猪面冠者日記
今さらだが当分不定期更新

2013年09月22日(日) 許されざる者(ラストちょいバレ)

感想書いてる時間あるかな。。いやしかし面白かったよ。時流に見放された人間たちのルサンチマンを描いた傑作。

(10月28日up)
 そろそろ原稿やらなきゃいけないけど、まだこれを見るまでは始められない(ボカ〜ン)。というわけで、ミッドランドのスクリーン7にて、12時20分の回から行ってきました「許されざる者」。いやー、もう、楽しみにしてたんだよ!

 午前中は別の所へちょこっとお出かけし、それからミッドランドへ。日曜だから早く整理券をゲットしないと! と慌てていったらまだそんなに混んでいなかった。へえ、いつも激混みなのに。おかげで席は難なくゲットできたのだが、この時点で11時13分、お昼をゆっくり食べている時間はない。少なくとも歌行燈まで行くのは無理だ。仕方がないのでミッドランドの地下からすぐにある大須きしめんでかけきしめん。360円で量も少ないので、映画を見る前としてはちょうどいい腹の足しになった。あと朝からずっと喉が渇いていたので近くの薬局でペットボトルの水も(大丈夫か、二時間半あるのにw)。ふう、ひところに比べりゃましになったけど、相変わらず暑いなあ。

 クリント・イーストウッド監督・主演の「許されざる者」は、往年の西部劇を踏まえた上で敢えて、極端な善人も悪人も不在、ヒーローも不在、ヒロインも不在、カタルシスも不在という世にも乾いた西部劇であった。この李相日版の「許されざる者」は役柄の配置が似通っているだけでなく、オリジナルの持つ茫漠たる空気を忠実に再現させているところがすごくよかった。

 思えば幕末から明治へかけてというのは大変な時代である。幕府がすでに腐敗し切っていたとは言え、二百数十年も続いた体制・価値観が数年で全壊してしまったのだから。しかも幕府が倒れてみれば、佐幕派も勤皇派も関係なく、全ての武士が主君を失い、禄を絶たれ、身分と誇りの象徴である髷も切らされ、刀も人前で差すことは禁じられた。ほとんど丸裸にされて、それでも生きていかなくてはならない。ただ食べていくために。そうしてわけありの武士たちが北の果てに流れていく。ならず者たちを縛り上げてみれば、東北諸藩の士族ばかり。今ちょうど「八重の桜」で敗北した側の武士たちの生き様が描かれているだけに、この辺の描写はとりわけぐっとくる。

 まあしかし、こうして綴っていくだけでも、明治初期の北海道というのは開拓時代のアメリカと共通する部分が多い。その辺はレイシズムについても同様。開拓者たちは確かに哀れな食い詰め者だが、原住民にとっては略奪者だ。まったくもって、開拓者たちは容赦なく彼らから奪う。オリジナル版では原住民はモーガン・フリーマンの妻だけで、しかも彼女が重要なキャラクターというわけでもないので、原住民差別の描写ははっきりとは出てこない。その代わり開拓者の手足となっていた奴隷たちへの差別が描かれた。クリント・イーストウッドの映画版は本当に説明が一切ないので我々外人には分かりにくいが、モーガン・フリーマンのあの最期は当時の黒人に対する扱いがそのまま出ている。白人にしてみれば、黒人が馬に乗って銃を操るだけでも憎悪の対象だ。

 ただ、人が人を殺すことの残酷さ、特に加害者の方が殺人行為によって病んでいく無残さは、李版の方がより強調されている。この辺の差はやはり用いる武器によるところが大きいのかもしれない。なんだかんだと言っても相手の肉体を直接損壊する刀と、距離を置いてそれを行う銃とでは、使う側にかかる負荷が違うのだろう(試したことないけど)。

 渡辺謙はいい意味で想定内の良演技。この人はこういう、危うさや脆さを持った人間をやった方が圧倒的にいいね。まあでも今回役者の中で一番素晴らしいと思ったのは小池栄子ですわ。女優としても大好きだったけど、あんまり評価してくれる人がいなくて寂しかったんだけど、今回は結構あちこちで褒められてて嬉しかった。ほんと凄かったんだよ。佐藤浩市はいつもどおりの佐藤浩市だった(笑)。あと、柄本明がモーガン・フリーマンの役をやると知った時は、意味が分からなかったんですがね。だってモーガンはあそこで主人公の無二の親友なわけじゃん。こういう役所に柄本明みたいな曲者役者を持ってくるのってミスキャストじゃないのって思ったんだけど、なるほど、ああいう人だったんだね。まあこの部分を変えたのは許容範囲だと思う。

 ただ、映画の結末にはちょっとねえ。いや、あれはあれでいいと思うんだよ。でもオリジナルの「あれほど殺戮を尽くしたマニーが、実はあの賞金でぬくぬくと幸せになっていた」っていう結末はそのままやって欲しかったなあ。あの思わずガクッてなるはずし方こそが、あの作品をより一層茫漠かつ不気味にしていたんだもの。そう、あれが語りだけってのがまた怖いんだよ。実はマニーは夜中にふっと起きだして動物殺したりしてるかもとか(笑)。ま、今度の結末だって十分素晴らしい仕上がりだったけどね。ちょっとだけ不満でした。

 終わると14時45分。長かったなあ。その割には一度もトイレに行かなかった。偉い。売店でパンフレットを買って、それから地下鉄に乗って池下のペギーへ。カフェオレとアイスクリームを。パンフが読み応えがあってよろしい。しかしロケ凄かったのね。

 それから地下鉄で矢場町へ行き、デパートをぶらぶらしていたのだが、ヒールのせいで足が痛くなってきた。それでも我慢して愛用の歯磨き粉を探していたのだが、いつもあった松坂屋南館のソニープラザにはなし。仕方なしにナディアパーク、パルコと回るがどちらもあいにくなし。足をジンジンさせながらしょんぼり帰宅。




2013年09月16日(月) 私が愛した大統領

 各地に被害をもたらした大型台風18号は、明け方から本格的に暴れだし、轟々たる風、大量の雨と共に通り過ぎていった。だけど問題は今朝の雨♪ ああこんな大嵐の中で太鼓のしっこをどうしたものか。そんなことを思いつつ、早朝、風雨の音で目を覚ましたまま眠れないでごろごろしておりました。結局8時頃に風は静まり、8時半に起きた頃には雨もいくらか通常の降りになっておりました。よし今だ、と太鼓を外に引っ張り出しいつものしっこ場へ行くと奇跡的にすぐしてくれて、嬉しいったらなかった。雨はそれから時と共にいよいよ小止みになっていった。もう名古屋は大丈夫だろう。

 昨日母がふかした芋をかじりつつ、録画した早あまを見る。テレビをつけると地上波はどこも台風情報で持ちきり。もっとも早あまはL字テロもなく、実に快適であった。今朝のあまちゃん、水口がまた北三陸にやってきたとこから。ラストはGMTの北三陸来訪。大津波と共に野心の炎も潰え、もはやこのままスナックのちいママになってしまいそうなユイちゃんが、これを期にかつての貪欲さを取り戻してくれるだろうか。

 雨、いよいよ小降りに。これなら伏見ミリオン座にも行けそうだ。11時50分からの「私を愛した大統領」今から行こう。今日はWポイントデーだしね。というわけで11時前に家を出た。最初大きい雨傘を持っていこうとしたのだが、もうそ今にもやんでしまいそうな降り。晴雨兼用の日傘に替えて出発。地下鉄、私の最寄り駅からしばらくはがらがらだったが、栄近辺になると、休日らしい人の量に。まあそれでもちょっとは少なめだったかな。

 11時20分頃に整理券を貰うと、012番。お、結構入ってるじゃないか。一番ちっちゃいミリオン3だけど(笑)。Wポイントデーだから当たり前とは言え、この天気じゃ市外からのお客さんは難しいだろうに、その中でビル主演の映画に客足が少しでも多いのは嬉しいぞ。

 開場までまだ20分ほどあるので、カフェでりんごジュースを買って読書。もちろんドイツ関連本。ただ途中読みのまま一年以上放置していたので、付箋とかメモとか貼ってあっても、記憶が中々追いつかない。結局すでに読んでいたページをざっと読み返すだけで時間が過ぎてしまった。

 整理券を切ってもらって中へ。一番後ろの端はもう座っていたが、そのすぐ前が開いていたのでそこへ。なんでこんないい席が空いているんだろうと思ったのだが、よく見たら床がぬれている。あー、さっき係りのお姐さんが「水がこぼれててそれがちょっと拭ききれていない」って言ってたのはこれのことか。で、なんの水なんだ。天井はなんともないから雨漏りの類じゃなさそうだ。ペットボトルか何かをこぼしたのかな。

 映画はフランクリン・ルーズベルト大統領。欧州は第二次世界大戦に突入するも、大国アメリカは今だ開戦せずという頃、英国王ジョージ六世とエリザベス皇后が訪米し、大統領夫妻に会うという話。

 なんとも地味な話だった〜。そもそもこの映画のヒロインでもあり、ルーズベルト大統領の従妹でもある女性が残した手紙というのがあって、その内容が、彼女はもとより大統領の秘書も大統領の愛人で、妻のエレノアもそのことは知っていたということなんだけど。ま、それはいいんだけど出てくる女どもがみんな物分かりよすぎて、大して揉めることもなく結局みんな仲良しになっちゃうんだよ。なんだそれつまらん(ボカ〜ン)。て言うかどこまで男に都合のいい話なんだよ〜。映画の雰囲気もなんかいい話っぽくて、私としては非常に物足りなかった。ルーズベルトさんにしても職場の女どもに手ぇつけまくりという点では超肉食なんだけど、誰に対しても妙に鷹揚だし、二言目には「引退したらミステリー書きたい」とか文系草食系丸出しで、これまた張り合いがない。折角ビルをキャスティングしたんだから、もうちょっと変なことやってくれよ〜。ハゲヅラかぶってボーリングやれとまでは言わないけど、女どもに3P強要するぐらいの度量はないのかい(ボカ〜ン)。

 唯一印象に残ったのはジョージ六世との会話だろうか。ご存知ジョージ六世は吃音で、かたやルーズベルトはポリオで歩けない。障害を抱えながら国の象徴として行動しなければならない、そんな苦悩の素顔を互いにちょっとだけ晒すのね。・・・まあでもほんと、よかったのってここぐらいだったよ(ボカ〜ン)。やっぱ地味は地味よ。でもってエリザベス皇后がすごくやな人なもんだから、数少ないいい場面も相殺されちゃう感じ。「英国王のスピーチ」において夫を力強く支えるエリザベス皇后の姿が印象に残っちゃってるせいか、こっちの方の、ふたこと目には「兄君ならそんなことはしなかったはず」と追い詰めるようなことばかり言う皇后にはひたすら閉口だった。

 映画が終わった後はパンフを購入。ええビルの映画ですから。主要キャストのミニ対談があって、むしろ本編より面白かったよ、私には。うん、こんな地味な映画に比べれば素のビルの方がずっといいです、例え本の数行のコメントでも。

 あーっ、そうだ書き忘れてた! エレノア役のオリビア・ウィリアムズ。ええ、あの「シックス・センス」でブルース・ウィリスの奥さんやってた人! 彼女がエレノア役だったんだよ! これ、私としては本来おいしいキャスティングなんですよ。なんせビルと彼女は「天才マックスの世界」で恋人同士の役でキャスティングされてんだから。だけど私最後まであのエレノアがオリビア・ウィリアムズだって気づかなかった・・・。そのぐらい別人だったんです。ええもう、壮絶なまでに・・・。彼女の演技自体は素晴らしかったんですよ。映画見ながらずっと「この女優さんいい演技するなあ」って感心しながら見てたんだから(笑)。ま、まさかあれがオリビア・ウィリアムズだったなんて・・・。いやあ歳月って奴ぁ!

 映画を見てたらホットドッグを食べたくなったので、近くのドトールへ。雨はすっかり上がって、からっとした青空が広がっていた。外はとても涼しく、思わずたくさん歩きたくなる。お店でレタスドッグとカフェラテを。その後はいいお天気の中、栄まで歩き、ラシックで買い物をして帰った。

 寝る前に昨日買った「八重の桜」のサントラIを再生。主題曲集以外で大河のサントラを買うのは「花の乱」以来だ。手足に薬を塗りながら視聴。いやあ、いいねえ。




2013年09月01日(日) ムービー43

 昨日、報和スケートリンクのあっこ展示ルームがリニューアルし、今日は今日であっこタオル第三弾の発売日とあって、今日は報和に遊びに行く予定だった。が、ふと見たセンチュリーシネマの上映表を見たら、ファレリー兄弟の新作が入っていた。ただ、今はセンチュリー2で15時からの一回のみで6日で終わりとある。はあ、いつからやってたの? ええっ、8月10日から?? なんてこった。ファレリー兄弟信者として上映を知らなかったことは大いなる不覚。いざ鎌倉と予定を変更して急ぎセンチュリーへ馳せ参じた。あ、ちなみにお昼は久々にラーメン桜で中華そばと瓶のアサヒスーパードライ。何を隠そうお酒を飲むの、久しぶりなのよ。ええ、このクソ暑いのに最近はビールろくに飲んでなくて。夏コミが終わってから手足にかゆ〜い湿疹が大量発生した上、今年は蚊にも奢りまくりで(虫除けスプレー、意味なし)、酒なんぞちょっとでも飲んだ日にゃあ痒み地獄になるから、一切飲まなかったの。一昨日辺りからほぼおっけーな感じになってきたので晴れて解禁。がーっ、うめーっ!

 映画が三時からで時間が一杯あったので、リブロで漫画を一冊買って、センチュリーのカフェで読もうと物色。ああしかしいざとなると見つからないもんだね。普段あれが読みたいこれが読みたいってあるのに。よしながふみの「愛すべき娘たち」が欲しかったけど、ないし。ふー。と時間ばかりが過ぎた頃、「千年万年りんごの子」一巻が目に入ってきた。あー、これ前から読みたいと思ってたんだ。週刊文春の漫画評でいしかわじゅんが絶賛しててさ。

 というわけでようやく一冊を購入してカフェへ。カフェは入った瞬間暑かったが、冷たい飲み物を買って(りんごの子、だけにりんごジュース買った)、うちわでぱたぱたやっているうちに慣れた。何気なく視線をやると、カフェの片隅でどこぞのおっさんがソファに寝転がっていた。ったく、こういう客層も来るから千円の日ってやなんだよなあ。まあいいや、そんなことよりまず早速一読。…面白い。最初はりんご農家の婿さん奮闘記かと思いきや、なんとも不思議な異世界の話に。続きが楽しみだ。しかしあまちゃんもこれも、田舎もんのデリカシーのなさが露骨でいいね(笑)。

 さて開場。私は整理番号6番。って、やっぱりさっきのおっさん、私と同じ作品目当てなのか。しかもオサン、普段私がセンチュリー2で定位置にしている一番後ろの通路側の、すぐ前に座りやがった。おおおお。まあいいや、一個ずれて・・・。というわけでおっさんは完全に回避したのだが、やはり千円の日はこんな映画でも(笑)満席に近く、私の前も男の人がずらーっと座り、なかなかに視界不良。ま、ちょっとお尻をずらせば見られるのでいいか。

 いやあそれにしてもやっぱりファレリー兄弟は凄いよ。兄貴のピーターだって今年57になるし、弟のボビーも55になったよ。なのになのに、相変わらずチンコチンコ、ウンコウンコ、ですよ。永遠の小学生男子! 万歳! もう万歳しか言うことない! 今回はまたキャストが無駄に豪華でほんとにその無駄遣いっぷりが素晴らしかった。ああでもファレリー作品常連のグレッグ・キニアが一番登場シーン多かったはずなのに、最後までわからんかった! だってあんたがファレリー兄弟作品ん中に限って、一番地味な役を当てられているなんて、思わないもの。まあ今回イロモノはセレブな皆さんへということで、譲ったのね。デニス・クエイドも完全に分からなかった。

 映画はデニス・クエイド扮する電波な自称脚本家がグレッグ・キニア扮する製作者に売り込みをかけにいき、自分の妄想ネタを語るという風になっていて、この妄想映画がオムニバスのように続くというもの。だがなー、さすがに何本もあるといくつかはつまらん作品もあるもので。いやぶっちゃけ、最初のケイト・ウィンスレットとヒュー・ジャックマンのが面白すぎてあとはどうでもよかった。これから行く人は是非予備知識一切入れず、このケイト・ウィンスレットとヒュー・ジャックマンのネタを見て欲しいね。なんならここだけ見てあとは帰ってもいい(ボカ〜ン)。

 あとファレリー兄弟にしては今回テーマが全くなかったのが意外。あんだけ下品なことをやっていても、いつもテーマは愛と友情だったのに、今回はそういうの一切なし。ギャグの方も本人比でちょっとブラック多めだった。万年小学生もついに中二病? てほどでもないか(笑)。

 そんなこんなで愉快な気分で帰宅した後、ここ一ヶ月余り休業中のベルデへ電話をかけてみる。今日こそは誰かが電話に出て、再開のお知らせという風にならないかしら。十数回のコールの後、奥さんらしき人の声が。おお。電話はかけてもいつも鳴りっ放しだっただけに、これは…。ああしかし電話の向こうから聞こえてきたのは、閉店させていただきましたというさびしい声。

 ショックだ! あれだけ好きな店が一つなくなったということは、もはや人一人が死んだに等しい。どうしよう。なんか映画見た後の楽しさが一瞬で消えたわ。

 夕食食べながら「八重の桜」第三十五回「襄のプロポーズ」視聴。今日が本当の会津編の最終回でしたね。尚様に対するあんつぁまの「ゆっくりと・・・時をかけた戦死だ」という言葉に涙。その後襄が八重を鳥羽伏見の戦場近くに敢えて連れて行くところもよかった。



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