猪面冠者日記
今さらだが当分不定期更新

2004年12月31日(金) マイ・ボディガード

 朝から雪。いつもならうわーい初雪だ〜っ、と大喜びするところだが今日は中川コロナワールドが千円の日だからデンゼル・ワシントン主演の「マイ・ボディガード」を見に行きたかったのに、これじゃ車が出せないじゃんかよ。今日は今年最後の映画鑑賞として何が何でも「マイ・ボディガード」を見に行きたかったんだ、デンゼル・ワシントンなんかはどうでもいいんだ、クリストファー・ウォーケンをスクリーンで見たかったってのにい、ううう(涙)。クリスが主役か主役並みの登場率ってんならまあ、正規料金払って名駅のピカデリーに行ってもいいけど、そうじゃないっぽいもんなあ。ああでもこれもうすぐ終わっちゃうみたいだからやっぱ今日行っておいた方がいいんだけど。でもまあしょうがない。いつかレンタルで見よう。

 映画がおじゃんになったのでしばらくは家の中でだらだらとしていたのだが、やはりこういう天気の日は家でじっとしていたって寒いだけである。雪の日は外を歩いていた方がいっそ暖かい(名古屋の雪なんてのはその程度なのだ)。それに雪の中を歩くのは好きだ。というわけで矢場町でもぶらぶらするかと家を出たのだが、いつの間にやら外はみぞれになっている。さ、寒い・・・。

 それでも寒いのは好きなので適度にガクブルしながら矢場町をぶらぶら。矢場町に着く頃にはみぞれはただの雨になっていた。ガーン、こんなことならやっぱり中川コロナに行っていれば! と、心の隅っこでしくしくとなりながらパルコやロフトをぶらぶらと見る。ロフトを出た頃にはさすがの私も普通に寒くなってきて、松坂屋南館に辿り着いた時にはかなり限界だった。そのまま二階だったか三階にある和風の喫茶店に入ってお茶とお菓子をもりもり平らげた。

 それから北館の一階のチケット売り場を覗きにいくと、「マイ・ボディガード」の全国共通の劇場鑑賞券が売っていた。値段は1300円。おお、よしこれで今から名駅のピカデリーに見に行ってやろう。上映時間帯を調べようと思ってチケット売り場に置いてあるぴあを見たのだが、ぴあはいつの間にやら中部版とかの地方版が廃止されて東京版のみに変わってしまったようだ。名古屋の上映情報が載っていない。仕方がないのでそのまま名駅に行き、地下街の本屋にある東海ウォーカーを立ち読みしたら、ピカデリー5でやっているとのこと。ただし、時間帯は劇場で問い合わせて下さい、だそうだ(他の作品は大抵、上映時間帯も載っていたのだが・・・)。

 しかしピカデリーってどの辺だったっけ? ピカデリーで最後に見た映画は確か「es」。もう二、三年前の話だ。TOHOシネマズの快適さを覚えて以来、それ以外のメジャーな映画館は全然行ってないんだよな。もうとにかく指定席制のとこじゃないと嫌なのだ。

 名鉄に行っちゃったり、豊田ビルに行っちゃったりしながらようやくピカデリーのある三井ビルへ。時間帯も判明。今からだと夕方の6時15分からになる。終わるのは9時ぐらいになるらしい。年越しラーメンを食うのが遅れそうだ。時間帯案内の横にピカデリーに入る際の注意も載っていたので見ると、ピカデリーで見る場合は前売りやその他鑑賞券を持っていても、まずは窓口で当日券に換えなければならないのだそうだ。うわめんどくさいなあ。いつの間にこんな新しい決まりができたのやら。・・・んでもってピカデリー5と6に用のある人はここ三井ビルではなく、一旦外へ出て100メートルほど歩いて豊田センチュリービルへ行って下さい、だそうだ。ううん、なんかもう帰りたくなってきたぞ。

 外へ出ると雨は小降りどころかもう霧雨に変わっていた。湿気のせいか寒すぎることもなくむしろ空気がおいしくて気持ちいいくらい。それからまもなく辿り着いた豊田センチュリービルを見て驚いた。てっきり三井ビルみたいないかにも名駅のビルって感じの古くてぼろっちい建物かと思いきや、できたてと思わしき物凄くキレイなビルだったのだ(非東海人には何のこっちゃって感じだが、基本的に名古屋では、若者向けのオサレなスポットは栄・矢場町・久屋大通りに集中しており、名駅周辺はJRタワーズを覗けばひなびた場所ばかりなのだ)。ううん、こんなデラックスでオサレなビルがこんな奥まった場所にあるなんてもったいないなあ。こんなビルに入っている映画館ならかなりいい所なのかもしれん、という期待に違わず、ピカデリー5・6はTOHOシネマズとほとんど変わらないくらい新しくていい感じのとこだった(もちろん指定席制。トイレも広くて綺麗。ちなみに隣の扉のピカデリー6ではカンフーハッスルの先行上映をやっていた)。こんないい映画館なら今日中川コロナワールドより300円高いったって全然気にならんよ。むしろ同じ我らがクリスのご尊顔を拝むのなら、スクリーンが綺麗なこっちの方だろう。というわけで喜んで当日券と交換。

 時計を見るとまだ4時だったので、ビルを出てメルサの本屋へ。新刊の棚に「トライガン」の10巻と11巻、「ふたつのスピカ」7巻が出ていた。あれえええ、スピカがこの間出たのは知っていたけど、トライガンなんていつのまに発売されたんだ? しかも二冊も。ひょっとして今日同時発売なのか。奥付には平成17年2月1日発行ってあるから今日ってことなのかな。まあどっちにしても買わねば。

 映画館のロビーへ取って返して買ったばかりの漫画を読む。スピカは部屋で一人しんみりと読みたいので、トライガンの方を先に読む。さて、ようやくここまで持ってきたウルフウッドのオチは本来どばどば感動するはずなのだが、絵面・セリフの一から十まで、ウルフウッドが初登場した時からこっちが予想していたものばっかりだったので、話を味わうというよりは答え合わせをしているみたいだった。いわゆる読み応えらしい読み応えというものはなし。まあ、この漫画に関してはレムとヴァッシュのエピソードで感動しすぎちゃったから、あと何がきても自分の中でそれを越えられないんだろうなあ。ああでも私ウルフウッドは結構好きだったからもっと感動したかったよう。

 トライガン二冊を読了してから数分後、開場。さあいよいよ我らがクリスですよ。

 その昔軍部の中でテロ対策専門部隊で活躍していたデンゼル・ワシントンは、長年の虐殺稼業が祟ってすっかり心を病み、今では何一つ手につかずただただ酒浸りの日々。いっそ死んでしまおうかと拳銃を手にとっても、酒に蝕まれた手は銃に弾を込めることすらろくにできない。惨めな気分で彼はかつての上官に職を求めに行く。

 その昔は自分と同じ「戦争の犬たち」だった元上官は、今では妻子と共にテキサスのエル・パソ(メキシコとの国境がある町。この手の映画ではおなじみの場所である)で幸せに暮らしている。まるで血みどろの過去などなかったかのように。哀れな弟分に対し、かつての上官クリス・ウォーケンはお安い御用とばかりに九歳になる地元の富豪の娘のボディガードという仕事を斡旋してやる。いかにも健やかな元上官の目を見ながらデンゼル・ワシントンは救いを求めるかのように彼に尋ねる。
「神が俺たちのしてきたことを許して下さる日が来るだろうか?」
 彼は表情だけは穏やかなままに、ただひとことこう言い放つ。
“No.”

 このクリスの短い言葉をそのまま扇のように広げたのが「マイ・ボディガード」である。宣伝にあるダコタ・ファニングちゃんの愛らしい笑顔に騙されてハートフルなものを期待するとえらい目に遭うこと間違いなしである。確かに暖かい幸せも登場する。しかしそれはやがて現れる血みどろ絵を引き立てるための生贄にすぎない。愛や許しはない。言葉も肉体も、血で血を洗う暴力に満ちている。かつて「レオン」や「キス☆キス☆バンバン」等を見て「こんなヌルいもん、ハードボイルドじゃねえっ!」と憤慨した人にはおすすめする。

 というわけで「L.A.コンフィデンシャル」、「ブラッド・ワーク」、「ミスティック・リバー」のブライアン・ヘルゲランドによる脚本にはほぼ満足だが(『ブラッド・ワーク』の方は知らないが、『マイ・ボディガード』と今挙げた作品は全て原作ものである。とはいえいずれも長い原作を上映時間内にきちんと絞り込み、その上映画として見栄えのするストーリーを作れるのはこの人の力量である)、演出の方には不満あり。カメラワークがいやにちゃかちゃかしたMTV系でこれはどうにかして欲しかった。やはりこういう話はじっくりどっしり撮って欲しい。

 クリスの演技は言うまでもないが神。役柄の人物は物語の大筋にそれほど関与しないのだが、天国と地獄、両方を知る男として作品に深みを与えている。

 帰宅後、あらかじめ買っておいたラーメンを作って年越し。家族と紅白を適当に眺める。マツケンサンバとさだまさしが見られたので取り敢えず今年味わえるだけのものは味わったなあ、という気分で風呂に入って寝た。




2004年12月29日(水) 清水玲子「輝夜姫」最終回

 バイトの昼休み中に携帯をチェックするとマアタさんからのメールが。なんとビッグサイトじゃ雪が降っているのだそうだ。さぞかし凍えているであろうお仲間たちに同情しつつも、我が心はウキウキである(ボカ〜ン)。と言うのもつい先日、常日頃私が憎たらしく思っている人物が、仕事を休んでコミケへ行くと浮かれた発言をしているのを耳にし、それ以来私は当日できるだけこいつが辛い目に遭いますように、と願をかけていたのだ。そうして今日、かの地は雪だという。我が意天に通じたりとはこのことである。巻き添えを食った数多のオタクたちには気の毒なこととなったが、余は満足じゃ。

 しかしそれにしても最近のコミケは荒天となることが多いなあ。一体なんでだろう。昔は我らオタクの根性は台風の進路ですら変えたと言うのに。やはりネットの普及によってコミケに対する依存度が下がったということなのだろうか。いやそんな筈はない。サークル参加の申し込み者数も一般参加者数も毎年上がっているのだ。ネットのようなコミケ以外での発散場所ができたとはいえ、祭りは祭りとしてそこへかける人々の狂熱は今も昔も変わっていない。ならば考えられる原因はただ一つ。全体が増えたことでこれまた増えた落選者や、その他何らかの事情で参加できなかった者たちのルサンチマンが、ここ数年の悪天候を招いているのだ。台風を押し退けるほどの威力を持つオタクのサイキックパワーである。ネガティブな方向に働けばネガティブな現象を引き起こすことだって有り得る。ましてや今回、サークル参加での落選者は全体の六割だったのだ。そりゃ雪くらい降って当然である。まことに恨みとは恐ろしいものである。というわけで次回は受からせて欲しい(ボカ〜ン)。

 バイトが終わってから本屋へ寄って今月号のLaLaを立ち読み。まずはついにというかやっとというか最終回となる清水玲子の「輝夜姫」。取り敢えずの感想としては「それなりに納得のいく結末だったけど端折りすぎ」といったところである。最終回ということで奮発してもらったのかいつもより大増しのページ数で、その中で一応全てのネタは回収されてはいたが、今まで散々だらだらと描いてきたことを思うとこの畳み方ははあまりにもバランスが悪い。せめてあと一回同じくらいのページ数でやって最終回とすべきだったと思う。まあただはっきり言って「輝夜姫」に関しては、菊の宮の惨殺死体の描写を巡ってLaLa掲載時に編集部から直しを食らった一件以来、作者がキレて壊れちゃったとしか思えないので、こんなもんかなと言えばこんなもんなのだが(単行本では初出形を書き直したものに変わっている。11巻の前半部にある)。

 かつて清水玲子はあの美しい絵で世にも醜い人間ドラマを描き、読者はあの絵とあの内容の異様な落差と不思議な一体感を楽しんできた。その清水玲子がある時期から「もうドレスやバレエ描くのなんて飽きちゃった。この絵で敢えて血とか内臓とか描いてみたい!」と思うようになった。まあ、それ自体は悪いことでもなんでもない。実際「22XX」はグロテスクと美しさが混在した大傑作だったと思う。しかし「輝夜姫」でのあの一件以来、清水玲子は物事の匙加減というものを忘れてしまった。「輝夜姫」連載の間隙を縫って描かれた「秘密」シリーズは、物語は二の次で人体損壊描写に熱中する作者の病んだ息遣い以外何も伝わってこなかった。イタい人が描いたイタい話は漫画の形式をとった病人のカルテに過ぎない。ああ清水玲子、再びかつての才気を取り戻すことはできるのだろうか?

 と、大筋に関する感想は以上としてあとはそれ以外での感想を。晶が主人公なのに後半影が薄かったのがなんとも不満。影が薄いだけならともかく、誰からも愛されていないのはどうかと。本来晶が受けるべき由からの濃い愛も、晶が言うべき決め台詞も全部碧に回っていた。みんなからも由からもすごく優しくされてはいるけど愛されていない晶ってのは別の意味で悲劇のヒロインだった。思えば前連載の「月の子」でもアートから愛したのは女のベンジャミンではなく無垢な少年のジミーだった(まあベンジャミンとジミーは中身同じだけど)。気のせいかもしれないけど、清水玲子って大抵、男女の愛を読んでてがっかりするような形で終わらせるような気がする。そのがっかりって悲惨とか悲劇とかそういうレベルではなくて、本当にがっかりするとしか言いようがないしょぼい結末ばっかりなんだよな。何なんだろうこれって。男女関係ってのに興味がないのか、男女ってなった途端に愛情も友情も信じられないのか。謎だ。




2004年12月28日(火) 来年もよろしく

 なんとか年内に日記を更新してしまいたい。できれば今日。と思いつつ、もう夜の11時。今日中は無理っぽい。

 今日はHDDに録画してあった「蒼穹のファフナー」の一時間スペシャルの最終回を見た。物語も終わりがけに見初めて、それもあんまり真面目に見ていたわけでもなかったんだが、あまりに最終回らしい最終回をやってくれたおかげで、予想以上に感動してしまった。てゆうか泣いた。あんな絵の話なのに。アニメって不思議だな。

 それから、先日買ったミスティック・リバーのDVDの特典ディスクについているキャストへのインタビューを見た。あと、今スーパーチャンネルでERIを毎日五話ずつやっているのでそれをちらちら見たりなど。ちなみに年明けはERIIをまず全話一挙放送し、その後また最初からレギュラー放送してくれるんだそうだ。楽しみだな。

 明日からいよいよ祭りですな。全てのオタクが幸せなビンボー人になれる日だ。お目当ての本がちゃんと買えるといいね。その後はお正月なわけだが、世の中は年末も正月も関係なく働いている人がたくさんいるわけで。自分が祭りに行かないと、こういう所に目が行ってしまいますわ。例年、そんなことは全く考えていないだけにね。頭ん中を中島みゆきの「流星」と「帰省」が流れています。来年もよろしく。




2004年12月24日(金) ぬか喜びさせてくれたなラ○ブドアよ

 起きてメールチェックをしたところ、ネットで応募したチャウ・シンチーの最新作「カンフーハッスル」の試写会に当選した通知が届いていた。地元のTOHOシネマズでやるとのことだったのでまさに「うわーいっ」って感じだったのだが・・・。上映会場が浜松のTOHOシネマズとなっている。ええええええ。ちゃんと上映会場は名古屋のベイシティってなってたと思うんだけどなあ。うっかり違うとこに応募してしまったんだろうか。こんなんじゃ当たりっつってもがっかりだよ。てゆうかあたしの応募間違いのせいで落ちちゃった人がいたとしたら申し訳ない。

 「ライフ・アクアティック」もいよいよ明日25日から全米で公開である。公開間近となれば映画評も出てくる。そういうわけでロスとニューヨークでプレミア公開された時から私はアメリカの辛口映画評論家ロジャー・エバートのサイトをチェックしていたのだった。で、今日の昼頃サイトをチェックしていたら、ををようやく評価がアップされている! 恐る恐る読んだのだが、まず評価を表す星の数はたったの二つ半。ひいーっ、少ない。文面でもはたしてケチョンケチョンで、「まあ見たいって人がいるんなら一秒くらいなら止めはしない」と、えらい言われよう(ちなみにこれの次にアップされていたのがスコセッシ監督、ディカプリオ主演によるハワード・ヒューズの伝記映画『ジ・アビエーター(原題)』で、こちらの評価は四つ星だった)。まあ、アンダーソン作品に対するロジャー・エバートの評価って「天才マックスの世界」が二つ半、「ザ・ロイヤル・テネンバウムズ」が三つ半と、概ね低めだったから今回もこれくらいで普通と言うべきか。取り敢えずこれからの心配は興行成績だな。

 夜にまたメールチェックをしていたら、「カンフーハッスル」の試写会に関してまたメールが届いていた。なんでも第一希望にはずれちゃった人を別の会場に振り分けたんだ。なーんだ、名古屋に落ちたから浜松になったってことだったのね。私はてっきりこっちのミスだと思ったから特に何もしなかったけど、ちゃんと気がついて主催側に問い合わせをした人は大勢いたらしい。メールには「多数の方々からお問い合わせをいただきました。このたびは私共の説明不足でご迷惑をおかけいたしました」てなことが書かれてあった。ま、どっちにしてもこの映画はレギュラーの上映を見にいくしかないってことか。ま、チャウ・シンチーの映画なら自腹切っても全然惜しくないからいいけどさ。




2004年12月23日(木) やっちまった・・

 あれほど見るぞ見るぞと意気込んでいた今週の「相棒」を録り忘れていたことに気がついた。そうだよなあ、昨日家に帰った時なんて「Mr.インクレディブル」の上映に間に合うかどうかで頭が一杯だったもんなあ・・・。てゆか最近HDDの番組表録画の便利さに慣れちゃったせいで普通のビデオ録画ってのが昔みたいにできなくなっているのかもしれない。どっちにしてもひたすらがっかりだ、とほほ。

 今週出た週刊文春の映画評のお題の一つは「バッドサンタ」だった。中野翠が星をいくつつけていたかは忘れたが、文面で「この監督にしてはひねりやパンチが足りない」てなことが書かれていた。うーん、やっぱりビル出演しなくてよかったのかも(笑)。




2004年12月22日(水) Mr.インクレディブル(字幕版)

 車でTOHOシネマズへ。吹替え版を見たかったのだが、時間がどうしても合わなかったのでやむなく8時45分の回の字幕版を見ることにした。がしかし、家を出たのが8時半。確実に間に合わなさそうである。少なくともジャスコの駐車場に入れていたんじゃ間に合わない。迷った挙句、シネマズの駐車場へ入った。地上部分はすでに満車。うんざりしながら二階へ上っていくと、幸運にも一個空いていたので、天の助けとばかりに駐車した。

 走ってチケット売り場に着いた頃には時刻は8時50分。しかも売り場は大混みで人がとぐろを巻いている。チケットの販売状況を知らせる掲示板では、インクレの字幕版の8時45分からの回はまだ購入可能となっていて取り敢えず安心。でもこの分じゃ並んでいる間に購入ストップされそうだ。

 なんとかチケットを買って劇場へ。入口のお兄ちゃんに半券を切ってもらってドアの向こうへ進む。おお、まだCM中だ。が。・・・ん? なんか、ヒット上映中の「Mr.インクレディブル」を上映している劇場にしては小さいんじゃ。変に思って半券を確認すると、入る所を一個間違えていた。危ねえ。慌てて脱出して正しい所へ入る。しかしこういうシネコンにいるお姉ちゃんやお兄ちゃんって入る前に上映作品を客に言ってくれるもんじゃないのか? あ、開始ぎりぎりとかだともういちいち言ってくれないのか。

 てなハプニングがあったものの、どうにか頭を切らすこともなく最初から最後までゆっくり堪能することができた「Mr.インクレディブル」であった。気持ちよく帰宅できたのは言うまでもない。内容はまあ、「アイアン・ジャイアント」の、そしてシンプソンズの監督が作ったものなのでパーフェクト。誰でも楽しめる。特に今年やっていた「鉄人28号」に心ときめかせた人なら絶対面白いと思えること間違いなし。009ファンにも勿論楽しめるので是非見て欲しい。




2004年12月21日(火) こうの史代「夕凪の街 桜の国」

 アマゾンで注文していた「デーヴ」のDVDとこうの史代の漫画「夕凪の街 桜の国」の二点が届いた。ついこの間まで「夕凪の街 桜の国」は発送まで四、五週間かかりますと表示されていたので、「あ、こりゃ再入荷待ちとかのレベルじゃなくて再版待ちって状態だな」と思ったので買い控えていたのだが、先日チェックしてみたら四、五週間が二、三日に変わっていたので注文することにしたのである。だがこれ一点だけだと送料がかかってしまう。そんな所へタイミングよく「デーヴ」が1500円でリリースされているのを発見したので(しかも現在のところアマゾンでは初回サービス価格期間なので価格は税込で1339円ときた)、一緒に注文したというわけだ。

 「夕凪の街 桜の国」を買おうと思ったのは、私が漫画を買う動機として毎度の「呉智英が誉めていたから」だ。今月六日に出た雑誌ダ・ヴィンチ一月号の「マンガ狂につける薬」で、素晴らしい紹介文が著されているので興味のある人は是非読んで欲しい。

 「夕凪の街 桜の国」というタイトルの通り、これは心優しい人々が登場する街角物語である。ただし、物語の始まりは昭和三十年代の広島市である。これだけでもう登場人物たちがどのようなものを心に抱えながら暮らしているか、ある程度は推測できるだろう。この物語には結末はない。何がどうだったのか、それが何だったのか、誰にも決着と呼べるものは与えられない。ただ、目に見えない、言葉にできない、「けれども消えることなく存在している」ものをこの話は力を込めて伝えてくれている。恐らく作者が一生に一度描けるか描けないかの傑作。




2004年12月19日(日) ガラスの仮面42巻

 二、三日前に出たガラスの仮面の42巻を買うつもりで名駅地下街の本屋へ寄ったのだが、そこでついでに日本版プレミアの二月号を読んでいたら、「バッドサンタ」のテリー・ツワイゴフ監督へのインタビューが二ページほど載っていたので読んだ。以前eiga.comの11月30日分の更新記事で、ビルが「バッドサンタ」を降板した理由についてこの監督が「もともとビル・マーレーでやるはずだったんだけど、契約直前になって彼が行方をくらました」と語っていたのを目にしていたので、このプレミアのちょい長めの(つっても二ページ中一ページはサンタ姿の監督なのだが)インタビューではその辺もうちょっと細かく知ることができるのではと思い、読んでいた。それによれば「今の世代のウォルター・マッソーが希望だ」という理由からツワイゴフ監督はビルを希望したのだそうだ。凄いよ、現代のウォルター・マッソーだって。もう考えられ得る限り、最高の誉め言葉ではないか。なぜそう思うかって私は常々、ビルの目指すべきものはウォルター・マッソーとジャック・レモンであると考えているからだ。ああ、こんなに良く思われていたのになんでいきなり消息不明になったりしたんだ、ビル。ソフィア・コッポラとテリー・ツワイゴフだったら、どう考えても後者の方がいいに決まっているのに。

 2005年の上半期公開予定の作品もいろいろ紹介されていたのだが、その中に「ザ・ライフ・アクアティック」もあった。そうか、一応公開は決まっているんだな。ああよかった。上半期か。多分五月辺りなんだろうけど、せめてもうちょっと早く三月くらいだといいなあ。ちなみに邦題は原題ほぼそのまんまで「ライフ・アクアティック」なんだそうだ。

 さてガラスの仮面。なんかもう42巻は桜小路君一色でした。それも今までにない彼がたっぷり見られてもうひたすら感動でした。「愛と誠」で岩清水君が一番好きな私としては大いに堪能させてもらいましたよ。




2004年12月18日(土) みんなのうた(DVD鑑賞)

 届いたよ、アマゾン様から。もうソッコーで再生。バイトでぐったりだけど、ええいそれがどうした。私はこの時を一年も待ったのだ!

 いい。すっごくいい。期待してはいたけれど、もうそれも軽く越えていた。少なくとも「スパイナルタップ」をこよなく愛する者にとっては涙なしには見られない感動作である。それも思いっきりストレートな、堂々たる感動作である。もうゲストたんにこれ以上の傑作は無理かもしれん。ユージーン・レヴィもこれ以上のはまり役はもう来ないかもしれない。あ、ちなみにユージーン・レヴィの吹替えはせんだみつおじゃなくて、よーく見たら千田光「男」っていう全くの別人でした。がっかりするやら恥ずかしいやら。

 しかしここまで誉めておいてなんだが、やっぱり万民にすすめられる作品ではないな。クリストファー・ゲストの、場面の笑いどころをほとんど示さない徹底したオフビートさ(ほとんど眠くなる寸前、とも言える・・)はやっぱり、単館系の劇場で一人で見にいくタイプのものなのだ。一人でその面白さに気がついて一人でこっそり笑う、そういうタイプの笑いだ。間違っても誰かと一緒に見ていいものじゃない。そんでもって、誰かと一緒に楽しめない映画は、やっぱり堂々とはおすすめできない。ああでもやっぱりたまらんく好きだよ、この映画に出てくるコメディアン全員が。




2004年12月17日(金) ロストでくじ運を使い果たしたのだろうか

 お昼間にメールチェックをしていたら、予約注文をしていた「みんなのうた」のDVDについて、「本日ご注文の商品を発送しました」というメールがアマゾンから届いていた。ちょっとちょっと、発売日は今日じゃんよ。今日発送ってことは届くのは明日じゃん。大概のものはちゃんと発売日に届くから、今日届くとばっかり思ってたよ。バイトのない日に見られてラッキーとかって思っていたのにああ残念。

 いろいろ買い物をしに矢場町へ行きたかったので2時半頃に家を出た。その前に家の郵便受けを覗いてみたところ、往復ハガキの片割れらしきものが二通入っていた。はたして先日母が出したみゆきさんのコンサートの応募の結果であった。どきどきしながらめくったが、結果はどっちもハズレ。一応一般枠での申し込みの仕方も書いてあったのだが、なんとこの一般枠すら抽選式となっていた。一体どうなっているんだか。ああちきしょう、なんだかファンやめたくなってきたぞ。

 デパートで空のDVDやら何やらいろいろ買っていったついでにヤマギワへ寄った。当然「みんなのうた」がバリバリ発売されていた。アマゾンで予約して買えば通常より安く買えるからそっちの方がおいしいといえばおいしいけど、ヤマギワで買ってもポイントとか溜まるからそれなりにお得なんだよなあ。こんなことならこっちで買えばよかったなあ。などと思いながらDVDの仕様をチェック。吹替えもついているみたいだ。ユージーン・レヴィの声は誰だろうと見てみたらカッコ内に千田光雄とあったので、「はあ、チダミツオねえ。マイナーな吹替え声優なのかなあ。どんな感じになるのやら」などと思ってしまったが、数秒後に「ああっ、せんだみつおかあ!」と気がついた。まさか、なぜ、こんな所にせんだみつお・・・。「ドッグショウ!」にも吹替えはついていたけど、あっちはせんだみつおだったっけかなあ・・・(ちなみにこれらと同じくレヴィが出演している『アメリカン・パイ』にも吹替えはついているが、せんだみつおではない)。しかしせんだみつおってたらねえ、あんた、ジョン・ベルーシじゃなかったのかい。なんか本編が面白いかどうかとはまた別の意味ですげえ楽しみになってきたよ。ちなみにどうでもいいことだが、身近にせんだみつおと誕生日も血液型も一緒という、今いち人に言い辛いプロフィールの人がいる。

 今現在ヤマギワのポイントが60以上溜まっていて2000円割引が使える状態なので、何かいいものは出ていないかとしばらくの間フロアをうろうろした。邦楽のコーナーへ行くと、みゆきさんのニューアルバムが出ていた。おお、いつの間に。タイトルは「いまのきもち」。内容はこれまで他人に提供した曲を今のアレンジと今の歌声で録音しましたという要するに「御色なおし」であった。普段の私だったら中身が新作であろうがなかろうが喜んで買っているところだが、今日は件のコンサートの結果がアレだったせいかどうにも買う気が起きず、結局手に取っただけでスルーしてしまった。

 それから中古コーナーを物色していたら、「ミスティック・リバー」のDVDを発見。価格は税込で1890円。をを、安い。前から欲しかったし、買おー。でも作品が作品なだけに持っていると不幸になりそうで嫌だなあ。けど廉価で出るのなんていつになるか分からないし。・・・ええい、買いだ。

 帰宅後テレビをつけて、これまでHDDにためてあった「ダーマ&グレッグ」を今日買ってきたDVD−RAMにあらかた落とした。ダビングしている間に今週の「相棒」を見る。尾藤イサオがゲストの今回は、まあ、「相棒」的には並の出来といったところでそれほどそそられる回ではなかったのだが、問題は次回の予告編である。なんと、水谷豊がガードマンの格好をしているのだ! 「男たちの旅路」だあ! こ、これは来週絶対録り逃してはならないぞ!




2004年12月15日(水) 今度のツアーは抽選式ですってよ

 バイトから家に帰ってくると母が出し抜けに「そう言えば中島みゆきのコンサートのことなんだけど」などと言い出した。母はサンデーフォークの会員なのだが、このサンデーフォークが毎月届けてくれる会誌「TANK!」に、みゆきさんのコンサートの情報が出ていたのだという。おいおい、初めて聞いたよ、そんなの。何ですぐに言ってくれなかったのさ〜、と私が言うと、なんでも今度のコンサートはこれまでのと申し込みとやり方が全然違ったのだとのこと(母の方は特別みゆきさんのファンと言うわけではないのだが、まあまあ好きではあるので、みゆきさんのコンサートには大概私と一緒に行く。私のスポンサーとして・・・)。

「なんかねえ、いつもだったら電話予約ですぐとれるんだけど、今回の中島みゆきは違うのよ。サンデーフォークなのに抽選式なんだって。ハガキで申し込むんだけど、出せるのは一人一箇所までなのよ」

 なんだそりゃあ。

「でね、この辺だと三重と浜松、名古屋だと白鳥のセンチュリーでやるんだけどさ。センチュリーは3月の28と29なのよ。月曜と火曜の六時半からなんて、お母さん行けないもん。アクトシティ浜松でやる方だったら4月2日で土曜日だから行けるでしょ。で、よーく見たら申し込み期間が12月の1日から3日まででねえ。消印有効だったけど、ギリギリ3日に慌てて出したもんだから、あんたに言うの忘れてたのよ」

 それはそれはありがたや・・・ってまだ当たるとも何とも分からんのだよな。ちなみに結果の方は、17日か18日頃に通知が郵送される形で分かるとのこと。そんでもって19日までに何も来なかったら確実にハズレなのだそうだ。しかしなあ、センチュリーホールなら下手すりゃウチから自転車で行けるのに、土曜日とはいえわざわざ浜松くんだりまで行かねばならんとは。まあそりゃみゆきさんを拝めるのなら、例えその日交通事故にあって意識不明とかになってても、幽体離脱して行くけどさ。ああ〜、どうか当たってますように。




2004年12月14日(火) ERVII第15話「告白」

 起きて早速ゲオへ行く。先週借りたERVIIの一巻から四巻までを返却して今日は五巻と六巻。これを見終わればERVIIも終わり。今地上波でやっているVIIIは一話目から抜かりなく見ている・・・と言いたいところだが、先日11日放送分の「親子」はHDDに予約していたにも拘わらず時間帯が変更になったせいで失敗。しょうがないからVIIIの巻も借りてきた。まあ、とにかくこれで長らく続いていた私のERマラソンもようやくリアルタイムに追いつくというわけである。ふう、もうこんなハードなドラマを一日に何本も見るのは勘弁だよ。実はII〜Vをちゃんと見ていないんだけど、ま、ルカが補完できりゃあとはいいかと。どうせ来年からスーパーチャンネルでIIが始まるしね。

 私が数年前ちらっと見ただけで泣いてしまった司教(最初司祭かと思っていたがそうじゃなかった)とルカとのエピソード、15話「告白」なんだが、実はこれ11話からの連続ものだったのであった。でもって司教の役は何とジェームズ・クロムウェル。ここまで豪華だとどんなに単純に撮っても映画にしか見えない。

 最初に何も知らずに見た時も感動したが、ここまでに至る全てのルカ話を見ていると、もうこの話は半端な感動では済まないくらいグサグサくる。挿管されるのを拒む司教がルカに「旅の支度はできているよ」て言うところなんてもう。しかしルカの心はこの通過儀礼を経てもほとんど救われないんだよな。こっから先の同じERVIIでも、さらに後のVIIIでもIXでもずっと嫌なことばっかり続くんだよな。ああ切ない。

 散々泣いた後、ネットに繋いでビルのニュースを検索していたら、「ザ・ライフ・アクアティック」のワールド・プレミアがニューヨークで開かれたというニュースがアップされていた。ついでにその際の写真もいくつか発見した。ニューヨークでのプレミアは今月の九日に開かれたとのことだ。ビルが共演者たちと写っている写真も発見。おお、やっぱりニューヨークの方にはちゃんと来ているんだな、よかったよかった。この日は午後から雨が降っていたみたいで、ビルは頭髪保護のためか、帽子を被っていた(クラシカルな感じのなかなかステキな帽子でした)。

 ビルがいる写真の中に、あのディズニーの悪名高きCEO、マイケル・アイズナーと一緒のものもあった。すげえ胡散臭いツーショットである。そのアイズナー会長がなんでここにいるかというと、この映画の製作会社がタッチストーンだからだ。タッチストーンはディズニーがその昔、実写映画製作会社として立ち上げた子会社である(第一作はトム・ハンクスの『スプラッシュ』)。ウェス・アンダーソンの作品はほぼ全部タッチストーンである(処女作の“Bottle Rocket”は違うかもしれんけど)。「天才マックスの世界」は批評家に高く評価されたし、「ザ・ロイヤル・テネンバウムズ」にいたってはアカデミー賞の脚本部門にノミネートされた。ディズニー作品と言えば実写にしろアニメにしろ批評家受けは今いちの中にあって、これは貴重な存在である。ま、そりゃプレミアにもお出ましになるというものだろうて。で、そのアイズナー会長なのだが写真をよく見てみたらネクタイがミッキーマウスだった。さすが。




2004年12月10日(金) 同窓忘年会

 今週火曜日にゲオでERVIIのDVDを四枚も借りてきた。結構大量なのでちゃっちゃと消化しなくてはならない。今日は学生時代のゼミ仲間が集まって忘年会を行うので夕方から出かけなくてはならないのだが、上記の理由で一応一話だけ消化。ちなみに見たのは第十話「心に安息を」。高校でホッケーの選手をしている男の子とその父親が交通事故にあってカウンティ総合病院に運ばれてくる、というのがメインの話。父親の顔がどっかで見たことあると思ったらなんとジム・ベルーシ。テロップを見ていないので何とも言えないが、音声を日本語吹替えから英語に切り替えたら兄貴の声によく似たあの声だったので間違いない。ま、考えてみれば本人れっきとしたシカゴっ子なのだがら(育ったのはシカゴのダウンタウンから遥か離れた郊外のウィートンだが)、シカゴが舞台のERに今の今まで出なかったのはある意味不思議なくらいだ。しかし太ったなあ。いや、何せ兄貴が兄貴だからジムも若い頃からまあまあ太ってたけど、それにしても、の巨大化っぷりだ。あの鞭打ちの人とかが首にはめる器具が顔と首の肉に埋もれているよ。

 兄貴のこととか抜きにしてジム・ベルーシは結構好きな役者なのだが、いかんせんこの人最近はほんとに作品に恵まれていない。昔はマイケル・マンの「真夜中のアウトロー」とかオリバー・ストーンの「サルバトル 遥かなる日々」とか、結構いい作品に出ていたのに。この間ビデオでリリースされた「K−9」の続編なんて見る気すら起きないよ(97年の『ギャングシティ』は結構よさげっぽいのだが今のところ未見)。今年一月のゴールデングローブ賞でプレゼンとして顔を出していたけど、そん時もオーラが全然なかったもんなあ。

 というわけで天下のERに出してもらっているとは言え、本来の力を発揮できているかどうか不安だったのだが、いざ最後まで見てみればこちらの不安をものともしない素晴らしい演技だった。まあ脚本がよかったせいもあるんだろうけど、劇中、自分のせいで事故を起こしてしまった父親が、その事故で重傷を負った息子の容態を心から案じる一方で、息子を傷つけてしまったことで妻から責められることにびくびくする様がなんとも絶妙だった。ああ、こういう人間味のある演技に関してはやっぱり上手いねえ。・・・だからBBの3なんかやらないで欲しいよ。

 ERを見終わった後、支度をして五時頃に家を出た。集合場所はナナちゃんの前なのだが、その前に、先月の八日に予約した「ロスト・イン・トランスレーション」のDVDを矢場町のヤマギワに引き取りに行った。ふふふ、帰ったら特典だけでも見るぞ。ああしかし吹替えが誰になっているか心配だよ・・・。

 予定ではナナちゃんの前で六時半に集合となっていたのだが、ヤマギワに寄っていたせいでちょっと遅刻してしまった。謝りながらみんなに一通り挨拶をしたのだが、どうやら私より遅い連中がまだ二名ほどいる様子。それぞれの携帯にかけてみると、なんとこの二人どっちも集合時間を七時と勘違いしていたのだった。正しい時刻を伝えると、二人ともネジをしめたような声で謝ってきた。一人はあと二、三分で着くと言ってきたが、もう一人は仕事が押しているせいで七時半くらいになるとのこと。まあ年末の平日じゃ「来れない」ってくらいがむしろ普通だろう。遅くなる方の人間に「取り敢えずこっちはもう先に店に入っているから、そっちはナナちゃんの前に来たら携帯に電話ちょうだい」と伝えて、今いる人間同士、お店に向かった。

 飲み物が行き渡って早々、成り行きで私が乾杯の音頭をとる羽目になったが、いきなりのために大して粋な言葉も出ず、えらくボンヨーな乾杯で飲み始めた後は各人の近況報告。主賓であるS先生は去年だったか一昨年に大学が関西地方に変わり、こちらの学校での授業もいよいよ今年度分で完全に終了するため、もう住居もこっちのマンションは売却済みとのこと。今は関西で一軒家を建設中なのだとか。「ホワイトハウスのバートレット大統領みたいな寝室と書斎にしたい」とか。

 ワインやウーロン茶をちびちびやりながら、ひたすら喋りとごはん。料理の中にふぐ鍋があってちょっと嬉しかったが、残念なことに雑炊はやらせてもらえず、終わった鍋はさっさと片付けられてしまった(なんてもったいない)。

 我々も年が年のせいか、やはり結婚しました率が高い。以前集まった時も近いうちに結婚の予定が入っている子が二人くらいいた。そのうちの一人は現在遠方で旦那と共に社宅住まいとのこと。ひどいオンボロ社宅でろくに湯も出ないそうなのだが、家賃が五千円ほどなので居続けている、とのこと。他、今回も前の子とは別の子で結婚式の写真を持ってきた子が二人ほどいた。こっちは一生するつもりがないので、ふんふんと思いながらぱらぱらと見させてもらった。友達が綺麗に着飾っている様を見るのはやっぱりいいものだ。

 次の日も仕事という人や、家が遠いという人もいるので忘年会は一次のみで散会。今回幹事を務めた子と、次回の集まりのためにメールアドレスを交換した。この面子が集まるのも次が最後だろうなあ。まあ親しい子とは今でもじゃんじゃん会っているし、夜中にメッセを交わしたりもしているのだが、それほどみっちり親しくもない子だと卒業以来、この忘年会で会ってただけだもんなあ。ま、そうこうするうちに学生気分って奴がどんどん抜けていくんでしょうな。で、コミケ気分だけはそれこそ死んでも抜けないんだろうな。

 十一時ちょっと前に帰宅。録画しようかどうしようか迷って結局予約セットしなかった「BSまるごと大全集 生放送!シンガーソングライター・不滅の名曲集」を見るために、ソッコーでBS−2にチャンネルを合わせたら、あがた森魚が「赤色エレジー」を歌っているところだった。いつの映像かは分からないが、明らかに最近のもの。オリジナルのあの引き絞るようなキモい声と違ってめちゃめちゃ普通のおじさんの歌声である。取り敢えず最後の方だけでもHDDに保存しておこう、とレコーダーをセットした。ああでも八時から始まってたから、ジャックスや泉谷しげるはとっくに出ちゃったんだろうな。浅川マキは・・・、頭脳警察は(テレビで放送できるんかい)・・・。カルメン・マキももう時の彼方だろうな。

 しかしそれでもセットした甲斐はあった。みゆきさんがきたのだ。さすがに現場で生演奏ってのではなかったが、近年ロスでフルオケ収録したという「歌姫」がきた。うわ、また地味な曲が。「寒水魚」は好きなアルバムだけど、「傾斜」、「鳥になって」、「捨てるほどの愛でいいから」、「砂の船」以外は普段とばして聞いているんだけど(ボカ〜ン)。そんなわけで「まあ珍しくていっか〜」くらいの気持ちで聞いていたのだが、ううん、これってこんなにいい曲だったけというくらい感動的だった。歌もテレビで映像つきで出ると不思議な効果をもって耳に入ってくるなあ。

 その後、ロストのDVDをちょこっとだけ再生。気になる吹替え声優は江原正士でした。江原正士だったらいいなあ〜と思っていたので、これはかなり嬉しい。変な俳優とかだったら東北新社にガソリン投げてやる〜とか考えていたが、その必要もなくなったよ。

 時刻はすでに十二時をとっくに過ぎていたので、特典映像はビルとソフィアの対談だけを見て寝た。




2004年12月08日(水) ハウルの動く城

 というわけでバイトから家に帰ってすぐにTOHOシネマズへ直行。帰宅を遅くにしたくなかったので8時からの回を見たかったのだが、いろいろあって間に合いそうになかったので諦めて8時50分からの回にした(夜に慌てて車を動かすのは嫌だ)。今度は迷わずジャスコの駐車場に入れた。やはりレディースデイでしかも只今大ヒット上映中のハウルがあるせいかこちらの駐車場も混んでいたが、なんとか停められた。

 日が日なだけに上映開始時刻ぎりぎりになっても人が入ってくる。なんだかんだで真ん中の列は一つ残らず埋まっている感じ。やっぱりジブリだ。本編開始前の予告編の上映が始まったが、見事なまでにアニメ映画の予告編ばかりで目がちかちかしてくる。それらの中に細田守が監督する劇場版ワンピースの予告があって思わず意地の悪い笑顔になってしまった(有名な話なので説明するのも野暮だが、ハウルは当初細田守が監督するはずだったのである。が、細田守が鈴木プロデューサーと決裂したため、そもそもはプロデューサーの肩書きだったハヤオが監督をやる羽目になったのだ)。

 で。なんちゅうかねえ、ハウル。森本晃司とかのアニメを見ているみたいだったよ。絵は信じられないくらい凄いんだけど(冒頭、ハウルとソフィーが魔法で空を歩くとこなんか思わずゾクっとした)、話が全然見えてこない。ストーリーが存在しない、というのとは違う。物語はちゃんとあるのだが、それを観客に伝えるためのツボがシナリオにないのだ。全体の雰囲気には原作版ナウシカのシュワの墓所を髣髴とさせるような暗いリリシズムが漂っていて、その辺は好みなんだが。

 キムタクの声はまあ、許容範囲。と言うか思ったよりよかった(こっちの見積もりが低かったからそう思えたとも言えるが)。しかし相変わらず非声優の耳障りな演技が全編を占めているせいで、興がそがれることしきりだった。後半にはなんとか慣れたのだが、その慣れた頃に一瞬だけ大塚明夫の声が登場するので、今の今までの慣れはやっぱり錯覚に過ぎないんだと分かってしまって、これまた悲しい。もうええやん、ハウルは三木眞一郎でええやん。ソフィーの声は信沢三恵子でええやん・・・。なんでこんな棒読みにつきあわなかんのよ。でもってやっぱ監督はデジモンにやらしたりゃよかったのに・・・、と思考はどんどん“if”の方へと流れていってしまう二時間であった。少なくとも、一日働いた後に見るような映画ではない。すげー嫌な疲れが残っちゃうよ。ああ、こんなことなら「Mr.インクレディブル」にしとくんだったー。

 もにょりながら帰宅。ひとことだけの感想を掲示板に書き込んでさっさと寝た。




2004年12月02日(木) 三度目の正直は要らん

 夜中にネットをぐるぐる。長谷川町蔵のサイト“Everything Cool”の表紙「美女と野獣」が更新されていた。不美男の方はなんと、クマール・パラーナ。クマール・パラーナ? 誰さって感じだが、「天才マックスの世界」でミスター・ブルージーンズという学園の用務員のおっさんをやっていた人、あるいは「ザ・ロイヤル・テネンバウムズ」でジーン・ハックマンの下男をやっていた人、と言えば分かる人には分かるだろうか。テキサス大学の近くにはそこの学生らの溜まり場でもあるコーヒーショップがあるのだが、その二階でヨガの講師をしていたのがクマールであった(ちなみにコーヒーショップの方は彼の息子が経営している)。そんなわけでウェス・アンダーソンと、ウェス・アンダーソンの学生時代からの親友であったオーウェン・ウィルソンがクマールの類稀なるキャラクターを買って彼らのデビュー映画“Bottle Rocket”に出演させたのでした。ちなみに「ザ・ロイヤル・テネンバウムズ」のコレクターズ・エディションのDVDにはクマールおじいちゃんが撮影の合間にスタッフらの前で皿回しを披露しているステキなオマケ映像が入っている。

 クマールはその後のアンダーソン作品にも立て続けに出演していたので、「ザ・ライフ・アクアティック」に限って出ないのを不思議に思っていたのだが、なるほど、「ターミナル」に出ちゃっているから「ザ・ライフ・アクアティック」の撮影に参加できなかったのね(アクアティックの場合海外ロケが多いから出ないんだと思っていたのだが違うんだね)。

 夜中の3時、FLixムービーサイトの最新記事で世にも恐ろしい情報が。なんとダンが「ブルース・ブラザース」のパート3を企画中とのこと。劇場公開はせず、ビデオリリースのみでいくらしい。共演者はジム・ベルーシ他いろいろ。たまに誰かと「まさかまたもう一本作るなんてことはないよなあ。なーんて言ってたら3やったりして〜」などとジョークをとばすこともあったりしたが、まさか本当にその通りになってしまうとは。

 ここ最近ダンが引退をほのめかすような発言を繰り返していたので、私はもちろん「そんなのイヤーッ!!」と思ってたわけなんだが、こんなことするんだったらもう引退してなさいと言いたいよ。ああ、もっと他にやることねえのか。大体同じパート3作るんだったら「ゴーストバスターズ」の方をやって欲しいよ。ま、こっちはビルがやだっつってるからできないんだけどさ。ビル以外は監督のアイバン・ライトマンも脚本と共演のハロルド・ライミスも、そしてもちろんダンもやりたがっているんだけどね。まあ続編なんてつまらんに決まってるんだからビルの言い分ももっともなのだが。わたしゃ芸人としても人間としても、ビルとダンを比べたらダンの方がずーーーーっと上だと思っているけど、こと作品選びということに関してはビルの方が目があると思うわ・・・。嗚呼ダン、お願いだから正気に戻って頂戴・・・。



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