猪面冠者日記
今さらだが当分不定期更新

2015年08月30日(日) ふたつの名前を持つ少年

名演小劇場三階 12:20〜14:15 108分

 のんびり8時20分起床。ちなみに昨日はフレンズ・オン・アイスの昼の部に行ってきたのですよ。定番の大ちゃんがいませんが、今回はなんとジェレミーが参加! 有香さんとのコラボプロもあってほんに幸せでございました。つばめグリルでハンバーグも食べられたしな。

 そんな幸せな日々を昨日過ごしながら今日はホロコーストのきっつい映画を見に行くというギャップがまたきつい(まあ水曜に野火見たばっかりでもあるけど)。とにかく映画は行ける時に行かないといけませんので行きますよ。

 三越地下の栄プレチケ92で名古屋ミニシアター回数券を一セット。しかし今日買って果たして10月末までに使い切られるのかなあ。

 11時半頃、カウンターで整理券を貰うと8番。おやまあ意外と早いの貰えたな。一旦映画館を出てお昼をつけ麺桜でいつもの中華そば。んー、久々に旨い。とは言え映画があるので、ざざっと食べてすぐ戻る。

 原作はウーリー・オルレブの「走れ、走って逃げろ」。ホロコースト只中のポーランドで、両親と生き別れた八歳のユダヤ人少年スルリックは、素性を隠し、ポーランド人孤児ユレクとして国内各地を放浪しながら生き延びたという、実話をもとにした物語である。

 私はそもそも何も持たない民間人が戦乱の中をあの手この手で生き延びるという話がとにかく好きなんだが、もうその辺は大いに満足の映画。そもそも大好きな「ヨーロッパヨーロッパ 僕を愛したふたつの国」とほぼ同じような設定なもんだから、それを思い出しながら、たまらん気持ちで見入っておりました。

 まあしかしティーンエイジャーと八歳とでは過酷さの度合いがまた一つ違う。生活の拠点にしてもサリーが軍隊や市街中心だったことと思うと、スルリックが農家に住み込みで手伝いとして入ったり、山中に潜みながら終戦まで過ごしたというのは何かもう凄すぎて、どうなってるの!? としか…。親切な人に助けられる場面もいっぱいあるんだけど、最初から最後まで、本人の運とサバイバル力に驚嘆するばかりで終わってしまった。

 ただ戦争もののもう一つの醍醐味として、人間として根本的なモラルを突きつけられた場合の登場人物の葛藤、というドラマはこの映画には希薄。主人公が八歳ということもあっては、そんなテーマは描きようがなかったのだろう。それならそれで大人たちがその辺を担ってくれたらとも思うのだが、それもあんまりなかったのは不満。

 終わった後、カウンターで「あの日のように抱きしめて」の前売を買う。これももうすぐ公開だね。楽しみだ。

 歩いて長靴と猫へ。またよせばいいのにハワイコナを頼んでしまった。ケーキはプラムタルト。しかしここを出た後、ラシックのリンツでアイスショコラもいただいてしまった。嗚呼。

 帰りはどまつりまっただ中で道路が渡れなくて困った。くそう、ヤンキーどもめ。




2015年08月26日(水) 野火

名古屋シネマスコーレ 20:20〜21:50 87分

 休みの間に見に行きたかったのだが、先週は18時25分からという上映と(もちろんすでに一日一回のみの上映)、太鼓の散歩時間がおかしくなってしまう時間帯だったので、泣く泣く見送り。幸い延長して今週までやると知った時は嬉しかった。もしよかったら木曜か金曜にもう一度見に行きたいと思っているので、本日観賞。しかしスコーレにあまりに久々に行ったので、どこにあったかしばらく思い出せなかった。まあ幸い、なんとなーく歩いていたら見つかったけど。しかしやっぱりまだ見に来る人大勢いるんだねえ。案の定、整理番号は28…。うーん、視界大丈夫かな。まあ邦画だから字幕とかあるわけじゃないけど。

 整理番号を貰った後は駅麺通りのほくと亭でしょうゆラーメン。ちゅるちゅるといただき、すぐまたスコーレへ。おお並んでる並んでる。しかしいかにも普段からミニシアター巡りしてそうな感じの人ばかりだな(笑)。一般人いないだろ。

 大分ピークは過ぎたとはいえ、やはり今日も暑い。スコーレの売店でいろはすを買ってごくごく。まあ87分の映画なら、このぐらい飲んでも大丈夫よ。

 塚本慎也が監督するとあってはさぞかしえげつない内容なんだろうなあ、そもそも原作からしてかなりきつい内容だし、とある程度覚悟はしていったが、案の定の内容だった。資金繰りに苦労したという話のとおり、確かに映像によっては「ああお金なかったのね」という感じの貧相さが目につきはしたものの、その辺りはこの映画の欠点としては些細なもので、あとはとにかくよくできていたと思う。実際にフィリピンでロケをしただけあって、画面の欠点などは実際の景色が補ってくれて余りある。

 追い詰められた人間があっちへこっちへ彷徨い、行く先で出会う同胞にもスポイルされ、その挙句に敵の圧倒的な火力を前に、強い兵隊も弱い兵隊も死体の山と化す。その死体の山も日がたつにつれ腐敗して融けだし、おはぎのようにくっつっきあう。とにかく最初から最後まで身も蓋もない描写が、実に丁寧に続く。たった87分だが、逆にこの調子で二時間やったら却って見ている方は麻痺してしまうだろう。こういう光景をシリアスに悲惨だと感じられるのは、このぐらいの尺が限界なのかもしれない。

 さすがに再度観賞はきついのでないだろうが、とても満足した。パンフを買って帰宅。

※結局「野火」はそれから二週ぐらいやってた記憶。




2015年08月25日(火) ナイトクローラー

伏見ミリオン座2 20:20〜22:25 118分

 ノーチェックだったのだけど、「ジェイクの変貌ぶりが凄い」という評判を聞くにつけ、取り敢えずポイント稼ぎのためにWポイントデーの本日行くことに。しかし今日は天気が今一つ。台風は九州を通ってもう日本海側に抜けたらしいけど、昼間は土砂降りの雨が何度か降っていた。今はもうやんでいるけど雲行きはあやしい。まあいいか、その分すいているだろうし。

 いざ着いてみると館内はWポイントデーにしてはすいているものの、概ね平日らしい入りで、ガラガラでもなく混み混みでもなかった。

 整理券を貰ったら近くのラーメン屋で夕食にするつもりだったんだけど、映画館に着いたのは8時ちょい前。いくらラーメン屋がすぐそこでも開場の8時10分までに戻るのは無理だろう。仕方がないのでこれまたすぐそこにあるドトールへ。しかしレタスドッグを頼んだら、「ボイルするために10分ほどお時間をいただくのですが」と。あれ、そんな風だったっけ、レタスドッグ。結構すぐ出る代物だったような気が。あれか、夏場だから用心しているのかな。ミラノサンドならすぐ出せると言われたので、そっちを頼むことにした。飲み物はピーチミックス。どっちも初めて頼んだけど、おいしいじゃないか。ミラノサンドなんてレタスドッグより食い応えあるし。今度からこれにしようかなあなどと考えながら早食いしてすぐに映画館へ戻った。

 ちなみに映画館内には9月4日スタートの我らがビル主演映画「ヴィンセントが教えてくれたこと」の告知物がいっぱい。まるでこの世の全てがビルを待ち侘びているかのようじゃ。天国じゃ。

 まずは予告。おおもちろん「ヴィンセントが教えてくれたこと」が来てる! 不機嫌なビル、酔っ払いのビル、暴れるビル、というテンプレの数々。ひとまず監督は彼の個性を分かっているようだ。ますます楽しみさ、ふふん。しかしよく考えてみたら「ろくでなし野郎と気弱な少年の交流」って、まんま「バッドサンタ」じゃないか。同じような題材ならあの時はなんで降りちゃったんだろう。まあビルの行動が意味不明なのは今に始まったことじゃないけどさ。

 あと告知でしか知らなかった頃は「ふうん」って感じだったんだけど、予告を見ると「ヒトラー暗殺、13分の誤算」が面白そうだなあ。監督はオリヴァー・ヒルシュビーゲルなんだな。近年この手の映画を見まくっていてもう食傷気味なんだけど(苦笑)、彼が監督なら見ねばなるまい。10月16日からってことは、金曜から上映開始なんだね。

 予告の後は、いよいよナイトクローラー。パパラッチが凄惨な事故や事件の映像で荒稼ぎをしていることに惹かれ、一人の無職の青年がその道にどんどんはまっていくという物語。

 危うい橋を渡りながらも次から次へと成功を収めていくさまは、れっきとしたピカレスクロマンなんだろう。しかしこの主人公は異様なまでにドライなんである。非道な手段で成功を手にしていくことへの葛藤は全くなく、かと言って「悪いことをしてやったぜ」という高揚感もほとんどない。成功自体には満足こそすれ、それ以上の感慨はないように見える。目的達成のための手段はどんどんエスカレートしていくものの、それ以外の目立った変化はない。車をデラックスなタイプに新調したりしているが、これは贅沢と言うより設備投資という意味合いの方が強そうだ。まあ車以外にもパパラッチ稼業は機材など設備投資がかかるわけだが、それを差し引いても、儲かっているらしいわりには服装が特に派手になるでなし、どこかで豪遊するということもない。まあ、せわしない仕事だからそんなことをしている暇がないだけかもしれない。何か贅沢と言えば、意中の女性ディレクターと食事をするために小奇麗な店に誘ったことぐらいだろうか。結局、彼はもともと特に理由もなく狂っていて、しかもそれは完成されていたのだ。

 そんな彼を演じるジェイク・ギレンホールの演技は評判以上にすごかった。様々な役柄をこなしてきた彼だが、それらはほぼ一貫してハートのある男だった。彼のぱっちりした目鼻だちと、やや足りない上背は、そういうキャラクターが実際ぴったりはまる。だがそれが軸をぐっとずらして今回のような人物を演じるとなんと恐ろしく見えることか。役作りのためにジェイクはかなりダイエットをしたようで、頬はげっそりこけてその分表情にも影ができ、胸板もすっかり薄くなっている。もう別人だ。笑顔だけは以前のままだが、その笑顔を見せるポイントがとことんずれている。痩せた分だけさらに大きくなったあの目で、相手の顔をじっと見据えながら滔々と自論を述べ、追い込んでいく様は、もはやホラー。脇で出てくるビル・パクストンなんぞ、むしろ和みポイントである。

 全編はらはらしっ放しの上、終盤のカーチェイスと銃撃戦がまた素晴らしく、あっという間の118分だった。いやあ、見てよかった! 全米興収一位も納得だわ。でもなんでこれがアカデミー賞では脚本賞にノミネートされただけだったんだろう。ジェイクが主演男優賞でノミネートされてもよかったと思うんだけど。演技とキャラクターが「フォックスキャッチャー」のスティーブ・カレルと被っちゃったのかな。

 終わった頃、カウンターで「ヴィンセントが教えてくれたこと」の前売券を買う。紙じゃなくてムビチケなんだ。って、ムビチケってのがなんなのかよく知らんけど。どっちにしてもこの映画館はシネコンじゃないからネットで事前に指定席購入とかできないんで、あんまり意味はないな。

 外へ出るとまた雨が降ってきていた。ひどい降りではなかったので晴雨兼用傘で充分。明日できれば「野火」を見に行きたいので、今日はなるべく早く寝よう。




2015年08月21日(金) 進撃の巨人 エンド オブ ザ ワールド 前編

ミッドランドスクエアシネマ 13:20〜15:10 105分
8月1日から公開が始まったわけですが、夏コミを挟んだこともありなかなか行けず、やっと行ってきた。ほんとは上京している間に東京のどっかで見たかったんだけど、体力的に余裕なかったのよねえ。今となっては東京で見なくてよかったと心から思いますが…。

 珍しくバスに乗って名駅へ。ああ楽ちん楽ちん。地下鉄もいいけど、バスは時間さえうまく合わせれば、ずっと座ってていいから楽だよ。渋滞とかあるから、地下鉄より時間はかかっちゃうけど、体力のない今はありがたい。

 12時頃にカウンターへ行って整理券ゲット。スタートまで結構時間があるので、お昼なんかおいしいもん食べよ、というわけでユニモールにある想吃担担面へ。平日とはいえ真昼間なので結構並んでいる。まあそれでも10分位で座れた。それはよかったんだが、「いつも担担麺ばかり。たまには違うもん食べよう」と頼んだ天津飯がまずかった…。ううう、ここはやはり担担麺と餃子に限るのだな…。ああそれにしても今後の行く末を暗示するかのような、まずい昼飯でありました。まだ時間がちょっとあったので、アニメイトに行って明後日のスーコミのパンフも買った。さあ、いざ。

 試写の段階から賛否両論、ただ原作ファンからは否の方が圧倒的に多くて気にはなっていたものの、コアな原作ファンが映像化されたものに対して難癖をつけるのはよくあることだからなあと、さして気にも留めていなかった。監督は樋口真嗣だから映像だけは見応えあるだろうと。その代わりシンジ君だから内容はいまいちかもねーぐらいのぬるい期待で見に行ったのですが…。

 あかん、これはあかん。開始一時間で脱出しました。通路側に陣取っていたらもっと早く退場したよ、間違いない。全体105分だからこの際最後まで見てもよかったのかもしれないが、いや、いらない、いらないよ。まあ単品として見ればそこそこいいかもしれないが、少なくとも原作が好きな人は見てはいけない。おうちでおとなしくアニメ見てましょうね!

 というわけで以下感想になるのですが、当然のごとく映画も原作もバレありなんでその辺よろしゅうに。あとあくまでこちとら原作ファンとしてのスタンスに寄っていますので、その辺もご了承下さい。

 つかみとも言える五分ちょいのエレン・ミカサ・アルミンの「壁の向こうにもっと広い世界があるんだぜ行きたいなあ」みたいなやり取りがまずださく、かつ、たるくて、この時点で早々にヘボンの予感が濃厚なのですが、それが本当にそのとおりなんだから悲しすぎる…。そしてこの時点で見えてくるミカサのキャラクターにもがっかりだ。エレンと一緒に壁の傍まで行く時、エレンに手ぇ引いてもらったり、寒そうにしているとエレンにマフラーかけてもらったり、いちいちヒロインのテンプレが出てきて萎えること萎えること。違うだろう、ミカサはヒーローだろう! むしろエレンがヒロインなくらいじゃないか! それがどうしてこうなっている。これ「宝島」で言えばジョン・シルバーがなんか女々しいぐらいのがっかりだよ!

 で、エレンたちがそうやって壁のまわりを探検ごっこしている時、まさにあの大型巨人が現れて壁を破壊し、例のごとく最初のカタストロフが訪れるわけです。で、ミカサは逃げ惑う最中に一人の赤ん坊を助けたものの、そこへ一人の巨人がうひゃひゃと現れる。うわあ大ピンチ。と、そこでミカサは「恐怖のあまり身動きも取れず」、人々の阿鼻叫喚の中エレンとアルミンも散り散りになって、互いに安否が分からなくなります。…いや、三人がばらばらになっちゃうのはいいんだけどさ別に。巨人を目の当たりにして足がすくんで動けなくなっちゃうミカサって何? て言うかこの後もなんだけど、どのキャラも巨人を目の前にして硬直しすぎ。さっさと逃げるということを誰もしないのはなんなの? どうしてお前らそんなにとろいの? ある意味リアルだろうけどそういうリアルさが必要な作品ですかね?

 ミカサともアルミンとも散り散りになったエレンはそれから調査兵団に志願し入隊します。まずそこでアルミンと再会、調査兵団の他の皆さんともここで知り合うわけですが、あうー、なんかほぼ全員違う名前の違うキャラになっている。サシャはいるけど、兵団に入った理由とか家族とかの設定が別物になっているわ。まあ、この辺もケチつけてたらきりがないのでスルーするとして。で、最初の作戦行動ということでみんなで壁外調査に向かうのだけれど、ここで「調査兵団のスペシャリスト二人」として、長谷川博己演じるシキシマ(あれリヴァイおらんのね)と、そしてあの行方不明だったミカサが登場するんですな。再会してからのミカサは何やらキャラが一変しております。折角生きて再会できたというのに、エレンに対してひとこともないし、一体どうした。しかしいざ対巨人戦となるとミカサもシキシマも鬼のように強い。この戦闘シーンはスピーディーでなかなかの迫力です。て言うか今んとここれぐらいだな、原作どおりなのは。ふうむ…。

 やがてエレンにミカサと二人きりで話す機会が訪れます。それで分かったミカサの身に起こったこと。結局あの時の巨人によってミカサが助けた赤ん坊は彼女の目の前で食われてしまい、ミカサ自身も食われかけて体に大きな傷が残ってしまったのだと…。そうか、そうだったんだね。いやそうじゃなく。てことはあれかい、ミカサの調査兵団入りについて、エレンはこの際関係ないんですかい!? ええええっ。この二人、どこまで絆が薄いのかっ。

「もうあなたの知っている私は死んだわ」
 みたいなことをエレンに言い残し、去っていくミカサ。愕然としているエレンのところへシキシマが現れます(て言うかずっとそこにいてエレンとミカサのやり取りを立ち聞きしていたっぽい)。

 ああもう何を言い出すのかねえ、シキシマ。正直今の時点でもう私はこの映画への期待を失っているよ。だが事態はそんな私の予想をまだまだ下回る方向へ。

 今にも「チャオッ」とか言いそうな雰囲気のシキシマですが、まあそれはともかく。シキシマはエレンに言います。「俺が彼女を強い兵士に仕立ててやったのさ」と。まあ他にもなんかごちゃごちゃ言ってた気がするのですが、覚えていません。とにかくシキシマは巨人に食われかけていたミカサを助け、さらに失意のミカサに戦い方を仕込んで立派な戦士にしてあげたようです。それを知ったエレンは別の意味で愕然とするのです。あの巨人来襲の折り、エレンはミカサを助けてやれなかった。それに引き換えこのシキシマは…と。エレンは嫉妬に震え、絶叫します。エレンの感情のボルテージがこの時まさに最高潮に達しています。ええ最高潮に…。

 何それ!? なんで? 映画開始から一時間余りですけど、この三角関係じみたシチュエーションがエレンの沸点なんですの? ええええええっ!?

 あとは何がどうなったのか記憶にありません。正直エレンが「うわああああ」って絶叫した辺りから鑑賞モードがストップして、いつ脱出しようかというスタンスにチェンジしてしまったのです。取り敢えずしんみりした場面でごそごそするのは他の観客に申し訳ないから、適度にやかましい場面になったら退場しよう、ああ早くそういうシーンこないかしらってことしか頭になく。取り敢えず感想は終わり。

 まあこの後ハンジさんが大活躍するシーンとかあったかもしれんけどね。ハンジは石原さとみの怪演もあってよい感じなんだけど、そのためだけにこの映画につきあうのもねえ。

 そう言えば冒頭のシーンにあったビキニ美女が描かれた飛行機の残骸、あれなんだったんだろう。最後まで見なかったから分かんないけど「猿の惑星」のオマージュかねえ。今となっては確かめようもないけどさ。もうアレとかコレとか、原作好きにとって変えて欲しくない部分を一番変えて欲しくない方向に変えておいて、そのくせこういう通ぶった真似をしやがるのがなおさら癪にさわるわ。

 最初に現れた超大型巨人が壁から顔を出してくるところ。このシーンは宣伝にも使われたハレの場面なんだけど、テレビで見た時と違って劇場のスクリーンで見ると案外大したことない。他の巨人たちにしても確かに表情の気持ち悪さとか、原作の雰囲気をなんとか出そうとしているんだけど、基本的に普通の人間を動かして撮って、それを加工して使っているので、本当の巨人らしい重量感や、のそーっときたかと思うと突然ハイスピードでバクッとくる、あの感じがないんだよね。結局映像もストーリーもだめってこと。

 あーあ、とにかくがっかりだよ。何かおいしいもの食べよ。というわけで終わった後は地下一階へ。おお、フォートナム&メイソンもサロン・ド・モンシェールもほとんど並んでいなーい。さすが夏休みとは言え平日だわ。天国天国。あんまり行く機会のないサロン・ド・モンシェールに入る。ミルフィーユとコーヒーをうまうま。その後は適当にぶらぶらしながらバスで帰った。




2015年08月20日(木) この国の空

伏見ミリオン座2 9:30〜11:44 130分

 夏休み真っ只中のおかげで平日のこんな時間でも映画見てますよ。しかし夏休みだからなのかな。こっちもぎりぎり入場のせいもあったけど、こんな時間のややマイナーな邦画でも整理番号は22番よ。

 昭和20年の東京杉並が舞台。主人公の里子は19歳。父を早くに失い、自宅で母と二人で暮らしている。終戦までの数か月間が、里子の視点で描かれる。

 終戦間近の日本を舞台にしたフィクションって、ある程度テンプレになっているんだけれど、舞台が杉並ということで空襲の被害はほとんどなく、食糧事情も、よくはないけれど今日明日食べるものがないというほどでもないというところが異色。

 ロケなのかセットなのか、当時の杉並の街並みというのがかなり本物らしく再現されているのがすごい。そういう中で男は徴兵で、子供は学童疎開で、あるいは一家丸ごとの疎開で町全体がひっそりとしているという雰囲気を、ビジュアルで見せてくれるというのは、今時の日本映画ではかなり貴重だろう。

 ただそんな整った街並みも、一枚めくれば物質的な貧しさはやはり確実にあり、死がいつ訪れるのかという恐怖で誰もの心が荒廃している。大空襲の爪痕が歩いていける距離にあり、実際空襲警報は昼夜を問わず鳴り響いて、ふと眺めた下町の空が真っ赤に燃えている、という日常。

 役場で庶務を任されている里子にしても、女でも働かせてもらえるんだとか、国の役に立っているんだというような高揚感はまるでなく、食糧はいつまでもつのか、自分はこのまま恋も性愛も知らずに死んでいくのかという不安しかない。「父親がいなくったって、あんたにはちゃんとした縁談をさせてあげるわ」という母の言葉も、里子には虚しい。言っている母親本人にしてもどこまで現実感を持ってそんなことを言っているのか、なんとも言えない。

 静かな陰影を帯びた雰囲気は、向田邦子の「あ・うん」を思わせるが、「あ・うん」の男女が少なくともあの一瞬だけは最高の状態で愛し合っていたのに対し、「この国の空」の二人の心は不安でのみ一つになっていて、そこにロマンチシズムはない。そしてそこにぷっつりと訪れる終戦。空虚美に満ちた映画だった。あ、最初から最後まで昭和のお嬢様口調で話す二階堂ふみはいいっすよ。

 終わった後は歩いて栄まで。途中で通り沿いにあったラーメン屋でとんこつラーメンを食べたのだが、まずくもなくうまくもなし。

 地下鉄に乗って上飯田まで。一回も降りたことのない駅だ。そもそも地下鉄の上飯田線自体、全くの未踏である。お目当てはカフェタナカ。ツイッター上で回ってきた情報なんだが、「ケーキに合うコーヒーを研究してます」だそうな。場所は駅からほどない所にある。建物は思ったより遥かに大きく、しかもなんちゃって欧風仕立てで素敵。建物の道を挟んで反対側に豊富な駐車スペースがある。中に入ってみると、これまたクラシカルな内装で嬉しい。

 ケーキは店のガラスケースから選ぶ(ちなみにケーキ販売のみというのもオッケーだ)。いろいろ迷ったが、いちじくのタルトにした。コーヒーはブレンドで。で、ケーキはおいしかったんだけど、コーヒーはそれほどでも。またホットにしても熱すぎたし。それから、ケーキがおいしくてちまちま食べ過ぎたこともあってブレンドを飲み終わった後もまだ残っていたので、ニカラグアを注文。まあ、正直これもそうおいしくはなかった。結論としては、ケーキは文句なく旨いがコーヒーはそれほどでも、というところ。食事メニューもおいしそうだったから、今度は食事で寄ってみたいもんだ。

 近所の本屋に寄って、MOE九月号「世界名作劇場と赤毛のアン」を買う。ハヤオのレイアウトや井岡さんの背景画が載っている。山田栄子さんへのインタビューもあってよい特集。




2015年08月13日(木) 新刊のご案内

 いよいよ明後日ですねということで絶賛パッキング中です。おかげさまでもうすぐ終わりますが。もちろんサークルチェックもばっちりよ。

 新刊について補足です。通販はいつでも受付中ですので、ご希望の場合はメールフォームからお問い合わせください。まだサイトの方にアップしていなくてごめんなさい。ちなみにお値段は800円です。気がつけばクロネコメール便が廃止になっちまってガッデム! ただ新刊ご注文の際は送料は無料といたしますので、遠慮なくご要望くださいませ。とは言え、お送りできるのはインテ終了後になりますこと、何卒ご了承くださいませ。

 それでは支度に戻ります。あー、池袋の東武百貨店でやってる世界名作劇場展に行ける余力がありますように!




2015年08月09日(日) 共犯

名演小劇場三階 12:50〜14:15 89分

 香蘭園でラーメン食べてちょっと早いお昼。昨日に引き続き、名演小劇場よ。暑いので早めに映画館に入って、上映時間までツイッターでも眺めながらゆっくり涼もう。

 というわけで昨日に引き続き名演小劇場。入ってからずっとロビーでだらっとしていたのだが、そろそろ時間だというのに前の回のお客たちがなかなか出てこない。前の回は「沖縄 うりずんの雨」だったんだが、監督が誰かが舞台挨拶で来ていて、それがすっかり長引いているとのこと。どうにか開場して「共犯」がスタートしたのは13時15分だった。関係者が来場すると次の回が後回しにされるのは、どこの映画館でもあることですが、引っ張りすぎだろ〜。「共犯」は観客の入場もそこそこに、予告編なしでスタートでありました。

 台湾のとある高校で、一人の女子生徒が自宅マンションから転落して死亡する。たまたま近くを通りかかって第一発見者となった、互いに初対面の三人は、協力して彼女の死の謎を解き明かそうとするのだが。

 スクールカーストの全く異なる三人の間に芽生える奇妙な友情が、すっかりそんなもんとは縁遠くなったこちとらには眩しい限りだった。冒頭から死人が出るようなハードな展開ながら、演出はとても控えめ。些細なことで極端な思考や行動に走る様が、「若者の狂気」のようなありきたりのけばけばしいパッケージングをほどこされるのではなく、「誰でもこういう頃あったよね」という淡々とした優しさをもって描かれているところに好感が持てた。日本のエンタメも「十代」「ネットやSNS」という取り合わせを、いい加減こういう風に描けるようになっていただきたいもんだ。

 まあしかしミーハー的に見れば、この映画はキャストがとにかくよかったね。ティーンのキャスティングってほんとデリケートだなあと思うんだよ。特にこの映画はジャストか近い年齢じゃないと意味がない題材だからよけい難しかっただろうなあ。あんまし年いっちゃうとこの映画の核である青さや脆さがなくなっちゃうし、かと言ってその年齢で上手い子というのもそうそうないだろうし。その点よくこれだけぴったりの子らがいたもんだ。

 キャスト表を見ると、男子高生の中でフィクサー的立場となる黃立淮を演じた巫建和が93年生まれ。立淮の妹役の子は16歳だそうだけど、あとの子らは大体20歳ぐらいの子が演じているようだ。

 それにしても舞台となった高校がまたよかったね。ドラマの内容上、ほとんど彼らの家と学校とその近所しか登場しないんだけど、でっかい裏山があって、都市部の学園ものながら見応えのあるロケーションになっていた。そう言えば自分の高校も丘陵地帯だったから山は近かったなー、などと思い出したり。

 14時45分終わり。当初より30分も遅れてしまった。まあ89分の映画だからよかったようなものの…。

 歩いてそのまま長靴と猫へ。通ぶってコナコーヒーを頼む。ナッツケーキも。松坂屋をぶらぶらしつつ、曇りの日用の石鹸で洗い流せる弱い日焼け止めを買う。それから金山のワコールで新しいブラの採寸。そこから市バスに乗って、会社へ。金曜に駐輪場に置きっ放しにしていた自転車でそのまま帰宅。




2015年08月08日(土) サイの季節

名演小劇場1階 12:30〜14:10 93分

 7月25日から始まった本作もはや三週目。そろそろ終わりそうなんで行くことに。まずは栄へ。11時頃、栄の森地下街にある粥餐庁で担担麺。映画を見る前にあんまり辛いやら脂っこいやらなもんを食べるもんではありませんけどね。喉渇くし。その後中日ビルのチケットぴあで名古屋ミニシアター回数券を購入。これでまたしつこくミニシアター詣でをせねばなるまい。ま、「野火」もあることだし、いいんだけどね。

 地下街をぶらぶら。先月16日にドニチエコきっぷの夏特割を二セット買ったんだけど、どう計算しても休み中に全部消費しきれそうにないので、一枚だけ金券屋に売った。で、500円で買い取ってくれたんだけどいいのかな…。だってこれもともと四枚セットで2000円だから、一枚あたりに換算するとまさに500円なんだよ。それこそ普段のドニチエコきっぷより安いからみんな買いたがるわけで。そのまんまの値段で買い取っていいのかい。買い取ってくれたお店のお姉ちゃんもなんだか新人ぽくって、価格を店の他の人に聞いてたぐらい。いいのかしら、ともやもやしつつ500円をありがたく頂戴してしまった。

 この監督にして初めての大人同士のメロドラマということで大いに楽しみにしていたし、実際面白かったんだが、過去のゴバディ作品がそれぞれ持っていたほどのインパクトは感じられなかった。うーん、「灼熱の魂」の二番煎じっぽく見えてしまったな。歴史の荒波に飲み込まれた男女の悲恋としては「サイの季節」もなかなか面白かったんだけども、「灼熱の魂」の方は次世代たちの描写がとても細やかで、それがまた本世代といい対比になっていたんだよな。「サイの季節」の次世代キャラ描写はちょっと書き割りっぽいんだよね。ま、あくまで主役は本世代ってことなんだろうけど。

 まあそれはそれとしてヒロインのモニカ・ベルッチさんは眼福でしたことよ。イランの大物軍人の娘であった若かりし日のお堅いお嬢様ファッションも素敵だったんだけど、イラン革命後の全身真っ黒なヘジャブ姿がもうエロいの。ヘジャブって、女性の肉体を感じさせないためにあんな風に体全体をゆったり包み込んでいるのに、モニカ様がお召しになるとかえってエロいという…。

 終わった後は、前から行ってみたかった広小路通の東新町の角近く、東急ホテルのすぐそばにある喫茶ライオンへ。創業は昭和33年。今時びっくりするぐらいくたびれた…あ、いや古めかしい内装の喫茶店であります。メニューの展示からしていかにも昔の喫茶店。私はコーヒーとプリンアラモードを注文。そう、今時ないよね、プリンアラモードとか。生クリームがこれまた昔のバタークリームっぽいこってりとした味で懐かしい。コーヒーがまたしっかりしたお味で、好みだ。コーヒーだけなら市内で一番好みの味かもしれん。また来よう。




2015年08月07日(金) 入稿済んでます

 おかげさまで入稿は昨日の夕方にクロネコに出して済ませました。本当は昨日ご報告したかったんですけど、ツイッターをちょっとチェックしてたら眠くなってしまい、そのまま…。すんません。

 というわけでなんとか15日には新刊をお出しできます。ちなみにタイトルは「夏に春の祭典を 完全版」であります。すみません、「夏に春の祭典を2」とかじゃないのです。これも既刊を少しでも減らしたいという苦肉の策であります。たださすがに冬に買って下さった方々には、わずかながらおまけさせていただきます。ごめんなさい。

 いやあしかし今回の印刷屋さんは既定のサイズに作ればワードのままでもオッケーのとこだったんで、最後の締めは今までで一番楽でした。と言っても作っちゃってから「あーっ、ここでひとこと説明入れるの忘れてたっ」ていうのがあって、結局二回作り直す羽目になりましたが…。まあそれでも紙入稿やPSD入稿に比べたら、どらくちゃ楽…。もうこの方法でしか入稿したくないっ。

 ちなみに今日は仕事が終わった後、紙のコミケカタログとFSSの新刊を買ってきました。とにかく明日からようやく、本も読めるし映画も見に行ける。体力が許す限り夏を楽しみます。

 あとはコミケの三日間、とにかく、少しでも東京が涼しくありますように!!!!!



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