猪面冠者日記
今さらだが当分不定期更新

2009年01月31日(土) そして、私たちは愛に帰る

 昨夜夜更かししたせいで支度がばたばたしてしまったが、どうにか1時40分からの回に間に合った。はあしかしここんとこドイツ語ばっかり聞いているような気がする。

 舞台はハンブルクとイスタンブール。在独トルコ人の父子。本国トルコに一人娘を残し、ハンブルクで売春をして仕送りをしている母、その母に秘密で反政府ゲリラとして活動してる大学生の娘。その娘がトルコ警察を逃れてハンブルクに不法入国したところを、ひょんなことから助ける羽目になるドイツ人女子大生とその母。以上三組の親子がこの映画の主人公である(嗚呼ややこしい)。

 てっきり「そして、ひと粒のひかり」みたいな、貧困とか差別とかマフィアの話なのかと思いきや、全然そうじゃなくて、山田太一みたいな親子のすれ違いを描いた話だった。政治や社会の匂いは予想以上に極少。まあ、この辺の社会事情に今一疎い私にはかえってありがたいが。

 そもそもトルコ娘にしろドイツの女子大生にしろ、政治や社会を口にしつつも、その理屈が極めて幼い。て言うかあんたら二人とも親の金で大学行ってんだから、迂闊に危ないことに手を出しちゃいかんだろ・・・、などと思っているうちに二人とも「言わんこっちゃない」ドツボにはまっていくのであった。これに限らず登場する親子が三組とも、親側か子側どっちかが極端にお馬鹿さんというパターンで、ちょっと感情移入し辛かった。特にドイツ人のロッテは、あまりのDQNっぷりにイライラさせられることの方が多かった(ボカ〜ン)。大概のことは「ま、大学生なんてまだ子供だからしゃあねえ」と思ったが、イスタンブールでノースリーブの格好して(イスラム圏ですよ)、その上肩かけのバッグ(斜めがけではない)で歩き回るのだけは許せんかった。バカバカ! 何されても文句は言えんぞ。こんな娘を持ったロッテの母ちゃんが最後まで可哀相だった(ま、母ちゃんの仕込が悪かったのかもしれんが)。

 終わった後は池下のペギーへ。ケーキが売り切れていたんで代わりにシナモントースト。カフェオレは最初にやってもらったカルモシモサカで。うーん、このぐらいすっきりまろやか味の方が私としてはありがたい。それでいて中々深みのある味だし、もうずっとこれでいいかも。パンフレットを読みつつ、しばし至福の時。




2009年01月30日(金) ヒトラー 〜最期の12日間(DVD エクステンデッド・エディション)

 特典映像はすでにいくつか視聴済み。本編は明日の晩にゆっくり見ようと思ったんだけど我慢できなくて、夕食後即プレイヤーに投入。ああ、二週立て続けでこの暗黒映画が見られるなんて幸せ。

 このエクステンデッド・エディションは、ただでさえ長い本編に20分の未公開映像を足して全175分に構成したもの。本国ドイツではテレビ放送された。その際前半と後半を別日で放送したため、DVDの映像も前半と後半に分かれている。ま、「シンドラーのリスト」で途中休憩が入るのと一緒のことか。

 さすがに冗長になってしまったのではと思ったが、全く問題なし。増えても減っても無駄のなさは変わらないということか。ちなみにもしこれから見るんだったら、こっちにしろと言いたい。別にスタンダード版がいかんということもないが、折角見るならこっちがいい。ああでも、スタンダード版のDVDには吹替がついているんだよな。ヒトラー役が大塚周夫なんよー。見てええ。来週レンタルして来ようかな(笑)。

 ああそれにしてもマグダが子供たちに毒飲ませて殺してく場面は、二度目の鑑賞でもなお色褪せぬおぞましさ。ま、でもわたし的にはその前の、ブロンディ毒殺の方が・・・。ううっ、もう本当に殺してるんじゃないかと思うくらいリアルなんだよう、わあああ(涙)!

 とまあ不幸エキスをたっぷり吸って、満足しつつ本編終了。もう夜中の一時だったので歯ぁ磨いて風呂入って寝よかと思ったんだが、なんとなく勢いで特典映像へ。未見だったオリヴァー・ヒルシュビーゲル監督の音声解説などを見る。ゲッベルス夫妻の行動について、「かわいい我が子を殺すなんて理解に苦しむ」と。しかしこの監督、風貌がいたって凶悪なので今一つ説得力に欠ける(笑)。や、ネットで検索すれば顔とか出てくるから分かると思うけど、この人の顔マジで連続殺人鬼かネオナチにしか見えん。アカデミー賞の外国語映画部門にノミネートされつつも、受賞を逃したのは、何よりかにより監督の風貌が原因だったのではなかろうか。




2009年01月29日(木) 本日のへうげ

 前回はどこの忍者漫画だと思った「へうげもの」。しかし今日のへうげはもっと凄かった。今まで読んだ中で一番凄かった。ああもう興奮興奮! 今週をもってへうげは歴代全ての時代劇漫画の頂点に立ったと言ってよかろう。いやもう時代劇漫画などというカテゴライズすら、この内容からすれば遥か彼方だ。ああ宗匠、あなたはどこへ向かわれるのですか・・・!?

 次々週発売のモーニングで我々は歴史の目撃者となる。いやもうまじで。




2009年01月24日(土) ヒトラー 〜最期の12日間

 いろいろと話題になった作品ではあるが、上映当時私は「ドイツでヒトラーを主役にした映画なんて、どうせ諸外国に配慮しまくりの、真面目〜な浅い映画に決まっとるわい」とまるきりスルーしていた。レンタルでも出てるけど未見。本日BS−2で深夜0時半からやると言うので、歯ぁ磨いて待機しておった。しかし2時間35分もあるんだよなあ。終わる頃には夜中の三時だよ。途中で限界がきそう。紅茶でも飲みながら見よっと。

 しかし実際にはカフェインなど不要であったと思う。長尺には違いないが、ダレることもなく疲れを感じることもなかった。最初から最後まで全く無駄のない傑作だった。監督誰だろう。あ、「es」の人か! ぐうう、エスの人だと知っていたらちゃんと見に行ったのに、もっとちゃんとチェックしとくんだった、と己の不明を恥ずるばかりなり。しかしさすがあの「es」の監督、見る者を憂鬱にさせてくれる。原稿終わって、憂鬱な戦争の世界からやっとこさ脱して、年明けから食欲もモリモリ出てきたこの私の気分を一晩で元に戻してくれたよ(ボカ〜ン)。

 ヒトラーが主役には違いないのだが、彼はむしろ仮の主役と言うべきで、群像劇のような感じである。地下官邸という密室の中で交錯する幹部将校たちの思惑。保身をはかる者、家族を案じる者、冷静に最善を尽くそうとする者。そして成り行きに身を任せるしかない女たち。やがて将校たちの一部は全てに絶望し、享楽に溺れていく。捨て鉢になった者同士が固まってパーティーに興じる有り様は、「地獄に堕ちた勇者ども」を髣髴とさせる退廃。そして裏の主役は地上に残されたベルリン市民たちである。明かりも火元も断たれ、食料もわずか。水を汲みに行けば敵の標的にされる。沖縄戦だと思えば日本人にとって想像がしやすいだろう。地下室はガマである。女子青年団はひめゆり学徒隊、青年団は鉄血勤皇隊である。降伏しようとする者や逃げようとする者が、スパイだ赤だ非国民だと言われて銃殺されるのも、我々には毎夏お馴染みの光景である。無力で矮小な、哀れな人々。しかし「国民を見捨てないでくれ」という部下の言葉に対し、ヒトラーやゲッベルスはこう言い放つ。
「彼らが我々を選んだのだ。自業自得だ」
「弱者は死ぬ。自然の摂理だ」
 ま、そりゃそうだが。

 そんなヒトラーもゲッベルスも、無論史実どおりに死んでいく。タメもなければキメもなく、流れるような演出で彼らの死が映されていく。ゲッベルスの妻マグダが幼い子どもたちに毒を飲ませて殺していく場面では、涙も叫びもほとんどない。最も恐ろしい行為というのは、こんな風に無感情に実行されていくものなのだろう。

 登場人物が非常に多いため、知ってるドイツ人俳優がほとんと出ている。語り手であるヒトラーの秘書、トラウドゥル役は「トンネル」で主人公の妹を演じていたアレクサンドラ・マリア・ララ。ドイツ映画界で貴重な、ぱっちりおめ目の美女である(笑)。彼女が映ると物語の悲惨さをちょっとは忘れられる。ちなみにララちゃん本人はルーマニア人である。どおりでドイ(以下略)。

 エヴァ・ブラウンの妹の夫であるフェーゲライン役は、「戦場のピアニスト」でエイドリアン・ブロディを助けるドイツ軍将校を演じていたトーマス・クレッチマン。ああ、私この人好きなんだよ。顔はリーアム・ニーソン似で地味なんだけど、スタイルがいいんだよねえ。元水泳選手なだけあって体格もがっちりで素敵。「戦場のピアニスト」でもそうだったけど、ほんっとナチスの軍服がよく似合う。かっこいー。ほいでもって私がこの人を好きな理由としてもう一つですね、東出身てのがあるんでしてね。「戦場のピアニスト」のパンフに書いてあるプロフにゃ18歳の時に歩いて国境越えして西に亡命したとあるんですよ。なあ、萌えるだろみんな(ボカ〜ン)。しかしそんなクレッチマンが出ているなら、ほんと、なんで見に行かなかったのだろう、バカバカ。

 他、ボルマン役に「善き人のためのソナタ」でクリスタを手篭めにする政府のお偉いさんを演じていたトーマス・ティーメ。無能なボルマンをそのとおりデクノボーに演じてくれております。あ、でもこの人自身は東出身なんすね。「善き人〜」の舞台は84年だけど、その84年にまさに西へ亡命されております。はー、じゃあ「善き人〜」のあのおっさんを演じるにあたっては、自分をいじめてきたお偉いさん方を思い出しながら演じたんだろうなあ。ヒムラー役のウルリッヒ・ネーテンはこの間の「わが教え子、ヒトラー」でもヒムラーやってたなあ。もはやテンプレ?

 あとモーンケSS少将の顔。こ、この顔は「ヒトラーの建築家 〜アルベルト・シュペーア」でヘスをやっていた人じゃないか。忘れねえよ、あの顔は。あとシェンク役の人ってひょっとして「es」でかっこいいおっさん囚人をやっていた人ではと思って「es」のパンフを見直したら、はたしておんなじ人だった。

 登場シーンは少ないが、シュペーアもばっちり登場。今まで見た中で一番本物に似てる。ゲルマニアの模型を眺めながらヒトラーと語り合うという、ツボをついた場面もちゃんと。他にも短い会話の中に二人の関係性がくっきりと伝わってくる、非常にいい演出がされていて、満足した。はっきり言って「ヒトラーの建築家」の百倍ぐらい良い出来だ。二人が決別していく場面も濃いぃです。中の人は誰だろうと思って調べたら、「トンネル」で主役をやっていたハイノ・フェルヒだった。ええっ、顔全然違ってて分からんかったよ。

 で。アマゾンのマーケットプレイスでエクステンデッド・エディションのDVDを買ってしまいました。てへ。




2009年01月23日(金) WALL・E(日本語吹替版)

 本日は会社が臨時休業のためお出かけしようと、まずはTOHOシネマズへ行って12時50分からの「WALL・E」を。しかし午前中ぼーっとしながら支度をしていたらすっかりぎりぎりになってしまった。さらに車庫入れに大いに手間取り、ボックスに入った頃には前座の短編アニメが始まっていた(これも面白かったよね)。

 普段は劇場アニメの吹替版は見ないけど、ウォーリーはああいう世界なのでまあ問題なかろうと。やあ、案外こっちで見た方がよかったなあ。録画で登場する大統領のセリフなんか、字幕版みたいに端折られてない分分かりやすかったしね。それにしてもアニメだと作中に出てくる新聞とか看板の文字まで日本語化されてるんだね。操縦室にあった“auto”“manual”が「自動」「手動」とバリバリ漢字表記になってたのもびっくり。こういうもんなのかあ。いやあ、子供にも分かる優しさだよ。だがそれにしても二回目で見てもやっぱり惹きこまれるねえ、この映画。初見で気づかなかった伏線もいろいろ発見できて面白かった。終わった後は売店へ。グッズは買わないつもりだったけど、携帯の画面ブロックとクリスマスカードを買ってしまった。ま、こういうもんならかさばらないからいいかなーって。

 一旦家へ帰った後、名駅へ行ってアニメイトでお買い物。アニメイト、またしても「少女ファイト」の特装版が発売日早々売り切れだよ。もう今度からは予約しよう(て、前にもそう思ったような)。「少女ファイト」を求めてテルミナ地下の三省堂へ。おう、ここはあったよ。歴史コーナーに行くとドイツ関連で使えそうな本が何冊かあったので、まとめ買い。アニメイトで買った分も含めて、あっという間に図書カードの残額がゼロになった今日この日であった。

 時刻はすでに6時半を過ぎていた。本でずっしり重かったので三重交通で帰ることにした。運賃的にも地下鉄で帰るより安いし。ふー、と一息ついていつもの列に並ぶ。バスは十分ぐらい後に来た。が。なんと行き先が全然違うのに乗ってしまった。しかも「このバスはこの後すぐ高速に乗ります」きゃああ。この列、微妙に行き先の違うバスが何本か来るんだけど、どのバスも最寄のバス停に着く路線なので、全くなーんも見ていなかったのであった。ああ迂闊。正直、信号で止まっている間に降ろしてもらおうかとも思ったが、停車位置が微妙だったり、信号がすぐ変わっちゃったりで、不発。そうこうするうちに高速へ突入してしまった。

 終点が桜台というので、当初は名鉄の桜台のことかと思いたかったのだが(←高速でそんな近所に行くかい)、バスはびゅんびゅん走り、長島スパーランドも越えて、気がつけば菰野まで。おいおい、菰野なんて湯ノ山温泉とか御在所とかある所じゃないか。ふはは、さては終点は四日市の桜台であったか。暗澹としつつ携帯で検索していたら、どうもこのまんま終点まで行っちまった方がよさそうな感じ。一応折り返しに一本出る。さっきから見てると途中の停留所のほとんどが明かりも屋根もない典型的な田舎の停留所ばかりだし、寒い中待ってスルーされるよか、このまんま終点まで行っちゃって、そこで出発を待ちますよう。ふうう。

 しかし乗客の風体を観察するに、みんな勤め人らしい人ばかり。さっきバスの時刻表検索して知ったんだけど、基本的に一時間に一本、通勤時間帯でも二、三本しか運行してないんだよ、この路線。こんなんで毎日毎日通勤している人がいるんだなあ。地下鉄通勤しかしたことのない私にはこんだけでカルチャーショックだよ。

 はー、しかしあれだね。「交通機関の大幅な乗り間違い」と「改札で定期券を忘れたことに気づく」って、人を不思議なほど憂鬱にさせるね。よーく考えれば別になんでもないことなのに、この途方もない無力感はなんなのか。ま、取り敢えず暇だし、買った本でも読もうかと思ったのだが、今日買った本と言えば、BL雑誌OPERAと、「トーマの心臓」二巻(萩尾望都パーフェクトセレクション)と、あとは暗い暗いドイツの本。今どれも読みたくない(ボカ〜ン)。こういう時はドラえもんとかアンパンマンとかじゃないと。

 桜台の停留所は公園のグランドみたいな所で、アスファルトもなく、明かりもほとんどなかった。降り際に若い運転手さんに事情を話すと、大変柔らかな声で、
「そうでしたか。それは申し訳ありませんでした。次のバスにすぐお乗りいただけるようにしておきますので、もう少々お待ち下さい。運賃は往復ともかかりませんので、ご安心下さい」
 いやいやこちらこそ誠に申し訳ありませんのう(涙)。で、早速次のバスに乗ったのだが、出発前にトイレを済ませておかねばと(笑)、バスを降りて小さなプレハブの詰め所へ。詰め所にはさっきの若い運転手さんとやや年配の運転手さんがいるだけだった。年配の運転手さんはもろ関西弁。ああ三重県だなあ。トイレの場所を訊ねると、鍵を持って案内してくれた。トイレはグランドのすみっこにあって、ボックス式で、普段は鍵をかけている様子(てゆか今日はもう誰も使わないだろうと思って閉めたのかも・・)。手洗いの形式が昔懐かしい、蛇口の取っ手がちっちゃくて、ちょろちょろとしか出ないタイプのものだった。今でもあるんだねえ。

 そんなこんなでバスは出発。本を読んでいる間に名古屋に到着。終点まで誰も乗ってこなかった。頑張れ三重交通。いやしかし三重県自体は本当に行きたいんだよな。本当なら去年、藤堂高虎入府400年だったから、津城に行きたかったのだ。今年は行けるかな。




2009年01月22日(木) 山谷(やま) 〜やられたらやりかえせ

 年明けにシネマテークにベルリンフィルの映画を見に行った折、シネマテークとシネマスコーレの上映案内に目を通していたら「山谷 〜やられたらやりかえせ」というタイトルのドキュメンタリー映画が載っていた。紹介文がこんなん。
「佐藤満夫監督は、山谷労働者の姿を正面から撮影するドキュメンタリー映画制作の作業に取りかかるが、冒頭、暴力団により刺殺。山岡監督が彼の遺志を継いだが、完成後、彼もまた射殺される。労務者を描いた作品としては他に類を見ないリアルな作品となっている。未だビデオソフト化されておらず必見!」

 こんな煽り文句を見ちまった日にゃあ、見に行かざるを得まい(ちなみに上記は名古屋シネマスコーレのサイトよりコピペしたもの。私が読んだ紹介文も多分同じ文だろう)。そんなわけで千円の日の今日、行ってきた。ちなみに名古屋シネマスコーレはもともと若松孝二監督が作った映画館。当然のごとく「実録・連合赤軍 あさま山荘への道程」の上映も名古屋ではここだった。ま、そんなわけでたまにこうやって赤身をたくさん出してくれるのね。最近の蟹工船ブームもあって、去年なんかも映画版蟹工船のリバイバル上映やったしなあ。今週も山谷の前の回はまた蟹工船やってたし。

 で、山谷ですが予想どおりの熱い熱い映画でした。なんかもう詳しい内容を紹介するのも疲れるんでやめ(笑)。て言うか上記の紹介文で足りますな。パンフレットも買いましたよ(こっちも熱い。もう胸焼け)。しかしこれ、起こっているのは85年なんだよねえ。バブル真っ盛りですよ。でも山谷だけは昭和30年代、40年代そのまんまなんだね。

 ちなみにこの映画のホームページはこちら。
http://homepage3.nifty.com/joeii/
 サイトも熱いです。




2009年01月21日(水) 永遠のこどもたち

 女性会員千円の日ということで仕事が終わった後ミリオン座へ。8時からの回で見ようと6時40分くらいに整理券を貰いに行ったら、001番だった。えええ、千円の日だってのにあんまり来てないのねえ。結構話題作だと思ってたんだけど。

 この映画、最初は全くチェックしてなかったんだけど、友達が見たいと言ってたので気にしだした。その後文春映画評を見たら軒並み高ポイントだったので、なら見ようかとこうしてやって来た次第。スタッフを見たら「パンズ・ラビリンス」のギレルモ・デル・トロがプロデューサーだったので、ますますもって期待である。はー、しかし「パンズ・ラビリンス」・・・。やあ、上映の頃二回も見に行った上にボックス版のDVDまで買っといてなんだけど、救いのねえ話だったよなあ。もうなんつーか生きているのが嫌になる映画でしたよ。で、そのデル・トロがスペイン人監督J.A.バヨナの才能に惚れこんでプロデューサーを買って出たという経緯からして、この映画も恐らく、映像は美しく内容は激しく鬱なのであろう。

 で、激しく鬱でした(ボカ〜ン)。落ち込んでる人及び落ち込みたくない人は見てはならん。や、まじであの展開やオチは警告レベルですよ。

 かつて孤児院だった古い邸宅と、失踪した「我が子」。童話のようにグロテスクな過去のある出来事。これらの三つが絡みつつ、物語は次第にホラーの様相を呈していく。いなくなった我が子に対する親の妄執と、人生を中途で断たれた子供たちの叫び。両者の思いが互いを呼び合い、求め合う。「再会」を遂げるまでの数奇な過程が見所。

 カーニバルの仮面や色とりどりの貝殻など、心象風景がグロテスク美に満ちた映像で綴られるという辺りはまさに「パンズ・ラビリンス」。て言うか、バヨナよあんたはデル・トロの弟か? って言うほど強烈によく似た個性。二番煎じって意味じゃないよ。センスと完成度の高さがほぼ一緒のレベルってこと。やあ、スペイン映画と言えば最近はペドロ・アルモドバルの独壇場かと思いきや、凄い人が出てきたもんだ。バヨナ、次回作が上映されたら必ず見よう(そしてまたヘコまされるのか・・)。デル・トロと言えばヘルボーイのパート2が公開中だがどうすっかなあ。暇がなあ。




2009年01月20日(火) 23日はお買い物が一杯

 さすがに一月は雑用が多うございますな。

 不況の影響で今週金曜日は職場が臨時休業。TOHOシネマズで「ウォーリー」が最終日なのでお昼過ぎに観に行ってくるぜ。それと「少女ファイト」第五巻とOPERA VOL.13がこの日発売されるので、アニメイトにも行かねばならぬ。そして、ひひひ、「コミュニストはSEXがお上手?」が23日発売! もちろんアマゾンでカチカチ検索しながら待っていた私はとっくの昔に予約済みだ(ボカ〜ン)。

 金曜日はせいぜい趣味に浸からせてもらうよ。ひゃひゃひゃ、楽しみじゃのう




2009年01月18日(日) 浅川マキ

 ああなんて冷たい雨。今夜は浅川マキのライブに行くのよ、相応しい天気ね。

 栄の“jazz inn LOVELY”にて8時開演。生まれて初めて浅川マキのご尊顔を拝し奉り、歌声を堪能して参りました。や、まあ両親が行くってのを知って無理矢理くっついていったんですがね。お酒を飲みながら独自のダウナーな世界を満喫してきました。まー、ちょっと一名マナーの悪い客がいてえらい気分を害されたけど(しまいにゃうちの親父や他の客もキレだして、店主から追い出されてやんの)、まあつまらんことは忘れよう。

 しかし聞き終わった後、異様に憂鬱な気分になった。まあ浅川マキの波動を生で二時間弱浴びたのだから当然といえば当然だが。はあ何やら新刊の内容に影響が出そう(笑)。




2009年01月17日(土) 未来を写した子どもたち、他訃報

 例によって町山感想にほだされて前売り買ってシネマテークで見てきました。町山氏の日記を「未来を写した子どもたち」あるいは「売春窟に生まれついて」で検索すると氏の熱い感想がぞろぞろ出てくるので是非読んでね(ある意味、映画よりこの人の感想の方が感動的かもしれん)。

 今週から朝10:40からの一回のみということで昨夜は金曜の夜にあるまじき早寝。それでもとろい私は上映開始ギリギリでの到着であった。やれやれ。

 ザナ・ブリスキはイギリス生まれの写真家。もともとカルカッタの売春街を撮るために街に住み着いたのだが、いつしかここで生まれ育った子どもたちが気になりだす。子どもたちは小学校にすらろくに通わない(通えない)。女の子は早ければ12歳から客を取らされ、男の子は犯罪者かポン引きになる(映画には出てこないけど、男の子も子供のうちから男娼になるんだってよ)。そんな子どもたちにザナは使い捨てカメラを与えて写真を撮らせた。街の人々を間近に撮ったり、海へ出かけて行ったり。束の間とは言え、家を忘れられる自由な時間。絵の上手なアヴィジットは写真においても筋がよく、抜きん出た写真を残す。子どもたちの将来を案じたザナは学校に掛け合ったり、慈善団体に救いを求めたり、献身的に動き回る。そうして子どもたちのうち何人かは学校に進み、何人かは再び元の暮らしに戻る。本作はそこまでの様子を綴ったドキュメンタリーである。

 まあね、正直胡散臭いなと思って見に行くまいと思ってたわけですよ。だってこんな映画、もう内容から何から何まで想像つくやん。で実際内容はもう、想像通りなわけですよ。でもやっぱり実際に画面を見ると、想像通りとは思いつつどうしても見入ってしまう。なんだろねえ。

 映画を見た後はペギーへ行って一服し、帰宅。朝、ばたばたと出かけていったので朝刊に目を通していなかったことを思い出し、手に取る。テレビ欄を眺めてぱっとめくると、そこにはアンドリュー・ワイエス死去の報が・・・。




2009年01月11日(日) インテ御礼

 遅くなりましたが(これをアップしてるのは20日・・)、インテにて当サークルまでお越し下さった皆様、ありがとうございました。館内はともかく、外は海風吹き荒ぶ極寒で、やはりコミケはどんなにあったかくても、ここだけは毎年外れなく寒いんだなあということを再認識いたしました。みんな風邪とか大丈夫だったかい。ま、でもインテはうどん屋さんとかフランクフルトとか、軽く食べられるものがすぐあるとこがよいですな。今日はお買い物もゆっくりして、お客さんともお話して、ええ感じに堪能しました。

 ああそれにしても赤豚の申込書受付が2時15分までだったとはね(涙)。ずーっと混んでたから3時頃に持ってった私は、もはや負け組以前。おお、なんのために昨夜のうちに申込書を書き終えたのやら、とほほい。ま、いいや振替用紙たくさんもらっていこう。

 その後はいつもの通りお茶して飲んで食ってくっちゃべって。数年振りにY氏とも会えて大変嬉しゅうございました。




2009年01月06日(火) 仕事始めですよ

 まあ通う会社があるということはありがたいことです。去年からうじうじ引き摺っていた計算合わない件は着席後30分であっさり解決。ああもう、冬休みの間悩んでいたのが馬鹿みたい(涙)。いんだけどさー、解決したから。そして原因はいつもの通り、自分の見落としでした(ボカ〜ン)。気分新たにもう一方の計算を合わせると、ああこれが合わない。でもって前の不具合より難しいよ。うううん。が、これも四時半頃には解決。他、年末年始でたまった郵便物を整理したり。まあなんつかねえ、お休みあけの最初の一日はリハビリですよ(ボカ〜ン)。さ、明日からまた働くど。



2009年01月04日(日) WALL・E(ウォーリー)

 後日アップ。気が早いが、今年一番か、最低でも五位には入るであろう。とにかく心が震えました。もっかい見たい!

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(1月10日UP)
 弟が初詣に伊勢へ行ってしまったので、今日は車が使える。やったー、TOHOシネマズに「ウォーリー」を観に行こうっと! 字幕版が夜の九時からの一回だけになっちゃってるけど、明日休みだから寝るのが遅くなっても無問題さ。

 この作品、最初は「ウォーリーをさがせ!」がアニメ化されたんだと思っていた。アメリカでの高い評判は聞いていたので、「へえ、あのウォーリーのアニメ版はそんなに深遠なドラマなのか」なんて思ってたり。・・・すんません。本作「ウォーリー」は赤い縞々シャツを着たあんちゃんの話ではないのであった。人類がいなくなった後の地球で、ただ一体ゴミ処理を続けているロビタ・・じゃねえや、ウォーリーのお話なんである。

 とにかく冒頭の映像で感動。大方ニューヨークかどっかなんだろうけど、かつての大都会が丸ごと廃墟。それもゴミだらけ。だらけじゃないな、もうゴミしかないんですよ。この映像がぞっとするほど緻密。手抜きのなさが気違いレベル。もちろんこの手の映像はSFなら何百回も出てきた光景ではあるんだけど、それでもまるで初めて見るような衝撃。最初の一瞬でもう画面に釘付け。

 それから(計ったわけじゃないけど)約20分間、ほとんどセリフもないままに、広大な廃墟と、大地にぎっしりのゴミと、そしてそれをチマチマ処理していくウォーリーの行動だけが続いていくのであった。廃墟の様子がずーっと映されていく中で、地球に何が起こったか、人類がどうなったのかも、ナレーションなしできっちり説明されていく。すごーい。しかしウォーリー、ほんとに喋らない。主役なのに。ま、二言三言言語を発したりもするけど、基本的には「%#@÷◎☆※△」だからして。結局、映画のほとんどが絵と動きだけの展開なんだけど、まー、よくこの企画通ったわな。でもこれが正しいの。ウォーリーを見ているとほんっとに切なくなるよ。言葉はいらないのよう。

 さて、そんなこんなでヒロインが現れるのであるが。見る前にネットでイブの絵を見た時、正直これがヒロインなどとは思っても見なかった。てっきり敵のザコか、よくてお友達だろうと。え、これがメインヒロインなんですか!? どう贔屓目に見てもメスには見えませんぜ。ぱっと見メカニカルなU子さんとしか。顔なんかまるっきり999の車掌さんじゃんよ。おいおい、ロボットのヒロインならドラミちゃんみたいにせにゃいかんだろう。てゆかこの手のもんならアメリカのアニメこそ積極的にかわいい造形にするものだが、なんでまたこんな。

 いやしかし全ては杞憂であった。断言してもいい、見終わる前に誰もがイブ最高、と思うようになるはず。萌えますよ、あなた。それもマニアックな萌えでなしに、ほんっとに一般的な萌えを感じるはず。このスタッフは大和魂を分かってるよ。

 終了後ショップをちょっと見る。おお、ウォーリーのグッズが一杯。イブのグッズが欲しいなあ。って、もうこの手のグッズは場所取るからあかんあかんと自制しつつ映画館を出る。ああもう一回見たいなあと思いつつ帰宅。




2009年01月02日(金) 帝国オーケストラ/ベルリン・フィル 最高のハーモニーを求めて

 今年最初の映画がドキュメンタリーでしかもシネマテークとは、なんとも地味ぃですなあ。しかも一日で二本。まあ二本とも面白かったからいいんですけど。

 一本目の「帝国オーケストラ」は、第二次世界大戦中ベルリン・フィルのメンバーだった人たちによる当時の回想(どっちもすでに90代)。ハイパーインフレと世界恐慌によって倒産寸前だったベルリン・フィルは、ナチスの保護下に入ることによって延命した。しかしそれがためにナチスのプロパガンダとしての役割を担うようになってしまう。そういった事実の中で当のメンバーたちはいかなる心境で音楽を続けていたのかということが語られる。音楽をやる者の常としてそもそも政治には無知・無関心だった、と自分で語っている辺りは、やっぱりねえなんて思ったり。兵役免除等、様々な面で優遇されていた彼らも、四月下旬に赤軍がベルリン市内へ侵攻してからは運命が狂い始める。終戦後のボルヒャルトの事故死や、非ナチ化裁判によるフルトヴェングラーの追放等々、全く戦争って奴はとしか言いようがないエピソードが一杯で、新年から暗い気持ちに(笑)。個人的な愚痴としては原稿中に見たかったなあ、とかね(ボカ〜ン)。

 二本目の「ベルリン・フィル 最高のハーモニーを求めて」は、05年のベルリン・フィルのアジアツアーを追ったドキュメンタリー。首席指揮者サイモン・ラトルや、メンバーさん方のへのインタビューで構成されております。クラシックに全く興味のない人が見るにはちょい辛い内容かもしれないが、最近のだめとかでクラシックもずいぶん一般化しているし、そこそこ楽しめるのではないかと。個人的にはもうちょっと突っ込んだ喋りを期待していたので、その辺物足りなかったけど、メンバーの普段の様子とか、新入楽団員のオーディションとか見られたのは収穫だったな。ピッコロ奏者の女がすんごいかわいかったんだけど、経歴見たらイタリア人だった。やっぱりなあ。あの顔はドイツ人じゃないよなあ、うん(ボカ〜ン)。




2009年01月01日(木) 比べてみれば:DVD「ミツバチのささやき」

 皆様、明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。いやあ、毎年のこの時期、いつもだったら祭り明けの脱力感でナマコ状態なんだが、なんか今年はそういうのが全然ない。それが証拠に年賀状もささと書き終えてさっきポストに入れてきたところ。なんかねえ、そもそもコミケに行ってきたという実感がすんごい希薄なのよ。なんでかね。三日間とも会場でお買い物したし、29、30の晩はとみんなと飲んでくっちゃべって楽しんできたはずなのに。ううん、どうしちゃったのかしら。そういや去年は夏コミ後も「行ってきたぜ」感が希薄だったような気が。なんだろ、これも一種のアルツか?

 ま、そんなことより今年の目標だよ。今年はね、とにかく夏も冬も本を出すということだね。なんだよそれ、当たり前じゃんて感じだけど。やあ、ここ数年一年に一冊というのが定番になってしまったのでね、そろそろ同人らしく年間二冊、それも一冊あたり40ページ以上の物をきっちり出すようにしようと思ってね。ま、本音を言えばこの間でっかい新刊を出したばかりなので、できれば夏ぐらいお休みしたいぐらいなんだが(笑)、どうも自分の書きたいネタの総数を考えると、今後夏冬きっちり出さないと一生終わらないということに気づいてしまったので、ちょっと今年から(遅っ)頑張るぞというわけです、はい。

 ああでも今はそんなことよりお仕事が心配なの。12月分の計算が合わなかったのがまだ解決してなくて、年明けに超特急で解決しなければいけないの。もー、気になってこの正月休みも完璧にはエンジョイできないあたくし・・・。ああ神様助けて!

 年賀状書きが終わったところでアマゾンの予約で買った「ビクトル・エリセDVD‐BOX」から「ミツバチのささやき」を再生。アマゾンのカスタマーレビューには「以前出ていた東北新社版DVDのひどい画質に比べてなんて綺麗!」てな感じのレビューが上がっている。私はこの東北新社版DVDは見たことがない。ないが、あまりにひどいという噂だけは耳にしていたので、ネットで中古のLDを買って、それでよしとしていたのである。カスタマーレビューによるとYou Tubeに東北新社版とクライテリオン版の映像比較がアップされているらしい。それがこちら。

http://jp.youtube.com/watch?v=4xV5Bb5Di5A

 うわ。確かにこりゃ別物だな。ほんと、うっかり買わなくてよかったよ、昔のDVD。で今回出た紀伊国屋版はその辺どうなんでしょ。クライテリオン版みたいな感じなのかな? ま、取り敢えず手持ちのLDと比較してみよう。ふんふん・・・。なるほど確かにこのDVDは綺麗だ。しかしLDに比べて劇的に綺麗とも言い難い。て言うか色調が違う。LDの色調はどちらかと言えばクライテリオン版に近い、全体的に黄色味がかった色調で、なおかつ明るい。DVDはLDに比べて細部までくっきりしているものの、光が少なくて暗い。色もクライテリオンやLDにあった黄色味が全くなくて、なんだか寒そうな感じがする。スペインと言うよりイギリスの田舎か、アメリカの中西部みたいだ。まあ、舞台となっている季節が冬であることを考えれば、陽光眩しいスペインと言えどもこんな色合いなのかもしれないが。あと細部までくっきりと言ったが、それほど劇的によくなっているというもんでもなく「ま、ちょっと綺麗になったかな」という程度。冒頭でお母ちゃんが書いている手紙の文字が、明るさのつまみを上げてやるとくっきり見えるとか、まあそんなぐらい。画質に対してそれほどこだわりがないのならLDの人はLDのまんまでというのもアリだろう。個人的にはDVDの方がアナちゃんの睫毛がはっきり見えるので、DVD買って正解ですけど。



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