猪面冠者日記
今さらだが当分不定期更新

2015年02月22日(日) フォックスキャッチャー

ミッドランドシネマ 11:25〜13:45 135分

 午前中ちょっとお出かけした後、ミッドランドのカウンターで整理券をもらって、お昼はミッドランド地下のサンジェルマンタンドレスでコロッケサンドとドーナツとホットミルク。私が席に着いた頃はすいてたのに、座った途端すぐに満席。なんというタイミング。

 96年に起こったデュポン財閥の一族の一人、ジョン・デュポンによるロサンゼルス五輪金メダリスト、デイヴ・シュルツ殺害事件を題材とした作品。特に見ようと思っていなかったけど、面白いという声があちこちからしてたんで、見に行くことにした。あ、そもそも監督は「カポーティ」の人じゃないか。そりゃ面白いだろうねえ。

 歴史ものでもないし、そうややこしいトリックがあるわけでもないのに135分もかけるなんて冗長じゃないだろうか、なんて最初は思っていたけど、映画が始まってしまえば時間を気にするゆとりなんてなかった。何かややこしいトリックがあるわけではないし、メインの登場人物もデュポンとシュルツ兄弟だけなので、作品世界はすぐ理解できるんだけど、画面に常に不穏な空気が漂っていて、見ている側がぼーっとしている余裕がない。昼間の場面とかでも妙に暗い。光の加減だけじゃなく、とにかくすべてが不穏なの。デュポンの広大なお屋敷も本来なら素敵な大邸宅なんだけど、閉塞感しか感じられないし。

 こんな雰囲気なのでスポーツが題材と言いながら、「努力・友情・勝利」要素はゼロ。兄のデイヴも弟のマークも、共に五輪で金メダルを取ったほどの選手でありながら、五輪の喧騒が終わってしまえば練習費用の捻出に奔走しなければならない。世間はマイナースポーツに冷淡だが、結果だけは苛烈に要求してくる。いやそもそも選手本人が誰よりも苛烈に自分自身に重圧をかけている。もうこの辺のアスリート残酷物語が、多少なりとも贔屓のスポーツ選手がいる身には見ていて辛い。どうしたって重ねちゃいますね、こういうのは。

 そういう状況下で大富豪ジョン・デュポンが救いの手を差し伸べてくるのだが、ジョン・デュポンもまた生まれた頃から背負いに背負った家名の重圧に破裂寸前の人間だった。シュルツ兄弟とデュポンは言わば生き別れの兄弟なのである。しかし片や貧乏アスリート、片やそのスポンサーとくればその関係はどうしたって対等ではなく、三人の関係は次第に歪みが生じてくる。そうして日頃のちょっとした軋轢が積み重なり、やがてカタストロフを迎える。

 ジョン・デュポン役のスティーブ・カレルは確かに恐い。人と真向かいで話し合っていても、視線はどこか遠くを見ているような感じで、しかも無表情。笑っている時も目は空っぽ。一応ウィキで事の顛末を確認した上で鑑賞していたんだけど、どうなるか分かっている状態で見ると、あの「いつ爆発するか分からない状態」は、かえって心臓に悪かったな。

 重々しい映画の後はせめておいしいものが食べたくなるねえ。お昼にパンしか食べていなかったし。というわけで千種のマルヨシコーヒーへ。今はビルブレンドがお気に入り。本日のケーキのうち一つが苺のケーキだったのでそれも。おいちい。

 大須で角食パンを買う。それからまた矢場町へ戻ってデパートをぶらぶら。このまま帰ろうかとも思ったが、このままデパートで食べて帰ろっかなあと思いだし、松坂屋でカツカレーを食べて帰った。ああしかしこんだけいい思いをしてもフォックスキャッチャーのズオーンとした余韻はまだまださめぬ。




2015年02月07日(土) ジミー、野を駆ける伝説

ミッドランドスクエアシネマ 8:45〜10:40 109分

 こんな朝はよから映画館行って、最後まで寝ないで見ていられるんだろうか…。いやローチ先生の映画だ、そんなことは決してできぬ、と不退転の決意で家を出た。

 巨匠ケン・ローチも本作をもって引退。まあしかし何を間違って大手シネコン、ミッドランドスクエアで上映することになったんだろうか。手頃な尺だからメジャー大作の隙間を埋めるのにちょうどいいとでも思われたのかな〜などと卑屈なことを思いつつ観賞。重いテーマを扱いつつ、映画としての魅力も充分備えた作品を、というローチ先生の手腕は今作でも衰え知らず。勝ち目のない戦いをするジミーとその仲間たちの過酷な現実を描きながらも、アイルランドの田舎の緑の眩しさが絶妙のアングルでスクリーンに閉じ込められている。ジミーがかつての恋人と二人きりで踊るシーンも美しい。舞台は廃屋で、ついでに言えば元恋人役の女優も決して美人ではなかったのに、しみじみ綺麗だなあとしか言いようがない。

 決して派手ではないけれど、こんなに丁寧で見応えのある作品がもう見られないというのはさびしくて仕方がない。また作って欲しいけど…。

 パンフレットも買った。ペギーでゆっくり読もう。おなかもすいていたので、今日のペギーは半分ごはん。バタートーストとゲイシャという名前のコーヒー。コーヒーは後でブレンドを一杯頼んだりして、本当にだらっと過ごす。しかしよせばいいのに、その後寄った同じ池下のミッシェル・ブランでバニラアイスを食べてしまうのであった…。

 その後は栄をぶらぶら。丸善でカードを買ったり。それにしても今日はコーヒー中毒なのか。長靴と猫でもブレンドを一杯飲んでしまった。眠れんくなるぞ。

 その後はロフトに行って、ジュンク堂で「へうげもの」の19巻と「風雲児たち」の25巻を。他にも文庫の時代小説を一冊買う。その後は松坂屋に行って、バレンタインチョコを買って帰った。



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