猪面冠者日記
今さらだが当分不定期更新

2007年01月31日(水) ここ数日の読み物いろいろ

■「続 凍りついた瞳 ―被虐待児からの手紙―」
 一昨日近所のブックオフで買ってしまった。これまで何回も本屋で立ち読みしながら買わなかったのは、家でじっくり読んだら相当落ち込むであろうことを分かっていたからであるが、ブックオフで見つけてしまったのが運の尽き。なんかもう読めば読むほど人間に生まれてきたのが嫌になるわ。許せないとか悲しいとかを通り越して、恍惚としてくる。人の心って本当に禍々しい代物だよ。・・・まあここまで読んじゃったら前の巻も買うとするか。

■サンデー毎日2月11日号
 今週の「満月雑記張」で「善き人のためのソナタ」がまあまあの長文でもって「面白い」と誉められている。28日の日記じゃああいうこと書いたけど、このコラム読んでたら猛烈に見たくなってきたよ。ヘルツォーク先生に翠のおばさんまで誉めているとあっちゃ、やっぱ見ないといけないわねえ。前売り買おうかな(あんたすげー単純だな)。

■イブニング4号
 表紙は「少女ファイト」でございますよ! ほんとは先週の火曜に出たのに発売される週を勘違いしていて、発売日に買えなかったけど、どうにか一昨日にコンビニで買った。イブニングは発売日に買わないと大抵ないんだよねえ。アホアホ。これまでもそうだったけどなぜかイブニングは本屋よりコンビニの方がゲットしやすいなあ。できれば本はみんな図書カードで買いたいのに。

■「闇金ウシジマくん」第七巻
 今日発売。六巻のラストがとんでもないことになっていたので、続きのことを考えると寿命が縮んだが、ああ「フーゾクくん」編はこういう風に終わるのね・・・。この人の描くバカとキチガイは本当に現実そのまんまという感じで、なんかもう人間に生まれてきたのが嫌になります。

■「舞姫 テレプシコーラ」第十巻
 これにて第一部完。雑誌で追っているのでこれまで単行本は買わなかったんだが、やはりこの巻だけはね。・・・千花。なんにも悪いことしていないのに、本当に残酷だわ。何が誰がいけなかったって突っ込むことはいくらでもできるけど、因果なんて結局あってないようなもの、という気がしてならない。とにかく「なにもかもが悲しくただただ悲しくつらい」です。六花はこの悲しみでもって逆に開花し、それによってお父さんやお母さんも多少なりとも救われる思いでいるんだろうけど、それでも失ったものの大きさが変わるわけじゃない。これから時を経るごとにいろいろな形でそれを実感していくことになるんだろうなあ。そのたびにこの人たちがどれだけ傷つくかと思うと可哀相でならない。「ヴィリ」の方は短期集中連載だからあと二、三回で終わるんだろうけど、こっちは「テレプシコーラ」みたいなことにはなって・・欲しくないけど山岸凉子のことだからやはり惨劇が待っているのだろうな。

■「相棒5」第十五話「裏切り者」
 おっ、改造銃の話か。てことはアトムがまた出るのかな? って、そんなスケールの話じゃなかったよ。ここ数回無難な話ばっかりだったけど、今回は初心に帰ったかのような濃ぃいエピソードだったな。薫ちゃんが「殺された人にだって娘がいたんですよ」と泣きながら言う場面ではつられて泣いてしもうたよ。一シーズンに三回くらい櫻井さんか興水さんの神エピソードがあれば、この後ずーっと毎年シリーズをやってくれてもいいなあ。

 なんかこの二日そこらでやたら重いものばっかり読んでしまったので、今日は「サイキック青年団」をちょこっと聞いてから寝ます。




2007年01月30日(火) どろろは見に行かないよ!

 醍醐景光が貴一だというのでちょっと見に行こうかな〜と思ってた。あと、先週か先々週に出た文春の映画評で中野翠が星を三つか四つつけていたのでなおさらフラフラ〜ときていた。オタクの不安評は到る所で耳にしたが、「それでも『カナリア』を監督した塩田明彦ならもしや」という希望を私は抱いていた。しかし柳下毅一郎の日記を読んだら、「おまえらみ〜んなほげたらだあ!」と思うようになりました。

 1月27日の日記に氏の感想(犠牲に近いかもしれない)がございます。同様の内容はmixiにある柳下氏の日記にもあります。mixi版の方がコメントの内容がいいです。
http://garth.cocolog-nifty.com/

 しかし中野翠は手塚ファンなのになんでこんなのを許したんだ? 東宝ってそんなに「強い」んだろうか。




2007年01月28日(日) リトル・ミス・サンシャイン

 (仮)ばっかりで申し訳ない。なんだかんだでやっと今日見てきました。時間帯的に今日が最後のチャンスだった。ギリギリセーフ。いやあ、泣けた泣けた。笑えるところはちゃんと笑えたし、今年は当分これがベストでしょう。つってももうすぐ「イカとクジラ」がやるし、近作の大本命「ドリームガールズ」(エディ・マーフィが久々に大人の作品にお出ましであるぞ!)があるので首位を取って代わられる可能性は大ですが。2月3日から名演小劇場でやる「あるいは裏切りという名の犬」は泥々で渋い刑事ドラマという感じでこれまた楽しみです。

 ところで「リトル・ミス・サンシャイン」の予告で3月3日からゴールドでやる「善き人のためのソナタ」が流れておりました。ふー、また「トンネル」みたいな自由主義マンセー映画なんかのう・・。いや予告だけ見て愚痴っとっちゃいかんけどさ。ただあのヘルツォーク様が賛辞を述べているという点が気になるので、まあ一応覚えてはおこう。

 「マリー・アントワネット」と「ディパーテッド」はどうすっかなあ。今んとこどっちもあんまし見る気がなあ。アントワネットは衣装を堪能したいのでちょっと見たいんだけど、あくまでちょっとだからなあ。

 「風林火山」。今日はうっちーとサニーのチャンバラがあってもう萌え死にするかと思ったぞ。しかし市川亀治郎の晴信だけはどうしても慣れないわあ。あの顔は苦手でごいす。首だけでも貴一にすげ替えて欲しい。


(以下3月12日追記分)
 まだまだ(仮)がたまった状態だな。ふう。ちなみにあれからもこの作品はロングランを続け、ゴールドでは朝イチの回で3月2日まで上映された。さらにちょっと前から109シネマズでも上映が始まり、こちらは9日までの上映だったが、午後二回やってくれていた。とても嬉しい。正直もう一回見たなあ。でも他にも見たい奴がたまっているからちょっと無理だな。

 「リトル・ミス・サンシャイン」は「バックマン家の人々」以来の、ファミリーコメディの傑作だと私は思っている。「ザ・ロイヤル・テネンバウムズ」はどうよっちゅうのもあるが、あれは家族を題材にしたコメディであっても、家族で見られる映画ではないからなあ。やっぱり家族で一緒に見られて、家族の誰が見ても笑って泣けるものであってこそファミリー映画だ。本作はその水準を完璧に満たしている。

 まあ実際のところこんなダメ一家、自分の家族だったら絶対一人くらいは包丁で刺してるだろうが(ボカ〜ン)、こうも笑かしてもらって泣かせてもらったんじゃ応援するしかないだろう。いや本当にこのご時世にこんなにも気持ちのいい人間性善説映画を作れるなんて、ファレリー兄弟以外不可能だと思ってたよ。びっくりしたのはこの映画の脚本の人も監督の人(たち)も映画参加はほぼ初めてということ。すげえ。もともと見に行こうと思ったのは好きな役者がいっぱい出てくれてたからだけど(グレッグ・キニアとかアラン・アーキンとか)、その人たちをぴしっと使いこなしてくれてたのが本当に気持ちよかった。役者たちの悲喜劇こもごもの演技も含めて是非全ての人に堪能していただきたい。

 ところでゴールド劇場のロビーでは作品との絡みで、一家が乗っているワーゲンのワゴンのミニカーを売っててね。感動の後だったからもちろん買っちゃったわよ(個人的にはワゴンの形をした映画のポップが欲しかったけど、残念ながらこれは非売品)。ただしもともと何色かある車種で、しかも中の見えない箱に入った状態で売っていたので、一家と同じ黄色が買えるかどうかは神のみぞ知る。だからどうしようかちょっと迷ったけど無性に欲しかったので買った。映画館の外で箱を開けると中には見事黄色いワゴンが! まあ、もともと黄色ばっかり入れてたのかも知れんけど、映画の余韻も相まって大変幸せな気分でありました。




2007年01月27日(土) テレビメモとか「ますらお」とか

 24日だったけど、ジョン、お誕生日おめでとう!

 ちょっと気になるドラマを一応メモ。て、二つとも今夜だよ。

■土曜ドラマ「スロースタート」前後編 NHK総合
1月27日(土)、2月3日(土)21:00〜
 ひきこもりを社会復帰させるべく支援するグループのドラマ。敢えて見たいと思うテーマのものではないが、支援グループの一人が杉本哲太とあらば見ねばなるまいよ。主人公の水野美紀は信念からグループに参加しているのだが、哲太の場合は行きがかり上なんとなく手を貸す羽目になる、というシチュエーションもよい。グループの責任者が近藤正臣様(親房卿!)というのもおいしい。
 そういや哲太、この間『相棒』の正月スペシャルにも出てたよね。知能犯という設定ははっきり言って似合ってなかったけど。哲太なら腹にダイナマイトくくりつけて体当たり、みたいな大味かつストイックな犯罪者の方が似合うよな。まあ最後は哲太っぽかったけど。
 ちなみに今日のお昼にやってた土曜スタパでは近藤正臣様がゲストでありました。「太平記」の映像は出なかったけど、「国盗り物語」の明智光秀が出たのでこれはこれで嬉しかった。しかしもう一つの過去映像として出た「柔道一直線」の方がインパクトは大きかったな。なんせあの、ピアノの上に立って足の指で弾く例の映像が出たもんでね(笑)。ちなみに演じている役こそ高校生だったが、あの当時すでに28歳だったんだそうだ。

■山田太一ドラマスペシャル「まだそんなに老けてはいない」テレビ朝日系
1月27日(土)21:00〜10:51
 最近ダメダメの太一ドラマ。その上時間帯が哲太とかぶっているので多分見ないだろうが、まあ一応録画だけはしておくか。わしも律儀よのう。

 今年の大河ドラマ「風林火山」だが、結構面白い。少なくとも去年の「功名が辻」よりは大河らしいと言える。第一話はつまらなかったが、勘助の人間としての孤独を描いた第二話はとてもよかったので、当分見続けるだろう。内野聖陽はやっぱりこういうギラギラした役が似合うね。でも個人的に一番うっとりなのは晴信(後の信玄)の傅役、板垣信方を演じる千葉ちゃんだったりする。涙ながらに晴信を諌める姿にはもうよだれが出そう。千葉ちゃんある限り視聴続けようぞ。池脇千鶴の三条の方が早く出て欲しいなー。「武田信玄」は好きだったけど、三条だけは不満だったのよね。その点千鶴ちゃんはかわいいし関西弁もナチュラルなので安心できそうだ。

 時代劇と言えば今、北崎拓の「ますらお」にかなりはまってます。もともとは単行本の五巻まで読んでいたんだが、それも十数年前のこと。長くなりそうだったのでもっと単行本がたまるのを待とうと放置し、結局そのまんまになってしまっていたのである。最近ブックオフで一巻を見つけて「おや懐かしい」とちょろっとだけ目を通したら一気に引き込まれてしまって、結局全八巻買った。全八巻かあ。随分コンパクトにまとめたんだなあ。どう考えても二十巻はいくだろうと思ってたのに。

 で、ひしひしと感動しつつ読了した。・・・いや、まだ読み終わってないぞ。八巻まで読んで分かっちゃったんだけど、打ち切りになっていたんだよ、これ(ボカ〜ン)。あああああ(涙)! 十年以上経ってから知るなんてアホすぎるーっ! アホすぎるがしかし存分に嘆かせてもらうぞ、ううう。敦盛の最期まで描けたのはよかったとは思うが、せめて壇ノ浦まではやって欲しかった(ラストのコマが八艘跳びという辺りに作者の無念が伝わってくる)。知盛の最期はきちんと見たかったし、義経が安徳天皇の最期をどう受け止めるのかも見たかった(作品のテイストからして安徳天皇が密かに助かるなんてこたあ万が一にもないだろう)。その他にも見たかった部分は腐るほどある。義仲と別れた後、巴はどうなったのか。義高と大姫はやはり悲劇の末路を辿るのか。平家を倒した後、義経が常盤と再会することはあるのか。頼朝と義経の決裂はどのような過程を経ることになるのか。政子以外未登場に終わったが、北条はどのような思惑をもって頼朝の背後につくのか。そして義経と静の行く末は。

 何より一番気になるのは「義経は衣川の館の後、モンゴルに渡るのか否か」ということ。最初の平泉編でテムジンが登場したのはどう考えても今後「義経=ジンギスカン説」の物語になることへの伏線だと思うのだが、どうなんだろう。まあそりゃ確かに三十そこらの義経がああいう形で死ぬのは悲しいけど、ただでさえ幸薄い義経が弁慶も静も失ってなお生き抜くなんていう姿は悲しすぎて見たくない。やはりあの子は衣川で一生を終える方がいいよなあ・・・。

 ちなみに私は維盛が一番好き。なんつーか、ぼく地球の玉蘭とかファンチルのセスとかを髣髴とさせるお方ですわ。あのバカでかっこつけなキャラクターからしてラジオドラマかアニメやったら声はきっと子安だ(笑)。もう一昔前だったら島田敏かなー。なんて想像しているだけで萌え萌えです。




2007年01月21日(日) フジテレビ日曜7時半の刻

 四、五日前のこと。新しい壁紙でも出ておるまいかと久々に携帯の「世界名作劇場EZ」を覗くと、以下のような見出しが躍っていた。

 世界名作劇場新作アニメ放映決定!
 レ・ミゼラブル 少女コゼット

 ・・・は? え、何それ。ん? なんか萌え絵の美少女の顔も載っているけどこいつが主役なわけ? 時間帯は? ほう日曜7時半。放映局はBSフジ。BSとはいえフジってことはやっぱりアレなわけ・・・?

 そんなわけで今日見てみました。絵柄こそもろアニメ絵でしたがOPの雰囲気とかOPからCMへの切り替わりがいかにもかつての名劇っぽい。ごてえねえにもスポンサーはハウス食品ときたもんだ。OPの最後に「フジテレビ 日本アニメーション」と出た時は、それこそ前世の記憶でも蘇ったかのように、ガクブルしてしまう己が・・・。さらにEDを見ればどこかで見たようなお名前もちらほら(作っているのは無論、日ア)。おお脚本はトラップの丸尾みほ。監督は桜井弘明でキャラデは吉松だった。最初から最後まで見たけど、正直感想はうまくまとまんないです。てゆうか内容ダメっぽいんですけど(ボカ〜ン)。それじゃなくても「レ・ミゼラブル」はどんな凄い作家が作ろうと、みなとも太郎の漫画版を越えるものは絶対に有り得ねえ。

 「パタパタ飛行船の冒険」の時も「雪の女王」の時も「ふうん」て感じだった私ですが、こうして本当に現実に「世界名作劇場」と名乗るものが始まってしまうと、何と言うか・・・。こんなにテレビが恐くなるのは没ゼロ以来だよ。ああもう勘弁してえ(涙)。まあいいさ、これを「赤毛のアン」でやられなかっただけでもよしとしよう。




2007年01月15日(月) 「地球へ・・・」がテレビアニメ化ですと

 すんませんねえ。ほんとに更新なくて。ちなみに今年に入ってから硫黄島とか007とかプラダとか麦穂とか、それなりに見ちゃいるのですが感想書く余裕がありません。この月なので仕事がちょっと忙しいっつうのはもちろんなのですが、何より子育てに忙しく・・・。あ、いえ一昨日の土曜日からちょっとお犬様をね、飼い始めたんでありますよ。今のうちの躾が肝心なので日記つけるのは二の次にせざるを得ないのであります。まあそんでも今週の木曜にはゴールドへ「リトル・ミス・サンシャイン」を見に行こうかなと思っておりますが。なんてったってグレッグ・キニア兄貴がお出ましになるのですから! スティーブ・カレルも出ることだしな(スティーブ・カレルと言えば『40歳の童貞男』は名古屋じゃいつどこでやるんだ)。

 ところでネットをうろうろしていて知ったんだが、竹宮恵子の「地球へ・・・」が再びアニメ化されるんですってね。しかも今度はテレビで。いやあ今からすんごい楽しみ。あたし竹宮恵子はあんまり好きじゃないんだけど、「地球へ・・・」と「天馬の血族」だけはすっごく好きだからさ。80年にやった劇場版の「地球へ・・・」じゃネタにしかなんないから、ちゃんとしたアニメで見られるっていうのが何より嬉しい。まあ内容はアレになるかもしれないけど、キャラデが結城信輝でデザイン関係がぶっちーとくれば、絵を見ているだけでも幸せになれるさ。それこそ全キャラ志垣太郎声とかでも許す(ボカ〜ン)。あー、なんか久々にサンコミを読み返したくなったなあ。

 しかしいきなり「地球へ・・・」というタイトルが数十年を経て表舞台に帰ってきたせいか、今さらながらあの悪夢のような劇場版が今すっげー脳裏に蘇ってきてるよ(うう、そう言えば超銀も80年だったねえ)。もちろん当時三歳だった私がリアルタイムで見ているわきゃなく、オタク仲間から借りたLDで見ただけだから、上の世代に比べりゃ精神的損害は軽微なものだがね。ダ・カーポの歌う主題歌は好きで、一時期カラオケでよく歌ってたけど、それ以外は何もかも忘れたい部分ばかり。中でも原作では美少年だったトォニィが、劇場版ではドーピングでもしたかのようにムキムキになってたのが嫌だったわ〜っ(声が古谷徹ってのもねえ)。まあキャラデが須田正巳だったからしゃあないけどさ。で、ブルーとフィシス以外誰が誰の声だったけと思ってアニメージュの「劇場アニメ70年史」を読んでいたら、ついついいろいろ読み耽ってしまった。ああ大昔のアニメムックは濃ぃいぜ。




2007年01月04日(木) 麦の穂をゆらす風

 まあこの日もまだ冬休みという会社も珍しくないわけだ(うちもそうだし)。ついでに言えば明日から通常勤務なんで今日しか来れないという人もいたりするわけだ。そうすると自動的に今日は半端じゃないくらい混むってわけだよ、おまけに木曜日でレディースデーだし。いやあこんな日は行くもんじゃないね。4時からの回で見たんだけど、せまっこいシネマスコーレは追加席も出し尽くして、しゃあなしに先頭列の前に座布団敷くという有り様であった。もちろん私は座布団席だった(ボカ〜ン)。もっと早い回ならこれよかすいてたかもしれんけど、休日に午前中起床はなかなかに至難の業であるよ。

 ま、これで映画が面白かったらよかったんだけど、つまんなかったんだよねえ(ボカ〜ン)。ケン・ローチの映画で外したことなんてなかったので、ほんに意外であるよ。

 とにかく登場人物に感情移入できなかった。こんなことはケン・ローチの映画では有り得ない。自分とどんなにかけ離れた境遇にいる人間であっても、思考回路が全く違う人間であっても、その心情が砂にしみいる水のように伝わってくるのがケン・ローチの映画である。なのにあーた、肝心要の「なぜ主人公は医者への道を捨てて祖国の独立運動に加わったのか」というのがさっぱり分からんのじゃだめだよなあ。他の脳筋な奴らはともかく、この子の場合長い目で考えれば医者になった方がずーっと世のため人のため、国のためじゃないか。ましてやロンドンで勉強できるような学生ならば、兵隊の真似事するよかよっぽど役に立てるものを(実際主人公もそう思ってたわけで)、わざわざそれを棒に振るとはこの主人公、勉強はできても将来設計ができないタチか? さてはあんたスーパーの安売りチラシも最初の一枚しか見ないタイプじゃないの? ああいうのは全部チェックしようぜ・・・などと視聴中、映画とは全く関係ない突っ込みが湧いてきて困ったでござったよ。キリアン・マーフィーが頭よさげな顔してるだけに、なおさら主人公が聡明なのかアンポンなのか判断に困った。

 後半の内ゲバはケン・ローチらしい締まりのある演出だったが、全てのきっかけが前述のように弱いため、ネジが足りないなあという印象は拭えなかった。少なくともアイルランドをバックにした映画なら、「イン・アメリカ 三つの小さな願いごと」のジム・シェリダン監督による「父の祈りを」(ダニエル・デイ・ルイス主演)や、ニール・ジョーダン監督による「マイケル・コリンズ」(リーアム・ニーソン主演)や「プルートで朝食を」の方が遥かにいい。それとこれからケン・ローチを見るなら、代表作の「ケス」、あるいは4月25日に晴れてDVDとなる「マイ・ネーム・イズ・ジョー」がおすすめ。




2007年01月03日(水) 007/カジノ・ロワイヤル■プラダを着た悪魔

 TOHOシネマズではしごしてきた。はしごすると片方の映画の余韻が潰れちゃうから普段はしないんだけど、こういう肩の凝らん映画ならはしごしても私の場合オッケーだ。

「007/カジノ・ロワイヤル」
 ダニエル・クレイグっつーと、「ロード・トゥ・パーディション」でポール・ニューマン相手に「うえーん、パパ許してぇ」ってベソかいてた姿くらいしか覚えてなかった。ただ「ミュンヘン」でかっこいいと思ってからはちょっと楽しみにしてたのよ、あたしゃ。ま、そりゃあね。金髪碧眼、しかもあんな悪役顔じゃあボンドらしくないさ。昔からのボンドファンが文句言うのは当然だろう。でもそのボンドファンから概ね支持されていた先代ボンドのピアース・ブロスナンが私はあんまり好きじゃなかった。この人動いてるとかっこいいんだけど、とまっていると妙にもったりした感じがするんだよね。ボンドだったら何もしていなくてもセクシーじゃなきゃ(ま、そう思うのは好みのボンドがショーン・コネリーとティモシー・ダルトンだからだが)。その点ダニエル・クレイグはよい。まだQ相手に(あMか)軽口叩くような余裕は身につけてないみたいだけど、成長したらそういうボンドになってくれそうな期待は充分できますよ。

 しかしボンドガールのエヴァ・グリーンは私的には今一つ。美人だけど何か物足りない美人だった。007の男女は二人並ぶと胸焼けするくらいの濃ぃい美形をあてがっていただきたいものだ。それこそジョリとかスカちゃんクラスの、どエロ顔がちょうどいいと思う。

 俳優のことばっかり書いているが、映画としても面白かった。基本的には撃って走ってトランプやってまた撃って走って(キンタマ打たれて)、の繰り返しで筋書きにさしたる面白味はないのだが、インディ・ジョーンズばりのアクションが一切のダレを挟むことなく文字通りダダダーッと続くおかげでもう楽しいのなんのって。締めの「襲名披露」もぞくっときたよ! ダニエル・クレイグは次も続投してくれるそうなので、いよいよもって先が楽しみですわ。


「プラダを着た悪魔」
 ハリウッド版「働きマン」。ハリウッドなのでマンガ度はこっちの方が上である。でも恋愛要素の方は「働きマン」の方が複雑だなあ。男女両方が仕事熱心でも上昇割合が均等でないと、仲がギクシャクしてくるのは万国共通だけど、アン・ハサウェイは松方と違って、今の彼氏をすっぱり捨てて新しい男に行ってしまうのだ(まあ一応その後も二転三転あるのだが)。映画を見る限り結構いい彼氏だったのに、アメ公は単純じゃのう。

 彼氏問題ともう一つ、女が働くってなると男の上司との付き合い方ってのが一番めんどくさい問題になってくるのだが、ファッション業界ということもあって周りはほぼ全員女なので、セクハラとかは出てこない(男の先輩もいるが、どう見てもありゃゲイだ)。だからある意味恵まれた職場なんだが、セクハラがない代わりにメリル・ストリープから毎日パワハラの洗礼を受けるわけだ。いやあ、セクハラがない職場ってのはいいけどさ、こんなにしごかれたんじゃ一緒だよ。「毎朝机の上にこれとあれと(他延々と続くので省略)用意して」っていう初っ端の指令すら満足にできそうにないよ、あたしゃ。一日でクビになるだろうな。お給料の代わりにフルストレスをいただいて半ベソかきながら地下鉄に乗る姿が目に浮かぶわ・・。で、そんな毎日だもんだから、前向きなアン・ハサウェイもさすがにめげちまってゲイな先輩にお悩み相談したりするんだけど、ゲイな先輩は「ぬしの修行が足りぬのよ」と一喝。悟りを開いた主人公は再びパワーアップに励み、ついには全ての指令をこなせるようになるのであった・・・! 偉いなあアン・ハサウェイ。まあ実際ね、上司の態度がどんなに理不尽であっても結局その職場でやっていくためにはこういう風に全方位フォローできなきゃ駄目なんだよね。いいとか悪いとかじゃなんも動かんのさ。できるかできないか、なんだよな。ま、それ以前にお仕事のドラマで不器用かつ無能かつ意志薄弱な女が主役だったりした日にゃあ、ストレスたまってしょうがねえよ。見た後メシがまずくなるっちゅうねん。

 まあしかしこの映画に出てくる女、上司メリル・ストリープの鬼っぷりを差し引いてもみんな根性ありすぎ。女だけど男より金玉が似合いそうだよ。一応メリル・ストリープにだってお悩み描写があったりするけど、せいぜい30秒ぐらいだったもんなあ。まあ実際このくらい腹の坐った性格じゃないと、女が最前線で働くのは無理だろう。私はそんな根性はないので、今日も明日もちまちまと雑用をこなすのみであります。ERもそうだけど、こういうの見てると「ああ、あたしの仕事場の方がまだどんだけんかええわ」って気になれますな。とにかく元気になれる一本ですよ。




2007年01月02日(火) 硫黄島からの手紙

 正直、この内容ならさとうきび畑のなんちゃらみたいな、自分とこで毎年夏にやっている奴の方が満足できると思った。つまらなかったわけではないが、「父親たちの星条旗」と同じものを求めていたので、その点どうしても期待外れである。やはり作り手に同族に対する粘っこい共感がないと物足りない。第二次世界大戦を題材にしたドラマならなおさらだ。アメリカ視点で描いた「父親たちの星条旗」は、構成だけに目を向ければ詰めの甘い作品だが、父祖への思いが作品の魅力を異様に高めて(歪めて)いる。その点、硫黄島は主体が日本人である分、思い入れの度合いが低くなってしまうのだろう。そういう粘っこさが嫌いな人にはむしろ楽しめる映画である。(あの渇いた感じは日本人には絶対作れないだろう)。

 ただ、敵国に対してここまで敬意を払って描いてくれたことには大変な価値がある。

 渡辺謙はもちろん神だった。二時間半はこの人のためにあったと言っていい。



 < 過去  INDEX  未来 >


バンビーナ [MAIL] [HOMEPAGE]