猪面冠者日記
今さらだが当分不定期更新

2015年03月08日(日) アメリカン・スナイパー

TOHOシネマズ 14:35〜17:00 132分

 早起きして午前中にお出かけしたかったのに、寝坊。うう、先週もこのパターンで予定が崩れたんだよなあ。お昼においしいもの食べに行きたかったのに、もう。しゃあないので家で普通にトーストを食べて、お化粧して太鼓の散歩。その他ごちゃごちゃやってる間にあっという間に昼。昼は昼でインスタントのマルちゃんラーメンをむしゃむしゃ。このまま2時半からやる「アメリカン・スナイパー」に行っちゃうことにした。TOHOシネマズのチケットも今月一杯が有効期限だし、まあ行けるうちにね。ただ本当はこれ、平日に行こうと思っていたのだけどな。先週までは20時30分からの回だったのが、今週から20時15分からの回に変わるんで、あんまり遅くならずに帰れていいなと思ってて。まあ、昼間に行けるならそれもいいかな、と。

 さて本作は実話ベースで結末もそのとおりに終わるけど、真っ白な状態で見たい方は今回の感想は読まない方がいいよ。ちなみに私は「フォックスキャッチャー」同様、ネットでいろいろ読んでから行きました。

 受賞こそ逃したけど、相変わらずアカデミー賞にノミネートされてて、しかも大ヒットって、いやあ爺さん凄いわあ。2月21日の公開スタートから気がつけばもう二週だけど、まだ一位を保っているようで。爺さんの作品でしかも賞にノミネート、おまけにテーマがイラク戦争とあれば、そりゃあ誰だって期待して見に来るってもんですな。

 先週まで全239席のスクリーン7だったのが、今週から203席のスクリーン5になっちゃったけど、迫力は十分堪能できましたよ。戦争映画とは言え主人公が狙撃手なので、基本的に戦闘シーンっていうと、一か所に陣取って標的を見定めて撃つというパターンの繰り返しなんだけど、これが全然飽きない。私、大体上映開始から一時間ぐらいでふと時計を見るんだけど、これ90分近く全く時間を感じなかったんだから。

 上映中は全く飽きなかったし、事実そのままとは言え、ほんとにクリント爺さんの映画のような唐突かつ呆気ない悲劇と共に終わるし、爺さんのファンとしても一応満足して見終わることはできるのだけど、なんとなく物足りなかった。見る前は「暴力行為で得た名声と、それと相反する忌々しい記憶に引き裂かれる主人公」という物語だと思っていたんだが、案外そうでもなく。そういうパターンを目指していたのかもしれないけど、過去作と比べると、その辺の描写があんまりうまくできていないように思われる。

 ただそれも無理ないと言うか、そもそもクリス・カイルという人物が、爺さんにとってはしっくりこない人だったんだろうなあ、と邪推する。戦争によって影を与えられるとは言え、クリス・カイルという人は基本的に物事の光しか見えない人だ。別に鈍感で無神経って意味じゃない。悩んでる戦友に親切だし、できれば女子供は撃ちたくないと思っている。でもアメリカ国家とこの戦争に対しては微塵の疑いも抱いていない。自身のPTSDにしても、それを戦争から受けた呪いだとは、彼は思っていないだろう。むしろ名誉の負傷ぐらいにしか思っていないのではないか(だからでこそカウンセリングもすんなり受けに行ったのではないかと)。まあ、こんな人はイーストウッド映画には似合わないよなあ。クリント爺さんの映画の主人公たちだって、それなりに正義の人ではあるけれど、とにかく文句ばっかり言って、上の言うこと聞かないで勝手なことするし。まあかっこよく言えば「最終的にはヒーローになれないアウトロー」なんだけど。や、少なくともクリント爺さんのキャラは、奥さんの妊婦健診についてってくれたりはしないよ(笑)。

 ただ例え史実を捻じ曲げてクリス・カイルをもっと病んだ人物といて描いたとしてもそれでうまくいったかどうか。やはり「父親たちの星条旗」と「グラン・トリノ」でこの辺のテーマは昇華し尽くしてしまっただろうし。まあそうでなくてもアフガン戦争やイラク戦争は、アメリカ人として今まさにというテーマではあっても、クリント爺さんが自分自身のものとしてそこに投影するには無理があったのかもしれない。やはり爺さんにとっては第二次世界大戦と朝鮮戦争こそが、自分自身の戦争なのだろう。どうしたって自分のことの方が本気になれるわな。

 しかしそれはそれとして、クリス・カイルの人生はなんとも数奇だねえ…。クリスという名前、そして冒頭で彼の父親が彼と彼の弟に向かって語る「羊・狼・番犬」の例えもあって、なんだかこの映画はキリストの生涯みたいだな、と思った。迷える子羊を守るために番犬となった彼は、皮肉にもその羊によって命を失うのだしね。エンドロールで流れる彼の追悼式の映像は、さながらキリストの復活を待つ民衆のようだった。

 とまあ、もやもやしつつも概ね満足しつつ、ベイシティをあとに。もう五時だったが、今はかなり明るくて、日差しも行きの時ほど強すぎず、自転車で走っていて気持ちよかった。

 ああしかしこういう映画を見た後はコーヒーが飲みたくなる。だがスタバは嫌だ、と結局カルチェ・ラタンへ。でもカルチェまで来てコーヒーだけなんて、そんな骨のある真似ができるはずもなく、タルト・シトロンを一緒に頼んでしまった。シトロン、つまりレモンのタルトってことで、なんかミリオンダラー・ベイビーだ、爺さん繋がりだ、と勝手に満足しつつムシャムシャ。




2015年03月01日(日) 忘れてた

 すみません、全然更新していなくて。一応これでも少しずつ映画の感想とか書いています。しかし今日、とっくにアップしたと思っていた「レッド・ファミリー」の感想がまだ上がっていなかったのを見て仰天。ぎゃあああ。というわけでレッド・ファミリー他2014年分(12月23、28、30日)をアップしておきました。年明けに見たベイマの感想も早いとこ上げます!


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