午前１０時頃、玄関のピンポンを鳴らす音で目を覚ましたが、前日２時ぐらいまでニフティのパソコン通信会議室で「アルベルトお誕生日おめでとう」ＲＴをしていたせいで、ピンシャンとは起きられない。のっそりとシーツから這い出てようよう受話器を取ったが、すぐ取らなかったせいで相手はもう行ってしまったのか、返事はなし。ぼーっとしながら外へ出ると、日曜日だというのに郵便屋さんがいた。郵便屋さんは帰ろうとしていたが、こっちが出てきたおかげで戻ってきて荷物を渡してくれた。「速達です」と言われて渡されたのだが、Ａ４サイズで海外からの荷物である。おお、もう届いたのか！
先日、雑誌の切抜きコレクションをネットで通販しているアメリカ人に、「ハロー、スーザン。あたし名前＊＊、日本人よ。こいつとこいつとこいつの切り抜き買う。Ｐａｙｐａｌ使っているから代金はそれで払えるわ（大意）」
と、メールを出した。どうにか相手に伝わり、支払いだなんだを済ませた私に、スーザンから「ハーイ、＊＊。支払いありがとう。あんたの切り抜き今日送ったわ。ありがとう」てなメールが来たのが１４日のことである。なのにもう着いちゃって、早いなあ。送料６ドルしか取られんかったから、てっきり船便で出されてこっちの手元に来るのは二ヶ月ぐらい後だと思っていたのに。今すぐにでも読みたいけど、眠いからもうちょい後にしようっと。
１時頃にはっきり起きて、さっき届いたものを開けてぱらぱらと見る。使われている厚紙封筒の大きさの関係で、中で折られている物もあるが、古い物も新しい物もちゃんとしている。どの切り抜きにも裏側やすみっこにちゃんと雑誌名と号数が書かれてあってありがたい。封筒の表面には「Ｐｌｅａｓｅ Ｄｏｎ’ｔ Ｂｅｎｄ」って書いてくれているし、荷物自体もちゃんとビニール袋に入れてあったし、良心的だな。今までＡｍａｚｏｎ．ｃｏｍのマーケットプレイスで取り引きした店なんて、Ａｍａｚｏｎ．ｃｏｍから一律９ドル７９セントの送料手当てを貰ってるのをいいことに安い船便で送ってくる奴ばっかりだったってのに、えらい違いだよ。それにしてもスーザン、あんたあたしから送料６ドルしか取らんかったくせに、この荷物、オモテに送料９ドルってあるよ。あんたがお人よしなのか、それともあんたが勘違いしたのか。後から追加請求してきたりしないよねえ？ まあ何にしても君の良心的なマニアっぷりは忘れないよ（ちなみに買ったのはビル・マーレーとダン・エイクロイドとハロルド・ライミスの切り抜きだ）。
さて、本日は００４ことアルベルト・ハインリヒの誕生日である。一昨年からこの日は「ケーニヒス・クローネのベルリンスペシャルに年齢分のろうそくを立ててお祝いする」ということになっている（ほっとけ）。というわけで、必要なブツを調達するために矢場町へ（ケーニヒス・クローネは矢場町の松坂屋にある。あと名駅の高島屋にもある）。ろうそくは年が年なのでいつも数字型の物を使っている。東急ハンズに売っているが、わざわざ久屋大通りまで行くのも面倒なので同じ矢場町にあるロフトにろうそくを買いに向かった。お菓子の方はドライアイスを入れてもらうとはいえ常温の中であんまり持ち歩きたくなかったので、先にロフトへ行ってから買うことにした。
ロフトへ行く前に、松坂屋南館のソニープラザに数字型ろうそくが置いていないかとちょっと寄ったのだが、ここまで来て自分内アルベルトが今年で何歳だったかド忘れ。つられて自分が設定したアルベルトの誕生年もド忘れしてもう自己嫌悪の極み。必死こいて逆算した挙句、ようやく判明。うちのハーさんは今年６９歳になられるのでした。ふふふ、ろうそくを立て甲斐のある数字だこと。こうして安心してろうそくを探したのだが、ソニープラザでは見つからなかった。しょうがないので松坂屋を出てロフトまで行き、パーティー雑貨コーナーで近い物を見つけたが、それは去年に東急ハンズで買った物と比べるとかなり大きかった。ベルリンスペシャルの上にのっけるには無理がありそうだ。大変残念だが今年はろうそくを立てるのはやめにしよう。
そんなこんなで松坂屋に引き返して、本館地下一階にあるケーニヒス・クローネに向かった。が、なんとベルリンスペシャルは売り切れていた。ガーン。いつもはもっと残ってる（という気がする）くせに。一応、同じような名前のプリンがあったが、プリンごときで祝えるものではない。私にとってはクリスマス、初詣よりも重要な年中行事なのだぞ。ああそれなのに。
その後、「もしかしたら三越にもケーニヒス・クローネあったかも」と、藁にもすがる思いで三越へ。しかし残念ながらここにケーニヒス・クローネは入っていなかった。しゅんとしながら他のお菓子売り場を覗いていると、ユーハイムが目に入った。「ああここも一応ドイツ系だったっけ。似たようなのあるかも」と思ったので、ガラスケースの中を物色していると、他のお菓子よりひと際クローズアップされているレッフェルクーヘンというケーキに目がいった。十センチ四方の赤い紙の箱に詰まっていて、生のフルーツがごろごろ入ったケーキ一面にバニラムースがたっぷり上乗せされているというものだった。このバニラムース、ケーキを斜め半分に分断するように一山分高くデコレーションされている部分があって、何やら好感が持てる（ボカ〜ン）。ベルリンスペシャルもろうそくも買えなかったのは非常に残念だったが、まあ、今年はこのレッフェルクーヘンを代わりにするとしよう。
家に帰って晩御飯。昨日作っておいた茄子と玉ねぎと舞茸をドカドカ入れたトマトソースをパスタにかけてさっさと食べる。ちなみに父と母は昨日から二泊三日で香港へ行ってしまったので、昨日から家には私一人なのだ。おかげで堂々と台所のテーブルでお祝いができるぜ、へへへ。あったかいカフェオレを作って去年のベルリンスペシャルが入っていたマグカップに入れ、冷蔵庫に入れたレッフェルクーヘンを開封。で、味の方だがこのレッフェルクーヘン、めちゃめちゃ旨かった。いや、ベルリンスペシャルに負けずとも劣らないというか、これなら年に一度のスペシャルメニューか、入稿後のセルフご褒美メニューに設定しても一向に構わないほどヤミーである。あ、ちなみにこの日は東側を食べました（ボカ〜ン）。
でそれから、ハーさんお誕生日絡みってほどでもないが、ＨＤＤに録ったまま放置していた映画、「イースト／ウエスト 遥かなる祖国」（８月１７日火曜日の深夜０時３０分からＢＳ２でやっていたもの）を見た。ロシア革命による混乱から逃れてパリに亡命していた一人の医師が、１９４６年にスターリン政権から出た「亡命していた者たちの帰国を歓迎する」という声明を信じて、パリで結婚したフランス人の妻とその妻との間にできた幼い息子を連れて故郷へ戻る。しかし、そこでは恐るべき毎日が待っていた、という実話を元にした物語である。
いやー、恐い、恐いよスターリン政権。まあ、「一度よそに逃げてった人たち」という、ある意味特殊な境遇だからこういう目に遇っちゃったって所はあるんだろうけど、それにしても容赦なくストレスフルな日常だよ。これを見た後じゃ「トンネル」なんてますますもってぬるい話に思える。「トンネル」って見た時からなんで主人公たちが東ドイツを逃げ出すのかてんで理解できなかったけど、「イースト／ウエスト」は嫌でも分かる。
しかしここまで書いて何だが、それでも主人公であるフランス人マリーが、逃げることにこだわり続ける態度には心底感情移入するまではいかなかった（まあ、人間心理としてある程度理解できるって程度）。だってこの人は最初から最後まで自分の自由しか頭にないんだもの。言葉も通じず、隣人にいつ何を密告されるか分からないマリーの毎日を考えれば、彼女が我が身一つでもパリに帰りたいと思う気持ちは、まあ分かる。でも見ている私が積極的に応援したくなるのはマリーよりもむしろ、マリーと息子のためにひたすら自分を殺して、対外的には模範的共産党員として振る舞うマリーの夫や、家族が政治犯として処刑され、身内の咎のために自分も当局から監視される毎日を送りながらそれでも黙々と自分の夢である水泳と、フランスへの亡命に執念を燃やす一青年の方だ。夫の心知らずのマリーが彼を「何よ、すっかり体制に染まっちゃって」などと非難するに及んでは、「あんたバカじゃないの。何が大事なのかよく考えなさいよ」と説教してやりたくなるというものだ。まあ、フランス女なんてこんなもんかね（差別）。
と心の隅っこでマリーに文句を垂れながら見ていたのだが、最後に彼女は自分の浅墓さと、そして、真に愛すべき人が誰であったかを知るのである。濃厚なサスペンスとメロドラマが好きな方にはおすすめ。実際に舞台となったキエフ地方で撮影したかどうかは不明だが、風景美も一見の価値あり。
（９月２３日追記）
すみません、冬コミの原稿が終わるまで日記の更新はストップします。ごめんなさい。冬コミの当落結果は、こちらやＨＰでご報告致します。
| 2004年09月17日(金) |
フルーツバスケット第１５巻とか |
港のジャスコにあるぴあで「サイキックミーティングｉｎ京都」のチケットを買う。１０月３日にやるサイキック青年団のイベント（いつものラジオを公開録音でやるような感じだろうか）なわけだが、前売り券についている整理番号はＢブロックの６００番代だった。ブロック分けがどういう風にされているものなのかは分からないのでなんともだが、なんか微妙に売れてない感じである（笑）。
チケットを買った後、ジャスコの隣のベイシティにある本屋で今日発売の「フルーツバスケット」１５巻を買おうとするが、新刊コーナーの中にない。一応陳列されていたような形跡はあるのだが、本そのものが見当たらない。売り切れちゃったっていうことか、それとも店員が補充を忘れているだけなのか。今日発売のはずの他の雑誌も立ち読みしたかったのにそれも置いてない。でかい割には品揃え悪いわここ。しょうがないので結局、一旦家に帰って自転車で別の本屋に行った。ここはさすがに置いてあった。家に帰ってからすぐ読むつもりだったが、他事をしているうちに忘れてしまい、結局開封したのは寝る前。まあ、私は花とゆめで毎号欠かさず読んでいるのでそんなに急いで単行本を読む必要もないのだが、やっぱりこれは特別である。
例によって出てくるのは毎巻毎巻、メインキャラのトラウマ話で、いつ読んでもグサグサくる。ただフルバの凄い所はこれだけ陰惨な話を描いていても全体のトーンはちっとも暗くなくて、あくまで学園ラブコメディであることを維持している点だ。維持、などと言うと作者が何らかの形でキャラをがんじがらめにしているようなニュアンスになってしまうが、そんな感じもせず、キャラも作品も作者不在であるかのような活き活きっぷりである。同じ白泉社の学園ラブコメでもＬａＬａでやってる「彼氏彼女の事情」なんて、今や有馬君の不幸自慢ばっかりになっちゃって全然面白くないもんな。まあ、暗い話は好きだけど、私はカレカノに関しては根暗の有馬君を土性っ骨ある宮沢が引っ張っていくっていう展開が好きだったから、宮沢の存在感も影響力もゼロになってしまった今のカレカノは魅力もゼロなのだ。有馬君のろくでもない両親に関するトラウマだって、あれは本来なら宮沢が引っ掻き回してギャグにするべきなんだよな。なのに何フツーの骨肉ドラマやってんだか。んなもん見たくないんだよ、カレカノで。その点、フルバは１５巻に至っても、絵柄はともかく全体のトーンは一ミリたりとも変わっていない。しょーもないギャグも相変わらずで嬉しい限りだ。もうリアルタイムで読む漫画はこれだけでいいや。
| 2004年09月13日(月) |
希少価値ってやつですか |
ＢＳ２のＥＲ�修盧Ｆ�で最終回（ちなみに地上波でＥＲ�爾諒�映が開始される）。アフリカのキサンガニにある病院へ行っているルカから応援を頼まれてやってきたカーター君。しかしこの地は内戦に次ぐ内戦で何もかもがぐちゃぐちゃの状態。シカゴのカウンティ病院でなら目ぇつぶっても治療できるような病気でも、薬や医療器具、電力の不足でばたばたと死んでいく。そういった状況に憤るカーター君に引き換え、ルカの方はどこか冷静だ。むしろ、シカゴよりここの極限状況での方が活き活きとしているようにすら見える（ますますもって誰かさん似だよ）。かっこいいけど、なんか可哀想な人だね、ルカちん。でも今日彼がカーター君に言ったセリフには感動したよ。
「君たちアメリカ人はどこでも民主主義にしてしまえば解決すると思って、そこら中に爆弾を落とす。僕は昔、ラジオで毎朝ニュースを聞きながら、政府のやっていることを正しいと信じて疑わなかった。その結果どうなったか。全てを失ったんだ。･･･大事な家族を」
ネットに繋いだ際、ふと思い出してヤフオクに出ていたダンの「ひと目惚れ」というビデオの落札結果を見てびっくりした。１２日の深夜０時頃に入札が終了しているが、スタート時１５１０円だったのが、最終落札価格は１４０１０円！ 入札履歴は３２もついていた。まあ、入札単位が５００円と結構高かったせいもあるだろうが、しかしこのビデオにこのヒートっぷり。恐らく出品者も予想していなかったに違いない。
これはダンの映画デビュー作で、日本ではビデオ発売のみ、という物である。ジャケット背にあるタイトル、「ダン・アイクロイドのひと目惚れ」というネーミングセンスに時代を感じる（あとエイクロイドがアイクロイドってなってるとこにもね）。商品は数日前にヤフオクで「ダン・エイクロイド」で検索をかけていた際に見つけた。映画そのものが７７年の作品ということもあって、レンタル屋でも今のところ見たことがないが、だからと言って特別見たいとも思わない。ま、コメディアンの映画デビュー作なんて大抵が駄作、良くて「物足りない」ってなもんだからねえ。ヤフオクで発見した時だって、「えーっ、１５１０円？ 高いよ、５００円くらいなら買うけどー。ま、でもどういう人が落札するかは興味あるからここブックマしとこ」と思っただけだった。そしたら、１４０１０円。あんたらおかしいよ（笑）！ でもあんたたちステキ（笑）！
母と一緒に「誰も知らない」を見にいった。母に対しては前から一緒に行こうとは言っていたのだが、作品が予想以上にイヤな感じだったので、昨日ネタバレしないよう映画のトーンについてだけ母に話した。
「もうね、この間のミスティック・リバーなんかちょろいくらい後味の悪い映画だよ。ま、そりゃ実際の事件の方が遥かに陰惨だけどさ」
すると母はどこから知ったのか、「〜〜っていう――なのよね」などと、映画のストーリーや事件のことについてやけに詳しく喋りだした。
「なんでそんなよう知っとるの？ まだ見とらんでしょ」
「この間のお休みの日だったか、ラジオで映画評論家の人が来とったのよ。なんてったっけあの関西の人で･･･」
「･･･浜村淳？」
「そーそー。なんかえらい一生懸命喋っとったよ。最後の方はちょっと泣いとったね」
ああ、ハマジュンのウィルスが何の罪もない東海地区にまで及ぶとは（ボカ〜ン）。まあ、ウチの母のことだし、何の覚悟もなしにいきなり見るよりかえっていいのかもしれんけど。
で、結局今日一緒に見にいくということになったのであった。母は昼過ぎから美容院を予約してあるので、見るのは４時１０分からの回ということにし、私が早めに行って整理券を貰い、二人分の席を確保するという段取りになった。２時頃に整理券を貰って（１２番だった）、開場までの間に映画館の近くにある「ペギー」というコーヒー店に入った。以前から通りかかるたびにいい匂いがしていたから入りたかったのだ。と言っても私はカフェオレやウィンナーコーヒーは好きでも、普通のコーヒーは嫌い、という「だったらコーヒー専門店になんか入るんじゃねえ」と言われそうな奴なのだが（ちなみにアイスカフェオレを頼みました）。この日は日替わりケーキが葡萄のタルトで、これがとっても旨かった。
開場してしばらくたっても母が来ないので電話すると、もうちょっとで着く、と返事があった。母は予告が始まってちょっとたった頃に入ってきた。ちなみに私が確保したのは前回の時とほぼ同じ席（一番後ろの真ん中ら辺）。こういう時、真ん中の通路からストレートに辿り着ける席は便利だよな。あと、二度目鑑賞のおかげで前回トイレに行ってる間に見逃した場面もきっちり補完できてよかった。この間の時、中学生の女の子が主人公のために「お金を工面する」所を丸々見逃していて、おかげで主人公がわけありげに街中を走る場面の意味が理解できなかったのだ。今日その謎が解けてすっきり。涙もろい母はラストシーンの辺りで案の定泣いていた。映画を見終わった後、母は映画館の階段に貼ってある、パンフレットをばらしたチラシに熱心に見入っていた（ちなみに、どさくさに紛れて母に映画のパンフレットを買ってもらったのは内緒だ（ボカ〜ン））。で、この映画に対する母の感想は、「きつい内容だったけど、いい映画だった」だ、そうだ。ああそれにしても、当分カップラーメンの類は食べたくないな。なんかこの映画見るとヘルシーな食事がしたくなるよ。「火垂るの墓」見た後にトンカツが食いたくなるのと似ているなあ。てゆか、考えてみれば「誰も知らない」って、「火垂るの墓」と「ぼくんち」のイヤげな部分を足して倍濃くしたような話だよな。うへえ。
だからってわけじゃないが、映画を見終わった後は歩いて栄のだいこん屋に入った。母と二人でこの店に入るのは初めてだが、母の方は岡崎の方にあるだいこん屋に入ったことがあるそうで、好きな店だという。今日が土曜日のせいか、店の中は混んでいる様子だった。母も私もどうせなら静かな二階で食べたかったが、一階のカウンター席に案内されてしまった。二階と比べるとこっちはごったがえしているので気が進まなかったがまあ仕方ない。ところが一階での食事は単にごったがえしているだけでは済まなかった。一階にいるバイトの店員がまだ研修段階の子で、まあそれは別にいいんだけど、上司の方がこの子の一挙手一投足に過剰反応するもんだから、傍にいる我々は落ち着けたもんじゃない。ま、その子もちょっと覚束ない子ではあったが、叱るなら叱るでこっちから見えない所でやって欲しいもんだ。なんかもう、次この子がいつ怒られるかと、メシよりそっちの方に気がいってしてしまったわい。二階席だったらこういう店員同士のきーきーしたやり取りも見なくて済んだんだけどねえ。私らがこの子に特上のへまをされたりしなかったせいもあってか、この子より上司の方にちょっとむかついた（あ、でも後ろの席の人は肩からビールこぼされてたなあ･･）。まあそうは言っても、私も母も料理はおいしくいただけたので、別に不満はなし。
| 2004年09月09日(木) |
ＴＯＫＵＺＯにてタテ タカコ |
前日のズーンとした感動をひきずったまま今池のＴＯＫＵＺＯへ。今日はモロ師岡の時と違って店内は普通にテーブルが並んでいた。従兄と一緒にあいている席に適当に座った。７時半開演だったが、実際に始まったのは４３分。登場したタテタカコはくしゃくしゃの地に花柄のついたシャツを着ていた。映画の時と違って髪はショートだった。キーボードの前に座り、キーボードの踏み台（あの部分、詳しくは何て言うんだろうか）を踏む方の足の靴を脱ぎ、マイクの位置などをあわせた。ペットボトルのお茶を一口ばかり飲んで、客に挨拶をし、それから、
「ええっと私は歌う時とか凄くテンション上がっちゃって自分でもわけ分からなくなるんですが、今は･･素です」
とか簡単に話をした後、キーボードを弾きながら歌い始めた（ちなみに最初に歌ったのは『夕立』。後で調べて分かった）。ううん、映画館で聞いた時よりずっといい声で心底うっとりだ（まあＴＯＫＵＺＯみたいなライブハウスだとコンサート会場なんかと違ってすぐ傍で聞けるからそう思えただけかもしれんが）。それにどの歌もいい。映画の主題歌「宝石」を含めて全部で六曲歌ってくれた。
お店から貰ったペーパーの中に、タテタカコ本人が手書きしたタテタカコ用のアンケート用紙が入っていた。取り敢えず、書いて出すことに決めた。
その後は今日の主役であるラリーパパ＆カーネギーママ。正直今日はタテタカコを見たらそのまんま帰っちゃおうかなとすら思っていたのだが、男性五人から成るラリーパパ＆カーネギーママ、インディーズにあるまじきプロの演奏で、結局最後まで聞いてしまった。全員関西らしく、喋り言葉は関西弁だった。プロフィールにバナナホールを満員にした、とあるからあっちじゃ有名なんだな。年いくつくらいか知らないけど、見た感じ３０ちょい過ぎっぽい。の割にＲ＆Ｂをガンガン鳴らしたり、ザ・バンドの“Ｔｈｅ Ｎｉｇｈｔ Ｔｈｅｙ Ｄｒｏｖｅ Ｏｌｄ Ｄｉｘｉｅ Ｄｏｗｎ”を自分たちが日本語でカバーしたもの（ちゃんとロビー・ロバートソンに許可を貰ったそうだ）をやったりと、趣味はかなり渋い。
関西人なだけあってＭＣも面白かったのだが、この店は近隣との協定で夜１０時以降は音鳴らしちゃいかんことになっているため、最後の方は歌だけでガーッといって終わった。あ、あと最初の時に「誰も知らない」についても喋ってたな。曰く、
「僕はもう子供の頃から吉本新喜劇を見て育ったんですが、もう何という救いのない映画かと」
と言って、お客さんをウケさせていた。
ライブが終わると、お客さんたちは皆飲み食いしたり、アンケート出したりしていた。店の後ろでタテタカコとラリーパパ＆カーネギーママのＣＤも売っていた。私はもちろんタテタカコのアルバムを買った。インディーズのアルバムと、「誰も知らない」のスチールがジャケットになっているメジャーの１ｓｔアルバム「そら」が売っていたのだが、「宝石」が聞きたかったので「そら」の方にした。で、ふと見りゃ売ってるすぐ傍にタテタカコがいてお客さんにサインしたり、友人らしき人たちと喋ったりしている。もちろん私もアルバムの歌詞カードにサインしてもらいましたよ（握手もしてもらった。サインを書いてたせいだろうか、あっつい手だった）。それにしても何を食っているのか知らんが間近で見ると細い細い。ほとんど骨と皮である。まあ、ミュージシャンってそういう人多いけど。しかし顔はちょっとハーフっぽかったりして大変かわいらしかった（肌がすんごく綺麗）。ちなみに１０、１１、１２月と一回ずつ関西地方でライブをやるらしい。いいなあ。
家に帰ってからヤフームービーにある「誰も知らない」の一般レビューをチェック。恐らく関西の人なのだろうか、試写会の司会だか何かが浜村淳で、例によってハマジュンらしく、オチを最後まで喋ってくれた、というのがあって、被害者には悪いけど思わず笑ってしまった。しかし「子供たちの健気さがいとおしくて感動しました」的な意見が多くて、一瞬、「アタシ違う映画見てたのかしら･･･」と戸惑う。２ちゃんねるのスレッドもチェックしてみたのだが、うーん、こっちに載っている意見の方が分かるなあ。２ちゃんの方に共感を覚えるってのもちと悲しいが。他に、映画のモデルとなった実際の事件のあらすじもネットで読んだ。今さらながら現実の方の血生臭さに何とも重たい気分になってしまった。
前日考えた通りに劇場で整理券を貰う。その時はまだ１時１５分くらいだったのだが、それでも整理番号は００７だった。番号は３時５０分からお呼びします、とのこと。この時刻でこの番号なら直前で貰うのはやはり危なかった。
それにしても世の中はまだ暑い。２時半頃、ペットボトルの水を一本買ってぐいぐい飲み干した。もっと飲みたかったが、映画もあるので我慢する。３時４５分頃劇場に着くと、ロビーはいつもよりずっとたくさん人がいたが、番号が前の方だったおかげでいい席（一番後ろの真ん中三席のうち右側の一席。前の人がでかくても頭がほとんど被らない。真ん中だと前は全部通路で席がないので本当はこっちに座りたかったのだがだめだった）に座れた。それにしても長かったな、この映画（２時間２１分）。おかげで事前にちゃんと済ませたのにも拘わらず６時頃にトイレに行かざるを得なかったよ。席に戻ったら柳楽君が血相変えて夜の街中をダッシュしている所だったのだが、それがなんでか分からない。嗚呼。トイレに行きたくなったのはクーラーが相当に効いていたせいもあったけど。まあでも寒いと言えば、この作品こそまさに背筋が凍るような話なのだが。
今日この映画を見に来た大半の人は、「なんかこの映画でカンヌをとった男の子が主役なんだよねえ。で、他にもちっちゃい子供が一杯出てくるんだってねえ」程度の認識で来ているのだろうと思う。８８年に起こった西巣鴨子供四人置き去り事件をモチーフにしていることは一応耳に挟んでいるかもしれないが、客の表情を見る限り、構えている感じの人はあんまりいなかったように思える。
まあ、私もそれほど構えずに見に来たので、どうこう言っちゃいかんような気もするが、それだからでこそ言っておく。あなたが私のようなイヤゲモノスキーでない限り、絶対後悔しますよ。これは「イン・アメリカ」のように子供の一途さが救済を招く話ではないし、「ぼくんち」のように突き上がるようなバイタイリティーがある話でもない。これは目先の貧相な希望によって魂を削られていく人間の物語なのだ。
四人の幼い兄弟たちの母親は、この手の「子供いじめ」作品に出てくるような暴力的な人ではないし、子供に罵詈雑言を浴びせることもない。我が子が嫌いなわけでもない。むしろかわいがっている。ただし、子供を祭りの金魚すくいでとってきた金魚のようにしか見ていない。だから悪気もなくしょっちゅう餌をやり忘れたり、水を替えるのを怠けたりする。それでも日々の暮らしさえそれなりのものなら、子供たちの不安もまたそれなりに表面からは消え、全てはリセットされる。しかしそのリセットボタンがだんだん小さくなっていく。それでもボタンが消えてなくなることはない。やがて点のように小さくなってもまだそこにある。そうやってただ限りなく小さくなっていく。この物語のモデルとなった実在の子供たちはある種の結末を与えられたが、映画の中の子供たちはいつ終わるとも知れないヘビの生殺し世界に閉じ込められたまま、見ている者から遠ざかっていく。それもまたあの子供たちにとっては一つの結末なのだが、見る側にとっての結末ではない。エンディングに流れるタテタカコの「宝石」が例えようもなく美しい。
決して気安くおすすめできる作品ではない。しかし最後まで見ると、必ずもう一度最初の場面を見てみたくなる、そういう映画である。
それにしても、素人の子供たちを含めた役者全員から映画鑑賞に堪えられる「素」を引き出してみせた是枝監督の演出手腕は大したものだが、これがもっと別の題材だったらどんなによかったか、と思わずにはいられない。
| 2004年09月06日(月) |
モロ師岡「僕の一人コント集」 |
午前１１時頃、携帯の目覚ましがなったのでいつも通り切ったのだが、起きてからよく見てみたら、従兄からの着信だった。その時すぐ返信すればよかったのだが、それから二度寝してしまったために忘れてしまった（ボカ〜ン）。今日は従兄に誘われてモロ師岡の一人コントを見にいくことになっていて、詳しい場所と時間をそのうち電話で教えてもらうことになっていたから、多分そのための電話だったのだ。なんだかんだで夕方の４時頃に連絡が取れたので、聞いた場所をネットで調べてプリントアウトした。７時半開演なので、７時頃着を目安に今池へ向かった。
会場はＴＯＫＵＺＯという名前の居酒屋兼ライブハウスである。シネマテークのすぐ傍にあるブルースタービルという青い建物の二階にある。建物の正面に店へ続く階段があって、その階段の脇にはいろんなライブのポスターが所狭しと貼られている。中はやはりこういう店なのでそんなに広くない。店の一番奥に小さな舞台がある。普段はお店のテープルと椅子を置いたまま、そこにお客さんを座らせているらしいが、今日はさすがに人が多いので、テーブルは全部畳まれて椅子だけをみっしり並べている。私が着いたのは７時ちょっと前くらいだったのだが、やはり平日なのでまだそれほど入っていない。従兄もまだ来ていなかったので、「こっちはもう着いたよ」と電話すると、今日のチケットはもう前売りを買ってあるから、従兄の名前を出せばそのまま会場に入れるので、先に入って従兄とその友達の場所を取っておいて欲しいとのこと。いいよ、と返事をして前から三番目の列に席を取った。一応お二人共開演には間に合った。従兄はジョン・ベルーシの大ファンなので、席に座った際に夏コミの新刊を渡した。開演までいくらか間があったので従兄はパラパラと読んでくれたのだが、大いに気に入っていただけたようだった。こちらとしては嬉しい限り。
モロ師岡の方はとっても面白かった。一人芝居っていうからイッセー尾形みたいなもんかな、と思っていたんだが、ああいう風にかっちり虚構をやっているのとは正反対で、全体的に楽屋落ちっぽい。芝居で見せている世界と素の世界が微妙に被っているのだ。ちなみに着替えている最中まで本人が妙な体験談とかしてくれたりするので、飽きない。演技の方もそれと同じで、イッセー尾形は内面を演技で見せるんだが、モロ師岡は全部セリフで言っちゃうのだ。でもその「自分内実況」が笑えるんだよな。ああ、しかし私は名古屋人のくせにモロ師岡のウガッタ（モロ師岡とその奥さんが毎週月曜日にやってた変なシットコム）を一度も見たことがないんだよな。ウガッタで知っていたらもっと笑えただろうに。
芝居の時間は当初全部で９０分だったはずなのだが、終わったのは９時半だった。芝居が終わるとお店の人が椅子を全部壁際に重ねて、テーブルを置き、またそこに椅子を並べた。三人で適当な席に座って飲み物と食事を注文。キムチ味のビーフン（入っているエビがプリプリで旨かった）、サツマイモとチーズのコロッケなど、いろいろつつきあった。映画の話などをいろいろしているうちにこの間柳楽君がカンヌで主演男優賞を受賞した「誰も知らない」の話になった。残念なことに三人の中で私だけが未見だったので、あんまり突っ込んだ話ができなかったのだが、二人の口振りからして相当イタい内容であるようだ。この映画に対するそういう意見は別口からも聞いていたので、いよいよ見たくなってきた。今週木曜のレディースデイにでも行こうっと。
１２時頃にお店を出る。階段を下りると壁の途中に「誰も知らない」の柳楽君の横顔がアップになった映画ポスターが貼られてあり、そこにこの映画の主題歌を歌っているタテタカコ（タテ タカコと読む）が１０日の木曜日にＴＯＫＵＺＯで歌う、というお知らせが書かれてあった。ただ歌うといっても、その日はラリーパパ＆カーネギーママ（このバンド自体は知らない）のライブで、タテタカコは前座なのだそうだ。･･･で。それから一旦は店を出たものの、なんとなくその場のノリで私と従兄は「さっきのライブ行く！」ということになった。てゆか私がかなり強引に見たいー、と主張したのだ。まだ映画も見ていないのにその主題歌の歌手のライブ、それも前座、しかもメインのバンドについては二人共全く知らないという状態で決意するとは、すごい先物買いである。まあ、前売りチケット代を払ってくれるのは従兄なんですけどね（あんたサイテー）。
家に帰った後は、録画しておいたＥＲとＢＳアニメ夜話を見る。
ＥＲ。いろいろあってそこそこ精神的に持ち直したルカ。ただ、今週から彼はアフリカの病院へ行っているので、出番がちょっとだけで寂しい。あ、でも来週は現主人公のカーター君もアフリカへ行くので、話の舞台もアフリカ部分がメインになりそうだな。って、でも来週もう第九シーズンの最終回なんだよね。しかし予告映像を見ていると、ルカもカーター君も縛られて銃を突きつけられているじゃないか。しかもサブタイトルは「悪夢」。なんかすごいヤなとこで切れそうだなあ。
寝る前にネットで名演小劇場の上映時間をチェック。トップページで知ったのだが、「あいち国際女性映画祭」期間中のサービスだとかで、８日から１２日まで女性は千円で見られるのだな。トップページにはまた、「誰も知らない」は大変混むので午前１０時から整理券を発行します、ともあった。やっぱカンヌ効果だねえ。柳楽君もなかなかの美少年だし。うーん、明日は二時から一時間ばかし用事があるんだよな。だから見るとしたら４時１０分からの回にしたいんだけど、こんな注意書きが出ていることから察して、普通にその時間に合わせて行ったりしたら入れないっぽいな。まあそれなら午前中の８時ぐらいに起きて朝イチの回に見りゃいいんだろうけど、どうせ起きられやしないだろうし（只今深夜４時）。明日はどうせ栄で一旦降りなきゃいけないから、その時ささっと４時１０分からの回の整理券を貰っておくとするか。
| 2004年09月05日(日) |
一昨日車を洗ったのに |
朝から雨がザーザー降っているよ。
本日はＳさん宅でＳさんと名劇仲間二人と集まって山梨旅行の打ち合わせ。以前、話が出た時は１０月頃を目安に行くはずだったのだが、相談し合う日が今日になってしまったため、１１月頃になりそうだ。しかし今日も結局、話がいろいろ脱線してしまったので、目的地を決定するに留まった。決まったのは富士急ハイランド。ネットで検索したところ、最新のジェットゴースター（名前忘れた）の動画を見られるようになっていたので、みんなで見た。いやあ、この間のパルケエスパーニャのピレネーがおもちゃに見える凄い奴である。富士急ハイランドは小学生の頃行ったことがあるけど、普通のアトラクションの他に「富士地底探検」っていう、鍾乳洞もあるのだ。これも好きなんだよな。うう楽しみ。
６時半過ぎに散会して、今日来た二人と一緒にアピタにあるラーメン屋で夕ごはんを一緒に食べた。私がラーメンと餃子を食べていたら、７時頃、不意に揺れを感じた。最初は大型トラックでも通ったのかと思ったが、微妙に長い。じっとしていると、もっとはっきりと揺れを感じた。店内の飾り物もぶらぶらと揺れている。明らかに地震である。そのうち収まったが結構長かった。まわりの人も「今地震あったよねえ？」などと囁き合っていた。
家に帰ってから、夜中の１２時を少し過ぎた頃、パソコンに向かっていたら再び地震。私の部屋が三階に位置しているせいもあって、夕食の時より遥かに揺れが大きい。しかも長い。左手を見ると、扉つきの本棚から弟のスーファミのソフトや棚の中のバインダーやらがバラバラと落ちてきた。ここまで揺れたのはほとんど初めてなくらいだ。机の下に隠れた方がいいかもしれないが、私が座っている位置は部屋の中で家具の配置的に死角になるので、かえってじっとしていた方がいい。揺れはその後それ以上大きくなることはなく、しばらくして収まった。あとでヤフーのニュースを見てみたら、震源地は紀伊半島沖辺りとのこと。
| 2004年09月03日(金) |
アメリカン・スプレンダー |
先月２５日に「華氏９１１」を見にいってめでたくＴＯＨＯシネマズのポイントが６ポイントたまり、一回タダで見られることになった。というわけで前々から見たいと思っていた「アメリカン・スプレンダー」を見にいくことにした。ジャズのレコードを集めることだけを楽しみに、自分と世間に悪態をつきながら日々をやり過ごしているおっさんが主人公の映画である（ちなみに実話）。昨日ロストを見にいったばかりなので行くなら来週にしたかったのだが、来週だと夜の回しかやっていないので、今日行くことにした。朝食の残りである白いごはんとお味噌汁を昼に食べて、１５時１０分からの回を目指して車を走らせた。それにしてもこの車、ここんとこ風雨が激しかったせいで、随分汚れている。窓なんて砂混じりの雨粒の跡が水玉模様になっちゃっているし。本当は今日なんか天気がいいから洗うべきだな。
映画館には２時４０分頃に着いた。やはりレディースデイでもない平日、しかも大学生以外は皆もう二学期が始まっているものだから、チケット売り場に並んでいる人は、二人いるかいないかであった。
ちなみに今日の上映館なのだが、ゴージャスなことにプレミア１。先週からだろうか、「アメリカン・スプレンダー」はなぜかそこで上映されているのだ。こんなうだつの上がらない中年男の映画なんか、プレミア１なんてお金持ちな内装の館には合わないのに。まあ、その週の上映本数などによってこういう違和感のある振り分けがされたりするのがまた面白いのだが。そのうち「いかレスラー」の類のものがプレミアにかかるなんていう、無駄に贅沢なシチュエーションも起こり得るかもしれないな。「アメリカン・スプレンダー」を見るんなら、この作品のもう一つの上映館であるシネマスコーレの方が全てにおいて似つかわしいんだけどね。けどまあ、こんな巡り合わせは二度とないだろうからこれもいいか。
もともとレディースデイでも人がまばらなプレミアだが、今日は映画も映画なだけにいよいよ少ないという感じで、私を含めて六人しかいない（そのうち四人は男）。みんな席は後ろの方に座っている。前にプレミアに入ったのが随分前だったので、どのくらいの位置が見やすかったか忘れてしまい、受付で座席を指定する際に前の方を選んでしまった。案の定、中に入って座ってみたら、そのうち首が辛くなりそうな位置だった。しまった、ここは後ろの方がいいんだ。勝手に席を移動するのはシネコンでは反則だと百も承知だったが、これだけ人も少ないし、まだ予告も始まっていなかったので、列を一つ後退した。
本編前の予告をぼーっと見ていたら、「ガーフィールド ザ・ムービー」の予告が流れ、思わず顔を輝かせてしまった。主役の猫、ガーフィールドの声をビルが当てているんだけど、正直これ、日本じゃビデオが出れば御の字だと思っていた。私の方は、「ま、ビルの出番が声だけじゃ、こっちとしちゃ大して見たくないわあ」などと思っていたのだが、いざこうしてちらとでも声を聞いてしまうと逆に、どうしようもなく見たくなってしまうのが人情というもの。
「ガーフィールド」は子供向けのマンガで、実写とアニメの合成だ。ぐうたらで気まぐれで、これでもかというほど根性が捻じ曲がったビル・マーレー猫のガーフィールドが、自分と一緒に飼われている犬をイビりまくるんだが、犬の方がそれにめげて家出してしまうのだな。で、さすがにマズいと思ったガーフィールドが、犬を探して町をさまようというお話みたいだ。予告で見る限りこの猫、ビルを想定して書かれたとしか思えないくらいひどい猫である。ま、そうは言っても子供向け作品だからオチは泣かせの方に行くんだろうけど。でもやっぱ楽しみだなあ。と、思っていたのだが、予告中の本編シーンが終わった後、ラストでどうにも納得しかねることが。吹替え版は藤井隆がやるというのだ（本人の声でそうアナウンスされた）。ふざけんな！ 「ロスト・イン・トランスレーション」でちょっとばかしビルと共演したからって事務所も本人ものぼせやがって！ 一億年早いわ！ ビルの吹替えとゆうたら江原正士に決まっておろうが（たまにそうじゃない時もあったが）！ くうう、江原正士で吹替えされたビルを聞くのも私にとっては大きな楽しみなのだぞ。それをよくも。まあいい、字幕版を見にいくさ･･･。
とまあそんな風に最後で若干むっとしたとはいえ、「ガーフィールド」の予告を見て大いにウォーミングアップされたおかげで、「アメリカン・スプレンダー」も気持ちよく入っていくことができた。それがなかったとしても私はこの作品に感動できただろうけど。なんかもう、映画を見てこれほど元気づけられたことはないというほど、元気を貰ったよ。同人とかやっているから余計この主人公や彼をとりまく人間に感情移入できたのかもしれないけど、見てて本当にたまらなかった。そこはかとない笑いがいっぱいあるのも好きになれる。迷わずパンフを買った。
家に帰るとまだいくらか明るかったので、車を洗うことにした。でも、まだまだ明るいように見えても日が落ちるのは早いもの。ワックスを塗る頃にはかなり暗くなり、最後にワックスをこすっている頃には真っ暗になっていた。それでもなんとか終えたが、ワックスをきれいにこすりきれたかどうかちょっとアヤしい。まあでも、汚れは落とせたからいいか。
| 2004年09月02日(木) |
というわけで「ロスト〜」もう一回 |
せっかくのレディースデイなので今日は名演小劇場でやっている「誰も知らない」も一緒に見るつもりだったが、こっちが長いので「ロスト〜」と時間が噛み合わない。仕方がないので、今日は「ロスト〜」１５時からの回一本を見るだけにした。キノシタホールは「グッバイ、レーニン！」をやっていた今池国際シネマや、「わが故郷の歌」をやっていた名古屋シネマテークと同じ今池駅にある。席数は１００かそこらのミニシアターで、最近に上映が終わった作品をリバイバル上映するのがメインである。前にも書いたが今池にある映画館なんて家からじゃちょっと遠いから、よほど目当ての作品か、ソフト化されるのが微妙な作品の上映でない限り、あんまり行きたくはない所だ。ましてやキノシタホールはリバイバル専門の映画館である。だから二回くらいしか行ったことがない。初めて行ったのはハル・ベリーの「チョコレート」の時だった（元はセンチュリーホールでやっていたのが下ってきたのだ）。
キノシタホールは受付と入口が二階になっているので、入ったらすぐ階段を上がらなければならない。初めて行った時、二階へ出てすぐにある係員の控室で係員だか管理人だかが廊下に面した窓を開けたままＡＶを見ていたという、嫌な第一印象だったものだ（ボカ〜ン）。「チョコレート」自体も、いい映画には違いなかったが、後味が凄まじく悪い作品だったので、何とも重たい気分で劇場を後にしたのを覚えている。まあ、そうは言ってもいい所もある劇場だ。小さい劇場の割には前後にしっかりと段差を作っている点が感心できる。
出かける際にまごついたものの、なんとかギリギリ間に合いそうな電車に乗れたのに、今池の出口を出てみると、外は小雨が降っていた。家を出た時にもうかなり曇っていたから引き返して傘を取ってこようかとも思ったんだが、時間の方が心配だったからやめたのだ。幸い、出口のすぐ傍にコンビニがあったので、４００円のビニール傘を買った。
受付で当日券を買ったが、この当日券、よくある三センチ角くらいで劇場名がプリントされた当日券ではなく、前売り券をなぜか当日券として使っていた。前売りの半券と一緒に「ロスト〜」のチラシと、ここで「ロスト〜」の次にやるという「パッション」のチラシを渡された。ロストのチラシは、以前ゴールド劇場で前売り券を買った際についてきたのと同じものだったが、一枚見覚えのないデザインのものも入っていた。デザイン自体は前売りを買った時についてきた正方形のポストカードと同じだったんだが、あれよりもうちょっと大きい２１０ミリ角のチラシで、裏にちょこちょこと映画の場面の写真や宣伝文句が載っていた。
平日の中途半端な時間だし、もしかしたら一人っきりで見られるかも、なんて淡い期待を抱いていたが、実際には私を含めて六人のお客さんがいた。まあでもお客さんが少なかったせいで前の方の真ん中で視界に邪魔もなく見られたし、よかったよかった。ただ唯一、携帯の電源を切っておくのを忘れたせいで母からの電話が鳴ってしまったのが汚点だったが。
映画が終わった後、母に電話。「あ、今日お母さん仕事で遅くなるからごはんはあんた適当に食べててね」と。くうう、それくらいメールで連絡してくれい、とちょっと思った。
雨は降っているかいないかという感じだったが、眼鏡に水滴がつくのが嫌だったので傘をさして歩いた。今日は米をかさなくてもいいことだし、のんびりお店でも見るか、と、中古ＤＶＤ屋に入った。最初に新入荷分を漁っていたら、大好きな「ライトスタッフ」のコレクターズ・エディションが２５００円であった。最初に出た映像特典なし、片面一層二枚組のＤＶＤならレンタルとかでも見られるけど、片面二層で本編を一気に見られて、映像特典ディスクもついたコレクターズ・エディションは買わなきゃ見られない。まあ、夏コミのアガリもあることだし（その前にかかったコストはともかく･･）、と買ってしまった。よーし、今夜はカロリーメイト食いながらエド・ハリス＆サム・シェパード祭りだ（ボカ〜ン）！
最近出た「とり・みきの映画吹替王」を立ち読みしたくて、中古ＤＶＤ屋と同じビルの二階にある左翼テイスト全開の某本屋（店の名前忘れた）に入った。本自体は見つからなかったが、ハイジが表紙になっている「みづゑ」とかいう雑誌がふと目に止まったので、それを立ち読みした。どういう雑誌なのか、ハイジ以外にも「８時だョ！全員集合」の美術の話だとか、「プリンプリン物語」や「できるかな」のことがいろいろ書かれてある。内容も好みだったが、装丁がとってもかわいかったので、１２００円と少々高い雑誌だったが買ってしまった。
そのまま帰ってもよかったが、やっぱりとり・みきの本をどっかで読みたいので、千種の正文館へ歩いていった。さすがにここには置いてあった。取り敢えずダン目当てで玄田哲章、ビル目当てで江原正士の部分をじっくり立ち読み。玄田哲章に関してはシュワちゃんのことに話が集中してしまっていてダンの吹替えについては全然なかったのが残念だったが、他に面白い話が一杯あったのでよかった。江原正士の所も面白かった。「エディ・マーフィーは非常にリズミカル。ビル・マーレーはその対極で、もう完全にオフビート。ロビン・ウィリアムスはこの中間という感じ」というようなことを語っていたのが面白かった。ハッ、江原正士のビル・マーレー歴の表記にミスが･･･。
家に帰った後は紅茶を入れて、カロリーメイトにジャムをつけて食べながら「ライトスタッフ」で祭り。特典ディスクに入っているジョン・グレンのドキュメンタリーはなんか作りすぎって言うか、ヤな感じ（まあ分かるんだけどさ）。エド・ハリスが演じたあのジョン・グレンが好きな人は見ない方がいいだろう。他の映像特典はどれもいい。本編のよさは言うまでもなし。こういうジャンルの映画で字幕が戸田奈津子ってのがちょっとヤな感じだが、ラスト近くのチャック・イエガーのセリフ、「飛行機が俺を待っている」という訳はやはり捨て難い。
１１時からスーパーチャンネルの「ＥＲ」（第一シーズン）＃９を見ていたら、患者の一人が何とギャレット・モリスだった。腎不全で倒れて担ぎ込まれてきたんだが、すぐにも透析受けなきゃいけないくらい具合が悪いのに医者のスーザン相手にイチャモンつけまくるという困った患者だった。挙句の果てに、「また今度の火曜日に通院するようにしておきましたからね」と言ってスーザンが渡した予約か何かの控えを「誰が来るかバカヤロー」とか何とか言って目の前でくしゃくしゃにして捨てやがる。恋人に鬱病の兆候が出ていて最近クサクサしているスーザン、怒ってギャレット・モリスのお尻の穴に体温計と一緒にひまわりの花を挿した。ついでに、ベッドのまわりにあるカーテンを開けっ広げにして晒し刑（笑）。
しかし、今日の「ＥＲ」ってまだ第一シーズンだから、この時はまだ９４年のはず。ギャレット・モリスって９４年に強盗に銃で撃たれて大怪我したんだよな。今日のこれって事件の前と後どっちなんだろう。後の場合だったら粋な楽屋オチだけど、前だったらちょっとエグい話だわ。
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