猪面冠者日記
今さらだが当分不定期更新

2012年05月31日(木) コーマン帝国

 上映は19日から。悠長に今月一杯は大丈夫と思っていたら、今月って今週で終わりじゃんということに気づいた今週の月曜。1日は映画の日で混みそうだし、金曜はどっちにしてもお出かけの予定がある。ただありがたいことに今まではずっと18時半の回のみだったのが、26日から11時からと19時40分からの回に変更されている。この時間に今池なら腹ごしらえをしてから行けるわ。また木曜日は親が出かけちゃってるから、その辺も都合がいい。

 本作はあのロジャー・コーマンの伝記ドキュメンタリー映画。ちなみにシネマテークでは「尾張ナゴヤの夜コーマン」と題し、「デス・レース2000年」、「ロックンロール・ハイスクール」、「残虐全裸女収容所」、「スペース・レイダース」を週替わりで併営していた(ただし26日からは『コーマン帝国』が一日二回でリバイバル上映の方はなしに)。個人的にはこのリバイバルも一本ぐらい見たかったけどなー。まあ暇がなかったんだからしょうがない。

 香蘭園でラーメンを食べてから今池へ。シネマテークで貰った整理券は一ケタ台だった。開場まであと15分余、この間から引き続きで「ファイル」を読む。ただ肝心の付箋を忘れてしまって、書き込みができず無念。開場の頃にはお客さんもちらほら増えて、見た感じとして八割方は埋まっているよう。レディースデーとは言え内容が内容なので(笑)、女性客は全体の二割程度。まあ予想していたよりは多いかな。年齢層はやはり40代から50代が圧倒的で、しかも見るからに秘宝読者っぽいのがなんとも(笑)。

 映画は現在のコーマンから始まる。齢80を過ぎた今でもプロデューサーとして現場で指揮を振るうコーマン。クルーたちの向こうにある物は、水着姿の美女、そしてそれを食うワニ。この時点で館内が乾いた笑いに包まれ、何とも言えない一体感が生まれた。場が暖まった後は、もう流れるように最初から最後まで笑いありまた笑いありという感じ。映画というよりは何かのイベントに参加したみたいで、本当に楽しいひと時だった。

 いや、もちろん内容そのものはコーマンの映画人生を映画界の移り変わりと併せて綴った真面目なドキュメンタリーですよ、念のため(笑)。そしてもちろんコーマンゆかりの皆さんも多数ご登場。ジャック・ニコルソン、ピーター・フォンダ、マーティン・スコセッシ、ジョー・ダンテなどなど(インタビュー参加の中に今は亡きデビッド・キャラダインがいてホロリ)。まあ、ニコルソンもスコセッシも「ほんっと、ロジャーの映画は下らねえんだよなあ」と実に楽しそうに語っているのがよいね〜。みんなある意味ひどい目にもあっているんだけどさ(笑)。

 何しろキャリアが長いので中には「え、こんな人まで?」なんてのも。スタトレのカーク艦長、ウィリアム・シャトナーの映画初主演作がコーマン映画だったなんて知りませんでしたよ(しかもコーマンにしちゃ珍しい、真面目な映画で)。

 映画ではもちろんコーマン自身も過去のインタビュー映像を含めてたっぷり登場している。みんな口を揃えて「コーマンはとても紳士的な人」と言っているけど、確かに物腰は穏やかで口調も淡々、服装もこざっぱりとしたもんだし(まあ大儲けしてないからってのもあるだろうがw)、とにかく映画関係者らしいエキセントリックなところがかけらもない。映画監督というよりどっかの大学教授みたいだ。もっとも、そんなノーブルな物腰そのままに、警察の目を盗んで撮影を決行したり、で、それが原因で拘留されちゃった監督に対して「まあこれも社会勉強だ」とか言って保釈しに行かなかったりするんだから、やっぱり普通の人じゃないんですけどね。

 映画が終わって明るくなった館内を見渡すと、皆さん実にいい笑顔で口々に「面白かったなー」と言っておりました。受付ではコーマンの顔がプリントされた映画のTシャツを買ってるおじさんもいました。私はパンフレットを購入(執筆陣は町山智浩、江戸木純など豪華豪華!)。地下鉄の中でちまちま読みながら、ええ気分で帰宅。




2012年05月27日(日) 「へうげもの」関ヶ原終わった

 昨日大須へ寄ったついでにコンビニで24日に出たモーニングを立ち読み。西軍の将、安国寺恵瓊、小西行長、石田三成処刑の回。各々才あり野望ありの彼らも、「つはものどもがゆめのあと」とばかり、今となっては河原の露と消えゆく身。すでに彼岸を見ている三成の方は、おなじみの柿のエピソードも経てこのまま生涯を終えるかと思ったが・・・。うーん、やっぱりただでは殺さなかったねえ。山田先生らしい残酷美が清々しゅうございました。ああこれで関ヶ原も終わりかあ。

 どうしても戦が中心になってしまうとゲヒ殿の活躍が難しく、合戦に入ってからの関ヶ原はあんまし面白くなかった。やはりゲヒ殿のキャラが輝くのは関ヶ原直前と関ヶ原以降など、各武将たちが腹の探りあいをしている間なんだろう。今回、エンディングは大坂城で淀君・秀頼・家康・秀忠の宴。ああ、いよいよ大坂の陣。そしてゲヒ殿ならびにへうげの終末へ向けて物語は進んでいくのね。




2012年05月26日(土) ファミリー・ツリー

 本日は12時から歯医者。今日は定期検査と共に歯列矯正の進行具合を見るためにレントゲンの撮影等で二時間ほどかかります、と言われていた。お金もかかるのでその辺用意して行ったんだが、いざ行けば担当医が急に休みを取ったとかで本日は通常の定期検査のみと(ボカ〜ン)。

 クリーニングとフッ素塗りなどで歯医者は一時頃終了。ま、今日はここらで適当にごはんを食べてパルコや松坂屋をぶらぶらして、あとは大須ベーカリーでパンでも買って帰ろうと思っていたのだが、「大須の香蘭園でラーメン食べてからまた戻って『ファミリー・ツリー』見てもいいかな」などと思いだす。本当は明日の12時30分からの回に行こうと思っていたのだけれど。お昼以降の上映時間どうだったっけ、とひとまずパルコへ。ははあ、12時半の次は14時50分からなのね。それならお昼食べてトンボ帰りしてちょうどかも。

 ジョージ兄貴主演とはいえ、「ファミリー・ツリー」なんてこじんまりしたホームドラマだからてっきりセンチュリー2かと思いきや、意外にもセンチュリー1での上映。ああ、まあ、他が「キリング・フィールズ」と「ポテチ」じゃ、「ファミリー・ツリー」の方がメジャーだわな。ともかく14時50分の回からの整理券をゲット。おお、004番だ(笑)。

 ハワイ王族の血を引く主人公(ジョージ兄貴)は、もはや貴重な手つかずの広大な原野を先祖代々受け継いできたのだが、法律が変わり、この土地はもう七年しか権利がなくなってしまった。様々な不動産からおいしい売却話が舞いこんで来ているが、他の一族が売却に乗り気なのに比して、当の兄貴はなんとなく迷っていた。私生活でも、ボートレース事故で昏睡状態に陥っていた妻について、医者から「もはや回復の見込みはない。本人は前から尊厳死に署名している。生命維持装置を外しては」と宣告される。まず長女にその事実を伝えるのだが、「ママは本当は浮気していたのよ」と長女の口から聞かされて・・・。

 ハワイで生まれ育ったのに、サーフィンはここ十年やってなくて、家族サービスそっちのけでこつこつ弁護士稼業なんて人間、私生活では粋な遊び人のジョージ兄貴が演じるのは無理がないかと思ったが、「一見すればお気楽な楽園暮らしだけど、現実にはいろいろあるんだ」という本作のコンセプトを考えれば適役とも思う。そおいやジョージ兄貴はアレクサンダー・ペインの「サイドウェイ」で、主人公のポール・ジアマッティの相棒の役をやりたかったんだよねえ。あの時とは全然違う役だけど、やっとペイン作品に出られてよかったじゃん。

 例によって地味なホームドラマだが(まあペイン作品の大半は波乱万丈とは無縁の普通の人々のドラマだから当たり前だが)、ハワイの美しい風景のおかげもあって飽きない。ジョージ兄貴といえばERだが、そのERで相方だったグリーン先生は「ここは地上の楽園だ」と言ってこの地で死んでいったんだけどねえ。現実にここで暮らしているジョージ兄貴はあんま幸せじゃないんだね。私はよくアレクサンダー・ペインとキャメロン・クロウの作品をごっちゃにしちゃうんでその防止のために「やな奴ばっかり出てくるのがアレクサンダー・ペイン、いい奴しか出てこないのがキャメロン・クロウ」としているのだが、本作でもその辺の個性の違いはしっかり出ていて、ジョージ兄貴の娘は二人ともDQNだし、妻の浮気相手もなんかしょうもない奴だし、要所要所でいらいらさせてもらった。中でも兄貴の舅が実にやなジジイで二言目には「ふん、お前みたいなつまらん奴と結婚したばっかりにこんな事故に(←関係ねえし)」だの、「どうせお前にはそのうち大金が入るんだもんな。いい身分だな」だの言いたい放題で、「おめえこそキラートマトにぶっ潰されて死ねよこのクソジジイ」と憤ることしきりであった。

 DQNな娘二人も含めて、家族の様々な面を知るという物語ではあったが、だからこそ肝心の妻の心が人づてにしか描かれないという部分は、物語としてそれでいいのかなあと思った。原作がそうだからって言われればそれまでだけど、せめて日記でもあったらねえ。まあ、その人の本当のところについて結局よく分からないまま死別の時を迎えてしまうというのは、現実としてはよくあることではあるけど、物語として考えた時にどうかなと思った。

 ところでジョージ兄貴の親族のうち、売却に積極的な垂れ目太眉のおっさんが「どっかで見たことあるんだけど思い出せない」とやたら気になっていたのだが、エンドロールを見てボー・ブリッジスだと分かった(ジェフ・ブリッジスの兄貴)。あーーーっ、確かにあの眉はそうだよなあ! しかし老けたよなあ、あんなもんかねえと思いつつ、帰宅後ネットで調べたらもう70なのであった。えええ。

 終わった時点で16時50分だったので、お茶などはせず、ただ松坂屋をちらっとだけ流す。その間に母から電話がかかってきて、「お父さんとお寿司行ってくるからあんた適当に食べてて」と言われ、そんじゃと、大須へ。大須ベーカリーでイギリスパンとフレンチトーストを三個買い、キッチントーキョーでビーフシチューを食べて帰宅。フレンチは明日のおやつにしよう。へへへ。




2012年05月25日(金) まだ途中読みだけど卯月妙子の新刊がすごい

 先月の23日、友人から「ちょ、卯月さんが新刊出すってよ! タイトルは『人間仮免中』とか」というメールが届いた。友人は数年前にも「卯月さん『縛師』っていうSM映画に出てるらしいよ」とか「ついに精神病院に入院した」とか卯月妙子情報を細々と伝えてくれていた。今回も彼女からの情報がなかったら全く気づかなかっただろう。でも実際に出るかどうかは分からないよな、卯月さんだし、などと思いつつ日は過ぎていった。そして友人からメールをもらったちょうど一ヵ月後、ふとアマゾンを検索してみると、もう発売されていた。早速ぽち。しかしアマゾン見て気づいたんだけど、「実録企画モノ」も「新家族計画」の全二巻も今絶版なんだね。うーん、「新家族計画」は雑誌連載で読んだきりで単行本では持っていないんだよなあ。そして案の定「新家族計画」の方が高値がついてる(一巻が15400円て)。

 「人間仮免中」だけ買うのは勿体ないので、山田満知子の「美しく舞うためのフィギュアスケートレッスン」もぽち。ついでに中古で「素直な心が才能を伸ばす!」もぽち。あ、だって卯月妙子だからさ、何か健全なものを一緒に買いたいんだよう。

 というわけで三冊ほぼ同時に本日届いた。まずは「美しく舞うためのフィギュアスケートレッスン」を先に。これ、ちっちゃい頃の佳菜ちゃんがお手本として出てんだよね(近藤里奈ちゃんもいるよ)。ああ、かわいい〜っ。・・・とまあ、汚い話を読む心の準備ができたところで意を決して読んでみた。冒頭、寺山修司の詩をバックに歩道橋からダイブする卯月さん。えっ、自殺未遂を起こしたってのは聞いてたけど、それって飛び降りだったの? うう、でもこれ妄想画面かもしれないし。て言うかこんなところからスタートするなよ!

 混乱したところで時代は急遽さかのぼり、「新家族計画」のオヤジこと有末剛との別れ。この二人、漫画の中ではぶっとんだ仮夫婦ながらいい感じだったんだけどね。でもまああの漫画は実際よりかなり美化されてるからなあ。前に有末剛のブログ読んだけど、そこにあった卯月さんの気違いぶりったらなかったし。まあ二人ともアレな人たちなんで、どっちが正しいなんて言えないんだけどさ。敢えて言うなら気違いの卯月さんの視点の方が信用できないけど。ああ、あとついでに言えば卯月さんの最初の結婚にしたって、卯月さんがあの旦那と出会ったのって精神病院だしね。まあ、そりゃあ、最終的にはああなるよね・・・。両方病人な上に両方ともクリエイターって、もう見事なまでにハッピーエンドの予感がしない・・・。

 ひとまず卯月さんが飛び降りる場面は、漫画の中盤ぐらいなのでそこまでは読んだ。うーむしかし今パラパラめくってるけど、この後がすげえよ。歩道橋から飛び降りて、卯月さんは顔面から落ちるんだけど、なぜか脳は無傷で(笑)、でも顔面のダメージはやはり途方もなく、左目の骨が上にずれて・・・。で、漫画ではこの後の壮絶な手術とリハビリの話になっているんだけど、またここから精神的にアレな展開もあるっぽいし、ひとまず一旦おくか。まあ続きはもうちょいしてから読もう(と思いつつ6月8日時点でまだ読んでません)。




2012年05月22日(火) わが家の母はビョーキです/母がしんどい

※本来なら20日の日記なのだが、「別離」に割いているので、こちらへ。

 18日の金曜日、会社の休憩中ついているNHKで流れていた番宣で興味を持って、19時半からの「ナビゲーション」を見た。サブタイトルは「誰にも言えない 〜精神疾患の親を持つ子どもたち〜」。取り上げられたのは主に統合失調症。親が統失に罹った場合、その子供に与える影響は大きい。友人にも誰にも相談できない。相談しても誤解・拒絶がつきまとう。そうするうちに他人を頼れない性格になってしまい・・・、という現実がリポートされていた。実際に親が病気にかかっている人も登場していたのだが(親の顔は当然ボカシあり)、それらのVTR中で「わが家の母はビョーキです」という漫画が紹介され、著者の中村ユキとお母さん、中村ユキの夫が登場していた(こちらは三人ともボカシなし)。

 番組のVTRでは三人穏やかにお茶を飲んでいて、お母さんなんてどこが病んでいるのか全然分からなかったが、「ここまでなるのにどれだけ大変だったか」が漫画のページと共に手短に語られると、そのわずかに紹介された部分だけでも何とも言えない気分に包まれ、結局番組が終わってすぐアマゾンで注文した。しかしこれ、結構話題になった作品なんだね。全然知らなかったよ。

 中村ユキの絵柄は女性作家の四コマでよく見るような親しみやすい絵柄だ。しかしそこで綴られる内容は次から次へと壮絶。お母さんが発病したのは彼女が四歳の頃だという。もともとこのお母さんは非常に気の毒な生い立ちの方だったのだが、大人になってからの不幸な結婚生活が追い討ちをかけ、次第に精神を病んで発病。しかしひとたび発狂すると年端もいかない娘にすら包丁を振り回す始末で、とても可哀相だなんて言ってられない。貧乏な家族と貧乏な親類の中では、病気に対する正しい知識と対応など望むべくもなく、当の病人は孤立するばかり。

 誰からも守ってもらえない母と娘はそれでも少しずつ外部を頼り始める。まずは病院、ついで福祉。とは言え外部の協力者が出現すれば一件落着というものでもなく、その後も波乱の展開は続く。それら一つ一つの過程は、極めてじれったい行きつ戻りつの繰り返しだ。にもかかわらず絵柄や語り口から漂ってくるものは非常に健康的で、どこか清々しさが漂っているのである。もちろんそれは病状が落ち着いた今だからそのように描けるのだろうが、何より彼女自身の「決して病んだままでは終わるまい」という強い意志がこの漫画からは伝わってくる。

 ただ悲しいかな自分には同じ状況なら無理だろうなあとも思ってしまったことは確か。中村ユキだって母親を憎んだことはあったろうと思う。実際作中では母子で相当な修羅場が何度か登場する。どこでどう踏みとどまれたのだろう。

 作中には障害年金やその他の給付金の手続きの仕方やタイミング、医者やソーシャルワーカーとのコミュニケーションの重要性、措置入院の実態なども細かく書かれており、ハウツー本としても非常に優れている。あと、作中でははっきり描いてはいないが、医者の良し悪しについてもそれとなく分かるように描かれている。非定型向精神薬ではなく定型のばっかり処方する医者はいけませんな。

 比べちゃなんだがこれを読んじゃうと「ブラックジャックによろしく」の精神科編は、物語としてはもとより、情報量だけを取っても実に上っ面だけ(比べるなよ)。

 読み終えていろいろなことを考えているうちに、これとは別の母子のやりきれない骨絡みの物語、「母がしんどい」を頭の中でいろいろと引き比べていた。読んだのはもう一ヶ月以上前で、当時すぐに感想を書こうと思ったのだが、小鉢のこともあって長文を書く気になれなかったので、これを機会にこちらの本の感想も書いておこうと思う。

 「わが家の母はビョーキです」と比べた場合、著者自身と母親との関わりを綴った漫画という共通点こそあれ、「母がしんどい」の田房永子の母親の方が、「このような母にどう対処すべきか」その選択枝は極めて少ないと感じた。つくづく性格が悪いということは、どんな病気よりたちが悪い。まあ性格が悪くてしかも病気というケースも現実にはあるが。

 腐るほどある人格クズ両親の人格クズっぷり描写には、こちらも嫌悪感右肩上がりで読ませてもらったわけだが、その辺よりもずっと心の琴線に強く(それこそ感動と嫌悪両方で)触れてきたのは、この漫画における田房永子自身の方だった。普通こういう作品だと著者は自身をかわいそうに描くものだが、この作者はそういうことはしない。田房永子という主人公は実にアレな人なんである(心優しい夫に両親への恨みを八つ当たりしたりする)。そういう描き方をするということが彼女の優れた客観性によるものなのか、あるいは自身と自身の生い立ちへの憎悪によるものなのかは分からないが。

 第三者の声をきっかけに(ここは『わが家の・・』と共通する部分だ)、彼女はようやく両親とのコンタクトを断つ。ただしその先にあるのは自分自身との戦いで、というところで漫画は終わる。「そんなこともっと早くやれよ」と大方の人が思うだろう(私も思った)。彼女も周囲の人からその手のことは言われたかもしれない。でもその人が人生で最善の行動を取るスイッチは、他人には押せないのだから仕方がない。それに、どんなに遅くとも他ならぬ自分の頭で気づき、自分の足で行動したことの方が、長い目で見れば価値がある。

 絆を保つことよって得られる救い、絆を断つことによって得られる救い。二つの真実を描いた作品。同時に読むのはきついけど、両方ともおすすめの漫画です。




2012年05月21日(月) アサイン出た

 夜中かと思っていたら、夕方の五時頃に出たみたいでびっくりでした。はー、どうしよ・・・。本気で11月のパリに行きたいです。もし決まったらその時は申し訳ありませんが、今年の冬コミは申し込みません(ボカ〜ン)。

 このところ日記が本当に滞りまくりで申し訳ありません。ツイッターはしょっちゅう更新していたんですが、長文を書く気力がなかったんです。

 4月3日に小鉢が脱走して、その後すぐに戻ってきたという記事は覚えておいでかと思いますが、あれからまたすぐ小鉢は脱走してしまい、現在に至るも情報は何一つありません。いなくなったのが分かったのは、6日の朝でした。結局戻ってきてから家にいたのは丸一日そこらでした。保健所と警察にもすぐ届け、その後近隣の動物病院や動物美容院にもポスターを貼っておきました。近日中には新聞の折込もしてもらいます。それで何もなかったらひとまずあきらめようと思います。

 あんまりがっかりしてしばらくは何もする気になれなかったのですが、逆に家にいても体がなまるばかりなので、土日は映画見に行ったり、デパートを見回ったりしております。

 最近ようやく長文を書く気になってきたので、しこしこと書き始め、昨日、3月31日のヘルプの感想と、4月20日の国別観戦の感想をアップしました。今日は国別の21日分と「汽車はふたたび故郷へ」、「オレンジと太陽」の感想を上げました。このまんま徐々に仮記事をアップできたらなあと思っています。他、仮指定していない箇所でも思い出したら書くかも。気まぐれですみません。




2012年05月20日(日) 別離

  昨日の「ルート・アイリッシュ」に引き続き、今日も名演小劇場に行くぞ。この間めでたくアカデミー外国語映画賞を受賞したイラン映画「別離」を見るためさ。お目当ての回は名演1にて13時30分からの回。で、それとは別に今日は映画の前に寄りたい所があったので7時に起きるはずが、今朝起きたら9時ですよ。もうなんなの。最近の私の起床根性はゼロだわ。

 昨日大須ベーカリーで買ったカレーパンを朝食に。12時ちょい前に名演で整理券を貰い、それから大須へ向かって香蘭園でラーメン、それからまた名演に戻る。なんてめんどくさいことを。そんなにラーメン食いたいかよ。

 上映15分前に開場。一番後ろのど真ん中という黄金席は確保できず、その隣の席にいったのだが、後から大柄な人に前に来られたので移動(またかよう)。うーん、ここも若干視界が悪いが、さっきよりはましかな〜。

 いやあ、凄い映画だったわ。昨日のルート・アイリッシュが109分で、今日の別離は123分なんだけど、分かりやすいサスペンスやドンパチのあるルート・アイリッシュがあっという間に終わるのは当たり前として、これだけアクションが少なく、仕掛けも地味な映画があっという間に終わるってのは、まさに作り手の腕だな。これならアカデミー賞取るのも納得だね。

 いやでもこれ、話としては凄く地味なんだよ。物語の発端はヒロインが娘を連れてアメリカに移住したいってことなんだけど、だからって別にこの一家が政府から迫害されているとか、アメリカ願望のあるヒロインを旦那が非国民呼ばわりするとか、そういう映画チックな話では全くないのね。じゃどういう話かっていうと、アメリカに行くのはいいけれど、呆けちゃった親父を置いていけないよっていう旦那との言い合いとか、ヒロインがぶんむくれて家出しちゃって、残された旦那と娘はお爺ちゃんの世話が大変とか、そういうお話なの。で、困った旦那はヘルパーとして女の人を雇うんだけど、お爺ちゃんの呆け具合は旦那が思っているより深刻で、粗相しちゃったり徘徊したりで女一人の手には負えない。そもそも彼女は戒律の厳しい宗派なのか(ヒロインは軽くほっかむりしてるだけだが、彼女は全身真っ黒だ)、自分の旦那以外の男性を着替えさせたり体洗ったりとかできない。さあ困った・・・。

 まあこんな感じでチリッチリッと針でやられるようなストレスフル展開が最後まで続くのであります。テンポがいいのでイライラしたりはしないけど、終わった頃にはもうぐったり。だがそれにしてもこの監督の観察眼は凄いな。イスラムの戒律という我々にとっては特殊なものが混じっているとはいえ、日常誰でもやらかす勘違いや見落とし、それこそ家にアレ忘れてきたとか、アレあなたに言ってなかったっけ? といったもの、ただそれだけを積み重ねて、本来なら凡庸なホームドラマで終わるものを123分のドロドロサスペンスにしてしまうのだからして。この辺のセンス、はっきり言って山岸凉子レベルでしたよ。

 また役者さんの顔もいいよね。もともと東欧顔が大好きな私だけど、ペルシャ人の顔って東欧人の肌をちょっと黒くしたような感じで、私にとってはストライクですよ(同じ中東イスラム圏でもイラクやエジプトになるとアラブ人になっちゃって、こっちはちょっと好みから外れる)。その中でもヒロインが美人で、ホームドラマとは言え、立派な華を添えてくれていました。

 新栄にちょっと寄った後、ペギーへ。カフェオレはいつものことだけど、ケーキメニューに今までなかった「なつみかんとはっさくのパウンドケーキ」なるものがあったのでこれも一緒に。おいしかった。いつもはカフェオレとアイスクリームが定番な私だけど、このケーキがあるうちはこれにしようかな。

 それから矢場町まで行って、松坂屋をぶらぶらしていたら母から「夕食はそっちで適当に食べてくれ」との電話。そのまま松坂屋で天ぷらを買って帰る。帰宅すると父が鎌倉旅行から帰ってきていて、早速落花生でテーブルを汚していたのに閉口しまくり。

 冷凍うどんができあがった頃、NHK総合で「清盛」が始まったので見る。まあ今日はプレ保元の乱だし、せめてここぐらいは見ておくかね、と。て、意外に面白いじゃん。最初っからこのぐらいのクオリティでやってくれたらなあ。もう今までの清盛のガキみたいなうだうだとか、どうでもいいホームドラマとか、騒々しい割りに中身のない女同士のどろどろとか、なんだったの?

 過去日記を三本どうにか仕上げてアップ。はあ眠い。東海テレビ深夜のプリンス・アイス・ワールド、かなちゃんの演技をちらちら見つつ就寝。




2012年05月19日(土) ルート・アイリッシュ

  今日はケン・ローチの新作「ルート・アイリッシュ」を見に行く日。ちなみに本作、名演では今日が初日でございます。ちょっと早く起きて12時半からの回に間に合いたかったんだが、誘惑に負けてしまい、起きたのは10時・・・。まあその次の14時40分からの回だっていっか。起きてすぐカップラーメン食べて洗濯物干して三階の廊下を掃除していたら、そこそこいいお時間に。

 上映は一階の名演2の方。ジム・ローチの「オレンジと太陽」が三階の名演1だったことを思うと、なんでパパがちっちゃい方なのよと文句を言いたくなるが(笑)、まあ三階では話題の「別離」が先週からやっているから、しゃあないなあ。開場までまだ10分ちょっとあったが、ロビーにいると作品の音声がもろに聞こえてくるので、しばらく館外の椅子に腰かける。今んとこ人は少なそうだが番号は019かあ。初日で結構人来てるのかな。

 開場となり適当な席に座ったものの、何の因果か後から私のすぐ前に天衝くような大女が。ちなみにカップルで来てて、隣の彼氏が先に席を取っていたようなのだが、この大女、なんと横の彼氏より座高が高い。ひいい、映画館の椅子で、背もたれから肩が出ている女なんて初めて見たぞ。て言うか貴様のような大女は一番後ろに座らにゃいかんだろう! 相手の男もその辺配慮せんかい〜。私としては大幅に移動したかったが、すでに席は粗方埋まっている。ひとまず一個ずれて、ちょうど彼氏の後ろぐらいに座ったところ、うまい具合に視界がずれてスクリーンはほぼ快晴。よっしゃよっしゃ。その後、私がいた席におばさんが一人座ったのだが、着席した直後おばさんは「身長差が・・・」とぼそり。ちょちょちょ、彼女も自分の身長は気にしてるだろうし、そんな明らかに聞こえるような声で言わんでも。などと言いつつ、このおばさんに目を合わせて思わず苦笑の挨拶をした私も意地が悪い。まあ、最初にマナーをわきまえない方が悪いわね。大女、ようよう自分が邪魔だと気にしだして、その後はずっと首を曲げていた。もっともおばさんはあれからすぐ前の方に移動してしまい、その後その席はずっと無人だったのだが。

 現在、戦争によって国土を荒らされたイラクであるが、またさらに様々な国の企業が復興産業という名目のもと、ハゲタカのように群がってきている。とはいえいまだにテロや犯罪が日常茶飯事であるかの地のこと、一人一人の身の安全や建物の警備のために重装備の自衛が必要である。こうして各企業は独自に警備員を抱えることとなった。こうした企業お抱えの警備員たちは、その規模も装備も軍隊並みであるが、一応国の定めた軍規のもとに行動する軍隊と違って、なんの法もない。また戦後イラクで定められた法律により、彼らがその行動によって民間人に被害を与えたとしても、イラク国内の法で裁くことはできない。かくしてイラクでは連日のように、民間警備員の暴走によって武器を持たない者が命を落とす。

 パンフレットの中でケン・ローチは「『アメリカが一番の被害者だ』などと言っているイラク戦争映画にはうんざりしていた」と語っていた。ああ、それ分かる。ぱっと思い出すのは、イラク戦争で戦死した女性の遺族を描いた「さよなら。いつかわかること」だ。あれはあれでいい映画だった。政治問題について語るのではなく、あくまで一個人にスポットライトを当てて描いた映画だということは分かっていた。が、それでも戦死した彼女に殺されたかもしれないイラク人のことを思うと、素直には感情移入できなかったものだ。映画を作っているのがあくまでアメリカ人である以上、同胞に目がいくのは当然のことだとは思うものの、妙にもやもやした気分が残ったものだった。かと言ってアメリカ側が100%バカだとまでは思えない。ドキュメンタリー等でPTSDに苦しむイラク帰還兵を見れば、何とも言えない気持ちになる。

 だからこの題材でもローチ先生以外の普通の映画作家が監督だったら、「この複雑な問題をどう描くのだろう」と不安になったことだろう。でもケン・ローチだ。私は見る前から妙な安心感があった。はたしていつもどおりのきつい展開を見ていくうちに、ああやっぱりローチ先生にとっては別に難しい題材じゃないのだな、と思った。昔からずっとこの監督は、全ての貧乏人の味方だった。ローチ先生の中ではイギリス人だからイギリス人の主人公たちにより感情移入してしまう、ということはないのである。民間兵のファーガスであれフランキーであれ、彼らに故郷を破壊されたイラク人であれ、ローチ先生の中では同じ「貧乏人」という国の人なのである。だからイギリス人の肩ばかりを持って被害者の存在を描かないなんてことはしないし、イラク人が彼らを許す、なんて話も作らない。そしてもちろん、こんなことに手を染めなければ人並みの暮らしさえ手に入れられないファーガスたちの境遇に対しても、静かな憤りをぶつけている。ファーガスたちの雇い主はいけしゃあしゃあと若い正規軍人たちをリクルートしに来るが、若者たちはみんなすすんで彼らの誘いにのっていくのである。恐らくファーガスが兵隊になることを選んだ時も、「そんなのよせ」と言ってくれた人や、心の中でそう思っていた人はいただろう。でもファーガスにはきっと選択の余地はなかったのだ。若い兵士だって多分そうなのだ。

 終わった後は中日ビルのプレイガイドへ。ぴあの先行で当たったTHE ICE22日楽のチケットを引き取る。ふーん、西の七列目かあ。これなら先に確保してあったローソンの方がいい席だな。ぴあのはリリースするか。映画券売り場を見ると「別離」の前売りがまだ売っていたので購入。この後普段ならペギー直行なんだが、すでに五時近かったので錦にあるヴァン・サンヌ・ドゥへ久々に行く。小腹が空いていたこともあり、アップルパイをがっつりと思ったが、これは調理に20分ばかりかかるということで、カフェオレと共にハニートーストを注文。トーストが来るまで「ルート・アイリッシュ」のパンフを読む。おお、ガース柳下が寄稿してるじゃないか、嬉しいなあ。しかしなんかねえ。救いのない現実にひしひしと目を通しながら、そんな緊張感とは程遠いクソ甘いもんをこれからいただくってのは、我ながら罰当たりだわ。

 などと考えていたらブロックみたいなトーストにバターとアイスクリームがどっぱりのっかったのがお出ましに。パンフをしまってすぐ食いにかかる。おいしー。しかしほんとクソ甘いよこれ。ううむカフェオレじゃなくて普通のコーヒーにしとくんだったかな。しかも耳のところ超絶硬いーっ。ケーキ用ナイフじゃなくて包丁が欲しいよ。でもうまー。

 結局カフェオレを飲み終わってもトーストはまだ三分の二ぐらい残った状態で、このままブツだけというのはきついと、普通のコーヒーを追加。うん、やっぱりブラックコーヒーとの取り合わせの方がさっぱりしていい感じだった。お店を出た後は大須へ行って、大須ベーカリーへ。しかしお目当てのイギリス食パンはすでに売り切れでがっかり。代わりにカレーパンとバターロールを買って帰った。

 帰宅後、八時頃に母と気晴亭へ。正直、さっきのハニートーストのせいでまだ完璧空腹じゃないんでとんかつはちょっとね、とも思ったのだが、私と気晴亭の相性はばっちりで、苦もなくいつもの量を食べられた。あまつ、思い出して持っていったサービス券でピルスナ生ビールまでおいしくいただいてしまった。まったく、春から初夏にかけての食欲はやばいよ。




2012年05月14日(月) ドナルド・ダック・ダンが

 ブルースブラザースのドナルド・ダック・ダンが死んじゃったよー(涙)! 夕刊開いたら訃報が載ってた。ホテルで死んだらしいが、事件性はなさそうとのこと。て言うか公演のために日本に来てたのかよ! スティーブ・クロッパーも一緒だったってことは、オーティスのバンドとして来たのか。

 でももう70歳だったのかあ。そりゃまあダンだってもう今年還暦だもんねえ。ジェイムス・ブラウンも死んじまったし、ナチ役のヘンリー・ギブソンも死んじまったし、はああ。

 でもバンドの皆さんて比較的皆さんまだ健康ですわな。アラン・ルービンなんて絶対ヤクやってるっぽかったのに、今んとこ訃報は聞かないし(笑)。

 まあ皆さん長生きして下さいね! ダンはもちろん痩せること! そして続編を作らないこと!

 はっ、そう言えば先日従兄から「BBの権利を(NBCとかブロードウェービデオとかひっくるめて)全てダンとジムが管理することになった」てなニュースを聞いたんだが、どうなんだろう。ああこういう情報を自力でなく人づてで知っちゃう辺り、最近本当に英語のニュース読んでないわあ。




2012年05月10日(木) アーティスト

 スターキャットの上映予定を調べていたら、てっきり今月一杯はやるだろうと思っていた「アーティスト」が今週までとあるじゃないか。うーん、アカデミー作品賞とったんだからもうちょっとやってくれてもいいような気が。まあまあ4月7日からやってたことを思えば、長くやってくれたと考えるべきか。でも時間帯調べると12時からと20時25分からの二回のみの上映・・・。うわーん、どこかの大富豪がスターキャット系列の映画館をもう一つ造って下さいっ。

 まあでも夜の回ならレディースデーに行けるな。会社終わってごはん食べてからでも行けちゃうくらい。小鉢飼うようになってから平日に映画って、段々行かなくなったんだけどね。というわけで会社終わった後、大須の香蘭園でラーメンをずるずるした後、上前津から地下鉄鶴舞線に乗って伏見へ。

 7時ちょい過ぎに整理番号を貰うと、007番。ボックスはミリオン3か。さすがに2へやっちまうほど客は少なくないのね。フロア結構混んでる。やっぱり話題作でレディースデーのせいかと思っていたが、実は20時15分からの「ブライズメイズ」目当てのも多くて、こっちが開場すると女性が半分ぐらいいなくなった。私はいろはすを飲みながらボールペン片手にドイツ関連本を読んで開場までの時間を潰した。ちなみに今読んでいるのは「ファイル」。GWに家族と下呂行った時から読んでいるが、意外に面白い。だが今はフロアのBGMやCMの音がちょっと大きくて集中し辛いなあ。

 物語は1920〜30年代、まだサイレント映画が主流だった頃のハリウッド。当代きってのスターであるジョージは、トーキー映画への転換を推し進める所属映画会社と意見が合わず、所属会社から独立する。そうしてサイレント映画を自らの主演で製作するも、公開当日、客足の大半は同日公開されたトーキー映画の方へと行ってしまった。その後も客足は増えず、結局ジョージの映画は全くの不入りに終わってしまう。一方、ヒットしたトーキー映画は、皮肉にもジョージの恋人ぺピーの主演映画だった。ほどなく世界恐慌が起こり、ジョージは多額の負債を抱えて破産する。次第に荒んでいくジョージを見るにつけ、ジョージの愛犬とぺピーは心を痛めるのだが・・・。

 オープニングクレジットを見ていたらジョエル・マーレーの名前を見つけて一気にわくわく。いやあ、あんたの名前見るのダーマ&グレッグ以来だよ! なんかすげえ楽しみになってきた(地味な楽しみだぜ)。

 事前に「大半がサイレント」と聞いていたので途中眠くなったらどうしようと思っていたが、テンポが非常に心地よいので私は気にならなかった。ただ、何の覚悟もなく単に古風な雰囲気の映画と思ってきた人は爆睡しそうだな。て、案の定数列前のおっさんが激しいいびきを立てて寝てらっしゃる。ぎょええ。文句言いに行きたいけど、暗くてどこなのか分からない〜。どうしたものかと思っていたら、しばらく後におじいさん客がわざわざ寄ってきて起こしていった。うわー、あのおじいさん私より遥かにあのおっさんから遠い所にいたのに申し訳ない。おじいさんはすでに続きを見る気が失せていたのか、そのまんま映画館から出て行ってしまった。

 映画そのものは面白かったし(何よりお犬様の名演よ)、気の利いた佳作とは思ったが、正直アカデミー賞を取るような作品かねえ? 作品自体の出来はいいですよ、そりゃ。好みでいっても好きなタイプの映画ではある。でも私にとってアカデミー賞作品というのは、大きな映画館の大きなスクリーンでまんじりともせずに浸るものであって、そういう意味で「アーティスト」は違うんだよな。なんか「恋におちたシェイクスピア」が受賞した時のような微妙さだわ。まあ最近の作品賞なんて大概「なんで?」って映画ばっかりだけど。

 ちなみに気になっていたジョエル・マーレーの出番は、火事場の警官でした。アイルランド系だから? ベタじゃのう。なんかしばらく見ない間にすっかりおっさんになっていたけど、体型だけは相変わらず(笑)。

 映画が終わった後、物販コーナーをちらちら眺める。ミリオン座の物販コーナーは昔からちょっと変わっていて、映画とは関係ないんだけど、手作りっぽい雑貨やアクセサリーがたくさん並べてある。ガラス製の素敵なペンダントがあったので即買い。もう、最近買い物ばっかりしてるから控えようと思っていたのに〜。



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