猪面冠者日記
今さらだが当分不定期更新

2012年10月29日(月) 009 RE:CYBORG(2D版)

 当初はTOHOシネマズで20時からの回を見るつもりが、どうにも弟から車を使わせてもらえないので、109へ。こちらは18時45分からの回とえらく早い。ただ時間のことを別とすれば109の方は2Dなので、見るには易しい。帰宅してすぐ太鼓に餌をやり、自分もレーズンパンを腹に入れ、さらに食後の太鼓とちょっと遊んでやり、別れを惜しみつつ名駅へと向かった。

 前売も何も持っておらず、かと言って009を定価で見るというのも非常に癪なので(笑)、途中にある金券屋をだめもとで覗いたところ、なんとラッキーなことに109の鑑賞券が。これ一枚1350円。よかったよかったと笹島へ。隣接するZEPPの前を通ると、誰か海外ミュージシャンのライブらしく、お客らしいおじさんがZEPPの看板を携帯で写真に撮っていた。なんだか微笑ましい。

 映画館に着いたのは上映五分前。私はカウンターではっきり009と言ったのだが、カウンターのお嬢さん、なぜか「はい、まどかマギカですね」と言い、私が「あ、いえ009・・」と言うと、「あ、申し訳ありません」と謝ってきた。いやあこちらこそすみません。この現在、まどかの映画を見ず、それどころかまどかのテレビシリーズを見たことがなく、そのくせ009を見に来るオタクなんて負け組だと思います。はっきり言って。

 まあまあの大きさの5番スクリーンへ。いろいろ言われているけど、私はこの絵柄好きだわ。梅津泰臣っぽくて。止め絵にすると地味だけど、動き出すと結構かっこいい。少なくともジョーのビジュアルは今までで一番美形なんじゃ? 髪の処理もグーよ。それにしてもグレートは美化したなー(笑)。まるでガンダールさんですよ。序盤で意味ありげに登場していろいろ語っていたのでこのままクライマックスまで活躍するのかと思いきや、酒場でジェット相手に国際情勢についてひとしきり語った後はうやむやのうちに退場。能力は披露してくれたからいいけど、やはり103分で全員の見せ場を作るのは大変だわね。

 でもグレートの美化なんて甘い方だわ。仰天したのはジェットの方よ。一番最初にキャラ表見た時からこりゃ今回は誰よりもジェットがいろんな意味で荒ぶるんだろうなあとは思ってたけど、いやほんと色んな意味で荒ぶってたねえ。なんかねえもうやばい。こんな別人すぎるジェット、まっとうなジェットファンは見ない方がいいわきっと。だって中身がアルベルトなのよ(笑)。ドイツの黒い森になっていたアルベルトの胎果が何の因果か大西洋を渡ってニューヨークのジェットママのおなかの中に流れ着いて産まれましたみたいな(※十二国記ネタです)。そもそもあのジェットがあんな漢字の多そうなセリフを淀みなく言いながらグレートと国際情勢について対等に語り合ってる時点で驚きだよ。

 このジェット他にもいろいろ変なんだけど、セリフのみで語られる、ジェットが仲間たちと袂を分かった理由ってのがもうすごい。このジェットはある時期から博士やジョーのぬるいやり方に反発して袂を分かっていたのだ。「世界の平和は我々アメリカのようなやり方でこそ保たれる!」とか担架切って。っておいおいそれってむしろ、原作冒頭のスカール主催の覆面お披露目会に参加してる人たちが言いそうなセリフじゃないの。それお前が言ってどうする(笑)。しっかりしてくれ、ジェット(笑)。

 て言うかこういう群像もので「お前らのやり方はぬるいんだよ!」とかってスタンドプレイに走る味方キャラって、大体パターンとしてそのスタンドプレイが逆に敵に利用されて最悪の事態を引き起こし、結局主人公サイドがその尻拭いをする羽目になり、で、主人公はそれを苦心の末にどうにか処理して最終的に主人公万歳っていう展開になるもんですけど。ええ、まんまこの流れになってるよ。

 とまあ突っ込み所がいちいちありつつも概ねシリアスなキャラのくせに真っ昼間からマッパ&変形して空飛んじゃうんだから、もうもう、私は映画館の中で笑いをこらえるのに必死だったよ! でもまわりは特に笑ってそうな人いないんだもんなあ。どうすりゃいいの。て言うかあんなサンライズのロボットみたいな複雑な変形かますのに、なんだって皮膚をわざわざ肉色にしてるの(笑)。あのさ、コブラみたいに片腕だけとかならともかく、全身変形するんなら肉色はやめて(笑)。

 はっ、て言うか今回のジェットってティムティムは(ボカ〜ン)・・・?

 ジェットのキャラにいろいろ戸惑いすぎたせいもあって、他のキャラはデザイン含めて概ねまっとうに見えた。5も6もかっこええよ。ああ、でもいつになったら私のあの人は出てくるのかしら・・・。待ち侘びること40数分(確かそのぐらいしたと思う。もう映画半分近く終わっとるがな)アルベルト様がお出ましに! わーい、やっぱり大川さんの声はかっこいいよ。どっかの大門さんみたいなグラサンには物申したいが(笑)。

 でも登場したと思ったら合流したピュンマと一瞬ではぐれてやがる。ああまぬけ! そのくせピュンマを見失ったことに責任を感じるでもなく悪びれる風もなく「ピュンマはいなくなった」と他人事のように堂々報告する辺りはどうかと思う(笑)。で、その後アルベルトさんはさしたる活躍をするでもなく、下手に過去の悲劇を語るでもなく(笑)、実に適度な登場頻度を保ちつつそのまま終わりました。ま、クライマックスでは指マシンガンと膝ミサイルを披露してくれたし、よかったんじゃないかと。

 はあ、でもジェロニモかっこよかったあ。一番かっこよかったよなあ、間違いなく。彼だけが誰の邪魔もせず、また下手に誤解を与えそうな行動をするでもなく、まっとうに勤めを果たしていたしね。イワンを抱っこしてるとこも萌えた。あー、今思い出してもかっこいい。張々湖もよかったよねえ。私は彼はいい人なんだけど、そのいい人のまま実にちゃっかりしてて抜け目ないと思っているので、そういう面をばんばん出してくれたのは嬉しい。それにしても商標を巡ってギルモア博士と泥沼訴訟って(笑)。

 オチはどこ落ちにボルテックスという旧作へのオマージュのつまった素晴らしいもの(笑)。ああでも、あの状況だとジョーと一緒に死ねたわけじゃないからジェットがかわいそうだわ。なんか最後までかわいそう。でもあのビジュアルじゃどこまでいってもお笑いだわね(笑)。はー、こんだけ体も心もいじられた上に最後は主人公の踏み台にされるジェットって・・・笑えます(ひどっ)。今まで不必要にいじられるのはアルベルトが定番だったけど、もうやり尽くしたせいかこれからはジェットがトレンドになるのかね。この間の朗読劇のジェットも相当別人だったし。まあそんなに何度もリメイクされることもないだろうけど。

 エンドロールが流れ始めた辺りから、自然と安堵の微笑みが止まらなかったきもい私。とにもかくにも私のアルベルト、他のサイボーグはレイプされずに済んだ。少なくともジェット以外は。本当によかった。そう思うとほっとしすぎて表情が緩むしかなかった。外は寒かったが心は晴れ晴れでありました。




2012年10月28日(日) 危険なメソッド

 12時からの回にしようと思っていたけど、原稿もあるし10時からの回にして一日を有効利用しよう。というわけでちょっと早く起きてミリオン座へ。ボックスはミリオン2。さすがヴィゴたん出演となると一週目からミリオン3なんてことにはならないな。映画館にはギリギリ着になっちゃったけど、いい席も空いていて問題なし。

 ユングとフロイト、そして彼らと親交のあったザビーナ・シュピールラインの複雑な三角関係を描いたドラマらしいんだが、全99分でどこまで描けるんだろう? まあクロちゃんのことだから多少のアラはあってもつぼを押さえた映画にしてくれるでしょうが。つか最近のクロちゃんの映画ってみんな長さがコンパクトじゃない? トイレ難民としてはありがたいわ(ボカ〜ン)。

 のっけからスイッチの入ったキーラたんの気違い演技から始まり始まり。思えばデビューの頃からイギリスにおいては貴重な(笑)超絶美少女だったキーラたんですが、その頃から顔を崩すことを厭わない子で、そんな潔さが好感度大だったわけだけど、今回はまたすげえですわ。あの美女がアイーンみたいな顔して、海老みたいに体をくねらせて暴れるんだよ! もちろんずっとそんな演技しているわけじゃなくて、一応彼女も後世に名を残すほどの学者なので、本当は聡明な女性なんだなということが分かるような、ちゃんとしたシーンも一杯あるんだけど、ひとたびスイッチが入るとまた例によってアイーンになるので、どうしたってそっちの方ばっかり覚えちゃう。いくらキーラでもここまですごい演技をしちゃうなんて、クロちゃんたらどんだけキーラをいじめて追い詰めたのかしら・・・。なーんて考えるとうきうきしちゃう(ボカ〜ン)。ああ早くいろいろ起こらないかしら。映画ではまずユングが彼女の治療を試みるところから始まるんだけど、こりゃ当然ミイラ取りがミイラになるってパターンよね。いえーい、こういうの大好き!

 とまあ最初こそ期待大だったわけだけど、終わってみればこちらが思い描いていたほどの中身ではなかった。もちろん普通の基準で言ったらこれは上質の因業ドラマだけど、クロちゃん特有の「知的変態のかほり」というのがいつもに比べるとなんだか弱い。いつもだったらこちらが呼吸しなくても自然と入りこんでくるのに、今回は無理に深呼吸しないと独自のかほりが分からない。あのクロちゃんの映画なのに。やっぱ何がいかんてユングとフロイトの絡み具合がしつこくないのがいかんのだろうな。フロイトとユングはどっちも人の内面を上から目線で分析してそれをネタに食ってるやな野郎どもなんだけどさ。実際には漫画みたいに対照的なキャラクターなのね。フロイトは心理学のパイオニア。ユングはそのフロイトに負けず劣らずの優れた学説の持ち主でありながら、フロイトの存在は大きすぎ、どうしたって二番手にならざるをえない。その一方でフロイトはユダヤ系であり、扶養者が多くて立場や役職のわりに生活はそれほど豊かではない。ひきかえユングの方は生粋のスイス人でルター派牧師の息子であり、妻の実家が裕福なおかげで暮らしぶりは豪華。

 こんな二人の人物をいつものクロちゃんが描いたならさぞかしと思うんだけどねえ。フロイトはもっとユングを学会でいじめりゃいいし、ユングももっと家柄や金持ちをひけらかしてくれればと(ただしそこはそれ、クロちゃんらしくあくまで知的さを忘れずに)。ところがどうも浅い。一箇所、フロイトとユングがアメリカに向かう客船に入った時ユングが「あ、僕は妻に一等席を取ってもらってるんでそっち行きます。じゃ、ここでさよなら」なんて、天然なんだかわざとなんだか、すっげーしれっと言うところには笑ったけど。どちらかというとザビーナの病気やユングとザビーナの不倫の方にフォーカスしちゃってるのが残念だ。ここはやはり、ユングとフロイトの一筋縄ではいかない関係を大いに描写し、彼らこそ本物の性悪で気違いだという所をもっと強調して欲しかった。

 というわけでいろんな意味で惜しい映画でした。ヴァンサンもあれだけではヴァンサンの無駄遣いとしか。

 ところで映画を見ている最中に、鍵を家に置いてきてしまったことに気づいた。しかもスマホも家に置いてきたし。スマホの方はスケートカナダをテレビで見るまでは情報をシャットダウンしたかったからそのためにわざと置いてったんだけど、鍵は単なるうっかり。ううう、電話は地下鉄の駅に公衆電話があるだろうからなんとかなるとして、家に誰もいなかったらどうしよう。幸い、電話をかけると母が出た。私が帰る予定の頃までは充分家にいるということで、一安心。お昼を食べて、松坂屋でダウンや海外用のコンセントを買ったりした後帰った。ダウンを買うのは生まれて初めて。ヨーロッパに行くからってのもあるけど、これからの季節、少なくとも二月辺りまではアイスショーであれ試合であれ長時間観戦するにはダウンじゃないと辛いなあと去年の全日本などで実感しているので。




2012年10月27日(土) 「納税」予定

 いやー、今日から公開開始ですね。土日のうちに見に行こうと思ったあれですが、今朝(おそっ)調べてみればTOHOシネマズにしろ109シネマズにしろ、2Dでも3Dでもあんまりちょうどいい時間はなさそうでした。土日のTOHOシネマズは車こすったトラウマがあるので、却下。109は割引券を持っていないし、そもそも駅から遠くて嫌。ううむ金曜のうちに割引券買っておけばなあ。ええ前売は買ってないんです。だって見つけられなかったんだもん。まあそんなに真面目に探さなかったせいもあるけど。

 TOHOシネマズだと3Dが夜の八時からあるわね。これなら平日でむしろいい感じ。できれば2Dがいいけどしゃあないか。というわけで雨じゃない限り車で行って見てきます。

 明日は「危険なメソッド」を見に行く予定。




2012年10月21日(日) スケアメ終わったねえ

 この間ジャパンオープンが終わったばかりではありますが、逆にこれが終わるとシーズンは早い。というわけでこの土曜日からついに今季GPS初戦スケートアメリカが始まりました。今大会は地上波放送こそ日曜深夜のGet Sports内でのみですが、CSの朝日ニュースターでは男女SPフリー共にフル生放送、BS朝日の方でも録画放送ながらフルでやってくれるという次第。もっと地上波でちゃんとやって欲しいけど、初戦だからしょうがないすかね。

 男子のSPは楽しかったですねー。みんな新プロかっこよかったし。特にこづのなんてこの二季の似合わないプロが嘘のような素晴らしい神プロで、もう本当に嬉しくて放送以来リピが止まりません。結弦もいきなり神演技して95.07という歴代最高得点をマークというめでたさ(ルールは毎年変わるから歴代って言っても意味ないんだけどね)。ジェレミーもちょっと危なっかしい演技ながら何とか三位につけ、まずまずでありました。

 が、この後のフリー大自爆でもってSPまでの高揚感はどっかいっちまいましたよ(ボカ〜ン)。もともと今日は会社の健康診断で出かけてて、終わった後香蘭園でお昼食べて帰ってきてすぐテレビつけたら、そこにはかつてなく悲痛な表情で演技を終えたジェレミーの姿が・・・。そこですぐ巻き戻して最初から見たんですけど、途中から辛くて早送り終了しました(ボカ〜ン)。ええおかげ様でその後の結弦自爆もこづの逆転優勝もまっちーのGPS初表彰台も記憶のかなたです。ああ、今回アメ男子の面子はジェレミーが飛び抜けているだけに、ここでせめて表彰台に上がってきっちり存在感を見せて欲しかった…。総合五位ではファイナル進出は無理だろう・・・。ソチ開催で会場も五輪と同じだから、なんとしてでも行って欲しかったんだけどなあ。全米でこんな演技だったらと考えるとスケアメで失敗しておいた方がまだましとも言えるけど。うーん、なんというかこの不調、一時的なもんじゃない予感がしてしょうがありません。体型が前より大きくなっているのが気になる・・・。まだ明日明け方に女子フリーの生放送があるけど、気持ちが切り替わりそうにありません。ごめんね遥ちゃん。

 というわけで直後にカルチェ行ってケーキ買ってきて紅茶と共に焼け食いしておりましたとさ(食べながら録画しておいた女子SP見たよ。遥ちゃん演技は残念だったけど、衣裳が過去最高に素敵だったわー)。

 ああ、今からベルシーが不安で不安でまた不安だよ。ちなみに「は、そおいや前海外行った時に外貨余らかしてたよね。いくらあったかなあ」と数えようとしたら、全部リラとフランでした(ボカ〜ン)。そりゃ大学の卒業旅行ん時なんだから、さもありなんですわ。近いうちに栄のUFJで両替してこよ(現地でもできるけど、あんまし向こうでばたばたしたくないんで)。




2012年10月14日(日) 清盛がなんだかんだで限界である件について

 義朝が死んだ時点ですっかり興味が失せた「平清盛」だが、その後の成人頼朝役の岡田君が思わぬはまりっぷりだったり、杏ちゃん政子がやっぱりかわいかったりしてだらだら見続けておる。つっても平家パートは早送りで流して、源氏パートだけ通常再生で見ているので、効率的だが。今日は杏ちゃんが今までのジムシーから一転、普通の姫姿になっていてびっくり(そして変貌の説明一切なし)。

 ただそれでもストーリーの兼ね合いなどでどうしても平家パートもやむなく見たりするんだが、もうこれがいつ見ても腹が立って腹が立って辛い。最初から散々言ってるけど、私つくづくこのドラマの清盛が嫌いだわ。物腰と外見が変わっただけで、「はてしない勘違い」という本質的な部分は中二時代からなーんも改善されてなくって、そのくせ権力だけは丸抱えしちゃってんだからむしろ青年時代よりたちが悪い。そりゃこんな奴が頭領じゃ滅びるよね平家。それだけの権力を得るに至るまでのドラマがまたつまんなかったしねえ。清盛がこれだけの権力を得るようになった一番の理由はぶっちゃけ財力だけど、その財力の大元である博多の貿易なんて親父が始めたもので、清盛はそれを引き継いだだけ。政界への進出だって、親父の平身低頭&バラマキ攻撃があったればこそだし(清盛はその尻馬にのっかってギャーギャー騒いでただけ)。そこから先のさらなる出世に関しては財力はもとより、清盛と信西との関係なくしては無理だったわけだが、その信西との関係にしても出会いの仕方といい、根拠のない好かれっぷりといい、主人公特権以外の何物でもなかったし。要は恵まれているだけなんだよね。本人は何もしていない。どや顔で「新しき国」とか言ってる以外には。その新しき国とやらも武家による法治国家なのかと思いきや、今に至るも具体的なことがドラマの中で一度も提示されていないし。まあぶっちゃけ自分と自分の一族だけがいつまでもおいしい思いをする国なんだろうけど。だったらもっと清盛を権力欲旺盛なキャラに描いてくれなきゃ合わないけど、実際のドラマじゃあの通り何の底意もなく「新しき国〜」だもんねえ。

 犠牲と言えば保元の乱で叔父忠正とその子供たちを自ら処刑した所が犠牲っぽいけど、あの辺りは実の父や兄弟を切らなければならなかった義朝の方がよっぽどかわいそうだったし(結局自分ではできなくて正清がやったけど)。それ以前の義朝にしてからが、一族のために時には泥をかぶったり敢えて父為義を遠ざけたり、明らかに清盛より実のある行動をしていた。義朝の父にしてもそんなできる息子が妬ましくもあり頼もしくもあり、と複雑な親心を見せていてこれまたぐっときたし。それに引き換え清盛と忠正の葛藤はなんとも幼稚だったなあ。大体清盛がいつも考えなしの行動をして一族を窮地に陥らせて忠正がそれにキレるというパターンだったけど、清盛が馬鹿なのはデフォルトとして、忠正の方も「だからあいつに継がせるのはやだったんだ!」ってだだこねるばっかで、じゃあそんな憎い甥っ子の尻拭いをどんだけさせられていたかと言えば、この人自身は何もしていなかったんじゃないかと(出動の際は当然忠盛から駆り出されたりはしていたけれど)。具体的な尻拭いはむしろ忠盛や家貞の方が、黙々とやっていた。彼らがキレるのなら分かるんだけど、叔父さんはキレる資格ないよね。清盛はどうしようもない奴だけど、若者が心得違いをするのは仕方がないじゃない。それに対して先輩として懇々と何かを諭すこともせず、一方的に「ああ、こんな馬鹿なガキに巻き込まれた俺かわいそう!」って騒ぎまくるだけの人のどこに年長者らしい振る舞いを見いだせるのか。まさに言葉どおり「絆などはなっからないわ」な。そんな二人が切ろうが切られようが知ったこっちゃないわい。

 とまあ平家は馬鹿とガキばっかりで、もうこうなったらせめて後白河法皇ぐらいシリアスに政治ドラマを背負って欲しいのに、こいつも毎回いいとこまで清盛を追い詰めちゃあ結局とどめは刺さずに泳がしちゃうだけで、何もしない人なんだよね。今回の清盛頭悪いんだし、もっと徹底的に追い詰めようと思えば後白河にゃ簡単だろうに。何かっつうと「ぞくぞくするの〜う」で済ませて終わりですよ。なんか池乃めだかの「今日はこの辺にしといたるわ」みたい。まああの後白河が本気出したら歴史が変わっちゃうからまずいんだろうけど、この辺の二人の相克が今一つぬるい原因が、史実との兼ね合いがどうこう以前に、脚本家がそういう複雑なドラマを描く力がないからっていう風にしか思えない。

 とまあ平家も公家も全くどうでもいい奴ばかりという中にあってちょっといいのが清盛嫡男の重盛。早逝するのは史実なので彼のドラマがネガティブなのは当然なんだが、よくもまあこれだけ清盛と対照的にしてくれたなあ、と思う。中身は清盛なんかよりよっぽどしっかりしていて、一族の将来も国の将来もきちんと考えているんだけど、権力が親父一極集中なもんだから、彼のまっとうな考えがちっとも浸透しないのだよね。嫁が一生懸命子供たちに躾をしようとしても同居の姑が甘やかしまくりなもんだから、子供たちは立派なアホボンに成長中ですみたいな。重盛はもともと清盛が好き勝手して妻にした明子の子。明子の身分が低かったために重盛には強い後見人がいない。明子の死後清盛の後妻となった時子は重盛を大事にしてくれているけど、その時子の弟時盛なんぞは本心では自分たちの血筋である宗盛こそ平家の後継ぎにしたいと思っているから、重盛は家の中でも孤独だ。せめて同腹の弟が生きていれば心強かっただろうに、もういないし。義兄の藤原なんとかは小物でこれまたあてになんねえし、清盛にとっての盛国のようなそつのない側近も重盛にはいない。今ドラマの中の重盛は心身共にすっかり消耗してなんだかもう虚ろです。このまんま浮上することなく死んでしまうのだろうなあ。なんなんだろ、このドラマのテーマって。結局生まれる前から主人公タイプってのが決まっていて、そういう奴が勝ちってことなのかね。なんと虚しくつまらんテーマよ。

 舞台となった時代は違うが、この点において「負けて、勝つ」はよくできていたと思う。アクの強い政治家たちが知略、時には卑怯な謀をもってしてでも国の活路を開いていく様はかっこよかった。まー、ちょっと美化しすぎじゃないかと感じる点もあったけど、人間そして歴史というものに対してこのドラマは今の大河なんかよりよっぽど誠実に向き合っていたと思う。

 結局藤本有紀って人間にも歴史にも興味ないんだろうなあ。なんかもう難しいことは苦手なんです、あたしは単に萌えが描きたいだけなんです、みたいな。

 そんなわけで例年通り大河を嘆く私ですが、来年の大河は新島八重主役の「八重の桜」。脚本が「ゲゲゲの女房」の山本むつみだけど、どうなりますかね。朝ドラ単体で比較すれば「ちりとてちん」より「ゲゲゲの女房」の方が人間ドラマとしてよくできていたと思う。少なくともゲゲゲはドラマを面白くするのにキャラ萌えに頼ったりはせず、よい意味で平易な描写をこつこつと積み重ねることで物語を育てていたと思うのだけど。でも同じ脚本家で同じような当たりが出るとは限らないもんなあ。キャストはよい感じなので三話ぐらいまで様子を見ることとしよう。




2012年10月13日(土) ソハの地下水道

 上映は29日から始まっていたけど、これ当初は一階の名演2での上映だったんだよね。しかも一日二回だけ、さらにその二回というのが16時からと18時45分からという有り様。いくら本作が145分という長尺でまわしにくいからって、一応アカデミー賞外国語映画部門にノミネートされていたような作品が、しょっぱなから名演2でこの扱いとはあんまりだ。もっともその後上映スケジュールをチェックしてみたら、今週(先週だったかも)から名演1で一日三回(13時、15時50分、18時40分)の上映に変わっていたので、安心したが(そんでも翌週20日からはまた名演2に戻るのだが)。

 行くとしたら13時の回ということで、本日の予定としては9時半ぐらいに起きてゆっくり洗濯をして、早めに劇場へ、と思っていたが、ちゃんと起きたはずが太鼓と遊んでいる間に遅くなってしまい、栄に着いたのは12時半。やれやれ。それにしても今日なんだか暑いわ。地下街も冷房をあんまり使っていないのか、以前に比べて暑い。喉が渇いてしょうがなかったので、地下街で水を買ってから映画館へ。やっとこさ辿り着いた三階ロビーはすでに結構な入りで、貰った勢理番号も024と、良席確保は難しい数字。間違っても「わあーい、24だわっ」などと喜べるゆとりはございません。

 待っている間遠慮なく買った水をがぶがぶ。ええ、どうせこんな長尺じゃあ途中でトイレ行くに決まってますからこの際好きなだけ飲みますよ。

 場内の点検に手間取ったのか、開場は上映五分前にやっと。しかし見つけた席は視界よし脱出経路よしと、思ったよりずっといい席で、安心。

 冒頭でソハとその仲間が何をしているのか、途中で出くわしたユーゲントの青年が何なのかが分かりにくかったのだが、後でパンフを読むと、ソハは仲間と空き巣に入っていたのであり、そこへその家の住人であるユーゲントの青年(もちろん最初から彼の家であったわけではなく、もともと住んでいたユダヤ人かポーランド人から奪ったんだろうが)が現れてひと悶着起きた、ということなのであった。

 上映早々、そんな風に主人公が犯罪者であると表明されるわけだが、ソハたちが盗んだ品をどうするのかと言えば、地下の下水路の一角に隠すのである。彼は下水の点検・修理を本業としており、街の地下を網のように走る地下水道のことはすみからすみまで知り尽くしているのであった。

 ソハにはまたさらに別の稼ぎ口があった。彼の街にはナチスによって造られたユダヤ人のゲットーがあり、彼らが所持している高級品を預かって金や食料に替えてきてやるんである。ソハ自身が彼らユダヤ人をどう思っているかと言えば、当時の大多数のヨーロッパ人がそうであったように、差別の対象でしかなかった。目の前で全裸のユダヤ人女性が何人も撃ち殺されているのを見ても、彼は特に何とも思わない(どうでもいいがソハにはレオポルドという美形キャラみたいなファーストネームがあるのだが、ほとんどだあれも呼んでない)。

 そんな彼がゲットーの一斉検挙を免れたユダヤ人十数人を、なりゆきで自らの庭である地下に案内することになる。もちろん先述のような男なので人道からではない、純粋に「こりゃ儲かるぜ」と踏んだ上でのことである。かくして彼はユダヤ人たちからたんまりと日当をまきあげ、その一部を元手に食料を買いこんで地下に運ぶという毎日を送ることになる。と言ってもおいしい思いをしていたのは最初の頃だけで、食料は日に日に値上がりしてその分ソハの上がりはどんどん減り、おまけにドイツ兵や近隣の連中からも「何か隠している」と疑惑の目で見られるようになっていく。もしばれればソハ自身はもとより、彼の妻と幼い娘も殺される。こりゃもう手ぇ引いた方が身のためだ。

 もちろんお約束でソハは引かないのであるが、そこに至った原因として、彼自身の良心の呵責などいろいろありつつも、そこはあくまで彼の極めて個人的な感情においている辺りがいい。少なくとも、主人公を突如ヒューマニストにしてしまった「シンドラーのリスト」のような薄っぺらさはない。「なんだか成り行きで助ける羽目になってしまった」という辺りはチェコの「この素晴らしき世界」を思い出させるが。

 ソハのみならず、地下に暮らすユダヤ人たちのドラマもまた真に迫ったものだった。共に迫害を逃れて来た者たちながら、乏しい食料に下水の中という劣悪な環境下で、それ以前の豊かで平和な暮らしの中では見せなかったであろう表情を見せるようになっていく。一人一人がそれなりにエゴを持って生きている様がなんとも悲しく、身につまされる。「ヨーロッパ・ヨーロッパ 僕を愛したふたつの国」においてもホランド監督は「何人であれ、その時代においては加害者・被害者両方の面を持っている」ということを描いた。その人間観はここでも徹底されている。史実ながら、物語のその後に無常観が漂っているところも「ヨーロッパ・ヨーロッパ」を思い出させた

 朝に分厚いトースト食べたきりなので、終わった頃には空腹。ペギーへ行くと、いちじくのパウンドケーキが出ていたので、それとカフェオレ。アイスクリームも頼みたかったが、私が注文した後、この店にしては珍しくお客がどどっとやって来て店内がひどく忙しげになったのでやめた。家にあるペギーのドリップコーヒーがなくなりかけているのを思い出し、何個か買って帰った。

 その後は松坂屋でお買い物。そろそろ短い丈のパンツともおさらばだなあ。ブーツの下にはけるようなスキニータイプのジーンズが欲しいんだけど、もう家にあったような気もし、しかしはっきり思い出せない。ひとまず南館のジーンズショップに行くが、家のジーンズの記憶が曖昧なので、パンツは買わずに長袖のシャツだけ一着買った。

 その後は地下食品街のハゲ天で天ぷらを。欲しかったキスはあいにくなく、野菜かきあげとさつま芋だけ買って帰る。が、帰宅後もなんだかだるく、うどんも結局油揚げとネギだけになった。太鼓と遊んであとはHDDを整理して寝る。




2012年10月08日(月) コッホ先生と僕らの革命

 ああ困ったものだ。土曜に会社のウォーキング大会に行ったはいいが、暑い中歩いたせいもあってこの日一日はおろか、日曜日もぐったりするばかりで、原稿がろくに進まなかった。加えて土曜日はジャパンオープン、日曜日はカーニバル・オン・アイスと、見るものがあって落ちつかないったら。特にカーニバル・オン・アイスでは、まさかのギターコンチェルト布袋生演奏、さらにそれにカートとジェフも加わるという夢のコラボで、しばらくこの余韻から抜けられそうにない。さらに犬。太鼓ちゃんのしつけに毎日四苦八苦、七転八倒で心身ともにぐったりしております。はー、新刊できるのかなー。

 だがそれはおいといて今日は久々の映画鑑賞。本当は前回の「ジェーン・エア」で映画は当分打ち止めにするつもりだったんだが、この時予告編で見た「コッホ先生〜」が思いの他萌え度高めだったので見に行くことにした次第。この間金券屋でスターキャットの鑑賞券も買ったので準備はばっちり。行くとしたら11時55分からの回だな。

 朝は少しゆっくりめに起きて、それでも自分としてはてきぱきやってたつもりなんだが、結局ミリオン座に着いたのは、11時50分頃。おいおいもうすぐ始まっちまうだよ。はたしてミリオン3に入った時にはもう予告編真っ只中で、席も私の定位置はすでになかった。そもそも結構埋まっててやばい。一番後ろから三番目の端近くがなんとか空いていたのでそちらに潜りこむ。

 ドイツサッカーの父として知られるコンラート・コッホが赴任先の学校(生徒が中学生っぽかったので、上級学校ですかね。それかギムナジウム?)で子供達にサッカーを広めようと悪戦苦闘する話。と言っても全編ほとんどフィクションと言ってよいストーリーである。時代は1872年。明治政府の廃藩置県が1871年だから、まあそんな頃の話であるわけだ。当時のドイツはまだ帝政であり、身分や階級での格差が激しかった。学校教育において教師は絶対的存在で、指導は当然鞭、鞭、鞭。そんな環境に対してイギリス帰りのコッホ先生(『グッバイ、レーニン!』のダニエル・ブリュール)がイギリスで彼がはまったサッカーを授業に取り入れ、楽しむことを通して子供達を教育しようとする。

 展開はほぼ予想どおりのもので、意外なことは何一つ起こらないんだけど、一つ一つの試練がなかなかリアルで最後まではらはらした。試練の大半は権力側からの圧力なんだけど、彼らからのあの手この手がどれもまあ、執拗かつ巧妙なこと。もちろんその根っこには子供だとか、労働者階級だとか、弱者に対する差別がぎっちり詰まっていて、見ている間の憎たらしさといったらなかった。こういう理不尽な面をきっちり描いているからこそ、ラストの救いも大きいんだけどね。取り敢えずドイツっ子たちには充分萌えたので満足。あと、貴族の息子でジャイアンみたいな奴が好きになっちゃうメイド娘役の子が、妙にエロくてドイツ映画にしては珍しく女の子に萌えた(笑)。

 娯楽映画らしくコンパクトな尺で、14時に終了。パンフは買おうか迷ったが結局買わず。クローネンバーグとヴィゴたんの新作「危険なメソッド」の前売は忘れずに買った。

 その後大須に寄ったら小腹がすいてきたので、香蘭園へ。ラーメンを食べたのだが、店を出た直後、貧血と眠気がごっちゃになったような状態になり、歩くのがやっと。大須ベーカーリーでパイだけは買いたかったので、なんとか行ったがその後もふらふらは止まず、ほうほうの体で帰宅した。それから自宅ではほぼずっとベッドでゴロゴロ。録画しておいたCOIやMWOを見ようとしたが、ちっとも集中して見られず、結局バタンキュー。




2012年10月03日(水) 受付確認ハガキは届いてます

 1日に届きました。今回も記入ミスだけはなかった模様。

 ところで29日に無事お犬様を受け取ったのですが、いやあ、生物が家の中にいるってこんなにも疲れるもんだったのかなー、とたった半年振りのことなのにとってもえらいです。今が子犬の時期で、躾やら何やらが大変ということでもありますが。昨日もイオンに行って齧り防止のスプレーを買ってきました。太鼓の齧り癖はちょっとやばいんですよね。今んとこカーテンなどは無傷ですが、壁とかがガリガリで。このスプレーをかけてやると、犬が嫌いな味が物にしみるので、もう噛まなくなるんだとか。帰宅後早速傷んでる箇所にかけてやったら、「グシュッ」となって、もう噛まなかったです。すごー。一日数回使ってやるといいみたい。つっても、この日同じく買ってきてやった小さいブランケットの上には敷いたまさにその瞬間におしっこ…。まあこれは気持ちいいのをもらった嬉しさゆえのウレションなので敢えて叱るまい…。

 他にもいろいろ誉め分け、叱り分けしてトイレと噛み癖だけは正しい方へ仕込みつつあります。これを繰り返してやればもうあとはほったらかしでもどうにかなるかしら。



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