猪面冠者日記
今さらだが当分不定期更新

2014年06月28日(土) her 世界でひとつの彼女、少女ファイト6巻から10巻

 上映初日に見に行くのって滅多にない。別にホアキンの映画だから初日にしたってわけでもないんだが、なんとなく今後の自分の予定と合わせると初日の初回に行くのが無難、と出たので行ってきた。しかし土曜日に10時上映開始に合わせて行動するのは至難の業よ。案の定、映画館に着いたのはほぼ10時ジャスト。ボックスが入ってすぐのミリオン1だったから助かったけど、はあやれやれ。ちなみに昨季ためたポイントカードのおかげでタダです。うふ。まあしかし暑い。真夏とまではいかない今は、エアコンも試行錯誤という感じで、いまいち涼しくない。ああ、うちわ持ってくればよかった。

 時は未来。妻と離婚協議中のホアキンはふとした好奇心から「人格を備えたOS」を購入。OSはサマンサという名の女性となり、ホアキンと生活を共にするようになる(端末があるので、本当にどこでもいっしょ)。この手の物語だとOSがだんだん人間っぽくなってっていうのが定番なんだが、こいつは最初からすこぶる出来がよく、常にホアキンの欲求を察してくれる。時に友達、時に彼女、時に仕事のお手伝い。そのいずれもがホアキンにとってほぼ百点の完成度。当初は「でもしょせんはOSだし」という考えが頭のどっかにあったホアキンも、サマンサのあまりの出来にあっちゅう間にめろめろになってしまい、前半は「めろめろのホアキン、でもはたから見てると端末相手にラブラブってきもいよ」という展開。

 この辺は正直退屈なんだけど、やがてサマンサに変化が生じてからが俄然面白くなっていく。変化とはいっても、サマンサ自体は最初から最後までホアキンに優しくて、少なくともサマンサが自分からホアキンを傷つけようとかは一切しないんだけどね。いや劇中のホアキンはええ年こいてるわりにはかなり子供っぽいというか、自分本位な男なので、サマンサが痛い目の一つや二つ、あわせてやってちょうどだろうと思うんだけど、それはもう一貫してないんだ。まあそれはその方がいいと思う。だってそれじゃあただのメロドラマだもんなあ。ただこの後半のやりとり、はっきり言って感想のつけようがない(笑)。だってもうひたすら変なんだもん(ボカ〜ン)。最後はもう狐につままれたようにして終了。最後にサマンサがああなった理由はよく分からなかったんだけど、まあキモいホアキンを堪能できたので、細かいことはよしとする。

 12時10分頃終了。お昼は久々に香蘭園でラーメン。ここんとこ中華は人生餃子一辺倒だったので、本当に久々。それから大須ベーカリーに行き、シナモンときなこのドーナツを一つずつとフレンチトーストを一個、角食パンを半斤。

 そのまま帰宅して録画をゆっくり消化しようかとも思ったんだが、最近漫画喫茶に行きたいなあという気持ちがひきもきらず。いろいろ読みたいけど今は「少女ファイト」が読みたい。もうずいぶん前に読むのをやめてしまったけど、この間11巻が発売されて、フォロワーさんがその感想を呟いていたのを読んで、なんだか無性に読み返したくなった。ひとまず未読分だけでも補完しておきたいなあ。てなわけで金山のマンボーへ。いやあ、漫画喫茶自体、行くの何年振りだろう。会員カードだけは財布ん中に常に入ってるけど。

 土曜のお昼間だったから個室が空いているかどうか心配だったか、無事確保でき、早速イブニングコミックスを探しに行く。すぐに見つかって、まだら読みになっている6巻から10巻までをまとめて持ち込み、読破開始。

 いや、三時間パックにして正解だった。ほとんど休まず読んだのに、終わって時計見たら制限時間の20分前。もともと二時間ぐらいでいいやと思ってたのを、お店の人に三時間パックの方がお得ですよって言われたからそうしたんだけど、うん、店員さんは正しかった(笑)。

 いやあ、読まなくなってから数年たつけど相変わらず練は嫌な奴だというところは変わらなかったよ(ボカ〜ン)。青磁学園の雨宮摩耶とかもねえ。こいつがそもそも白雲山中学に練一人が行くことになってしまった元凶なのか。で、今も今でネットを使って練のいる黒曜谷を貶める工作をしている次第なんだが、私彼女が出てきた辺りから読む気なくしたんだよねえ。あと鎌倉サラの別れた親父とか。なんか最近の遊川和彦みたいな、人格破綻者のインフレ起こしてないか? まあでもインフレそのものより作者が「こんな人でもなんか理由があるんです! だから嫌いにならないで!」ってコマの裏から呼びかけているような、うっとうしさが一番嫌なんだけどね。作者がどんだけ全登場人物愛してるってったって、こっちはそんなん知らんがな。

 と、嫌いな部分が一部ながらでっかくありつつも、その辺の、練とか一部の変な奴を除いた脇キャラの成長ドラマは相変わらず素晴らしい。どの巻も名セリフ、名シーンばかり。なんでこういうのを主人公にも当てないのかねえ。

 未読分においては練の姉、真理の過去もぽつぽつとながら登場。隆子にとっての真理、あるいは笛子、シゲルにとっての真理。また真理の軽度な障害についても。漠然と、この漫画を読み始めた頃から、真理の完璧っぷりに違和感を覚えていたんだが、未読分を補完してから、自分の勘はあながちはずれじゃなかったなあ、と思った。真理のバレー選手としても人間としても過剰なまでに「できてる」感じって、当初から胡散臭いなあと思ってたんだよ。なんかこの子G戦の鉄ちゃんとおんなじ匂いがするわーって思ってたら案の定…。なるほど、かつての大石家は父ちゃんがアル中という機能不全家族だったんだな。真理もまた練や隆子と同様、「バレーだけを食べて生きてきた」子供だったというわけだ。この漫画の登場人物の大半は真理となんらかの関係があるわけだけど、みんなの中の真理が成仏するまでの物語でもあるんだろう。

 練に対しては今後ともぶーぶー言ってくと思うけど、ここまでくると最後まで読みたいのでまたある程度巻数たまったらどっかで読もう。て、他にも読みたいもの今いっぱいあるんだけどな。人から借りているものも含めて(ボカ〜ン)。

 その後、駅前のアニメイトやMARI書房に寄って帰宅。ベーカリーで買ったドーナツを齧りながら録画したものを消化。一時間ばかしそうして、太鼓の散歩へ。

 夕食は母と二人で江南へ。相変わらず混んでいるが、どうにか座れた。て、この時点でもう9時だったんだけどね。25日にボーナスが出たので、この日は私のおごり。お店は相変わらずおいしかった。ビールも久々でおいしかった。ここの中華はあっさりめだから、ビールもあるとほんとにバカスカ皿が増えるわ。ベルデ亡き後、私の中でここが半分ぐらいベルデの代わりだ。




2014年06月25日(水) 超高速!参勤交代

 今日はボーナス支給日。朝一番で上司から明細を頂戴しました。ざっくり見るに前回よりちょっとだけアップ。ま、どうせ右から左へ蕩尽ですがね、て、あ、いや、このご時世にまっことありがたいことでございます。さっそくこれでごちそうを食べに行きたいとこだが、今日はミッドランドに「超高速!参勤交代」を見に行くので、残り物のごはんで牛丼をさぶさぶっといただくのみ。

 21日から始まったけど、口コミでは早速上々の評判。このままスマッシュヒットとしてほしいなあ。今の映画界で原作なしってだけでも貴重なのに、その上時代劇ですよ。ほんと、コケてほしくない。

 時は享保、八代将軍吉宗の時代。福島の湯長谷藩一万石は参勤から国元へ戻った矢先、幕府から「これより五日のうちに入府せよ」と命じられる。何やら藩ごと陰謀に巻き込まれたような気色。参勤を終えたばかりの湯長谷は元手もほとんど尽きていたが、首席家老、相馬(西村雅彦)の苦肉の策により、殿様と一行は道なき道を行く。

 いやー、さすが口うるさい古参ファンが絶賛するだけのことはある。ほんと、面白かったよ! マニア受けがいいとは言っても堅苦しさは全然なく、誰でも気楽に見られるよ。多種多様ないい男たちが、画面いっぱいにひしめいて(フンちらサービスももちろんたっぷり!)、それぞれにちゃんと見せ場があって、途中いろいろハラハラしつつも、最後はすかっと終わるという、本当によくできたエンターテイメントですよ。あ、もちろん、この手の時代物のお約束としてお姫様と蓮っ葉な小娘も出てきますよ! なんかね、ここ十年から二十年ぐらいの時代劇や大河の常連さんたちが集まって同人誌作りました! って感じ(もちろんいい意味で)。何しろ湯長谷の殿様は佐々木蔵之介、将軍吉宗は市川猿之助、老中が石橋蓮司と陣内孝則。ほらもう大河以外の何物でもない(笑)。

 その大河がもうここんとこずっと、頑張っているのは役者ばかりという状態で来ちゃってるんだよねー。そんな風だからこの作品が役者さんたちの頑張りとお話の質がちゃんと釣り合ってるのがもう単純に嬉しい。本来なら当たり前のことなんだけどね。

 頑張っていると言えば、とにかくアクションがよかった! もともとアクション俳優であった伊原剛志や、経験豊富な佐々木蔵之介、寺脇康文のチャンバラの出来がいいのは想定内として、柄本時生の刀さばきが結構ちゃんとしてるのにはびっくり。動き方も運動神経を感じさせたし(むつかしいとこはスタントなんだろうけど)、あの兄弟いろいろ隠し玉持ってるなあ。

 太平記の判官殿をこよなく愛する私としては、やはり陣内君に言及せねばなるまい。ええもちろん期待どおりの悪役っぷりで湯長谷藩をいじめます。もうありゃ漫画だな(笑)。ご本人も嬉々として自身のテンプレを演じている感あり。

 10時20分終了。官兵衛やら花アンやら、今の時代物に日々がっかりし、すっかり砂漠化してしまった私の心も大いに潤ったよ! 名古屋ではまだだけど、しばらくしたら福本さんの「太秦ライムライト」もやるし、まだまだ時代劇も捨てたもんじゃないね。




2014年06月22日(日) 罪の手ざわり、ダウントン・アビー第七回

 名古屋シネマテークにて10時40分の回から。監督は「長江哀歌」「四川のうた」の人。どっちも見に行きたいと思いつつ行けなくていまだに見ていない。ストーリーを読む限り面白そうだし、ミニシアター券の残り一枚が今月一杯までなんで、昨日の東京行でややお疲れではあったけれど、今池まで行くことにした。

 中国で実際に起こった犯罪事件をもとにしたエピソード四本をオムニバス仕立てに繋いだ作品。個々の話はそれぞれ面白いのだが・・・。この手のオムニバス物はそれぞれのエピソードの人物が別エピソードの人物と関係があって、バトンを渡すように話が続いていくのがスマートなわけなんだが、作り手はあんまりそういうことを考えてはいないようで、一つのエピソードの終わりに唐突に次のエピードの人物が現れて、無理矢理次の話が始まるというパターンが多く、どうにも流れが悪い。また一つ一つの話にしても唐突に終わったりするので余計にぶつ切り感が。つまらなくはないんだけど、突出して面白い作品でもなかった。

12時53分頃終了。今朝はあまりおなかがすいていなかったので、牛乳とお菓子を少しぐらいしか食べなかった。しかしこの時間になってもそんなにおなかすいていなかったり。バシャカフェでカレーとか無理。まあそれならそれで、ペギー珈琲でコーヒーとトーストとかも悪くない。というわけで久々にペギーへ。当初はバタートーストを頼もうと思っていたんだが、日替わりのケーキが「新しょうがのシフォンケーキ」しかもアイスクリーム添えだったので、迷わずそちらに。コーヒーは本日のおすすめの一つ、ボリビア・バシリオ・ティコナ。どちらもおいしゅうございました。

 その後駅に向かって歩いていたら、今年1月5日に行ったパンケーキ屋さんが別の店に変わっていた。おおなんという栄枯盛衰か。代わりに入っていたのがミッシェル・ブラン。あら、高島屋にも出ているお菓子屋さんじゃないの。そんな大手がなぜここへ? よくわかんなかったけど、ひとまずパウンドケーキをいくつか買った。「ダウントン・アビー」のお供にしよう。

 さて今夜はダウントン・アビーの第七回。第一シーズンの最終回でございます。前回トーマスとオブライエンの奸計によってワイン泥棒の濡れ衣を着させられたベイツ。もっともベイツに借りのあるカーソン執事や、ベイツの人格を信頼している家政婦長のヒューズの目はごまかせず、トーマスに言い含められて嘘の証言をしたデイジーも、後悔から真実をカーソンに告げたことにより、ベイツの無実は証明される。しかし一方でベイツは自分が窃盗の前科一般であることをカーソンに告白。屋敷の名誉に関わることゆえ、カーソンは主に相談することに。

 予想の範囲ながら、ロバートはベイツの解雇を渋り、結論はずるずる先延ばしのまま数日経過。業を煮やしたオブライエンのもとに、彼女が懇意にしている人物から手紙が届く。手紙の送り主はベイツの元上官のメイドで、その内容はベイツが軍隊時代に施設から銀食器を盗んだということ。ははあ、これが例の前科一般って奴かい。ってそんなことより銀食器ってなんだよ、どこのジャン・バルジャンだよと突っ込んだ視聴者は多いことだろう。

 とは言えこれまたアンナが機転をきかし、ベイツの母から事件の真相を聞き出したことで、ベイツさんの解雇は見送りに。相変わらずベイツラブのアンナとベイツの仲もこれでお互い心置きなく急接近かと思いきや、肝心のベイツさんは「あれは母から見た真実にすぎないんだ」と言って、焦らしテク続行を宣言。彼だけが知っている真実なるものもアンナが知ることはなく…。まあでも私はほっとしましたがね。少なくとも私の「ベイツさん、実は先代のご落胤」説が真実である可能性は保留されたのだからして(いいんだよう、夢見させてくれよう)。

 不穏な様子を見せていた世界情勢はいよいよ決定的な事態へ突入。ガーデンパーティー真っ最中のダウントン・アビーへ、イギリスがロシアとオーストリアに宣戦布告をしたという電報が届く。いよいよ動乱の歴史の只中へ…。って、ということでつづく! NHKでの第二シーズンの放送は秋からだってえ? 待ち切れんよう。スターチャンネルではもうとっくに第三シーズンまで放送終わってて、タイムリーなことに7月3日から第二シーズンを一挙放送するそうな。いっそ加入しちゃろうかな。




2014年06月04日(水) ダウントン・アビー第四回「移りゆく心」

 一回目からがっつりはまって見ています。今三回までの感想を書きかけているんだけど、まずはこっちを先にアップ。あべこべですみません。

 今回はバイオレット様が一気にキャラ立ちしたね〜。高慢ちきでがめつい女狐…いや間違いなくそういう部分のあるお人だけど、決してそれだけじゃない、お館の大御台としての心得をお持ちの方なのよ、というお話。これまでのエピソードからイザベラの一方的優勢勝ちになり、「モダンの勝利」という展開に行くかと思いきや、このドラマはそんな単純な物じゃなかった。1910年代という時代背景を考えれば間違いなく「封建社会の終わりと民主主義社会の始まり」を描くことになるのだけど、新旧のいろんな面を描いていくドラマなんですね。

 相変わらずメアリーが家財相続のことでごねる中、ロバートの言葉。
「このダウントン・アビーは先祖が築き上げ、その後代々の当主が守り抜いてきたもの。決して私一人の物ではない。私は管理者であって所有者ではない」
うむ、ロバートが娘という、相続権もなく爵位も継げない存在にダウントン・アビーを渡しては、家より私心を取ることになってしまうというわけだ。しかしこんなこと貴族の家としては今更だよなあ。なんでこんなでっかい娘相手に言わにゃならんのか。このドラマのメアリーの扱いっていまだに分からないなあと、私はもやもやしていた。

 だがしばらくしてはっとなった。今更こんなセリフが出てくることが逆に鍵じゃないのか? つまりメアリーは貴族の娘としての心得を誰にも仕込まれてこなかったのだ。通常娘を仕込むのは父ではなく母や祖母である。だがコーラはアメリカ人で、貴族の心得なんぞそもそも持っちゃいない。ではバイオレットは? コーラとバイオレットは今回の相続問題で結託するまでは険悪な仲だったという。さもありなん、マシューとイザベラに対してあんな露骨な態度を取るバイオレットである、コーラのこともさぞかし邪険に扱ってきたことだろう。一方でそのコーラの嫁入り時の持参金あったればこそ、ダウントン・アビーは破産の危機から救われたという過去がある。コーラも長く伯爵の妻をしていれば、それなりに家意識というものを持っていてもよさそうなものだが、かような人間関係があってはそのような意識が芽生えてくるはずがなく、自動的にメアリーにも育つはずがない。バイオレットが直々にメアリーをしつけたとしても、先述のような背景を抱えた「貴族の心得」なるものをメアリーがありがたく思えるはずがない。が、それでいて貴族の娘、それも長子としてメアリーはそれなりに大切にされてきたには違いない。だからでこそ彼女は自分の特権がどういうものか、分からないまま年を重ねてしまったのだろう。

 彼女が「貴族なるもの」を自覚したのは、恐らくジェイムスとパトリックが現れてからだろう。きっと最悪の形だったに違いない。「貴族なるもの」が「娘には家の物は何一つ残らない」という現実とセットだったのだから。メアリーがマシューについて父や母に感情的にくってかかるのも分かるというものだ。マシューを目の当たりにすると、ジェイムスやパトリックに出会った時に感じたショックが再生されるのだろう。

 こうやってメアリーの性格が分かるようになると、シビルの人の好さもリベラルへの憧れも同時に理解できるようになった。シビルはメアリーと違って誕生の瞬間から「貴族の家に娘として生まれた理不尽」を味わってきたのだろう。彼女さえ男として生まれてきたら全ての問題はなかったのだから。悪気はなくとも周囲はがっかりしただろうし、バカではないシビルが何も感じなかったはずがない。こういう彼女がモダニズムを求めるのは、実に自然なことだ。まあでももうちょっとひねくれてもよさそうなもんだけどね、シビル。

 とまあクローリー一族の事情はこの辺にして、今回はヒューズさんのデート話が、短い中にも彼女の仕事への誇り、それと相反する小さな後悔がさらりと描かれていてよかったわ。一部にやたら性格の悪い使用人もいるこの家中だけど(笑)、こういう頭もよくて人間としてもまっとうな人がヘッドにいるとほっとするわ。でも世が世ならもっと別の仕事に就けるだろうにとも思ってしまう。若いグエンが今まさに立身出世を目指しているけれど、できる女というのが地元に留まらないってところが時代の変化なんだろう。ああなんて正しい時代ドラマ。




2014年06月03日(火) チョコレートドーナツ

 傑作に違いなく。しっかしツイッターで検索したら「泣けた!」って感想ばっか。そういう映画じゃないと思う〜。あ、絶対ネタバレになるから未見の人はツイッターでタイトル検索しちゃだめよ!


【6月9日up】
 ミリオン1にて20時45分から。97分。

 そろそろ更新の際にもらった鑑賞券の期限が来ちゃう。って8月19日だからまだまだ余裕ありますけど。取り敢えずそれ使って「あなたを抱きしめる日まで」を見に行こうかなと思っていたら、もう終わっているじゃないか(ボカ〜ン)。あ、一応やってる。6月30日の「おはようミリオン座」って、モーニングショーでリバイバルですかい。じゃもう無理ってことじゃないか。とほほ。

 代わりに何をと思ったが、今のスターキャット系で特にチェックしている映画がない。「チョコレートドーナツ」がちょっと面白そうだったので、これを見に行こうと思った。20時45分から始まって22時27分までなら大丈夫だし。で、この際だからタダ券は使わずに、火曜のWポイントデーに行ってポイントを貯めよう。

 帰宅してすぐ、冷凍庫の残りごはんをあっためて、この間買ったアマノフーズの「服部幸應推薦香る野菜カレー」を食べる(インスタントにあるまじき旨さ)。それから太鼓と散歩に行って伏見へ。8時ちょっと前に整理券をもらうと007。Wポイントデーにしては客数が。上映が始まったのは5月17日からだから、こんなもんなのかな。まあこれ、結構人気があるみたいで今週でもミリオンで三回、センチュリーで二回やってるからなあ。中々、館を両方使ってまでやるってないよ。フロアに貼ってあるポスターをちらちら眺めているとウェス・アンダーソンの最新作「グランド・ブダペストホテル」が今週金曜から上映開始とあってびっくり。全然把握していなかった。もちろんビルが出るから見る 気満々ですよ!

 整理券を貰った後、近くの上島珈琲店でアイスミルクコーヒーを。映画館の中のカフェよりおいしいかなと思って買ったんだけど、実際のお味はそうでもなかった。これならポイントがたまる分、あっちの方がよかったかな。ボックスの中にも持ち込めるし。上映開始まで村木嵐の「マルガリータ」を読む。

 ゲイのカップル、と言っても映画の舞台は1979年なので当然同性婚など認められなかった時代、近所に住む育児放棄されたダウン症の男の子マルコを、互いがゲイであることを隠して養育していたカップルが、ゲイであることが露見した後、裁判所によって養育権を奪われてしまい、という話。時代設定を見ただけで、この二人がマルコを引き取ることなどまず不可能だと思うしかない。話が飛ぶけど、ERの何シーズンだったかで、レズビアンであるケリーが実子(ケリーのパートナーがケリーと合意の上で精子バンクによって妊娠して生んだ子)の養育権を巡ってパートナーの母親と裁判で争うエピソードがあった。あれが00年代の話で、あの時代もやっぱり同性婚はまだ認められていなかったけど 、少なくとも昔よりは寛容になったあの当時ですら、ケリーの養育権獲得にはかなりのすったもんだが伴ったのである。

 この映画の結末がどうなったかはこの際さておき。この映画には「このホモ野郎!」とか言ってリンチしにくるような分かりやすい差別者というのは出てこなかった。まあ、せいぜい警官による恫喝があるぐらいで。ついでに言えば「フィラデルフィア」みたいに、上司がホモフォビアな陰口を叩いたりするシーンもない。これはそういう差別を描く映画じゃない。普通か普通よりいい家に生まれ育って、まっとうな教育と信仰のもとに育った人たちが、苦笑いしながら、
「だけど男と男の夫婦なんて、家族とは言えないだろ?」
「本来の意味で夫婦とは呼べない」
「そういう環境は子供に誤った価値観を植えつけてしまうと思うんだ」
 と言ってくるのと戦う物語だ。

 全てはもう過去のこと、今となってはフィクションの中にしかない話だ。怒りも悲しみも、もう新しく作られることはない。ただ、歌っているアラン・カミングが演じているのは昔の怒りではない。かけがえのない昔に対する今の怒りなのだ。



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