくなるよなあ、と素直に思える女優っぷりだった。あー、いつか彼女に戦国美女をやって欲しいねえ。

 そして役者と言えばやはり隆大介がすごかった…。登場シーンはわずかだったけど、本当に存在が電光を放っていた。彼の登場シーンだけ、違う映画だった。ああああ、「沈黙」で見たかったよお! ばかあ!




2015年10月12日(月) 顔のないヒトラーたち

名古屋シネマテーク 10:45〜12:50 123分

 この頃の日記さぼりへの罪滅ぼしと、珍しく早々のアップでございます。ああしかし、ステキな三連休のはずが、結局映画を見に行ったのはこの日だけで、あとはおうちで録画消化やダビングに明け暮れるという、明らかに有意義ではない使い方をしていたものです。あらためて、「チェックしきれる分だけ録画する」「ツイッターをだらだら見る習慣をやめる」を徹底しなければ…。でもってどうせアップするのなら先月の旅行の日記をアップしたかったなあ。あ、その辺は鋭意執筆中です。

 しかし今日これを観にいくがために16日までの「ピクセル」に行けなくなってしまったのは残念だ。今現在TOHOシネマズで9時10分からの回のみ。そんな時間に間に合うためには、よっぽど早起きしないとね。9日に夜更かしなぞしなければ10日に行けたかもしれんけどさ(昨日は昨日で午前中用事があったし)。あれはあれで、スクリーンでこそ見たい映画だったなあ。まあ仕方がない。今日は今池へ行くのだ。来週からはまたいろいろ見たいのが始まるし(『ヒトラー暗殺、13分の誤算』とかね)、「合葬」なんてもう先月の26日から始まっているし。ああそうそう、アンドリュー・ニコルの「ドローン・オブ・ウォー」なんてもう、楽しみで。これももう始まっているよ。

 1963年から当時の西ドイツで始まった「ニュルンベルク裁判のような連合国側によるものではなく、初めてドイツ人の手によってナチスの戦争犯罪者を断罪した裁判」フランクフルト・アウシュビッツ裁判に臨んだ検事やジャーナリストたちの物語。なのだけれど、これ時代背景を多少頭に入れておかないと混乱するかもしれん。58年のフランクフルトから物語はスタートするのだけれど、この時点でホロコーストの記憶がかなり風化してしまっている。普通の一般人はもう「アウシュビッツ? 何それ」状態なのであった。ただ、あの「朗読者」の物語の始まりが60年頃だったことを思うと、いろいろしっくりくるものがある。「朗読者」の中でも戦争とドイツ人の罪は過去の物になりつつあったという雰囲気が描かれていた。我々が通常抱いているドイツ人の歴史認識のようなものは、この映画の中の50年代後半から60年代前半のドイツからは感じられない。あの戦争もホロコーストも過去のものとなり、経済の繁栄と共産主義との戦いが目下の課題。それがこの時の西ドイツなのだ。

 だからどうしたって彼らの闘いは分が悪い。どこ行っても誰と会っても非協力的で、時には非国民扱いまでされたりしてやりきれなくなる。で、前半はほぼ孤立無援の中でなんとか元SS隊員の犯罪を立証しようと悪戦苦闘するという筋書きで、この辺だけでもかなり見応えがある。だけど、本番はむしろ後半。膨大なファイルから(この時代なので全ての資料は紙とインクなのだ)、かつてのSS隊員たちの現在の姿を突き止めるのだけれど、これがもうほとんどの人がびっくりするぐらい普通の人ばっかりなのね。いい加減頭も剥げておなかもポッコリ出たおじちゃんたちで、街中でもごく普通に暮らしているような。起訴準備のために知り合った大勢のユダヤ人から聞いた収容所の悲惨な実態は動かし難い事実だけれど、このおっさんらがそんなおぞましいことをしたというのが、どうにも想像しづらい。そうやってなんだかぼんやり不安になる場面が続いてこれはもしやと思っていると、案の定、ラドマン検事にとって身近な人がかつてはナチ党員だったということが分かっちまってもう。正義の怒りに駆られてほとんどそれだけで突っ走ってきた彼自身のアイデンティティは、これで一気にガラガラと崩れてしまう。彼自身も見ている私も「誰が誰を裁けばいいのだ?」という気持ちになる。

 もちろん最終的には史実どおり裁判は行われるのだけど、そこに至るまでのこうした二転三転がよい。特に彼らが何を悟るというわけでもないのだけれど、「やはり裁かなければ」という心境に至るまでの流れがとても自然でよかったと思う。

 ラドマン検事を演じるのはドイツにしては珍しい(笑)正統派美形のアレクサンダー・フェーリングなのだけれど、彼が実によかったです。冒頭の危なっかしい新人ちゃんぶりがかわいく、正義感に駆られてからの猛進ぶりも若者らしい熱さがあり、さらに「事実」を知ってからの絵に描いたような憔悴ぶりはたまりませんでした(ボカ〜ン)。ええ男が不幸でやつれてるの最高だね! もちろん、ラストで裁判に向かう姿が一番かっこよかったですけどね。

 朝ごはんは食べてきたけれど、この時間になってもまだお腹はすいていなかった。でも取り敢えずコーヒーは飲みたかったので、ペギーへ。おすすめのコーヒーをポットでもらい、バタートーストと一緒に。たっぷり飲みたかったからポットで頼んだんだけど、正解だった。ここのカップは小さいから、このぐらいの量がいっそちょうどいい。パンフレットを読み耽っていたら、あっという間に飲みきってしまった。

 その後は新しい靴を探して名駅と栄をぶらぶら。ヒールがなくて、この先十年ぐらい履けるような傷がつきづらい表面で、そこそこかわいらしいもの。なかなかそんなできた物は見つからず。




2015年10月06日(火) キングスマン

ミリオン1 20:05〜22:20 129分
 相変わらず更新できなくてすません。あ、冬コミの受付確認ハガキは昨日届いた。はたして夏冬連続で受かるなどという奇跡が私に起こるか?

(以下本アップ)
 巷で熱い人気の本作、やっとこさ行ってまいりました。3日からセンチュリーに代わってミリオンでの上映でございます。ミリオンはダブルポイントデーということも合って今日行ってきたんだけど、ポイントデーとはいえやっぱり人気あるんだね、7時半過ぎに受付して整理番号はもう40番ですよ、あーた。

 いやあそれにしても面白かった! あの見るからに鈍重そうな(笑)コリン・ファースが近年のボンドばりにびゅんびゅんアクションをかますというだけでも立派なギャグだというのに、それだけじゃ終わりませんでしたよ。過去のスパイ映画オマージュな場面がここぞと炸裂し、サミュLが出ているせいもあってちょっとタラ作品っぽくもあるんだけど、パロディ場面も無駄に引っ張ったりせずドラマはサクサク進むので、タラ作品と違ってとても見やすい(笑)。でもって最初から最後まで切株率の高い映画なんだけど、韓国映画のアクションのような痛みをしつこく強調するような風はないので、肉体損壊描写が苦手な人でもそんなに辛くないと思う(てか私でも平気だった)。

 あとスパイ映画オマージュと言えば、何と言っても私のマイケル・ケイン先生ですよ。もうね、ケイン先生の役柄が最高だよ。そりゃこの映画のメインはコリン・ファースなんでしょうけど、私はもうキングスマンの感想は全て「マイケル・ケイン!」とひたすら叫ぶだけで終わりたいぐらいなんだよ、本当は。でもあの退場の仕方はちょっといただけんかったな。あれだよね、ケイン先生はあのアイテムを主人公に提供するために、あんな立ち回りをしたんだよね!? 私ゃそう信じてますけど!

 とにかく最初から最後まで大いに楽しめるよ、おすすめだよ!



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