猪面冠者日記
今さらだが当分不定期更新

2006年02月28日(火) ウォーク・ザ・ラインの特番

 27日の深夜三時半すぎから東海テレビ(フジ系)で30分ばかりのミニ宣伝番組をやっていた。テレビ欄には「ウォーク・ザ・ライン」としかなかったし、おまけにフジテレビなんで「まーたどうせ自称映画好きのタレントか女子アナが適当なことほざいてる番組だろう」と思って、さしたる期待もなくタイマーセットしておいたんだが、今日帰宅してから見たら短いながらも案外ちゃんとした番組になっていたので嬉しい驚きであった。劇中の映像に、メインキャスト二人と監督のジェームズ・マンゴールドへのインタビューを絡ませつつ、作品が紹介されている。まあ、これはこれでひょっとしたらDVDの映像特典をまんま流用しただけなのかもしれないが。

 番組はCMをはさんで大体15分ずつくらいだったんだけど、内容が前半と後半でちょっと被っているところがあってそれが唯一不満だったが、撮影シーンとか見られたので個人的にはウハウハでありました。ちょっとしか映らなかったけど、プレミア試写の模様が見られたのもよかったなあ。しかしその中でホアキンが若い娘らにワーキャー言われているのが個人的になんとも不思議な光景に思えてなりませなんだ。いや、あれはリース・ウィザースプーンに対する歓声だったのかもしれぬ(ボカ〜ン)。

 そういや3月5日のアカデミー賞までもう日がないね。まあ日本時間だと6日の午前中だしBSでの放映なんてまだ先だけど。とはいえ、リアルタイムでのアカデミー賞までもう日がありませんな。私のお目当てはなんつっても主演男優賞と助演男優賞ですよ。特に主演男優賞が今か今かと待ち遠しい。個人的にはデビッド・ストラザーンに是非とって欲しいなあ。だってもう二度とこんな機会なさそうなんだもん、この人(なんか去年のバージニア・マドセンに通じるもんがあるな)。そういう意味では同じく主演男優賞に入っているテレンス・ハワードもそんな感じだが。テレンス・ハワードはこの間の「クラッシュ」で初めて見たけど(いやそれまでもどっかで見ているかもしれないが)、この人もいい役者さんだよな。まあまだ若いからチャンスはこれからいくらでもあるわい。

 あとストラザーン以外で個人的にとって欲しいのはホアキンだな。もし受賞したら今度はちゃんとリース・ウィザースプーンの名前を言って欲しいもんだ(笑)。ところでこの二人、もしかして実演とかあったりするんだろうか。歌モノなんだからありそうと言えばありそうだけど。でも二人とも嫌がりそうだから、まあないだろうな。

 これまでの評価からすると主演男優賞は、フィル君か、ホアキンかヒース・レジャーかって感じだねえ。中でもフィル君とヒース・レジャーが頭一個上という気がする。まあ今回は満遍なく好きな男優が入っているので誰がとってもいいや。助演男優賞はこれまた誰がとっても嬉しいけど、中でもやはりマット・ディロンにとって欲しい。多分無理だろうけど(本人もそう言ってたし)。




2006年02月25日(土) イノセント・ボイスのつもりが読書

 微風邪状態なので家でおとなしくしていることに。さて、ホアキン熱冷めやらぬ私は、とうとうリバー君の伝記、「リヴァー・フェニックス 翼の折れた天使」を買ってしまった。口絵には「スニーカーズ」の頃に撮ったと思われる写真で、リバー君とダン、デビッド・ストラザーンの三人ショットがあり、個人的に萌え萌え。ちなみに私が買ったのは2004年に復刻出版された方である(もとの奴は96年発行)。ずっと前から買おうとは思っていたけど、こういうきっかけで買うはめになるとはね。内容自体は以前図書館で借りて読んだけど、その時は部分読みしただけだったので、最初から最後まで通して読むのはこれが初めてになる。まあ、部分読みしていた時もあまりの悲惨さにどんよりとした気持ちになったもんだが、いやはや、本当にどこを切っても救いがない。救いがなさすぎて23年という短い命がある意味救いだったのではと思うほどである。

 ヴァイパー・ルームでリバーが発作を起こした時、救急車を呼んだのはホアキンだったが(同時期にただならぬ状態のリバーを発見したパパラッチも救急車を呼んでいる)、この時911に録音された半狂乱状態の彼の悲痛な叫びは、リバーの死後ニュース等、世間に晒され、前々から「リバーのイケてない弟」というレッテルを貼られていたホアキンは、兄を救えなかったバカ弟としてアル中だった父と共に、ファンや世間の非難を浴びることになるのである。

 ヴァイパー・ルームでの一件に関しては、その場にはリバーの妹で、ホアキンの姉であるレインや、リバーの恋人であるサマンサ・マシスもいたのだから、ホアキンばっか叩かれたのは不当としか言いようがないんだがな。最初の発作の時点で救急車を呼ばなかったことにしたって、薬が世間にばれることをリバーがひどく恐れていたから呼ぶに呼べなかったわけで。なんかもうほんとに可哀想だわ。

 ただリバー君の伝記とは言っても、この手の伝記で必要不可欠である家族へのインタビューは一切ない(母方のお婆さんがちょっと喋っているだけ)。家族の発言のほとんどは過去の雑誌からの抜粋らしい。作る許可は出したんだろうけど、コメントはなしってことなのか。インタビュー相手にしても、キアヌ・リーブスやガス・ヴァン・サントはいないし、ダンもいない。ロブ・ライナーすらいない。

 悲惨な内容はおいといて、伝記の中で個人的にびっくりしたのは、「リヴァーの弟リーフも『スペース・キャンプ』で映画デビューし」ってな記述。うわああ、この「スペース・キャンプ」って見たことあるわ、私。中二か中三の頃、毎週月曜日のクラブ活動で「映画クラブ」に入ってて、そん中で見せられたんだよ、これを。あのワーキャー言ってるガキがホアキンだったんだね・・・。お前、荒んじゃったね(ボカ〜ン)。ん、しかし私が初めて「スタンド・バイ・ミー」を見たのは高校か大学に入ってからだったから、私はリバー君より先にホアキンを見てしまったということになるのか。なんかやだなあ(ボカ〜ン)。あ、大丈夫そんなことない。「インディ・ジョーンズ 最後の聖戦」はリアルタイムで見ているから、辛うじてリバー君が先だ。ああよかった(なにが)。

 それからDVDに録ってあったGGAの映像もいろいろ見直し。映画部門ミュージカル/コメディ主演男優賞のプレゼンテーターってトラボルタだったのね。「炎のメモリアル」の時共演したんだっけ(見てないけど)。受賞者の名前を読み上げる時「私の友達、ホアキン・フェニックス」って言ったのが微笑ましかった。はっ、それよかホアキン、スピーチでリース・ウィザースプーンの名前言ってないよ! リース・ウィザースプーンはちゃんとホアキンの名前言ったのに! 正直この二人、撮影中は爆裂仲悪かったと思えるので、この後どうなったのか激しく心配だ。

 そういや今日から名古屋でも「ホテル・ルワンダ」が始まったんだよね。東京では満員御礼らしいな。東京の妹はもう見てて、「すげーよかった!! でもどこ行っても立ち見だった」との由。ああ私も早く行きたいなあ。取り敢えずもうちょっとしてから木曜に行ってこよう。

 さて今さらだが2005年に見た映画の中に「カンフーハッスル」を入れてなかったことに気がついた! うわあああ、なんでこれを忘れたのか! 一応、1月28日んとこに追記しときます。




2006年02月22日(水) ウォーク・ザ・ライン二回目

 というわけで仕事が終わった後、バスに乗って名駅へ。8時15分の回からなんでのんびり行ける。夕ご飯にはメルサ地下一階の傍にある開明軒でオムライスを食べたんだが、思ったほどおいしくはなし。その辺を適当にぶらぶらして109へ。自動機で予約したチケットを発行してもらって、開場時間まで売店でパンフレットを立ち読みしていた。

 二回目は前以上に満足な鑑賞状態だった。つか、一回目に見た時より泣けたくらいだ。ただ、同じ列の右端にいた外人と日本人のカップルのマナーが悪かった。特に上映時間中に携帯見るのはどうかと。電源切っとけよ。マナーモードだって十分うるさいわい。でもそれ以外では先に言ったように気持ちよく見られた。音の素晴らしさにも心底酔った。まだ数々の意欲作が公開待ちとは言え、よほどの大玉が出てこない限りこれと「ミュンヘン」が今年のベストワンだろう。

 しかし今更ながらホアキンのプロフィール見てびっくりしたんだけど、この人って74年生まれだったんだね。てことはあたしと三つしか違わないのか。正直十歳くらいは上だと思ってたよ。なんかなあ・・・。演技はあくまで演技であって現実とは別ではあるんだけど、それでも自分とほとんど年の変わらない人間があんなダークサイドに満ち満ちた演技ができてしまうなんて、どんな人生歩んだらああなっちゃうのかと悲しくなってくるわ。生まれっていやあ、ヒース・レジャーが79年生まれってのをこの間知って、もっとびっくりだよ。軽めの役も一杯こなしているけど、この人も年の割りにはしんどい演技してるよねえ、「チョコレート」とか。

 ところで、ホアキンとリース・ウィザースプーンが二人で魚釣りをする場面で魚が出てこないのは、やっぱ超ベジタリアンのホアキンがごねたからなんだろうか(笑)。昔どっかで「僕はベジタリアンだから魚を釣るシーンはやりませんよ」てなことを言ってたようなことあったし(『ヴィレッジ』の時だったかな)。もっと昔には出汁に鰹が入っているからって蕎麦食わなかったこともあったよなあ。はっ、そう言えばミュージシャンなのに皮ジャン着ているシーンが一個もなかったわ。恐らくこれも毎度のそれなんだろうなー。「グラディエーター」ん時、自分の皮の衣装んとこは全部合成製品使ってくれってごねてたし。

 あと見ている間ホアキンの顔の傷がすげー気になった。鼻の下から唇にかけてついてるんだけど、今回の映画は顔のアップが多かったせいで気になって気になって。今までこんなのあったっけって思ったんだけど、調べたら、なんでもあれは生まれつきなんだそうである。へえ。でも普通役者なら若い頃に消してるよな。まあそういうことしそうにない人だからこれからもずっとつけっぱなしなんだろうけど。




2006年02月21日(火) ゴーストバスターズ(さよなら名鉄東宝ファイナルシネマ)

 地下鉄とJRを乗り継いでいったら上映前どころか開場前に着けた。客は少ない上に全席自由席。後ろの方にあるプレミアシート(カップホルダーとテーブルがついている)に初めて座った。しかしこうして見るとやっぱり老舗の映画館だなあ。スクリーンの両脇にワインレッドのカーテンがかかっているなんてシネコンのスクリーンじゃまずないよ。

 せっかくこういう機会にこういう映画だったんでポップコーンを買った。ポップコーン食べながら映画見るなんて小学生の頃以来だったんでちょっとウキウキしちゃったよ。ポップコーンはカップじゃなくて紙袋に入った状態で売っていたんだけど、その紙袋に描いてあるイラストがなんともパチ臭いゴジラで思わず苦笑い。袋の反対側にはモスラのイラストがあった。ところが袋の下の方にあったイラストレーターの名前を見てびっくり。描いたのはなんと和田誠なのであった。

 フィルムはデジタルリマスターされたものではなかった。まあそう劣化している風でもなかったので別によかったが、ただ、古い映画なので字幕が今時まずない右隅縦書きなのであった。ちなみにバスターズの字幕担当は戸田某だったりして。ま、お得意のコメディなのでそうひどいもんではなかったけどね。三人組の掛け合いの楽しさは言わずもがな。あと、この頃のシガニー・ウィーバーは大画面だと本当に綺麗だった。

 ロビーにはこの映画館ができた日の新聞の切抜きや往年の名作のポスターが飾られていて、それらを携帯のカメラに収めている人が結構いた。みんな自分のブログにのっけたりとかすんのかな。

 さて明日は109にもう一回「ウォーク・ザ・ライン」を見に行くつもりだ。伏見ミリオン座でもやってるから、今度はそっちで見てもいいんだけど。あっちじゃミリオン・ナチュラル・サウンドなる設備のついた1番スクリーンでやっているらしい。でも広さからいったらやっぱり109の7番スクリーンの方が断然上だからなあ。それじゃなくたって、109の「ウォーク・ザ・ライン」は土曜日からはもう3番スクリーンに格下げなんだもん。どうしても7番スクリーンでもう一回見たい。ついでに言えば、前回は後半辺りでトイレに行きたくなっちゃったんだよ(ボカ〜ン)。

 確実に良席をゲットするべく、生まれて初めてネットで席を予約することにした(109にはそういう会員特典があるのだ。TOHOにもあるけど)。前に見た時もいい席だったんだけど、真ん中よりちょっとずれていたし、あと一列後ろで見たかったので、ピンポイントで座席を予約。正直言って映画のチケットをクレジットで買うのはヤなんだけど、ま、これで安心して劇場に行けるというものだ。




2006年02月20日(月) クラッシュ それと4000ヒット御礼

 仕事が終わった後、名駅へ直行して松坂屋のプリモで夕飯を食べ、ゴールド劇場へ。はあ、以前は仕事場が駅近くだったからよかったけど、そうじゃなくなった今となっては今名駅付近の映画館へ行くのはめんどいなあ。まあ贅沢な悩みだけど。明日の「ゴーストバスターズ」は最終が18時20分からなんだよな。間に合うのかな。今日みたいに雨だったりしたら絶対間に合わないよ(まあ明日は晴れみたいですが)。今日の名鉄東宝はデジタルリマスター版の「ゴッドファーザー」なんだよな。見たいな・・・。見たいけど後の皺寄せが怖いからなあ。同じヤクザ映画でも「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ」だったら一秒も迷わず行ったけど。「ブルース・ブラザース」だったら仕事さぼってでも行ったけど(それはだめだってば)。

 それはそれとして「イノセント・ボイス 12歳の戦場」が知らない間に伏見ミリオン座で上映が始まっているのだよ。でも「ウォーク・ザ・ライン」と交互にやっているせいで昼間の変な時間帯に入れられちゃっている。行けるとしたら今週の土日しかない。単館系であるおかげで前売券はまだ販売中になっていたのでそのまま購入。

 ふう、それにしてもゴールド劇場はやっぱあんまり行きたくない劇場だな。相変わらずトイレはボロいし狭いし。ここは昔改装したのになぜかトイレだけは全くいじらなかったのだ。それはまだしも従業員のあの態度の悪さはどうにかならないものか。極端に悪くはないけど、客に対して好意的な姿勢が全く感じられないぞ。開場案内する時の声かけがイラってるみたいな調子だし、売店の呼び込みの声にしても、まるで買って欲しくないかのような声調子。もっとちゃんとバイト教育しろよ。上映がここしかないからしゃあなしに来ているんだぞ。同じスターキャット系列でもパルコのセンチュリーシネマはこんなことないんだけどな。今度伏見ミリオン座に行くけど、そっちはどうなっているのやら。その点設備は貧乏でもシネマテークやシネマスコーレの係員はみんなきちんとしているよな。

 予告編では「ブロークバック・マウンテン」と「ヒストリー・オブ・バイオレンス」が流れた。うはうは。けど、スターキャット系列でもやるんだあ。まあ私はTOHOシネマズだけど。でももし109でDLPつきのシアターでやってくれる場合があったらそっちで見たいわあ。しかしゴールド・シルバー劇場、今の設備・接客態度ではみんな一秒も迷わずにピカデリーに行くと思うな、同じ名駅なら。

 さて「クラッシュ」。予想以上の差別ネタおてんこもりに打ちのめされること限りなしであった。確かにいい映画だけど、これ、白人の役者はよくこの役を演じようって思ったよなあ。だって二言目にはカラードへの蔑みを口にするんだよ? たまーに公平な態度もとっておくれになるんだけど、その態度っつーのが「特別に公平に扱って差し上げますよ」と言わんばかりの、鼻につく偽善なのが胸糞悪い。

 カラードだって楽じゃない。トン・チードルなんか面と向かって白人の相棒から「俺は黒人を差別する気はないが、やっぱり連中はもともと犯罪を犯しやすい性質なんだとしか思えない」なんて言われたりするし。もうなんなのだ。他にサンドラ・ブロックやブレンダン・フレイザーも出てくるんだけど、他の白人キャラ同様、口も態度も差別丸出し。二人とも好きだからこんなやな奴らの役をやっているのはちと悲しかったよ。マット・ディロンに到っちゃ、黒人の女性(お金持ち)相手にレイプまがいの尋問してるしさあ。役なのは分かっているけど、「お前、とうとうそこまで落ちぶれたのか」と、見ていて現実のマット・ディロンとの区別がつかなくなりそうになりましたよ(ボカ〜ン)。

 とはいえ作り手は、差別はいけない式の啓蒙を試みているわけでもない(言っちゃなんだが私も立派な差別主義者なんでそういう意味では安心して見られる)。かと言って人の醜さをぶちまけようっていう腹なわけでもない。ただ、彼らの心理の表とも裏ともつかないどこかの「面」に様々な光を当てていく。だから自然と、「そいつらの差別にもどこかに理由がある」という展開になる。しかしそれは下手をすると、「この人はこういう可哀想な人だから差別をする」という免罪符にもなるものである。そういう物語はいくらでもある。ポール・ハギスは理由を差別の免罪符にはしていない。ただ、シビアに「この人にはこういう所もある」と語る。その様が冷たい好感度を醸し出している。好きなタイプの映画である。

 思うに真の寛容とはこういうものではないだろうか。そいつを可哀想な人として描いてその差別行為を観客に許させるように描くのは、聖職者的独善というものである。

 つまりポール・ハギスという人は自然が好きなのだろう。誰かが作り上げた遊歩道を歩くよりは、虫が飛び交い、木の根に足をとられそうになる山の中をきょろきょろしながら分け入っていくのが好きなのだ。彼にとっては差別も、差別に対する怒りも、同じ自然の別の顔なのだ。

 しっかしパンフレット後半の越智道雄と貞奴の解説文はひどすぎんか。つまんない上に全然物語を突いていない。この二人のおかげで普段大して面白いとも思わない芝山幹郎の解説が面白く読めるほどだ(ボカ〜ン)。ああなんだかパンフも含めて腹の立つ所の多い映画だったなあ〜。

 ところで映画から帰ってきて日記のカウンタをチェックしたら、ちょうど4000ヒットに到達しておりました。ちなみに自分で日記を見た時はその都度必ずカウンタ数をマイナスしているので、自分で踏んだ数はここに含まれてはおりません。ありがてえありがてえ。全国に十人いるかいないかの紫のバラの人々に御礼申し上げます。ええこれからも続きますよ、さぼりながらね(ボカ〜ン)。ちなみに午後十時半ちょっと前に来ていたあなた! あなたが4000人目ですよ! ついでに言えば表のサイト訪問回数はその時ので40回目でした! 四尽くしおめでとうございます! どこのどなたかは存じませぬが、これからもよろしくお願いします!




2006年02月18日(土) ウォーク・ザ・ライン 君につづく道

 「クラッシュ」を見る気満々だったんだが、起きるのをぐずっているうちに目当ての時間に間に合わない状態になってしまった。なのでもし「ウォーク・ザ・ライン」が近い時間にやっていたらそっちにしようと、新聞をチェックしていたら、14時15分からの回があったので、そっちへ行くことにした。というわけで笹島の109シネマズへ。

 正直「ミュンヘン」が凄すぎてもう当分映画は見なくていいやと思っていたので、今回これを見に行ったのは純粋にホアキン目当てだったのだが、いやあ、そんなもんじゃ済まなかった。こんな立て続けに凄い作品を見てしまっていいのだろうか。罰が当たりそうだ。

 ジョニー・キャッシュの伝記映画なので当然音楽が到る所にあるわけだが、とにかく「音」がいい映画だった。物語はキャッシュ復活の刑務所コンサートの場面から始まるのだが、キャッシュ登場を今か今かと待ち侘びる囚人たちが、すでに舞台に出ているバンドマンたちの伴奏に合わせてダンダンダン・・・と足を鳴らしている場面が何とも言えずぞくぞくした。以降、魂の歌声から家庭内暴力(涙)まで、音の名演技が余すところなく続いていく。なので、音のいい映画館で是非堪能していただきたい。

 ちなみに今日見に行った109シネマズの7番スクリーンは座席数が472と館内最大でしかも設定はDLPシネマ。て、実は終わってから扉にある仕様を見るまでそのことに気がつかなかったのだが。でも今日が初日なのにガラガラだったよ(涙)。来週からはちっちゃいハコ流しかも。なのでなるべく早めに映画館へ行くことをおすすめする。

 しかし、最終的にハッピーエンドと分かっちゃいたが、それでも見ていてかなり辛くなる映画だった。どんより度は「チョコレート」や「ミスティック・リバー」に負けてない。酒と薬の芸人人生ってとこはレイ・チャールズと一緒だが、レイ・チャールズが贅沢に思えるほどの不幸っぷりである。その部分があまりに強烈で、ミュージシャンの伝記映画というより、スティーブン・キング的な家族悲劇という印象が残った。特にラストシーンなんて萩尾望都の「訪問者」を思い出してしまったよ。演じているホアキンがこういう役にぴったりの不幸人間だもんだから、痛々しさの伝達率が高すぎて、見ている側の精神的負担大。もうあたしゃホアキンが可哀想すぎて全136分の八割ぐらいは泣きっ放しだったぞ。アイメイクしてくるんじゃなかった(ボカ〜ン)。そりゃあ酒も薬も、最初の結婚の失敗も本人の自業自得なんだけどね。でもそれを差し引いても痛々しかったわ。痛々しいと言えば、映画を見た後はMOVIE STAR3月号のホアキン・インタビューも読むといい。泣けます。

 ちなみに製作総指揮がジョニーとジューンの第一子、ジョン・カーター・キャッシュ(ERに出てきそうな名前だ)なので、ジョニーの最初の奥さんが必要以上にヤな女に描かれている(笑)。これもまた別の意味で可哀想だ。

 そういうわけでドラマ部分が延々救いがない分、歌の場面は文字通り救済なのだ。ホアキンはまあ予想通りあんまし巧くなかったんだが、実際、エンディングに流れるジョニー・キャッシュ本人の歌い方がそんな感じなので、あれでいいのだろう。一方でジューン・カーター役のリース・ウィザースプーンの歌いっぷりはかなり本物だった。映画には本業ミュージシャンが一杯出てきて、そういう人は当然すこぶる巧いんだけど、それら餅屋に負けていない。演技が巧いのは分かってたけど、こういう芸も持っていたんだなあ。

 それからパンフレットを読んでから知って驚いたことは、ジョニー・キャッシュの父親役がT−1000のロバート・パトリックだったこと。いつの間にこんなに老けちゃったんだ。全っ然分かんなかったよ。




2006年02月17日(金) 前売券

 仕事が終わった後、矢場町近辺でお買い物をした。「クラッシュ」の前売券が欲しかったので、パルコのセンチュリーシネマに行ったら、おおお、もう「ブロークン・フラワーズ」の前売り券が売っているよ! しかも特典がついている。映画で主人公宛てに届く手紙に模したピンクの封筒に入ったポストカードである。二種類あって一枚買うごとに一種類つく。もちろん私は二枚買った。ちなみに「クラッシュ」の前売券にも特典がついていて、こちらはハート型のリキッドカイロ。映画に登場するものなのか、中に銀色のボタンがぷかぷか入っている。よーし、明日は「クラッシュ」だ。



2006年02月16日(木) ミュンヘン

 たった今「ミュンヘン」から帰ってきました。ってもう11時半過ぎてるよ。ああ、はよ寝な・・・。

 取り敢えずなるべく早く見に行って欲しいです。公開場所が都落ちしないうちに。大画面で見るべき映画であることはもちろんですが、音のいい所で楽しんでいただきたいので。

 スピの大人向けシリアス映画は「プライベート・ライアン」だけ(最初の方だけ)しか好きになれなかったので、そういう意味では全体の完成度とかドラマ部分にはそれほど期待していなかったのですが、これはそうじゃない。もう今までとは格段の違いだった。

 すがすがしいくらいに人がブチブチ死ぬし、おまけに「ゴッドファーザー PartII」をさらに凝縮したような緊張感が最初から最後まで続くので、嫌な疲れがたまっている人におすすめ。見終わった後、実に満足のいくグッタリ感が味わえる。

 帰りに出入り口の看板を見たら、「グッドナイト&グッドラック」がTOHOシネマズで5月下旬からやってくれると! しょぼいミニシアターでしかやってもらえないと思っていたので、凄く嬉しい!




2006年02月15日(水) 空間

 先月は以前と今両方の仕事場からのお給料が入ったおかげで私はお金持ちであった。その上ニュー本棚様のおかげで物を置いておける空間もできたということですっかり気が大きくなっている。おまけに冬物が激安だ。てなわけでバカスカ物を買っている今日この頃。それと引き換えに古い物を捨てている。バイトで履き始めたスニーカーが、この一年間であちこちに破れが生じていたためにお払い箱。短い一生だった。それと2001年ぐらいに買った卑弥呼の靴が、とうとうかかとに白いものが見え始めたので、これまたお払い箱。ああでもこれは捨てるに忍びないわ。ものすごーく履き心地のいい奴だったんだよ! 夏以外の祭りには必ず履いていってたしさ。ううう、冥福を祈る。しかしなあ、だからって新しいスニーカーを二足も買っちまったのは無駄使いだったとしか。

 DVDもつい買ってしまう。9日には「チョコレート」のDVDが2625円で、その前にはブックオフで「グッバイ、レーニン!」が2100円で売ってたんで買ってしまった。今日の夜には「X−MEN」のアルティメット・エディションもアマゾンから届いていたし。ふはははは。んで、「ああ『バットマン・ビギンズ』の特別編も欲しいなあ〜」なんて思ってたら、現在アマゾンで30パーセントオフになっているじゃないの。ええ買っちゃったよ。

 なんて浮かれている場合じゃなくて、もうすでにトム出版じゃあ、GWイベント合わせの締め切りがアップされているのだ。早いなあ。ちなみにスケジュール表を見る限り、トムでは5月7日の大阪は他のGW締め切りより若干遅くなっている。私の使うセットだと締め切りは5月1日月曜日(9日納期じゃなくて5日納期の方を選ぶ小心の私)。てことは4月30日の日曜日午後7時までにヤマトへ持っていかねばならんということか。ふふふふ・・・。




2006年02月14日(火) 今年楽しみな映画

 もう二月になってから今年楽しみな映画について語るというのもなあという気がするが、まあいいや。

「ジャーヘッド」
 湾岸戦争に行った主人公(ジェイク・ギレンホール)だったが、せっかく訓練を受けて戦場に来たのに元気なのは戦闘機とミサイルばかりなりで、自分たち歩兵の出番はなし。なんにもない砂漠のど真ん中で悶々と暇をもてあます若者たちであった。
 ネットに載っていた画像の中にジェイク・ギレンホールが上半身裸でサンタ帽を被っている奴があって、それが意外にもムキムキで驚いた。話も面白そうだし、マッチョサンタなジェイク・ギレンホールも見たい! んで今週にでも見る気満々だったけど今回自分はレンタルスルーにします。原稿原稿。

「ウォーク・ザ・ライン 君につづく道」
 カントリー歌手ジョニー・キャッシュと彼の二番目の妻とのラブストーリーを中心に、キャッシュの半生を描いた作品。あのホアキンが歌ってギターを弾くというだけでも驚愕だが、ホアキンのような不幸な生い立ちの人が、苦悩を克服していく人間を演じるというのに魅力を感じる。リース・ウィザースプーンはひょっとしてこれが初めての本格シリアスなのではないだろうか? 「プリティ・ピンク」とか結構好きなんでこっちも楽しみ。名古屋での公開は18日から109シネマズにて。109は最近カード会員に入会して入会特典として6000ポイント(一回無料鑑賞できる数のポイント)貰ったので、初日に行ってこようと思う。ちなみに、新しくできた(正確に言うと復活した)伏見ミリオン座でも公開される。

「クラッシュ」
 「ミリオンダラー・ベイビー」の脚本を書いたポール・ハギスの初監督作。一件の人身事故に立ち会った人々の群像劇。内容から察するに「ER」や「サード・ウォッチ」のワン・エピソードみたいな感じになるのだろうか。山田太一的な、市井の人々の群像劇が非常に好きな私としては是非見てみたい。もちろん、この作品でGGA助演男優賞にノミネートされたマット・ディロンも楽しみ。公開は一部地域ではすでに始まっている。名古屋ではゴールド劇場にて18日から。

「イノセント・ボイス 12歳の戦場」
 オスカー・トレスは1972年に内戦激しいエルサルバトルに生まれた。アメリカに支援された軍事政権のもと、この国では子供でも12歳から軍事訓練を受けさせられる。彼もそんな子供の一人だった。映画では彼が多くの人々の悲惨な死を経験しながらやがて自由と幸福を求めて故郷を脱出し、アメリカへ旅立つまでを描く。脚本はオスカー・トレス自身が書いている。

「単騎、千里を走る」
 あのチャン・イーモウが高倉健と組んだ、ということで前から楽しみにしていたのだが、去年の末NHKでやっていた製作ドキュメンタリーを見ていたらますます見に行きたくなった。この間の土曜日に見るつもりだったが行けなかったので、早く行きたい・・・。

「ヒストリー・オブ・バイオレンス」
 これについては去年10月6日に日記で書いた通り。ところでヴィゴたんの奥さん役をやっているマリア・ベロって「ER IV」でデルアミコやってた人だよな。名前見た時ひょっとしてと思ったんだけど、顔見たらやっぱりだったよ。今ちょうどスパチャンでIVやってるので、なんだかタイムリーだこと。

「グッドナイト&グッドラック」
 赤狩り真っ只中の50年代アメリカ。当時、政府に批判的である、あるいは政治的に進歩派であるというだけで共産主義者のレッテルを貼られ、尋問を受け、職を取り上げられるということが日常茶飯事だった。リベラリストの多い映画界や言論界でも多くの人間がこの風潮の犠牲となった。映画監督のエリア・カザンが、保身のために複数の知人や映画関係者をFBIに密告したのはこの頃のことである。そんな中、ニュースショーの司会者エド・マーロウ(デビッド・ストラザーン)はオンエア中に、赤狩りの主導者である米上院議員マッカーシーを「内輪もめを煽っているだけ」と批判する。はたしてそれはマッカーシーの怒りに触れ、番組にもマーロウにも破滅の危機が訪れる。しかしマーロウら番組製作者たちには一か八かの対抗策があった。テレビという「見世物」の陰も陽も知り尽くした彼らならではの対抗策が・・・。
 ジョージ・クルーニーの初監督作「コンフェッション」(そういやこれもテレビ業界の話だったな)は、かなりの粗はあるものの、作り手が面白いセンスを持っているのは十分に感じられた。だからいつかは化けると思っていたのだが、こんなにも早く化けるとは。などと、まだ見ていないのに気が早いので見てきたかのように誉めてみる。あとは主演のデビッド・ストラザーン。それに尽きる。東北新社の配給で五月頃全国順次公開予定。

「カポーティ」
 作家トルーマン・カポーティ(フィリップ・シーモア・ホフマン)は焦っていた。かつては一世を風靡したものの、今は落ち目。若かりし頃の容色も、作品を生み出すひらめきも衰える一方。起死回生をかけて、彼は一家四人が殺された事件のルポルタージュに取り掛かり、やがて犯人のペリー・スミスに出会う。まぎれもなく加害者とは言え、ペリーはあまりに不幸な生い立ちの人間だった。貧しい家に生まれ、愛情の代わりに暴力を受けて育ったという彼にカポーティは深く同情するが、一方でこう思う。
「こいつは本当にいいネタだ」
 こうして後に彼の代表作となる「冷血」が生み出されていくのであった。だがカポーティの中に葛藤はなかったのだろうか。そして殺人者ペリー・スミスは、自分を助けてくれると思っていたカポーティの心の裏側を知った時何を思っただろうか。
 思えば作家のマッド・サイエンティスト的な部分というものは、これまであまりクローズアップされてこなかったような気がする。されたとしても、スポットライトが当たるのは奇行や依存症など、本人が本人を蝕んでいく類のものばかりだった。実際には「誰かの不幸をさらしものにする」という面こそ最も根が深い問題であるにも拘わらず。しかも、それはどの作家にも当てはまる。はたしてそういう部分をどう描いていくのか楽しみである。

「ブロークバック・マウンテン」
 書くまでもなく楽しみ。男同士の愛はこうじゃなくちゃね。

「ブロークン・フラワーズ」
 早く見たい。いや見せろ!




2006年02月10日(金) 豊田正義「消された一家 北九州・連続監禁殺人事件」

 休憩の合間なんぞを読書にあてている優雅な今日この頃。今まで、買ったはいいけど読んでいる暇が全然なくて、下手すると一生本棚の肥やしと化していた本を入れていっては読んでいる。ただこの本は最近出たもの。内容はタイトル通り、2002年に起こった(正確に言うとその時ようやく発覚した)、小倉のマンションで内縁の夫婦が妻の両親と妹とその夫、加えて妹夫婦の子供二人をマンションに監禁し続け、全員を殺してバラした事件のルポルタージュである。この頃私はワイドショーもめざましテレビもあんまり見ていなかったせいもあって、この事件に関しては監禁して殺した、ということ以外全く知らなかった。ところが最近、新潮社の小冊子「波」12月号にこの本に対する夏樹静子の書評があり、そこに書かれてあった事件のあらましを知ってとても不気味なものを感じた。どうしても詳しいことを知りたくなった私はすぐにアマゾンで購入した。

 本自体は普通のページ数だが、中のレイアウトがかなり余裕たっぷりなので読み終わるのにそれほど時間はかからない。実際、一日で読んでしまった。内容は予想以上の凄まじさだった。これだけ嫌なものを感じる事件は女子高生コンクリート埋め殺人事件以来だ。夜は明かりをつけずには眠れなかった。あと風呂入るのが恐い。こんなに風呂が恐くなるのは山岸凉子の「汐の声」以来だ。まあ、「あとちょっとで読み終わるから」って、寝る直前まで読んでた私が悪いのだが。

 しかし作者の豊田正義と同様、私も被告である松永太と緒方純子のうち、緒方が松永と同じく死刑判決が下されていることには不当なものを感じる。彼女とて、松永の奴隷の一人であり、被害者たちと同様、ことあるごとに通電制裁をはじめとする凄まじい暴力を受けてきた。彼女が殺害に加担したのは紛れもない事実であるが、マンションの一室にいた者なら誰がどの立場になっても不思議はない。無論、生き残った被害者や犠牲者の遺族の感情からすればどんな理由があろうと緒方が加害者の一人であることに変わりはないのだが。

 しかしながら、緒方に死刑判決が下りた背景には、被害者の感情への配慮とはまた別の心理が働いているように私には思える。それは豊田正義も挙げていることだが、「逃げられない心理」に対する世間の無理解である。

 世間は松永のような邪悪な人間を恐怖するが、その一方で「気持ちが悪い」とは思わない。だが何年も虐待され続けた側に対しては、その被虐待者が子供か動物でもない限り、「なんでそんなものから逃げないんだ。気持ち悪い」と思うのである。世間が本当に恐れ忌み嫌っているのは暴力や残虐さではなく、それを我が身に受けてもなお、一つの日常として過ごせてしまう心理の方なのだ。そんな状態に誰だって望んで陥るはずなどない。だが「逃げられない心理」というものはどうしようもなく人々に生理的嫌悪感を与えるものらしい。




2006年02月08日(水) オリバー・ツイスト

 本日とある所で魔法のTOHOシネマズチケットを手に入れた勇者バンビーナ。これにより、いついかなる日にTOHOシネマズに行こうとも千円ぽっきりで済むのであった。

 なので今日見に行くのはある意味もったいないんだが、「オリバー・ツイスト」と「単騎、千里を走る」と「ミュンヘン」と、できれば「プライドと偏見」も今週中に見ておきたいのでやっぱり今日しかない。そろそろこっちじゃ「ウォーク・ザ・ライン 君につづく道」もやるしねえ。あと湾岸戦争に行った若い兵士たちの日常を描いた「ジャーヘッド」が来週から始まるんだけど、これも見ておきたいから、今日もしくは土曜のうちにまとめて見ておかにゃならんのだ。日曜日は原稿にあてる。何が何でも・・・。「今年は映画見るの減らす」とこの間言ったばかりなのにもうこれだよ(ボカ〜ン)。

 この映画は最初はまったく見るつもりはなかったんだが、監督がポランスキーと知って「そいつはさぞかし邪悪な児童文学に仕上がるに違いない」と、俄然見る気を起こしたのであった。はたしてその通りの恐い恐いお話だった。あらすじ自体はとくにいじられていない。孤児オリバーが流離のはてに親切なお金持ちに引き取られる、というままである。だから見る人によってはシンプルな原作を映画仕様にひきのばした作品にすぎないだろう。

 だが私にもし子供がいたとしたら、こんな嫌な映画(笑)、絶対に一緒に見に行こうとは思わないだろう。虐待やその他諸々のいじめなど、オリバーを囲む世間の露悪さは確かに原作にもある通りである。そういう話なのだから見ていて嫌な気分になるのは当たり前と言えば当たり前のことだが、この映画から受ける「嫌な気分」と凡百のいじめものから受ける「嫌な気分」とは、桁も質も違う。誰もが知っているこのおとぎ話がポランスキーの手にかかるとなんと陰惨になることか。

 この作品から伝わってくる「嫌さ」は場面やシチュエーションのような、目に見えるものとは関係ない。何かが目に見えないどこかに広くかつ濃厚に漂っていて、全てはそこから出ているのだ。それはとどのつまり、監督ポランスキーの視線である。私には画面の隅の見えない所にポランスキーが身を隠しているような気がするのである。ポランスキーはそこで暗く冷たい笑いを浮かべて、このおとぎ話をじっと眺めているのだ。

 構造は「戦場のピアニスト」とほとんど同じである。あれは「ピアノを弾く以外になんの取り得もない主人公が、ピアノなんぞクソの役にも立たない状況に放り込まれ、自分からは何一つしないまま、成り行きに振り回されるだけに終わる」話だったが、この「ピアノ」の部分を「顔が綺麗で誰にでも従順」に変えればまんま「オリバー・ツイスト」である。

 オリバー役のバーニー・クラーク君は綺麗だった。多少トロくてもこの顔なら心から助けたくなるというもの。やっぱ顔は重要だよ。これがオスメントだったら同じオリバーでも「ああ、お前みたいなキモくてウザくて空気読めない奴はいじめられてもしゃあないわ」と思うだけだ。

 個人的にはスリがお得意のドジャーを演じたハリー・イーデン君が好み。雰囲気がね、昔のリバー君に似てるのよー。先が楽しみだわ。お願いだから二人とも酒や薬に手を出さないで頂戴。他は、スリの親方フェイギンを演じたベン・キングスレーが最高。人格に底が全く見えず、終始ぬめっとした不気味さを振りまいていた。ああ、恐い映画だった。




2006年02月04日(土) 砂の器(デジタルリマスター版)

 なんだかここ二、三日また冷え込んできている。年末の頃ほどじゃないにしろ、ちょっと辛い。おまけに今日は風があってより寒さが身にしみてくる。まさに、「砂の器」を鑑賞するのに相応しい日である。

 11日からは一日に何回かやってくれるが、それまでは12時45分からと15時半からの二回しか上映をやっていない。唐十郎原作、金守珍監督の「ガラスの使徒(つかい)」の間を縫っての上映なのだ(これも見に行きたいんだよな。金守珍は『夜を賭けて』が面白かったし、中島みゆきも出演するし)。今日行っても混んでいるだろうなあ、と思ったが本当なら初日の28日に行きたかったくらいなので、延ばしたくない。というわけで15時半からの回に行ってきた。あと、今回のロードショーにおいてはパンフレットも新たに作られており、劇場でそれが売っていた。入場前に購入。あとで喫茶店に入った時にゆっくり読もう。

 しかし、せっかく行った割には前半ほとんど寝ていた、というのが私らしい(ボカ〜ン)。まあ、大学生の頃レンタルで初めて見た時でも、布切れについていた血液型が判明する所までは退屈に感じていたから、こんなもんよな。それとやっぱ今のテンポに慣れきっちゃっているからなあ。しかし撮影技術は今見てもやっぱり驚嘆の出来である。

 場内は年輩者がほとんどだった。下手すると私が一番若かったくらいかもしれん。こんなもんなのかな。それとも千円の日にでも見に来ているのか。そりゃDVDで見れば済むんだろうけど、時間も機会もあるなら、メシ代を犠牲にしてでもスクリーンで見るべきだ。

 予想通り、後半は場内のあちこちからすすり泣きの声がしていた。私もその口だったが。回想場面の寒さやひもじさが、このところの天候も相まっていつもより何倍もリアルに感じられて辛かった。終わった後はいつも通りペギー喫茶店に行ったのだが、カフェオレもケーキもあんな映画を見た後だといただくのが大変罰当たりに感じられる。しかしあれを見た後じゃ、何かあったかいものを入れないとやってられん。が、せっかくのカフェオレはパンフレットを黙々と読んでいる間にちょっと冷めてしまった。・・・まあいいんだけどね、猫舌だから。




2006年02月03日(金) 第63回GGA

 今年もやってきたよ、年に一度の前夜祭が(本番はもちろんアカデミー賞である)。私にとっては前回以上、前々回未満に楽しめたGGAであった。やっぱ目当ての役者が多い方が楽しいやね。とはいえ、私のお目当てさん方は大概ノミネートのみなんで、写っているだけで終わりました、な感じではあったが。までもデビッド・ストラザーンの素なんてこんな機会でもないと拝めないからやっぱり嬉しいよ。ただ、ひげを生やしてその上メガネまでしていたので、「ミュンヘン」で来ていたスピルバーグと見間違うことしばしであった(ボカ〜ン)。まあ、こんな風に変わりやすい顔であるがゆえに演技をすると本当に自然なんだけど、役者として目立つ上ではこういう人は不利なんだよな。だから今までブレイクしなかったんだけどね(ビル・パクストンもその系統だよな)。変わりやすい顔っていえばジョニー・デップやエドワード・ノートンもそうだけど、この人らはもとの顔がかっこいいからねえ。その点ストラザーンはちょっとね(笑)。

 助演男優賞の発表が最初の方だったので、真っ先にお呼びがかかったのがジョージ兄貴だったんだけど、「ポール(・ジアマッティ)だと思ってたんでスピーチのネタ考えてなかったよ〜。まだ声もちゃんと出てないんだけど、どうしよアハハ」とか、相変わらずおちゃらけていました。真顔の場面は全くなかったかもしれない。素敵。どうでもいいけど、「シリアナ」って誰が主役なのか分かんないな。まさかジミーちゃん?

 ホアキンはいつもよりちょっぴり幸せそうで見ていて安心した。時折ダークサイドに落ちちゃったみたいな顔していたが(そりゃいつもダークサイドだけど)、まあ、長い式なんでだるくなったんだろう。壇上に上がった時は笑顔で喋っていた。式後に受賞者インタビューがあって、その中で記者の一人からの「こういう派手な場所は苦手ってきいてたけど、今日もやっぱり落ち着かないもんかい?」てな野暮な質問にも、「そんなことないよ。今日は楽しんでる」と、笑顔で答えておりました。内心、無理すんなホアキンと思いつつも笑顔のホアキンが親のように嬉しい私であった。

 スカーレット・ジョハンソンはいつもより一段と輝いてた。見るたびいつも「ああなんであんなに綺麗なの」って思うけど、今日もまたうっとり溜息だよ。あんだけ美人ならどんだけ性格悪くても構わんよ、まったく。こういう式だからまわりは当然、美人にさらに磨きをかけた美人が揃っているんだけど、その中でもスカちゃんの輝きは別格。体内の黄金含有率が全然違うんですね。はあ(溜息)。




2006年02月02日(木) わざわざ書くほどのことじゃないが

 今日、仕事の帰りにアピタに寄ったらお菓子コーナーでビックリマンチョコを発見。「20thアンコール版」なのだとか。・・・箱買いしました。ちなみに30個入り。同年代の人ならこの気持ちを分かっていただけるかと。ちなみに、昔一個30円(まだ消費税がなかった)だったチョコは一個78円になっていました。

 明日から心を入れ替えてひたすら原稿に向かう所存。までもその前にデジタルリマスター版の「砂の器」と、ポランスキーの「オリバーツイスト」と、25日から公開される「ホテル・ルワンダ」は見に行きますが。




2006年02月01日(水) デーヴ再放送、アカデミー賞ノミネート発表

 二年前の1月24日の日記で、安原義人が吹き替えた「デーヴ」に私が萌え萌えしていたのを覚えているだろうか。いや、別にいいけど忘れていても。あれからずーっと、もう一度放送して欲しいと思っていたのだが、意外にも早く昨日の深夜1時40分から、前と同じ東海テレビでやってくれたのだった。リクエストの投稿をしたわけでもないのにありがたいことよ・・・。もちろん予約のセットをしたのは言うまでもない(ちなみに番組名では『デーブ』と表記されていた)。

 でもなんか今日チェックしてみたら、声が違う・・・。似ているけど、この声は古川登志夫だわ。まあ、「デーヴ」は古川登志夫版も過去にあったのでこれはそういうことなんだろうけど。どっちにしても安原義人じゃないことは間違いない。ああしょんぼり。それともあれかな、一昨年見た時に私が勝手に安原義人だと勘違いしたのかな。二人とも声似てるし。ううむ。

 はあ、しかしテレビで「デーヴ」見たのって、日記読み返すまで去年の話だと思っていたよ。いつの間に二年も。ああ年月が過ぎ去るのが早い。

 ちなみに先週の同じ時間帯で「スプラッシュ」の吹替版もやっていたんだけど、これもよかったなあ。ジョン・キャンディの声がお馴染みの安西正弘や玄田哲章じゃなくて青野武だったのが残念といえば残念だったけど(ま、これはこれで貴重だが)、ユージーン・レヴィの声が広川太一郎だったので自分的には最高の放送だった。一番嬉しかったのは次週予告で「デーブ」と出た時だけどね〜。

 現地では31日に発表されたアカデミー賞のノミネートだが、今朝FLixムービーサイトにアクセスしたら、こちらでも情報がアップされていた。主演男優賞にはデビッド・ストラザーンもちゃんとノミネートされていて取り敢えずほっ。フィリップ・シーモア・ホフマン、ヒース・レジャー、ホアキン・フェニックスもノミネートされておりました。ううん、誰がとってもおかしくないな。までもデビッド・ストラザーンは多分なしだろう。

 ジョージ・クルーニーはGGAと同じく、「シリアナ」で助演男優賞、「グッドナイト&グッドラック」で作品賞と監督賞、オリジナル脚本賞にノミネート。やたー。ま、受賞は多分ないだろうけどね。第一、監督二作目でもうとっちゃったりしちゃいかんよな。

 で、今IMDbチェックしたら、「グッド〜」はロバート・ダウニーJr.も出てるんだね! ああなんて久々に見るんだろう、この名前(涙)・・・。

 ノミネートの面子でびっくりしたのはマット・ディロンが「クラッシュ」で助演男優賞にノミネートされていたこと。い? GGAの時にはマット・ディロンは見かけなかったような気がするが、なんでまた。・・・すんません、今チェックしたらGGAでも助演男優賞に入っていました。そういや先週のサンデー毎日で中野翠が「クラッシュ」を作品とマット・ディロンの演技共々ヨイショしていたなあ。オムニバスっぽい作りの群像劇で、マット・ディロンはその中で人種差別主義者の警官役なんだそうだ。マット・ディロンは好きだし作品も面白そうなので見に行くつもりだが、アカデミー賞にノミされるとはねえ。いつの間にそんなに立派な役者になったんだか。アイドル然としていた「アウトサイダー」の頃も、ここ15、6年のこなれた演技(『メリーに首ったけ』とか『イン&アウト』)もすごく好きだけど、賞で評価されることはないだろうなあ、と思っていたので嬉しい裏切りだ。なんかこういう成長の仕方ってケビン・ベーコンに似てますな。

 「プロデューサーズ」が一個もノミネートなしだったのは残念(作曲賞や歌曲賞でのノミすらなし)。まあ、トニー賞を散々さらったからこっちでは敢えて除外ってことなんでしょうな。



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