猪面冠者日記
今さらだが当分不定期更新

2004年03月31日(水) 日曜日から引っ張る

 あれからまた調べてみたのだが、パラダイス・アーミーも剃刀の刃も、どっちもDVDに吹替えはつかないのだな。ああ、この間のパラアミの吹替え版ちゃんと録画できて本当によかった。永久保存版だな。あーでもやっぱ同じ80年代ビル出演作なら、パラアミや剃刀の刃よりはボールズ・ボールズをDVD化して欲しかったな。作品もビルも面白かったんだよな。ビル、ウンコ食ってるし。



2004年03月30日(火) うしおそうじ亡くなる

 うしおそうじ死去の報。その昔、アニメージュで連載されていた氏の若き日を描いた自伝漫画、「ヒトコマ讃歌」。戦前日本のアニメ・特撮の世界を描いたとてつもなく貴重な作品だったが、これの続きは永久に見られなくなってしまうのだな。残念。今度TUTAYAに行ったらライオン丸でも借りてこようかな。



2004年03月29日(月)

 内職相変わらず。昼前郵便屋さんが家に来て、小包を渡された。中身はAmazon.comのマーケットプレイスで注文していた“The Second City”。うわーい、ちょっとだけ見よーっ。

 ジョン・ベルーシやらダン・エイクロイドやら、アメリカで活躍しているコメディアンにはセカンドシティというコメディ劇団出身の人が多い。劇団はアメリカのシカゴにあり、他にカナダのトロントにも支部がある(最近ロスにもできたって聞いたけど、よくは知らない)。んで、創設当時から現在に至るまでのセカンドシティの舞台写真(年代の割にどれもかなり綺麗な状態)や、関係者や出身者による当時を振り返ってのコメントなどを集めた素敵な一冊が今日のこれなのだ。ペーパーバックにもなっているけど、どうしてもより大きい状態で読みたかったのでハードカバー版を買った。本当はこれCDつきなのだが、CDは聞いてもどうせ分かんないのでいいや、とCDのついてない安い古本を買ったのだ。

 取り敢えずざざっと目を通しただけの現時点での見所は、まだ顎があって、ベルトが肉に埋もれていないジョン・キャンディ。しかもロン毛。前にも別の本で若干痩せていた頃のジョン・キャンディを目にしたことはあったが、こんなクリアな写真で複数目にするとなんだかすごく衝撃的。でも、その一瞬後の時代の写真ではもう我々のよく知っているジョン・キャンディになってしまっている。それに引き換えマーティン・ショートは餓死寸前かというほど細い。あ、そうそうビル・マーレーの写真もあった。が、表情から何から何まで今と一ミリたりとも違いがなかった。老けてるんだよね。まだこの頃二十代なのに四、五十歳に見える(マジで)。唯一の違いは髪の量だろうか。おでこがまだ原型を留めている。だがこれも数年後には・・・。お笑いの世界って厳しいんだなあ・・・。




2004年03月28日(日) 幻になるには理由がある

 えええええーっ!! 「剃刀の刃」DVD化!?

 数年前大阪でオタクアミーゴスのイベントが行われた際、唐沢俊一が今日の日付横にある題名のようなことを言っていた。幻のポルノ版白雪姫(※)のフィルムを上映している時の発言だ。

 さっき楽天フリマ覗いていたら「剃刀の刃」のDVDが出るって情報が載っててめちゃめちゃ驚いて、んで半信半疑でアマゾン覗いたらこっちにもちゃんと5月26日発売で予約も受付中になっている。そんなわけで思わずリアルタイムで書き込んでいるというわけだ。つってもこんなことで衝撃を受けているのは、日本中でもあたしくらいだろうが。あと、同じ日に「パラダイス・アーミー」も発売されるんだね。これは普通に嬉しい。吹替え版も収録してくれていたらなお嬉しいが。

 「剃刀の刃」がどういう作品なのか知らない人にとっては、なんで私がこんなに驚いているのか理解できないことだろう。一応簡単に説明しておくと、これはサマセット・モームの同名小説を映画化したもの。第一次世界大戦に従軍したシカゴのある若者が、帰国後、戦地でのトラウマから無気力になってしまう。地元ではそれなりに将来有望とされていた主人公には、裕福で美人の婚約者もいたのだが、彼は全部捨てて故郷を飛び出してしまう。そしてパリの安アパートに住み、万巻の書物に目を通しつつその日暮らしを送る。やがて彼はそこも出て、今度はポーランドの炭坑、さらにチベットと、各地を放浪する。

 ええっと、まあ話はこの他にもいろいろあるんだけど、書くのがめんど臭いし、何よりあんまり世間に知って欲しくないので省略(ボカ〜ン)。

 まあそれで、この主人公を演じているのが誰かっていうと、ビル・マーレーなわけですよ。アメリカで公開されたのはゴーストバスターズと同じ1984年。本人としてはもう随分前からストレートに転向したがっていたこともあって、これをやりたかったんですね。GBのことでコロンビアと話し合っていた時も、「剃刀の刃」の製作を条件に出していた。とにかく、それこそGBよかよっぽど、すごい気合い入れまくりで、自分で脚本まで書いた。ところが結果は大コケ。おまけに批評家にも評価されなかった。まあ、この粗筋読んでもらえりゃ解かると思いますがね、「言わんこっちゃない、似合わないことやるから」ってなもんですよ。でも本人としてはそれがすごいショックだったみたいで、この後、88年の「3人のゴースト」まで映画に出ていない(ちょい出演なら『リトルショップ・オブ・ホラーズ』とかあるけど)。ホされたのか、本人がやる気をなくしていたのか、あるいはその両方だったのか。ま、いずれにしても93年の「恋はデジャ・ブ」がアメリカで大ヒットするまで、ビルは低迷期を送るわけです。

 と、そんな作品なので日本では未公開でビデオリリースのみ、レンタルでもあんまりない。私は「ヘボくてもいい、どーしても見たいっ!」と思ったのでヤフオクだか楽天フリマだかで買いましたが。で、見てみたんですけどね、まあ、駄作ってほどじゃなかったです。大して面白くもなかったけど、ビル・マーレーがミスキャストなだけの映画でしたわ。なんちゅうかね、エディ・マーフィーがデンゼル・ワシントンになるってくらい無理を感じましたわ。いや、そりゃあたしん中ではビルはデンゼルよりかっこよかったりするんですが、でもそれは所詮妄想でしかないわけで、現実にビルがそんな真似事をした日にゃねえ、頼むからそんな長渕みたいなことすんな、と泣きが入ります。でもビルは今でも「剃刀の刃」の失敗を納得していないみたいなんだよな。ついこの間イギリスの雑誌のインタビューで、「俺はいい作品だと思っているんだけどさ。ジム・キャリーの『マジェスティック』にしてもそうなんだけど、世間ではコメディアンがストレートをやることをあんまり喜ばないんだ」なんて言っているのを発見した時は、思わず部屋で誌面に向かって「そういう問題じゃないんだよ、バカっ」とでかい声あげちゃったよ(ボカ〜ン)。

 そんなわけで私にとって「剃刀の刃」のDVD化は素直に喜べないのだ。まあ、ビデオ映像がもともと汚い上に、これからも劣化する一方だろうから、映像をキープしておくためだけに本国のリージョン2ディスクを買おうかと思っていた身としてはありがたいんだが。唾棄すべきとまではいかないにしても、実に扱いに困る作品なんだよな。でもこうやってDVDになったらTSUTAYAとかGEOみたいな大型レンタル店に並んじゃって、うっかり知られてしまう可能性がこれから出てくるわけで、なんか勘弁して欲しいって感じ。

 うわ、なんかリアルタイムのくせにえらく長く書いてしまった。日常の追記はまた今度。

(※)ディズニーが本編とは別に絵柄を変えて作ったものらしい。白雪姫が淫乱で、小人さんたちと日々8P三昧。魔女の毒りんごじゃなくて毒きゅうりを使用したために死亡。その後、通りがかった王子に屍姦されて生き返り、めでたしめでたし。

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(追記分)

 今日はSさん宅で昔の名劇サークル仲間が集まってのお茶会。思えばサークルがまだあった六、七年前ぐらいまでは会報の編集作業もあったから、この手の地元会員が集まってのお茶会は月イチでやっていたもんだが、最近は年に一度あればいい方。面子の中には、お仲間同士で結婚して最近は子育てに追われていたり、あるいは仕事で苦労したりなど、日常が非常に忙しいという人もいる。そんなこんなでもう何年も会っていなかった人もいたりするので、中に入った瞬間、とても懐かしかった。

 Sさんが入れたファーストフラッシュをみんなで飲みつつ、誰かが持ってきたどら焼きを食べ、オタ話いろいろ。一人、時代劇好きな人がいたので、今やっている大河ドラマの「新撰組!」に対する、ここがいいあそこはだめ、で盛り上がる。それから、来月みんな揃ってどこかへ出かける相談。話は案外スムーズに進み、場所も決まったので、それぞれの暇な時をピックアップして、取り敢えず今日のところの話し合いは終わった。しかしこのどら焼き、あんこ味にしろ、抹茶味にしろ、粒あんと一緒に生クリームやムースが入っていてちょっとくどかった。途中でSさんにスピカのことを相談したところ、パソの不調のため、スピカの最終回はVHSに録画したのとのこと。ああよかった、これで何とか間に合わせられる。

 ちなみに、私が来る前にみんなで「ふたつのスピカ」を見ていたらしい(一人また新たに大ハマリした人がいた)。ついでに、と最終回をみんなで見る。うーん、以前アニメ版の「フルーツバスケット」の最終回にも同じことを思ったが、このスピカのそれも典型的な「まだ連載途中の漫画を原作にした場合の最終回」だな。ちょっと残念。まあアニメ版には今まで充分すぎるくらい感動させてもらったので、そんなに腹も立たないが。とりあえず、原作の新展開を大いに楽しむとしよう。

 ビデオを見終わった後は、みんなで近くの台湾料理店に行き、夕食。いかにもチェーン店っぽいチープな感じの店。餃子の味が異人館ラーメンそっくりなのが不思議だった。

 店を出てからも駐車場で四方山話。こういう集まりの常として、いろんなネタが次々出てくるので、立ちっ放しの状態でもなかなか解散できない。一人、家の遠い人が時間のことを言い出してくれたおかげでようやく解散。家に帰ってからネットで楽天フリマをチェックしていたら、思いがけない情報が! 慌てて日記にリアルタイムアップしてしまった。その後はまだまだ終わらない内職の続き。




2004年03月27日(土)

 10時に起きる。具合はもうかなりすっきり。が、朝刊テレビ欄の(終)を見て、スピカの録画を忘れていたことに気がつき、がっくり。ああ、昨日の晩の9時ぐらいまでは覚えていたのに、寝る前に思い出せなかったよ、バカバカ。こうなったら、明日はSさん家に行くことだし、なんとかダビングしていただきたいなあ。あの人も今ではパソコン本体やDVDに録画する態勢に完全にしちゃっているからなあ。VHSに落としてもらうのは無理かもしれん・・・。ああなんてドジな。

 ぐずぐずとした気持ちのまま昨日の続き。で、今日また追加分もあったりして結局全部で八万枚くらいなんだけど、ううむ、進まん。ちょっと「刑務所の中」の花輪和一の心境(結局それから二週間、食事とメールチェック以外はずっとこれだった)。

 夕刊を読んでいると、七面でソフィア・コッポラのことが取り上げられていた。安倍寧という人(知らない名前だが音楽評論家らしい)の「だから やっぱり ショウ・ビジネス」という連載コラムで、お題は「娘コッポラが脚本賞」。コラムの中身はどうでもいいものだったが、最後の方でなんともアレなことが書かれてあった。なんでも、去年から今年にかけてのアメリカでの「ロスト・イン・トランスレーション」の成功に気をよくした東北新社(日本でのロストの配給元。なんと、劇中のCM撮影の場面で東北新社の社員が何人か使われているのだそうだ)の会長、植村伴次郎がこう言っているのだ。コラムの文中より引用する。
「新しく作った試写室をソフィアと名付け、彼女の署名をプレートにして扉につけるつもりです」
 悪いことは言わん、絶対やめろ。いや、これから一、二年ぐらいの間はそれなりの箔付けになるだろうが、近い将来、ソフィアはまた元の「お嬢様の自己マン映画」専門になるに決まっているのだ。ロストもまだ見ていない上に、そんな先のことをこんな風に言うのもなんだが、断言する。今回のロストの成功はまぐれに過ぎない。この成功の中にある程度人為的なものがあるとしたら、それはソフィアの力ではなく、ビル・マーレーとスカーレット・ジョハンソンのおかげなのだ。なのになんでみんな、こんなにあの娘を持ち上げるのかね。コッポラ一族をヨイショした所でろくなことにならないのは、親父コッポラやニコラス・ケイジで証明されているでしょうが。

 このコラムの隣には、来る4月3日でNHKでのセサミストリートが終了してしまうその背景について書いた記事も載っていた。セサミのオリジナル版は勿論アメリカで作られたもので、日本ではそれに吹替えをつけて放送しているわけなのだが、一方、ロシアや中国ではそれぞれのお国でオリジナルのセサミ(文法が変)を作っている。で、セサミワークショップ側としては、NHKでも「ロシアや中国のように、日本語で新たにキャラクターを使った幼児番組を制作し放送」して欲しいのだそうだ。ま、その方がより儲かるってのが向こうの言い分なんだな。で、それをNHKが突っぱねたので、お互い切ったと。10月からは日本版のセサミがテレビ東京で始まるのだとか。

 キャラクターは変わるのか、例え変わらないにしてもどういう形の番組になるのか、まだ見たわけでもないから何も言えないが。うーん、今までそんなに熱心に見ていたわけじゃないけど、ジム・ヘンソンの息がかかった番組が日本ではもう見られなくなるも同然ということだ。そりゃ、これからできる日本版だって、セサミであることには変わりないかもしれないが・・・。




2004年03月26日(金)

 朝7時頃起きる。やけにだるい。風邪かもなあと思いつつ、ビデオを返しに行く。店の看板に「28日まで旧作ビデオ、DVD共に一本95円」とある。なら今日またここに行かねば。家に帰ってまたしばらく寝て起きたら、はっきり風邪。トーストを食べて薬を飲んだが、そのおかげで今度はひたすら眠い。それでも頑張ってレンタル屋に行き、四本借りてくる。まあ今日一日おとなしくしていれば明日からはしゃんとなるだろうから、四本くらい期限まで楽に見終わるだろう(だったらなおさら次の日に行けばいいのに)。体調がよかったら今日は中川コロナワールドに「N.Y.式ハッピーセラピー」を見に行きたかったけどな。

 と、思っていたのだが。重要なことを忘れていた。昨日、母から内職を貰ったのだ。ううん・・・。まあ、今までの内職だって多い場合でも二日あれば終われたことだし、何とかなるだろう。

 と、思っていたのだが。ふと試しに一時間ばかりやってみたら、ちょっとしか進まない。薬で眠いせいもあるが、こりゃ元気になってもどこまでやれるかアヤしいぞ。ちなみに今回やらなきゃいけないのは、2センチ×4センチくらいの大きさの値札が200枚で一束になって包まれているものを、全部ばらして枚数が合っているかどうか確かめる、というもの(ん? 楽じゃん)。まあいいや、今日はもう寝るだけにして明日からがしがしやろう。

 佐藤まさあきの死去日が判明。ソルボンヌK子の掲示板に情報が直リンしてあった。3月11日の早朝に愛犬と散歩をしていた所、心不全を起こして死んだらしい。この人らしからぬ人間らしい死に方である。「堕靡泥の星」の感動は一生忘れません。

 あの世で夢の人間牧場を開いて欲しいものである。




2004年03月25日(木) セレブリティ・デスマッチ(ビデオ鑑賞)

 「ハリウッドにくちづけ」を含む三本のビデオの返却日が今日なのに、あとの二本をまだ見ていない。というわけで急いで見る。と言っても、二つとも収録時間は60分前後なので、そう焦る必要もない。

 ビデオのタイトルは「セレブリティ・デスマッチ」といい、アメリカのMTVで放送されていた粘土アニメで、タイトル通り、毎回あちらの有名人が複数登場して、文字通り命がけの(しかし下らない)戦いを繰り広げる。町山智浩の「アメリカ横断TVガイド」の一章で、「有名人デスマッチ」として紹介されていたから知っている人もいるかもしれない。

 で、これから見るのはその一巻と二巻。まあ、こういうものなので出てくるセレブの名前や顔はもとより、彼ら彼女らのアメリカでの活躍ぶりやゴシップについてある程度知っていないとあんまり楽しめない。例えば、「トイ・ストーリー」や「ギャラクシー・クエスト」のティム・アレンが、なんでリング上に大工さん姿で現れるのかなんて、映画でしかティム・アレンを知らないこっちには意味が分からない(後でちょっと調べたら、ティム・アレンはもともと『ホーム・インプルーブメント』(原題)というテレビのシチュエーション・コメディで日曜大工番組の司会者、ティム・テイラーを演じていたからそういう格好をしていたのだ。彼はこの役で最初にブレイクした)。まあ、クレイの動きや、やたらに凝ったスプラッタ描写を見ているだけでもそれなりに面白いと言えば面白いんだけど。個人的には一巻にあんまり知った人がいなかったせいでそれほど楽しめなかったのだが、二巻は私でも分かる人が一杯出てきていて、とてつもなく面白かった。特に面白かったのはクリストファー・ウォーケン対ゲイリー・オールドマンの悪役対決。試合開始前にクリスが「本当はファミリー物にも出たいのに、うちのエージェントはちっともそういうのをまわしてくれない」と、ゲイリー・オールドマンに愚痴ったりする。

 もう一個笑ったのは、スティーブン・タイラーとミック・ジャガーの対決。試合前、二人は同じ控え室にいるのだが、そこへリブ・タイラーが「ハーイ、ダディ♪」と尋ねてくる。スティーブは喜んで迎えるのだが、リブは間違えてミックの方へ「ダディ♪」と抱きついてしまうのだった。いや、確かに私もこの二人は時々見分けがつかん。ちなみにこの後のデスマッチの方がもっと面白いんだが、あんまりばらすのも何なので割愛。

 さてまあ、そうして満足して見終わったものの、すぐに返しに行かなかったのでそのまま忘れてしまった。夜の11時頃になってから気がついたが、外は雨。こんな中、傘さして歩いて返しに行くのは嫌だなあ。まあいいや、明日の朝、開店前に夜間返却ボックスに入れに行こう。その時は雨もやんでいるかもしれないし。




2004年03月24日(水) ロード・オブ・ザ・リング 王の帰還

 2時過ぎに車を出そうとすると、空はどんより曇り空。映画館では邪魔になりそうだが、不安なので傘を持っていく。2時半に金山駅近くのダイエーの前でKを拾って、TOHOシネマズへ。

 前二作はレンタルのエクステッドエディションDVDで予習済み。この三作目はとにかく映像が最高だと言う噂は方々で聞いた。どのくらい最高かと言えば、三部作中どころか、過去のどの映画も及ばないほど最高なのだと言う。映画館に着くまで、車中で先にKから千円貰う。私がチケットを買って、TOHOシネマズのマイレージを貯めたいからだ。一分で一マイル貰えるのだが、王の帰還はたっぷり203マイル、二人なら406マイルも溜まる。しかもこのTOHOシネマズのシネマイレージなるもの、鑑賞した時間分のマイレージとはまた別の特典として、六本見ると一本ただで見られるというものもあるのだ。利用せずにはおくまいかである。

 3時頃に映画館到着。車から出ると外は小雨。上映開始時刻は3時半頃なので結構早めの到着ではあるが、さすがレディースデイだけあって混んでいる。受付で、二人分のチケットを購入。いやー、たまった、たまった(笑)。開始まで間があるので、売店をいろいろ眺める。

 上映館は4番スクリーン。音はTHXとSDDS、画面は具体的にどのくらいの大きさか分からないが、とにかくでかい。多分、ここじゃ大きさ・質共に一番グレードの高いスクリーンだ。まさにこの大作に相応しい。我々の座席は真ん中の通路のすぐ後ろ。おかげで通路の柵に傘を掛けられた。やがて予告が始まったが、やはりレディースデイなだけあって、シネコンのルールに慣れていないおばちゃんたちがぽつぽつと入ってくる。そしてこういう人たちの常として、絶対に自分が指定された席に辿り着けない。案の定、今日の人たちも私たちの目の前を何度も行ったり来たりしながら結局、「まあいいや、ここが空いているからここにしよ」などと言って、適当な場所に座っていた。

 で、本編。子供の頃生まれて初めてディズニーランドに行った時のような、目に入ってくるものにただただ歓声を上げたくなるような満足感を貰った。うーん、やっぱり見て良かった。

 正直、一作目はつまらんかった。まあそれもそのはず、あれは前振りの前振りで、二作目でようやくプロローグと本編、そしてこの「王の帰還」がクライマックスだったのだから。王の帰還も、ラストが蛇足っぽかったり人物の描写でちょっと納得がいかない所もあったりしたが、まあ、これは気持ちいい映像を気持ちよく楽しむための映画なので、そんなことを書いてもつまんないだけ。やめとく。とにかく、この映画を大きな劇場で見られたことは老後の自慢になることだろう。

 映画館を出た後は、二人でパスタハウス・ベルデへ。コースで予約している団体客がいたので、空いている席は二人席が二つだけ。四人や五人で来たら今日は入れなかっただろう。

 席に着いてから、「やっぱメインテーマはサム×フロだよね」とか、「アラゴルンとレゴラスは、まわりがどれだけ修羅場であろうとエルフ語で会話しあっててアヤしい」みたいなことを語り合いないがら、ピザやパスタを食べまくった。




2004年03月23日(火) Lotusへ行く、が、しかし

 2時頃家を出て、大須へ行き、一昨日行った香蘭園で炒飯を食べる。見た目は汚いが、そんなに油っこい味ではない。刻んだナルトが入っているのが変わっているなあとは思ったが、旨かった。

 それから歩いて長者町にあるLotusへ。一階が喫茶店になっているビルの二階にある店内には、よくあるデザイン系の小物や本がちょこちょこと並んでいる。まあ、典型的なおしゃれアート系のお店である。店内には先のチラシの通り、「グッバイ、レーニン!」のB4大ほどのパネルがところどころに飾ってある。店の真ん中のテーブルにドイツ関連らしき本も並んでいたが、いいものはもう売れてしまったのか、並んでいるのはヘッセの著作やグリム童話などくらいで、別に敢えてドイツ関連と銘打つほどの本は置いていない。まあまあ珍しいものだと、邦正美の「ベルリン戦争」(朝日選書)くらいだろうか。でもこれもう持っているし。

 同じスペースに「グッバイ、レーニン!」のノベライズ版が置いてあったので、それを買った。他に、店内に置いてある「グッバイ、レーニン!」のチラシや、同映画のスタンプラリーのチラシ、それと、ちょっと楽しみにしているキム・キドク監督作品「悪い男」のチラシ、名古屋シネマテークの案内、などがフリーで置いてあったので取った。

 もう帰ろうとすると店の中で携帯が鳴った。相手は妹。店を出ながら話していると、
「あ、お姉ちゃん? ありがとう、『ロスト・イン・トランスレーション』当たったよ!」
 は? 自分と妹と友人の名前を使って申し込んだその試写会(2月8日にコミケの申し込みと一緒に投函したものだ)の開催日は23日、今日である。一瞬、目の前が真っ暗になった。
「・・・え? それやるの今日でしょ。あんたそのハガキはいつ届いたの?」
「知らない。部活で合宿行ってたから、今気づいた」
 奴め、私が頼んだことを本当に忘れている口振りである。その時、時刻は4時を少し回った頃だった。試写会は何時からだ? と聞き返すと、「5時半から」。のぞみ新幹線に乗っても間に合うまい。

 せめてもう少し早く連絡しろ、と文句を言い、即切った。ああ、せめて3時頃までにでも連絡をくれれば行けたのに。大体、世界一妹思いじゃないこのお姉さまがあんた如きのためにCutを何冊も買うかっ。このたわけがっ。て言うか、当たったなら当たったでそんなタイミングで連絡なんかしてくるなよ。目の前にいたら刺してるぞ(ボカ〜ン)。

 当初、他にもいろいろ寄るつもりで栄まで来たのだが、とてもそんな気になれず、妹への殺意でいっぱいいっぱいのまま帰宅。ああもう当分この映画のことは考えたくねえ。

 家でしばらく返信メールなどを片づけた後、近所のモスバーガーで夕食。帰りにモスのすぐ隣のミスタードーナッツでチョコレートとダブルチョコレートを一個ずつ買って帰宅。家で紅茶を入れ、ドーナッツを食べながらついでにジョン・ベルーシ追悼(なんて投げやり)。テレビをつけたら東海テレビで「爆笑そっくりものまね紅白歌合戦」をやっていた。ぐっさんがサッチモの物真似をして「素晴らしきこの世界」を歌っていたのだが、上手すぎて最初誰だか分からなかった。ああ、そのうちぐっさん、ジョン・ベルーシの物真似とかやってくれないかな。くずにしてもブルース・ブラザーズを意識しているっぽいし、喜んでやってくれそうだが。

 ネットサーフィンをしていたら某掲示板で、恵比寿ガーデンシネマに「グッバイ、レーニン!」をはるばる見に行ったら、入場者が多すぎて追い返されたという悲運な方の書き込みあり。なんとも理不尽な話である。上映初日からすでに丸一ヶ月たっているじゃないか。今より混んでいたであろう初日直後からの一、二週間なんてどう対応していたんだ? いや待てよ、春休みに入ったから急に増えたのかも。しかしなあ、東京みたいな映画館なんてそれこそいくらでもあるような土地でこんなことされちゃ、かなわんな。まあ、東京と言えども映画の環境なんてこんなもんなのかね。

 恵比寿ガーデンシネマには三年前に一度入ったことがあるが、座席数は200あるかないかくらいの所で、実際そんなに広い所ではない。いかにも単館上映系のマイナー作の受け皿場である。だからちょっとのヒットでもうあっぷあっぷなのだろう。だがそれにしても、この映画にそれほど見に来る人がいるとは、正直驚きである。やはり私が草の根で布教に尽くしたお蔭か。まあそれは冗談として、Cutなどのおしゃれ系雑誌でも随分以前からクローズアップされていたし、この映画がすごい! でも上映前に特集が組まれたり、同じ雑誌の中で三留まゆみも連載中のイラストコラム、「だれよりもきみを偏愛す」でこの作品を取り上げたりしていたから、その辺の効果が出たという所だろう。何より主役が分かりやすい綺麗顔だったしな。

 夜中の12時前、妹から携帯に電話。
「面白かったよ。ありがとうございました」
 にやけた口調、げに腹立たしやっ。畜生、私に何か恨みでも山ほどあるんだろうが、ひどいわ、折角忘れかけていたのにっ。「はいはい」とだけ返事して即切る。

 Kと明日の「王の帰還」鑑賞について連絡。待ち合わせの時間を決める。まあ、こうして少しでも他のことを考えるとしよう。

 と、思っていたのに夜中の1時半少し過ぎにメールチェックをしていたら、妹からのものが届いている。文は今日のお礼に始まり、続けて「確認が遅くなったのは申し訳なかったけど、知らんかったんだで許してちょ」とのお詫び(許せるかっ、アホ!)、それから映画の感想がしたためてあった。曰く、ビル・マーレーはよかったし、ラストの後味もよかったけど、ひどいシーンも一杯、こんなもんがなんでゴールデングローブ賞やアカデミー賞獲れたのか不思議、東京に来てまで見るほどのもんじゃない、交通費使わなくて済んで正解、等々。

 ・・・いや、作品に見る甲斐があったとかなかったとかそういう問題じゃないんだ、妹よ。ソフィア・コッポラの映画がつまらないことくらい、百も二百も承知だよ。そもそもだな、「ダンサー・イン・ザ・ダーク」や「奇人たちの晩餐会」なんぞを本気で大傑作だと思っている悪趣味な君の感想なんぞ、あたしゃアテにできんよ(ま、『蜘蛛女のキス』をすすめてくれたのには感謝しているけどさ)。

 ・・・いやいや、もうどうにもならんことを考えるのはやめようぜ、自分。明日は「王の帰還」だ、「王の帰還」。




2004年03月22日(月) キャリー 特別編(DVD鑑賞)

 2時半頃、ポストを覗く。望みの郵便物はなし。

 「ロスト・イン・トランスレーション」の試写会は、見つけたもの全てに応募していた。勿論どこも東京での開催だし、ビル本人が挨拶に現れるわけでもない。だがそんなのどうでもいい。とにかく早く観たいのだ。この映画が東京で公開されるのはGW。劇場は渋谷シネマライズ。行ったことはないので劇場の規模など詳しいことは知らないが、ここは「イレイザー・ヘッド 完全版」を上映していた館である。恐らくミニシアター系だろう。こんな所でやるような映画となれば、名古屋での公開は早くても恐らく東京公開の一ヵ月後。待ち切れんわ。

 試写会の開催日は大体どこも17日前後か、23日前後なので、もし届くとしたら今日がほぼ最後の日なのだが、予想通りと言うか何と言うか、今日も梨のつぶてであった。まあ、結構話題になって人気も上がっていたから仕方がないか。妹や友人にも断りを入れて住所と名前を使わせてもらって申し込んだのだが、誰からも知らせがない辺り、これまた駄目だったようである。まあ、贅沢は言うまい。

 しょんぼりしつつ近所へお出かけ。雨が降っているせいか、真冬並みに寒かった。他の用事のついでにレンタル屋のGEOに行くと、ここ数日どこのレンタル屋へ行っても全在庫レンタル中だった「ロード・オブ・ザ・リング 二つの塔」のエクステッドエディションDVDが、一個だけあった。これでなんとか水曜日にKと「王の帰還」を楽しめそうである。

 帰宅後、二つの塔と一緒に借りた「キャリー 特別編」のDVDを見る。通常版のDVDは他のレンタル屋にもあったのだが、特別編はどこにもなかったので嬉しい。通常版にはない映像特典、スタッフ&キャストインタビューや、特撮解説などの制作秘話が楽しめる。しかし本編のクオリティに関してはちょっと期待外れだった。映像や音が通常版DVDと変わらないのだ。こういう古い作品で新たにスペシャルエディションが発売される場合って、大抵デジタルリマスターされるもんなんだけど。今まで、もしこの特別編がどこのレンタル屋にもなければ買っちゃおうかとすら思っていたのだが、実際に見て、こりゃ買わなくて正解だったとある意味ほっとしてしまった。

 でもまあ折角なので最後まで見る。初めてこの作品を鑑賞したのは、去年レンタル屋で借りた通常版のDVD。本日は二回目ということになる。こんなメジャーな作品をつい最近まで未見だったとわね。ま、映画マニアじゃないし、私。それにホラーって嫌いなんだよ。

 感想と言っても、私はとにかくシシー・スペイセクが好き、という人間なので、彼女に対するものしか浮かばない。「キャリー」は彼女の最初期の作品だが、彼女の演技・彼女の魅力・作品の質、がどれも完璧に揃っている。シシー・スペイセクの出演歴の中でも、これ以上に完璧なものはなかなか見つからない。

 「キャリー」の素晴らしさはまず何よりシシー・スペイセクの演技と、彼女の演技力を全開させるに足る人格を備えたキャリーというキャラクター、そしてその演技力を90分余りの中で完璧に活かしたブライアン・デ・パルマの演出力にある。同じクラスの女の子たちにいじめられている時のやるせない表情。先生に、「そんな顔をしないで、本当はかわいいんだから」と言われて笑ってみせた時の、守られていることの喜びと恥ずかしさを含んだ表情。どれも流れるように自然で、虚構も作為も感じさせない。

 ちなみにシシー・スペイセク自身は、テキサス州出身で、高校時代はチアリーダーをしており、キャリーとは正反対の典型的なアメリカンガールだった。もともとはミュージシャン志望で、そちらに進むはずだったのだが、レコード会社の世界に違和感を覚え、早々に身を引いた。その後、俳優をしている従兄弟のすすめで女優を目指すようになり、ニューヨークへ行き、そこでモデルをしながらアクターズ・スタジオに通った。それから数年後、この作品と運命的な出会いをしたのである。

 シシー・スペイセクの演技がリアルなのかと言えばそれは少し違う。人間が現にああいった顔をするかと言われれば、それはまた別の話である。シシー・スペイセクの演技は現実の生き写しではない。あれは一人一人の思いの中にある、心象としての自分の表情なのだ。だから見ている側は、それが残酷な計略に基づいたものであることを分かりつつも、生まれて初めてみんなの輪の中に入れてもらえたキャリーの喜びに満ちた有り様を見て、心底祝福せざるを得なくなる。

 真の演技は地でやっているように見えるもののことを言うのだが、それはまさに女優で言えばシシー・スペイセクの演技である(男優ならマイケル・ケイン)。

 そして、地味なシシー・スペイセクがこれほどまでに哀れで、かわいらしくて、恐ろしく見えるのは、勿論、ブライアン・デ・パルマの喜怒哀楽を突いた演出があってこそであるには違いない。ヒッチコックへの偏愛振りも作品の中に意味のある形で収められるパロディ・センスも凄い(しかし、キャリーのベイツ高校が『サイコ』のノーマン・ベイツから取ったものだったというのには、特別編の解説で初めて気づいたよ)。




2004年03月21日(日) 大須を行く

 そう言えば今日になって思い出したのだが、先月Mさんと会った時、「ピクルスを貰いに行くの(笑)?」と聞かれたことがあった。あの時は何のことだか分からんかったのだが、そうか、あれは「グッバイ、レーニン!」のピクルスのことだったんだな。てことは、東京でも初日にはあのプレゼントをやっていたということか。ううん、はたして東京ではどんなピクルスが配られていたものか。

 本日は9日に会ったのと同じ面々で大須へ。上前津駅に12時集合。今回は珍しく私が遅刻した(つっても5分ばかしだよ)。OSU301があるアーケードへ入り、万松寺(ばんしょうじ)の門と同じアーケードの一番端にあるラーメン屋、香蘭園で昼食。

 辺鄙な所にあるラーメン屋だが、この店がおいしいと最初に発見したのはT。彼女が以前、自分の彼氏と大須へ行った際、夕飯の店を探して歩き回っていたものの、安い店がなかなか見つからず、散々歩き回って疲れ果てていたところ、たまたまこの店が目についた。まあこの際なんでもいいや、と入ったらとっても旨かった。以降機会があるとは行っているのだそうだ。そんな話を聞いて、あとの我々が羨ましがった結果、こうして今日行くことになったのだった。

 お昼時ではあっても、やはり名古屋の、それもどちらかと言えばおばちゃん色の強い大須のこういう店なので、若者率が低いのは勿論、立って並んでいるような客もいない。汚くはないが全体的に汚い感じのする店で(まあそこが逆にいいんだが)、テーブルも全部で六、七席ほどしかない。典型的な町のラーメン屋である。さっさと座って注文を聞いてもらう。Tのすすめで私とKはとんこつラーメン、辛いもの好きのTは「からからラーメン」を頼む。その他に、みんなで食べようと餃子を一皿。

 やってきたとんこつラーメン、具は昔ながらのうずまきのあるナルト、メンマ、ネギ、それにチャーシュー二枚と実にシンプル。麺は好みのちぢれ麺で嬉しい。スープの方だが、味は旨いがちょっと塩辛さが強いのが難点。しかし飲むのを控えて、麺に絡んでいる分だけにすればちょうどいい。点数としては平均点以上の味と言えるだろう。餃子は普通。

 ごちそうさまして勘定をしてもらうと、「台北グルメツアーが当たる!」という抽選補助券を何枚かくれた。十枚で一回分らしい。Tが何枚か持っていたので、それと合わせてみたところ、十枚以上あったので、抽選場所のOSU301ビルの一階へ行く。抽選方法はスロットル。Kにやってもらったが残念ながら外れ。貰ったポケットティッシュはTに渡った。

 ビルの一階にある松屋コーヒーで輸入食材を見た後、アーケード一帯の古着屋さんや雑貨店をまわる。この辺りはいつの頃からか、ブラジル料理の店やらインド料理の店やらがあちこちにでき、そのせいかアーケードのどこでも嗅ぎ慣れないスパイスの匂いが時折漂ってくる。大須という町は戦前及び戦後のある時代までは名古屋で一番の繁華街だった。しかし時代が変わるにつれ、戦争の焼け跡に造られた広い道路と大きなビルのある栄や矢場町にそのお株を奪われた。アメ横などの電気店は一定の客をキープしていたが、町そのものは急激に活気をなくし、商売を畳んでしまう店も少なくなかった。すぐに畳んでしまうことはなくても、後継者がいない店も多かったに違いない。そうしてぽっかり開いた穴に、栄や矢場町などには出したくても出せないような類の店がぽつぽつと入り始めた。先述のようなマイナーなジャンルの料理店や、古着屋、オタク向けの玩具店、そしてオウム(ボカ〜ン)。現在の大須の雰囲気は、浅草と秋葉原と中野ブロードウェイをそれぞれ思いっきりスケール縮小して合体させたような感じだ。ちなみにオウムのパソコンショップがあった所は、現在では縁もゆかりもない香水屋に変わっている。

 あちこち寄る中、ミリタリー系のグッズと女の子向けアクセサリーを売っているお店に寄ると、レターセットとノートが半額になっていたので、便箋を二冊とノートを一冊買う。いや、オタクやっているとこういうのが必要な機会が多いんだよね(ボカ〜ン)。

 疲れたので、喫茶店で一息。が、チョコレートパフェが置いていない店で個人的にがっかり。代わりに抹茶ショコラなる聞き慣れないものを頼む。牛乳の底にチョコレートソースと抹茶ソースが沈んでいて、一番上に生クリームがのっていて、そこにさらにチョコレートソースがかかっているという代物。一個一個のパーツはおいしいんだが、組み合わせが悪い飲み物だった。店を出た後、二人に「××ちゃん、さっきのはハズレって感じだったね」とズバリ言われてさらにへこむ。

 その後もお店をいろいろ物色した後、夕飯はどうしようかと言うと、Kは用事があるので6時になったら帰るとのこと。夕飯は私とTの二人か。取り敢えずどこかの本屋かコンビニでグルメブックを立ち読みして、夕飯を食べる店を探すことにした。するとアーケードを出た所にちょうど本屋があった。そのまま入ろうとしたら、本屋の前にある広場で大道芸人が芸をやっているのが目に入り、三人とも思わず寄る。

 広場の真ん中ではまだ若そうな大道芸人が、まず口上のようなものを述べていた。なんとかの会だか、なんとかの組合だかの名がついた大道芸人の集団に入っています、とかいう自己紹介を一帯の見物衆にした後、開始。どうやらまだ新人らしく、「やってみますっ」とか「ではよろしくお願いしますっ」などエクスキューズが多い。言い訳終了後、開始。椅子の上に直径30センチほどのクッキーの缶を横向きに載せ、さらにその上に厚さ2センチほどのゴムか何かでできたボードを載せ、またまたその上に最初に載せたものと同じくらいの大きさの缶を載せる。そして最後に堅い板をその缶の上に載せ、十分バランスが整ったところで一番上に自分が乗って、さらにその場で火のついた金属製の松明をお手玉代わりにする。・・・というのが彼が見せたい芸らしいのだが、芸より何よりその危うげな足取りに目を奪われる。一回目はすぐにバランスを崩して失敗。失敗と言っても本当に落ちる前にある程度自分でやばいと思った時に飛び降りるので、ケガもせず、松明も持ったまま。これはこれですごい。そんな点を誉めるのもなんではあるが。

 二回目は成功。とは言ってもお手玉をしている際の彼は、とにかく緊張しきっている。それから一分ほどお手玉をやっていたが、やがてまたやばくなって飛び降りた。三人ともお金は投げずに、本屋へ入った。

 中に入るとさすが大須の本屋、普通の本屋に比べてエロやゲテの本の占有率が高いこと。おかげでグルメ関連の本が中々見つからなくて苦労した。Tはどうしても普段食べられないものが食べたいと、タイやベトナム料理の店ばかり探している。なんかこのままだととんでもない所に連れて行かれそうで恐いが、かと言って自分で一から探すのもめんどくさいのでTにお任せ。結局ベトナム料理の店に決まる。場所への案内は大須に慣れた私担当ということで、グルメブックに載っている地図を見て覚える。Tが、
「もし迷って行けなかったら、さっきのアーケードの中にあったトルコ料理の店に行こう! 鯖のサンドとか珍しいのがあるよ」
 などと言うので地図を二度確認した。鯖のサンドなんて嫌だ。

 その後三人でパソコン関連の書籍を扱っている本屋に行き、しばらく店内をうろうろした後、Kとお別れ。Tと例のベトナム料理店を目指して歩く。迷うこともなく10分ぐらい後には目的地に着いたのだが、日曜日の夕飯時だと言うのに店が暗い。ドアの所をよく見ると、日曜定休とある。ああ、このままではトルコ料理を食う羽目になってしまいそうではないか。

 が、Tはあっさり、
「しょうがないね。じゃ、301の中華街のどっかに入ろう」
 と言ってくれた。やれやれ。

 こうしてまた10分ほどかけて万松寺通の前まで戻り、OSU301へ。ここのビルは三階が中華街になっている。とはいえ、ビル自体それほど大きいわけでもないので、「街」と言うには大げさなのだが。二人共、じっくり中華街全体を覗き回って店を吟味するというようなこともせず、エレベーターから三件目くらいにある龍虎厨房に入る。何となく感じがよかったからというだけで入ったのだが、結果は大正解だった。炒飯と麻婆豆腐が旨い、と店の看板にあるのだが、それが偽りなしに旨かった。春巻き、炒飯、麻婆豆腐、を一人前ずつ頼んで小皿に取って食べたのだが、その中で特に麻婆豆腐が最高だった。その後、鳥の唐揚げマヨネーズソースがけを頼んだが、これは今一つ。デザートに杏仁豆腐キャラメルソースがけ、フルーツとタピオカ入りのココナッツミルクを頼み、これも小皿に分けて二人で食べた。飲み物を頼まなかったせいか、値段はそれほど行かず、二人分全部合わせて3600円弱で済んだ。これだけおいしくおなか一杯食べて二人合わせてこれでは、なんだか食い逃げしているみたいである。満足して店を出、金山駅までTと一緒に帰った。




2004年03月20日(土) グッバイ、レーニン!

 7時50分に起きるつもりが、眠気に負けて8時17分起き。駅に着いたら着いたでユリカを忘れたことに気がついたりと、まあ、つまづくこと。今池駅に着くとすでに9時43分。ピクルス以前に入場がやばい。

 なんとかぎりぎり間に合って受付で前売り券を切ってもらい、プレゼント(笑)を受け取る。中身は見ずに入口へ急ぐ。トイレに行ってから入りたかったが、諦めて扉の向こうへ。中ではまだ予告編の最中。人の入りは、初回とはいえ初日のせいか、中々の入り。と言っても200席あるかないかの広さだが。空いている席をなんとか見つけて座ったが、隣のおっさんが口臭のある人でちょっと参った。ったく、口臭のある人に限ってなんで口で息をするのかね。いや、口で息をするから口臭がするようになるんだが。つくづく、その人がまわりから嫌われる原因の中でも悪臭ってのは最強の絶対要素だよなあ。

 でもまあ、そんなこともどうでもよくなるくらいの素晴らしい作品だったな。と言うわけで感想。

 ある意味こんな予感はしていたが、なるほど、その通りだった。これはドイツ版の「トゥルーマン・ショー」であり、「モーレツ! オトナ帝国の逆襲」だ。なんか旧東ドイツの話らしい、ということで敬遠する向きもあるだろうが、これは全ての人間に通じる家族愛の物語である。確かに人々の口からは「自由」であるとか「共産主義」であるとかいった、こちらには馴染みの薄い言葉が発せられてはいるが、少なくとも作り手はどちらの側の思想にも傾倒していない。敢えて思想と呼べるものが作り手の中にあるとしたらそれは、生活というものに対する愛情とこだわりである。それは例えば、幼い頃に見たシャトルの打ち上げ映像であり、小さな子供番組であり、ピクルスの瓶のシールである。そして、主人公の母が棚の奥にしまいこんだものである。それに何の意味があるのか? 意味などないのだ。ではせめて愛していたのかと問われても、みんな苦笑いをするしかない。ただ、それは自分たちの全てだった。だから彼らは、そこより他へ行かなかったのだ。
 日毎振りかかるあまりにも不本意な現実に激しく怒りながらも、「ま、いいや」と笑えるだけのしぶとさ。これらが等しく表出されている。誠実な人間観なしには作れない映画である。全人民必見の名作。

 内容に関することだけでは寂しいので、視的な楽しみに関しても。主役のアレックスを演じているダニエル・ブリュール君がかわいい。ドイツ映画にしては珍しい正統派の美形である。じら太りしててアングルによっては時々辛いので、頑張って締めて欲しいね。それとアレックスの恋人であるララを演じたチュルパン・ハマートヴァちゃん。変わった名前だが、モスクワ生まれのタタール人なのだそうだ。魔法少女のようなきらきらの萌えフェイスで、そこにいるだけで目の保養(99年の「ルナ・パパ」にも出ていたそう。レンタル屋にあったらチェックしたいな)。綺麗なこのお二人さんの存在が、この映画を地味な街角物語ではなく、まっとうな娯楽にしてくれている。

 そして特筆すべきは、アレックスの母を演じたカトリーン・ザース。1956年東ドイツ生まれ。いかにもヨーロッパの女優らしい顔で、知的な顔立ちではあるがぱっちりとした美人ではない。しかしそれが物語と演出の力もあって、最後の方は切ないほどに綺麗な人に変わっている。この他、脇の脇を固める人たちの貧乏顔も、もちろん私的には大好物で、本当にいい二時間だった。

 エンドロールを見終わった後、受付でパンフレットを買う。さすが恵比寿ガーデンシネマでやっている映画のパンフレットだけあって装丁は凝っているし、中身も濃い(『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』とか『ザ・ロイヤル・テネンバウムズ』、近作だと『パンチ・ドランク・ラブ』とか『10ミニッツ・オールダー』なんかのパンフレットがそう)。ちなみにこれの装丁は、よくは知らないが、もしかしたらあっちの共産党員か何かの手帳を模したものなんだろうか。家に帰ったらまたこのパンフはじっくり読もう。

 で、肝心のピクルスだ。真空パックされた商品のオモテに堂々踊る文字は「フレッシュピクルス」、カタカナである(ボカ〜ン)。むう、明治屋どころかうちの近所のナフコでも売ってそうだ。ちなみに家に帰ってから、昨日の夕刊を出してきて確認したんだが、よーく見ると、小さく「提供:讃陽食品」とあるじゃないか。はたしてこのピクルスは讃陽食品製造。くっ、昨日の時点でこの「提供」の部分に気がついていれば。

 まあ気を取り直して。ピクルスや他の映画のチラシに混ざって、ハガキ大のコート紙だかアート紙だかに刷られた薄手のカードのようなものもあった。表には主人公の顔を、共産圏によくあるようなレーニンの胸像風に描いたイラストと宣伝コピーが、裏には、

☆グッバイ、レーニン!公開記念イベント☆
3月13日(土)よりパネル展&スタンプラリー実施!!

 などという文句が並んでいる。詳しくはこうある。

「今話題の長者町えびすビル、そのえびすビルPart1にある本屋さんLotusにて、『グッバイ、レーニン!』のパネルと一緒に、ドイツ関連の本や、雑貨をご紹介&販売致します。また、国際シネマとLotusの2店舗で、劇場招待券やLotusオリジナルグッズが当たるスタンプラリーを行います。映画の世界を存分に味わうことができる、お得なイベントです!!ぜひ、ご参加ください。」

 おお、神の啓示だ! チラシの下の方にはこんな意味不明なものも載っていた。

★「グッバイ、レーニン!」味の応援団★
ドイツ風地ビールやおいしい料理でドイツ気分満喫!
・ランドビアサーカス TEL:052−223−9191 http://www.landbeer.jp/circus.htm
本格ドイツ製法のおいしい自家製ハム・ソーセージの工房
・ケルン TEL:052−915−3929 http://www.koln.co.jp

 この二つの店は協賛か何かなのか? それにしても妄想がてらそのうち行ってみたいなあ。名古屋以外でもこういうのってやっているのかね。

 映画館を出ると、小雨。傘が必要なほどの降りではないが、栄駅から長者町へ歩いて行くには辛そうだ。取り敢えず今日の所は長者町の店に行くのは諦め、地下鉄に乗る。途中矢場町で降りてお昼を食べ、松坂屋の地下食品売り場でル・コルドン・ブルーのクラシックブレンドを一缶買い、帰宅。

 母に貸衣装のことを聞くと、今日は届かない、とか。どうやら弟が日にちを勘違いしていたらしく、本当は月曜日に届くはずのものなのだとか。

 母にプレゼントは貰えたの? と聞かれて思わず、
「かわいい瓶に入ったピクルスが貰えたよ」
 などとと答えてしまった。口に出した後、なに半端なウソついてんだーっとブルーな気持ちに。母の方は、何それと大笑い。もにょりつつ日記つけ。

 夕ご飯をさっさと食べた後は「ふたつのスピカ」。やはり最終回の一個前だからか、作画も気合いが入っている。が、しかし本日もやっぱり思ったほどの展開は見られず。まあ、もともとストーリーよりも人物の感情の移り変わりを描くことがメインの作品だから、それが悪いってことはないんだけど。来週は最終回だ。

 ホワイトハウス2を見終わってから、友人と連絡を取って明日の待ち合わせを決めた。その後、いしかわじゅんのHPを見て、劇画家の佐藤まさあきが死んだことを知る。いつ亡くなったのか詳しく知ろうと思ってヤフージャパンに行くと、トピックスに「いかりや長介 死去」の報。今日の午後三時頃に死んだらしい。先日15日の神山卓三の死といい、へこむ。佐藤まさあきの方の死亡日は結局分からず。




2004年03月19日(金) ハリウッドにくちづけ

 朝昼兼用でトースト二枚と、残りの味噌汁を食べた後、本屋へ。ほとんどの映画雑誌の新しい月の号が発売されている。どこもアカデミー賞の写真一色。最初に映画秘宝を立ち読み。ファビュラス・バーカー・ボーイズの映画欠席裁判、今月はなんと「ロスト・イン・トランスレーション」。ひええ。この二人って言ったらソフィア・コッポラ大嫌いで有名じゃん。いや、日本の映画ファンでソフィア・コッポラを嫌いじゃない奴なんての自体いないけどさ。あああ、でもそのとばっちりで、ビルまで悪く言われたらかなわんよ。それもこの二人に。どんな悪口を書かれているのかしらと、ネタバレになりそうな所を避けて薄目で読む。その後、「この映画がすごい!」にビルのインタビューが一ページ載っていたので買う。ちなみに先日8日のこの日記でも触れていた、ビルが式で荒れていた話もちょこっとだけ載っていた。

 木曜日にGEOで借りてきたビデオのうち一本、「ハリウッドにくちづけ」を見る。スターウォーズのレイア姫、キャリー・フィッシャーの自伝をもとに、「卒業」のマイク・ニコルズが監督した作品で、アメリカでは90年に公開されたものである。

 キャリー・フィッシャーと言えばやはり、一部では有名な汚れた私生活。自伝とくるなら当然、ジョン・ベルーシを始めとする悪いお薬のお仲間たちとのクレイジーな日々だとか、ダン・エイクロイドとつきあっていた頃の話とか、ポール・サイモンとのたった数ヶ月間の結婚生活のことだとかが出てこないかなー、と思ってしまうのも仕方のないこと。だがやっぱりと言うか何と言うか、こういう願望は叶えられた試しがない。案の定、話の時代は80年代後半のみで、屈折を抱えた三十路女の更正物語に終始していた。ちっ。

 と、悪口ばかり言ってしまうが、映画自体はさすが監督が監督なだけに、キャリー・フィッシャー(この映画での名前はスザンヌ)を始めとする登場人物の感情描写は実に丁寧で、映画としては実にまともな作り。まあ、そこが物足りないと言えば物足りないんだが、物語のテーマを母と子の確執と和解という部分に絞ったのはある意味正解。その点に関して、ドラッグで病院に入っていたキャリー・フィッシャーがやがて退院し、そのお祝いに彼女の母が自宅で開いたパーティーの場面が特にいい。

 キャリー・フィッシャーの母、デビー・レイノルズは「雨に唄えば」のキャシー役でお馴染みのミュージカル・スターだが、夫でありキャリーの父親であるエディー・フィッシャーは、エリザベス・テイラーと不倫した挙句、キャリーが三歳の時にデビー・レイノルズと離婚、リズ・テイラーと再婚してしまった(ま、こいつらもすぐ別れたけど)。以来、デビー・レイノルズは酒浸りになり、表舞台からも消えてしまった。夫に捨てられたデビー・レイノルズの感情は娘であるキャリーに注がれ、キャリーは母の溺愛を一身に受けて育つのであるが、何かにつけて酒と過去の栄光にすがる母親を見て育ったキャリーは、傷心の母を理解しつつも、軽蔑した。そんなキャリーもやがて両親のように芸能界に入った。母を反面教師にしてそこから真面目にキャリアを磨けばよかったのだが、そうはならなかった。アルコール類には手を染めなかったものの、悪い仲間(含ジョン・ベルーシ)とつきあう内にドラッグの味を覚え、やがて重度の中毒者となり、仕事も私生活も荒んでいった。彼女の父親、エディ・フィッシャーがそうだったように。

 そしてある日とうとう、昏睡状態で病院へ運ばれ、そこから更正施設送りとなる。すでにスターウォーズ三部作も過去のものとなっていた頃のことであった。

 デビー・レイノルズがキャリーの退院祝いのパーティーを開いたのは、もちろん娘かわいさゆえのものであるには違いないのだが、そこに呼ばれるのはデビー・レイノルズの馴染みばかりである。そうなれば当然、キャリーのためのパーティーであっても実質的主役は母となる。キャリーは母の親心を信じながらも、結局どこでも自分はダシにされているだけ、としか思えない。そんな娘の気持ちを母親は知る由もない。自覚のない母親をキャリーもまた責められない。そしてこの母子とは別に、パーティーで母に声援を送る面々がまた何とも言えない。誰もがいろんな意味ですでに峠を過ぎた感じの人ばかりなのだ。

 今やこの二人を見つめているのはこんな奴らばかりなのさ、と言わんばかりの意地悪な視線で作られた場面。見ているこちらには気持ちいい。

 が、そんな似た者母子もやがて互いの弱さを知り、それを受け入れて再生していく。陰影をきちんと描いているだけに、ラストも感動的である。小振りながら良作である。

 しかし見過ごせない欠点がある。主人公をメリル・ストリープが演じている点だ。どう考えてもミスキャストである。確かに80年代後半のキャリー・フィッシャーは、劇中でも裏方に陰口を叩かれている場面の通り、体はすでに崩れていたが、だからってメリル・ストリープを宛がうのはいくらなんでもひどいだろ。ひょっとして実物に対する引き立て役か? と邪推したくなる。メリル・ストリープ自身は相変わらずの熱演振りだが、映画が感動的な方向に行けば行くほど、彼女の余分に張った顎と肩が目について、今一つ気持ちが乗れなかった。一方でデビー・レイノルズ役のシャーリー・マクレーンは違和感もなく、いやそれどころではないほどの素晴らしい演技を見せてくれている。

 でもやっぱり、最後にひとこと。キャリー・フィッシャーはこんないい奴じゃないよな、絶対(ボカ〜ン)

 不定期放映のアクターズ・スタジオ・インタビュー、今日はデニス・クエイド。個人的には兄貴のランディ・クエイドをやって欲しいが。まあちょっとは兄貴の話もするだろうし、「ライトスタッフ」の時の話があったら聞きたいなあ、と思っていたので見る。

 クエイド兄弟って、てっきりユダヤ系かと思っていたのだが、アイルランド系三世とのこと。1903年に祖父がアメリカにやってきて、テキサス州ヒューストンに居を構えたのが始まりなのだそうだ。デニス・クエイド曰く、「別にそこが目当てだったわけじゃなくて、単にそこまで来て馬車の車輪が壊れたからそこに家を建てたんだ(笑)」。少年期の兄との仲については、「どちらがマッシュポテトを多く食べたか」以外ではとってもよかったらしく、12年間二人で同じ部屋だったそうだ。しかし九歳の時に両親が離婚して父親と別れたりと、まあそこはいろいろである。

 ちょっと笑えたのがニューヨークの舞台で兄弟共演した際の話。
「『ジョーズ3』の後、仕事をすることよりも自分の演技を深めたいと思うようになった。それで舞台に出ようと思ったんだ。憎み合う兄弟の話だったんだけど、すっかり役に入っちゃって、最後の頃には本気で兄を憎むようになってしまってね。もっとも、舞台が終わってからは段々抜けて、そのうち二人で通りをスキップして歩くようにもなったよ(笑)」
 想像すると萌えるね。兄弟二人スキップ。

番組が進む中、タイミングよく「ハリウッドにくちづけ」の話が出た。いたっけ? とか思ったが、そう言えば主人公をたらし込むプロデューサーを演じていたわ。司会のジェームス・リプトンからの、
「撮影中に『酔いが醒めるような体験』をしたと語っていたけど?」
 という質問にデニス・クエイドは、当時自分がコカイン中毒であったことを語っていた。70年からずっとやっていて、仕事に行くとはその人の目つきから同類を嗅ぎつけてそいつらと散々やっていたらしい(だからP・J・ソールズと離婚したのか?)。それにしても、「ハリウッドにくちづけ」はヤク中の更正物語なのに。もちろん今ではすっかり足をお洗いになったそうである。

 終わった後、夕刊を読む。金曜日の夕刊ということもあって、映画の広告が目立つ。上映中の「ドッグヴィル」、「ロード・オブ・ザ・リング 王の帰還」、「クイール」と共に、明日の土曜日から上映される「グッバイ、レーニン!」の広告もあった。東京から遅れること一ヶ月、明日からようやくここ名古屋でも上映されるのだ。

 その広告を眺めていると、「初日先着プレゼント!」という見出しがあり、さらに、「明日3/20(土)のみ、『グッバイ、レーニン!』ピクルスを、先着50名様にプレゼント!」と書かれてあった。くっだらねーと思いつつ、ぱさりと新聞を閉じたが、その途端、頭の中にふつふつとたわけた欲望が・・・。まあ、どうせ明治屋で売っているようなただの瓶詰めピクルスだろうがね。うーん、初回は9時45分からかあ・・・。ああ、せっかく前売り券を買ってあるんだから、平日の昼過ぎとかに行きたかったのに。それに明日の昼頃、弟が卒業式で着る服が貸衣装屋から届くんだが、それを私が受け取るように頼まれているんだよな。困ったなあ(困るなよ)。

 母に、
「ごめん、明日ちょっとお昼まで出かけたいんだけど。映画館で先着のプレゼントがあってね・・・」
 と言うと、明日どっちみち仕事を家に持ってきてやろうかと思っていたから、衣装はこっちで受け取っておくよ、とのお返事。
「へー、いいねえ。中々ないじゃない、そういうの」
 ・・・その先着プレゼントがピクルスとは言えん。ああもう自分が嫌。ちきしょー、こんなことであたしの心をかき乱しやがって。逆恨みしてやる、今池国際シネマ。

 同じ新聞のテレビ欄には実に悲しい知らせも。ダーマ&グレッグが(終)とある。最終回といっても再放送であるし、ちょっと尻切れトンボな終わり方が気に入っていなかったので、この晩は結局見ずに寝た。




2004年03月14日(日) 忘れていたよシカゴのジョンを

 もうすでに日付上では11日となっていた10日の丑三つ時、私は(はっ! 大事なことを忘れていた!)、と青ざめた。去る8日はジョン・ベルーシの命日だったじゃないか。アカデミー賞でいっぱいいっぱいで、すっかり頭から飛んでたよ。ほんの先々週の今頃、よっぽどヴィンヤード島行こうかって考えていたというのに、薄情な。ジョンはジョンでもジョン・キャンディの方は忘れんかったくせに。さらに、1月24日の誕生日もすっかり忘れていましたよ。去年のダンの誕生日は、原稿中だから脳内でだけだったとは言え、ちゃんとお祝いしたくせに。なんかもうファンとして駄目。ごめん、ジョン。明日チョコドーナッツ買ってくるよ。ついでに、9日に届いたネイバーズのLDを見ようかな。いや、それはやめておこう・・・。

 だが結局、11日に起きた時にはそのことも忘れ、それからさらに今日14日の深夜、ジョンの命日は8日じゃなくて5日だったことを思い出す。バカバカッ。

 自分でも情けない気持ちで一杯になりながら、5日ってこの日何があっただろう、と5日書いた日記を読み返す。・・・何やら邪悪な運命を感じる。

 しかし今日が妙に暖かかったことを振り返ってみても、今はまさに季節の変わり目なのだな。ジョンが行きずりの女とスピードボールなんかした挙句逝ってしまったのは、もちろん本人の不徳の至りだが、それとはまた別に、季節の変わり目でなおかつ春先という、いかにも人の心に魔が差しやすい時期であったからでもあるまいか。ああそれにしても、生きてりゃ55歳か・・・。

 寝る前にアマゾンでいろいろ検索していたら、なんとジョン・ベルーシ幻の映画デビュー作「ゴーイング・サウス」のDVDが4月23日発売されるというのを知って驚く。日本では、上映はおろかビデオリリースすらされていなかったので、これが正真証明、本邦初ソフト化だ。ま、でもここでのジョンはほんのちょい役だし、この作品がこれまで幻だったのは、つまらないからに決まっている。レンタル屋で在庫されなければ、まあ買うけど。




2004年03月13日(土) 日本のタブーが破られた日

 昨夜からなんかごちゃごちゃやっている間に徹夜。鏡を見るのが苦痛なほどひどい顔。今日一日外出する予定もないのにべたべたと化粧をする。

 アピタのモンタボーで買ってきたおいしいイギリス食パンをトーストにして齧りながらニュースを見ていると、先日スペインで起きた列車爆破テロのことをやっていた。犯行はETA(バスク祖国と自由)によるものかとか、アルカイダが関わっているか、とか言っていた(のち14日にモロッコ人ら五人が逮捕された)。しかしテロどうこうより土曜の朝にコメンテーターらの口からエタ、エタと連発されていることの方がよほど大事件である。ああ徹夜明けの土曜の朝、なんと真っ黒なすがすがしさを与えてくれることか。もう顔がニヤけっ放しだ。

 せっかく早く起きたことだし、と「ふたつのスピカ」をリアルタイムで鑑賞。の、前についでと「プラネテス」も見る。ちょうどハキムが木星往還計画を阻止しようと暗躍している頃の話をやっていたんだが、やはりこのアニメの中身は私が足を洗った頃から何一つ変わっていなかった。むしろ悪くなったような気さえする。出だしから驚異的だった作画のクオリティがここに到ってもなお落ちていないのはさすがだが、それだけに人物描写の不味さがやり切れない。主役のハチマキは相変わらずサルだし、ヒロインの田名部もこれまた相も変わらずネットスタアになれること間違いなしのヤな女のまんま(ボカ〜ン)。念のため言っておくが、原作では断じてこんなキャラじゃないのだ。ああ、見た私がバカだった。おまけにこの後ビデオの予約操作でとちってしまって、ふたつのスピカは頭が切れちゃうし(まあOPだけで済んで本編は無事だったけど)。とほほ。

 そう言えばこの回のプラにはロックスミスもちょこっと出てきていた。声はテレビで聞いていた時は銀河万丈かと思ったのだが、テロップによれば石塚運昇。ちなみに田名部の声は雪乃五月。何やら邪悪な運命を感じる。

 ふたつのスピカの方は、今回話の進展がほとんどなくて驚いた。おいおい、20話で終わる話の18話だというのに大丈夫か。




2004年03月11日(木) ソフィア・コッポラ来日、していた。アメリカン・パイ(DVD鑑賞)

 中日スポーツの芸能欄にソフィア・コッポラ来日の報あり。なんでも昨日、東京でPRも兼ねた記者会見を開いたのだそうだ。へえ、来日するなんて知らなかったな。ああ、でもよかったソフィアだけで。これがビル・マーレーも一緒だったら、こんな機会を知らずにいたなんてこと、悔しくて発狂するよ。ま、でもそもそもビルが作品のために来日するなんて、これに限らず後にも先にも有り得ないだろう。よく覚えていないけど、ゴーストバスターズの時も来てなかったような気がするし。

 ちなみに、同じ欄の隣のページに「来年1月1日 酒鬼薔薇 社会復帰」という見出しがあった。「男性(21)」というのに時の流れを感じた。

 GEOで「ロード・オブ・ザ・リング 二つの塔」のエクステッドエディションを探すが、通常版も含めて相変わらず全部レンタル中。代わりに「アメリカン・パイ」、「アメリカン・サマーストーリー アメリカン・パイ2」のDVDと、「ノスフェラトゥ」のビデオを借りる。日頃ユージーン・レヴィ好き好きゆうてる割には、近年の代表作である「アメリカン・パイ」シリーズをつい最近まで知らずにいたのであった。「ノスフェラトゥ」はずーっと昔から見たかったんだけど、TUTAYA二件ともレンタル在庫なしだったので、今回念願の初鑑賞である。

 アメリカン・パイの一作目の方は帰宅後即再生。で。・・・うーん、困った。面白過ぎて感想が書けないっ。イカ臭いギャグ満載の青春コメディの大傑作としか言いようがないや。

 男の子たちのバカ騒ぎを描いたこの手のコメディと言うと、真っ先にアニマル・ハウスが思い浮かぶが、60年代の大学生と違って、アメリカン・パイは現代の高校生たちのお話なので、やはり女の子率と家族率が高くなっている。基本的にはハッピーな味の作品だが、とにかく下ネタだらけで、ジョン・ヒューズの青春コメディのような清らかさはかけらもない。にも拘わらず、エンディングロールが流れる頃には、ジョン・ヒューズやロン・ハワードの作品を見た後のような気持ちよさがある。下品なんだけど、下品なりに下品なまま綺麗に終わる、なんて話が作れちゃうなんて、改めてアメリカ人の娯楽レベルの高さを思わずにはいられない。

 主役を取り巻く女の子たちはみんなかわいいし、かわいい子じゃなくても、「ああいるよね、こういう子」ってのとかがいろいろいて、どの子も面白く場をさらってくれる。主人公である男の子の父親を演じているユージーン・レヴィは想像以上の名脇役ぶりで、もう感動。ますます好きになった。パート3の「アメリカン・ウェディング」(原題)も早く見たい!




2004年03月09日(火) 歌三昧、美食三昧

 先日、6日だったか7日だったかの深夜に大学時代の友人Tから、「火曜日が代休になったもんだから、二人で日帰り旅行かカラオケでもしないか」との連絡があった。即、カラオケと返事した。友人たちと遠出と言えば、どうせ同人イベント絡みばかりなんだから、一日とは言え旅行らしい旅行をするべく、この際使えばいいものを、というものだが。本当、情緒がないなあ、我ながら。

 学生時代、友人たちも私もカラオケは大好きだった。学校の近くに三、四人で行けばまあまあ割安になるカラオケボックスがあって、暇さえあればそこに行っていた。みんな上手かったけど、Tは中学か高校の頃に合唱部に入っていただけあって声量もあり、特に上手かった。加えて、私とTの共通の友人であるS氏宅には通信カラオケがあり、これがまた私とTのカラオケ率を否応なく高めた。しかしそんな歌好きどもも社会人となってカラオケに行く機会はめっきり減り、忙しさから新しい歌を知る機会も減ると、それにつれてか行く気もなくし、例えいくらかの暇があっても他のこと――サイトの更新、萌え仲間とのチャットやオフ、同人誌原稿の執筆等――に費やすようになったのであった。・・・んだが、どういうわけかTがカラオケと言い出したので、すっかり火がついてなんだかとっても行きたくなっちゃったのであった。

 10時50分に地下鉄栄駅の一番出口前に集合するはずだったが、10時半少し前にTからメールがあり、それによると私に渡さなければならないものが出かける直前に見当たらなくなってしまった、とか。それならということで、11時半集合に変更。こっちはゆっくり支度して、おまけにメールチェックまでして家を出る。

 お互いそのままちょうど11時半に会う。Tが言うには、「Kさん(やっぱり同じ大学の友達。失業中)の携帯に電話したら、2時頃来るってさ」とのこと。じゃ、今からその時間まで二人で歌っていよーぜと、Tが栄で見つけたという、新しいカラオケ屋に二人で向かった。

 私が、
「なんか久し振りに繁華街に出たって感じだよ。綺麗な娘さんがいっぱいで、いい目の保養だな〜って思うわあ。ウチの近所なんておばちゃんばっかりだからさあ」
 と言うとTは、
「もう××っちゃんってば、久し振りに外に出たひきこもりの人みたいにっ」
と、無職のボンクラに対する世間の代表のような目で私を見た。だが、ややあってから、
「まあでもそうだねえ、私も仕事柄、田舎町でじーさんばーさんの相手ばっかりしてるから、今日はなんか都会っていうか繁華街に来ちゃったって感じだよ。ほんと、かわいい若い子がいっぱいだねえーっ。春休みだから、学生っぽい子も結構見かけるし」

 そうして二人とも顔に春めいた笑いを浮かべながら、店に入った。もう大学生や、中学・高校の三年生は春休みに入っているとは言え、やはり平日だけあって順番待ちをしている人もなく、カウンター前にも私たち以外には、女子大生っぽい二人がドリンクの注文をしているだけだった。カウンターのお姉さんがやけにフレンドリーな人で、「今日はとってもあったかいですねえ」とかなんとかにこにこ顔でこちらに話しかけてくる。機種は何がありますか、と私が聞くと、
「ええっ、そうですねえっ、いろいろございますが、やっぱりジョイサウンドが一番曲数も多くておすすめですっ」
 と、やっぱりスマイルフルに答えてくれる。が、アンチオタクに囲まれていた時代が長かったせいか、(なーんかこのお姉さん私らがオタクだってことを見透かしてアニソン一杯のジョイサウンドをわざわざすすめているのかっ)、と意味もなくドキドキしてしまう私であった。とった部屋はもちろん、ジョイサウンド。

 部屋の中に入ると、Tに真っ先に釘を刺された。
「店の人にドリンク持ってこられるから、初めのうちは普通の歌入れてね」
 ドリンクが届けられた後、Tの方は光GENJIと南野陽子の歌を入れまくり、私はアニソンと中島みゆきを入れまくった。その他にもいろいろ、たっぷり二時間半歌ったが(はっ、『みえるだろうバイストンウェル』を歌い忘れたっ)、自分のも含めて普通の歌が大分混じっていたせいか、他の集まりなどで、アニソンオンリーになった場合のと比べると、曲数自体は少ないのでなんだか時間が短く感じた。でもこれだけ歌って、飲み物とポテトも頼んで合計1590円なんだから、とてつもなく安いなあ。

 2時にさっきTと待ち合わせをした一番出口でKと会うはずだったが、メールが入って20分遅れるとのこと。今日の彼女らに限らず、私の学生時代の友人は遅刻魔ばかりなので、いちいち驚かない(私は滅多に遅れないけど)。

 結局Kは30分遅れで到着。三人で栄のオアシス21(一昨年の10月にできた栄のスポット)の中にあるカフェでケーキとお茶。話題は自然と旅行の話になったのだが、何を思ったかKが、そのうち三人でスカイダイビングをしに行きたいなどと言い出す。私もTも、そんな危なくて恐いもの誰がやるか、と強く却下。するとKは私の方を見て言った。
「ええっ、いいじゃん、××ちゃん。ねーねー、サイボーグ009の最終回の『どこ落ち』がリアルでできるんだよ? ・・・あ、今××ちゃん目が泳いだっ。ちょっと考えたでしょうっ、ふふふっ」
 くそっ。てゆかそれ以前に此奴いつの間に「どこ落ち」などという特殊な単語を覚えたのか。私は一回もそんなこと言ってないのに。

 それから映画やらラーメン屋、ネットの話やらをして三時間ほど過ごす。映画の話の最中、TもKも「ロード・オブ・ザ・リング 王の帰還」をやたらと誉めていて、前の二本も含めて未見である私もなんだか見てみたくなってしまった。ネットの映画好きの間では素晴らしかったという感想の方が圧倒的に多かったし、原作ファンでも誉めている人が目立つ。でも断固否定っていう人もそれなりにいるしなあ。面白いなら見たいけど、原作読んでないからなあ。でもまあ、ピーター・ジャクソンは「乙女の祈り」が好きだったので、その点興味はある(ゾンビ映画『ブレインデッド』等は未見)。今度レンタル屋でエクステッドエディションのDVDを借りてきて、王の帰還も見に行こうかな。

 そんなことより、こんな世界的に有名な作品の映画を原作も読まずに見に行くなんて、そんなのいいのかって感じだが、原作読まなきゃ面白くないのなら、映画として駄目ってことだから別にいい。続編ものなら前の話まではちゃんと見ておかなきゃいけないと思うが。

 カフェを出た後、「せっかく栄だしっ」と、とらの穴とまんだらけへ同人誌を漁りに行った。二つとも制覇し終わった頃にはお腹もすいてきたので、そのまま夕飯を食べに行こうという感じになったのだが、三人共久し振りの栄のせいか、行く先が定まらず、しばらくは久屋大通りから栄までとぼとぼ歩く。結局、昔私がホシさんと行った大根料理の店、「大根屋」に入った。

 店に入ると、一階は満杯に近い様子。接待っぽい人たちが多い。靴が脱げる二階席に案内してもらって座る。居酒屋系の店であるにも拘わらず、全員お腹がすいていたので、ドリンクもそこそこにひたすら食べっ放し。普通なら最後の方に頼むご飯ものも、おかず類と同時にいただく。それも焼き飯だのおにぎりだのではなく、普通の白いご飯。本当に居酒屋らしくない注文の仕方だ。随分食べたが、ここは全体的にあっさり味なので、たっぷり食べてもお腹にもたれないのが嬉しい。豚肉のとろとろ煮とか、ぶり大根とか、大抵の居酒屋ならぎとぎとなものが出てきそうなところだが、ここのものは油分がかなり切られている。鳥の唐揚げも頼んだんだが、添えられていた大根おろしのたれがまた旨くて、このたれを摘むだけでご飯が入った。Kなんて、鳥インフルエンザが恐いから今日も鳥と卵は食べないなどと言っていたくせに、たれのせいもあって二個も食べていた。なんてことを覚えている私もやらしいよな。

 爆笑オンエアバトルが面白い、とかいう話をしながら散々食べて10時頃に店を出、地下鉄で金山駅まで一緒に帰った。今度はラーメン食べに行こう、と約束してお別れした。

 帰宅後、日記の行間を今のよりちょっと緩めに設定し直す。イオンをイーオンって書いちゃっているのも直しとこうかと思ったが、眠いので後日にまわすことにする(ご指摘ありがとう、440さん)。誤表記と言えば私は、WOWOWをWOWWOWと間違えて覚えていて、ばっちりそう書いていたな。ふう。ま、取り敢えずあれもこれも、今度更新する時まとめて直しておこう。こういう風に大っぴらに間違えればもう二度と同じ事はしない・・・ようであって欲しい。




2004年03月08日(月) プラネテス第4巻、アカデミー賞授賞式@BS−2

 アマゾンを覗いていたら、プラネテスの4巻がすでに発売されていることを知り、近所の本屋へ行く。何せ小さい本屋なのでモーニングの単行本なんか置いてあるかどうか心配だったが、辛うじて一冊だけ平積みされてあった。アカデミー賞が始まる前にきっちり読んでしまおうと、帰宅後早速開封。

 プラネテスを知ったのはアニメが先だったが、そのアニメの描写の一部が不愉快で、そのうち見るのをやめてしまった。アニメを見ていた頃に原作の方を読んでみたら、アニメよりずっとよかったので、今ではすっかり原作のファンである。

 プラネテスは宇宙で働く人々が登場する群像ドラマである。宇宙が好きで好きで、その夢に取り憑き取り憑かれてしまった人、宇宙に届かない国に生まれてしまった人、宇宙でプロの仕事を果たそうとしながらも会社や国家の思惑に阻まれてしまうばかりの人、そしてそんな彼ら彼女らを地上という宇宙空間とはまた別の、それでいてここもまた紛れもない宇宙の一部である場所に根を張りながら見守る人々を描いた作品である。エロもロマンスも宿命の何たらも出てこないのでガキには単なる地味な話だが、どこを切ってもこれは、大人の愛の物語である。・・・つーかこの「大人の愛」って部分がアニメでは全っ部ガキの痴情にされちゃったんだよ。ああむかつく。

 ちなみに私がお気に入りのキャラは因業な宇宙船設計士、ウェルナー・ロックスミスだ。自らの気違いにいとも自覚的な所が私の好みだ。4巻は彼がほとんど裏の主役になっていて嬉しい。彼の台詞もまたいい。
「君の愛した人は グスコーブドリだったんだよ 君のその愛が 彼の心をとらえた事などないのだよ」

 この巻の最後の話は、少し前に週刊モーニングでたまたま立ち読みした回だった。あの時はラストページに「しばらく休載します」と書いてあり、今この単行本の帯には「大喝采の一部完!!」とある。できればまたキャラを変えてもいいから、宇宙に関わる人々の話を描いて欲しいなあ。

 さてアカデミー賞。総集編の時間は約二時間半ということで、この間のGGAの総集編と時間はほぼ同じ。なら、GGAを録画したテープがやっぱり二時間半分残っているのでそれをセットしたのだが、番組がスタートした時点で「やっぱ最後の五分とかで切れちゃったら嫌だしっ」と、新しいテープと入れ替えた。見る前から慌しい。最初の30秒ぐらいが切れちゃったが、ただの導入部だったから、まあいいや。

 BS−2の方にもこの間のムービープラスや、WOWOWと同じく、レッドカーペットに到着したセレブへのインタビュー場面もやってくれている。

 それらを適当に見ていると、いきなり母から電話。お父さんは外で食べてくるし、こっちも仕事が終わらないから先に夕ごはんを食べててくれ、とのこと。ま、本編ほど集中して見る必要もないので、ちょうどいいからこの間に夕ごはんを食べちゃおう。この間家族で食事しに行った時にお土産で貰ってきたハンバーグと、今朝の残りご飯をレンジであっためて食べる。

 こっちのレッドカーペットでは誰がレポーターをしているのかな、と思っていたら二人のレポーターのうち一人が、嬉しいことにロジャー・エバート(もう一人の人は知らない)。おかげでその辺のレポーターとは一味違う、突っ込んだ質問をしてくれていた。特によかったのは渡辺謙への質問。
「ラストサムライの結末なんだけど、(ネタバレ)あれは二人共死んだ方がよかったと思わない?
 おおっ、あの映画を見た人間なら誰もが今一つ納得できなかった点を見事突いてくれている。さすが! しかし肝心の謙は質問を上手く聞き取れなかったみたいで、「あの映画とトムにはとても感謝しています」などとすれ違いなことを答えていた。それを聞いたロジャー・エバートもこりゃアカンと思ったみたいで、「サンキュー」と言って、そのまんま流してしまった。残念。

 それからしばらく、ビル映んないかなーと思いながら画面を待っていたら、見事入ってきました!
「やあビル。受賞したらスピーチで何を喋るんだい?」
「金払わなきゃ教えてやんないよ」
「(ポケットからくしゃくしゃの札を一枚取り出して)あいにく今、20ドルしか持っていない」
「(自分のポケットに手ぇ突っ込んで)釣りをやろう」
 文章だと今いち雰囲気が伝わりませんが、レポーターの一人とこんなことを言い合っておりましたよ。その後ロジャー・エバートが「主演男優賞は君が獲る」とビルに言ってくれました。ううう、ロジャー・エバートがそう言ってくれたのなら、もう今年はビルであったと脳内加工できるよ(涙)。

 ちなみにWOWOWのレッドカーペットレポートでもビルはばっちり映っていましたよ。もっとも例によって同時吹替えなんですが。あれ、初めて見たんだけど、ひっどいなあ。Sさんもその辺はぶーぶー文句垂れていたけど、無理ないわ。エキサイト翻訳よりあてにならん。E!の方もけっこうトチってたけど、WOWOWよりは聞けます。音声は原語のみにして、何言っているか想像しながら見ていた方がいいくらいかも。

 ただ、このWOWOWのレッドカーペットでは貴重なことに(?)、ビルの奥さんもちょっと喋っていたんだよな。レポーターがビルは痩せた痩せないって話をしたら、奥さんがビルの腹をつかんで、「もうウチの人ったらこんなにお腹出ちゃって、アラ、だけどこれでも少しは引っ込んだのよ、ほら」と、旦那のカニ腹(by『バクテリア・ウォーズ』)をばんばんと叩いておりました。なかなかの人ですね、この奥さん。顔恐いけど。ま、こういう人でなけりゃこんな情緒不安定な旦那の嫁は務まらんわな(余計なお世話)。

 レッドカーペットでの模様が一時間近く流れた後、いよいよ本番。オープニングのムービーは、ビリー・クリスタルが今年の候補作に合成で乱入してパロりまくった爆笑作品。上映中の作品をビリー・クリスタルが違法撮影したり、帆船のてっぺんに縛り付けられたビリー・クリスタルがラッセル・クロウに向かって「僕は君に票を入れたんだ、本当だってば!」と言って命乞いしたり。もうこれを字幕つきで見られただけでもBS−2の価値はある。

 ムービーが終わって会場の舞台に登場してからがまた面白くって、名作のテーマに合わせてビリー・クリスタルが一人替え歌ミュージカルをやってくれたのだ。
「ロード・オブ・ザ・リング♪三時間半の超大作♪この間ダウンロードしたら一晩中かかっちゃった♪」
「ミスティック・リバー♪とってもとっても陰惨なおはなし♪でもショーン・ペンに言わせれば『心温まる話』♪」
「ビル・マーレー♪チャーリーズエンジェルは忘れてあげよう♪」
 一通り笑った後は順番に各賞が決まっていき、普通に終わった。総集編になくて残念だったのは、以下の場面。

■合間の芸人たちの掛け合い・・・ジャック・ブラックが見たかった。あと、オーウェン・ウィルソンとベン・スティラーの掛け合いも。これは同時通訳版じゃ寒いよ、字幕で見たかったよう(涙)。

■みんなのうた・・・歌曲賞の候補作はコールド・マウンテン(スティングかっこえええっ)も指輪もやってくれたし、あともう一つアニメの主題歌もやってくれたんだけど、なんでよりによってこれをカットするかな。ああユージーン・レヴィがああああぁ。WOWOW版の方をまだ見ていないけど、やっぱり綺麗な映像と音と、そして字幕で見たかったよ。

■主演男優賞終了直後のビリー・クリスタルの台詞・・・ショーン・ペンもプレゼンテーターのニコール・キッドマンも壇上から去った後、席で座っているビル・マーレーに向かって、この司会者様は舞台からこう言ったのだ。
“Bill, don’t go,don’t go.It’s OK,we love you!”
 や、別に画面見る限りじゃビルは別に出て行こうとはしてませんでしたが。まわりからは拍手がしていましたよ。ビルの方は何と言うか、ちょっと照れ臭そうな顔していましたが。ありがとう、ビリー。前からいい奴だと思っていたけど、あんた本当にいい人だ。

 というわけで本当に終わっちゃったよ、祭り。いやー、本当に振り回されていたね、私。もう魂抜けた。てゆか、お前いつの間にこんなにビル・マーレーを好きになったのかと我ながら呆れる。また最近アカデミーにまつわるいろんなニュースがわいていますが、まそりゃどうでもいいや。と言いつつ一個気になったゴシップがIMDbにあったので、それについてだけは触れておこうかと。折角なのでこの部分丸ごと訳して引用。

*マーレー、オスカーの結果に思わず動転*
俳優ビル・マーレーには、自身も出席した土曜の夜のアカデミー賞授賞式はショックなものだったようだ。主演男優部門の結果発表で、彼と同じく有力候補であったショーン・ペンの名前が告げられた時、彼は拍手をしていなかった。ニコール・キッドマンが勝利を言い渡したのは、「ミスティック・リバー」でのペンの演技。その時の「ロスト・イン・トランスレーション」のスターの表情は憮然としたものだった。イギリスの新聞「ザ・サン」(←パパラッチなゴシップ満載の大衆紙)によれば、マーレーは後にあるオルガナイザーに、「こうなることが分かっていたら、わざわざ来なかった!」と、罵声を発していたという。53歳のコメディアンは、かつて、あからさまに賞を嫌悪し、主演男優賞候補となっていた先月のイギリスアカデミー賞にも姿を現さなかった。マーレーはかつてこう言っていた。「賞なんて俺には意味のないものだ。あれ欲しさにキャンペーンにいそしむ連中にはうんざりするばかりだ。本気でオスカーを欲しがっている女優だの男優だの、そんな奴ら俺の眼中にはないね。テレビでよく見るじゃないか、その手の奴らを。顔を見てみろよ、ああいう連中のムキな面ときたら、本っ当に見苦しいよな」
(IMDb Movie/TV News WENN 3 March 2004)

 うわははははは! 最高だぞ、このニュース書いた人! ネタの組み合わせが絶妙。中身がどこまで本当か分かんないけど、全部本当だといいな。それが私のロマン(笑)。まあ、ガセだとしてもね、こういう書き方をされるのはこういう書き方をしていただけるだけの下地が奴にあるからなのであって、ああ、やっぱり好き好き。もう、こんなニュースならどれだけ出ても私は大歓迎。いくつになってもみんなにとって嫌い甲斐のあるクソったれ野郎でいて欲しいわ。

 さらにさらに、3月4日にゲストとして出た「レイトショー・ウィズ・デビッド・レターマン」にて、オスカー落選をネタに自虐スケッチを披露してくれた模様。マ〜ベラッス! ああでも今のパソ環境じゃ動画見れないよ。悔しい。一応リンクを貼っておきますんで、興味のある人はどうぞ。




2004年03月05日(金) 天啓か天罰か

 自転車でイオンに買い物に行った帰り道の途中、前を歩いていた女子中学生が背負っているリュックの口が、ほぼ全開になっていたので、気になって追い抜きざまに顔を見ると、メガネの奥の目が恐いくらい幸せ一杯に笑っている。何かに読み耽りながら。・・・B5サイズのフルカラー表紙。「鋼の錬金術師」だった。そのまま声はかけずに通り過ぎた。

 中スポの本日朝刊で、粋な女ことツィッギーが来日した模様が伝えられていた。そんな折りも折り、2ちゃんのブルース・ブラザーススレにも載っていたが、4月29日の木曜日に、BS2の衛星映画劇場で午後7時45分〜9時59分、ブルース・ブラザースが放映予定。DVDもLDも持っているし、すでに何回も見ているが、こうして放映してくれるのは嬉しい。なんか日の目を見ているって感じがするね。いやまあ、もともと人気のある作品ではあるけれど。

 だがもう一つとんでもない情報が! 次の日の夜8時からブルース・ブラザース2000もやるというではないか! うわあああああ!

 2000はクソという意見はネット等で散々目にしてきた。そもそもまだはまりたての頃、最初に知ったBB関連サイトがかの有名な「ブルースブラザーズ2000相対阻止委員会」だったので、余計に悪く刷り込まれた所もある。その後も何がどのようにクソであるか、所々であまりに読みすぎたせいですっかり恐れをなして、私はいまだに2000を見ていない。それでもファンの勤めとして、ダンが還暦を迎えた日に勇気を出して見ようと予定しているのだが・・・。その前にこの4月の奴をうっかり見てしまいそうで恐ろしい。ああ、こんなのを見てやっぱり想像通りクソで、ダンのことを嫌いになっちゃったりしたらイヤだよう。クソは没ゼロでたくさんだよう。ああ、恐いよママン!

 これも神の啓示なのだろうか。私は光を見るのか、闇を見るのか。




 この日記の更新ペースですが、基本的に一週間余りに一度、5日分ぐらいがアップされる、という感じです。今日この頃のように何らかのお祭りがあったりして浮かれていたりすると、ちょっとだけ早くなったりしますが、まあ滅多にないと思います。毎日新しいのが見たい! という方には申し訳ありませんが、勝手ながらよろしくお願いします。




2004年03月04日(木) GGA、オスカー、他

 夕ごはんにホワイトシチューを作った。アカデミー賞残念でした、ということで父の響を内緒でちょろっと入れて作った。無駄に旨かった。

最近の画像リンクです。ただし、おっさんばっかりなので我慢して見る必要はありません。

http://movies.yahoo.com/shop?d=hc&id=1800010825&cf=pg&photoid=510128&intl=us 
L.A.で行われた“50 First Dates”のプレミアに出席したダンと奥さんのドナ・ディクソンです。この奥さん昔っから顔変わらないんだけど、何かやっているんだろうなあ。

http://movies.yahoo.com/shop?d=hc&id=1800022908&cf=pg&photoid=511378&intl=us 
先日のGGAでのビル。奥さんと一緒。どうでもいいことだが、ビルのスーツはヘルムートラングで奥さんのドレスはプラダなんだとさ。

http://www.imdb.com/gallery/granitz/1013/Events/1013/murray_bill?path=pgallery&path_key=Murray,%20Bill%20(I)
これはちょっと昔のGGA。99年、「天才マックスの世界」で助演男優賞にノミネートされた時の物。隣はもちろん奥さん。後ろに映っている太った人は多分、弟のジョエル・マーレーじゃないかな。弟っつってもビルとは13も年が離れているので、ジョエルはまだそんなに年じゃないんですが。この人は「ふたりは最高! ダーマ&グレッグ」で、グレッグの同僚役として出ています。ダーマ&グレッグは何度かGGAの候補になっていたし、受賞もしているので、たまたま兄弟揃ったんでしょうね。

http://story.news.yahoo.com/news?tmpl=story&u=/040229/482/carg12802290034 
これは2月28日に行われたインディペンデント・スピリット賞(独立プロダクション作品を対象に贈られる賞)の授賞式。後ろにいるのはケビン・ベーコンとナオミ・ワッツ。ビル、もっとましな格好してこいよ。写真では何言っているか分かりませんが、案外自分でも自覚しているんでしょうか、この服装。

http://story.news.yahoo.com/news?tmpl=story&u=/040229/ids_photos_en/r198229389.jpg 
授賞式のリハーサル中。しかしリハとはいえその格好・・・。さっきのもひどかったが、これじゃあこれからゴルフに行く商店街のオヤジだ。

http://movies.yahoo.com/shop?d=hc&id=1800022908&cf=pg&photoid=513935&intl=us 
少しくらいは目の保養を。こちらはアカデミー賞後のパーティー。おおお、ジョニー・デップとのツーショットですよ!

http://story.news.yahoo.com/news?tmpl=story&u=/040301/482/kdk16803010103 
「みんなのうた」がオリジナル歌曲賞候補ってことでユージーン・レヴィとキャサリン・オハラ(ホームアローンでカルキンのママをやっていた人)。残念ながら受賞したのは指輪でしたが。ま、ハワード・ショアは元SNLだしねってことで無理矢理許容。ちなみに、レヴィもオハラもコメディ劇団、セカンドシティのトロント支部出身。つまり、ダン・エイクロイドやジョン・キャンディ、ギルダ・ラドナー、マーティン・ショートと同じ釜の飯を食ってたわけです。

http://www.geocities.com/john_candyman/candywallpaper2.jpg 
さて最後に、本日はこの人の命日でしたってことで。




2004年03月02日(火)

 昼、S氏からのメール着信音で目を覚ます。それによれば、昨日WOWOWで放映されたアカデミー賞は、ハードディスクでの録画には失敗してしまったとのこと。ただ、別の人向けにVHSで予約したものはちゃんとできたので、そっちをダビングすることで勘弁して欲しい、ということだった。こちらとしては見られるだけで大満足だからそれでいいです、と後から返信。ありがたや、ありがたや。

 まあアカデミー賞はBS−2でも8日月曜日に午後7時45分から10時10分まで、2時間25分間、字幕つきで放送してくれるし、これは自宅で録画視聴するつもりだから、WOWOWが駄目だったとしてもいいじゃん、とも言え・・・ない、断じてーっ。だってBS−2は所詮抄録だもん。主要部門は抑えてくれるだろうけど、それだって隅々まで放映はしてくれないだろうし、それ以外の部門なんて適当に流すだけで終わりそうなんだもん。実際、去年そうだったし。

 ごはんを食べているとNHKの「スタジオパークからこんにちは」で、みうらじゅんがゲストで出ていた。ご丁寧にもバックにはボブ・ディランが流れている。最後の方で視聴者からの、
「最近見た映画でよかったのは?」
 という質問に対し、力強くこう答えるみうらじゅん。
「アイデン&ティティっすねっ。これ、僕の原作を映画化したものなんですけど、よかったですよ。(ファインディング・)ニモより泣きました」
 正直な人だ。

 昨日のパラダイス・アーミーを録画したビデオを棚にしまいながら、今年でジョン・キャンディの没後十年になることを思い出す。慌ててジョン・キャンディの伝記、“LAUGHING ON THE OUTSIDE”をパラ読みする。げっ、命日あさってだよ! うーん、追悼記念に以前ブックオフで買ったまま、まだ見ていない「大脱線」でも見ようかな。

 伝記には彼の死んだ時の体重も書かれていたのだが、それがなんと330ポンド。単純にキロ計算すると約149.8キロ。身長も190近くあるし、そんな体型でも体を張った演技をしていたんだから、そりゃ長生きしないわな(ちなみに死因は就寝中の心臓発作)。でも長身&デブという点ではジョン・グッドマンも似たり寄ったりのはずなんだが、あの人は今でも元気だよなあ。分かっちゃいるが、何が違うんだと思わずにはいられん。

 雑用を片付けた後、日記書き。昨日の分を書こうと思うが、書こうとしてもどんよりとするばかり。別にあたしが出席したわけでもないのに、我ながら呆れる。




2004年03月01日(月) ファッキン、アカデミー・・・!

 ただいま3月1日、午後2時ちょっと過ぎ。
今の率直な気持ち。↓


   _| ̄|○


 また後日、数日分アップする時に追記します。


*************************
(ここから先は2日に書いたものです。なお、賞の模様をまだ見ていなくてこれから見る予定の人はネタバレになる場合もありますので、その辺ご了承下さい)


 午前10時半に起きる。式の始まりは10時なので、ネットにはまだ何の情報もあがっていない。直後ライブは夕方の4時半までやることだし、今たくさん食べておこう、とレトルトのカレーを食べる。その後、郵便局へ行くなどしてから、1時からのノミネーションSPを録画しながら見る。アカデミーの会長とシガニー・ウィーバーの司会で発表されたアカデミー賞各候補の発表の模様と、E!の番組司会者による候補作品の紹介などをやっていた。各部門の候補発表はアカデミーの会長とシガニー・ウィーバーが交互に発表していた。主演男優賞の発表をしてくれたのが、かつての共演者であるシガニー・ウィーバーの方で嬉しかった。

 1時55分前にノミネーションSPは終わり、引き続き今度は直後ライブの始まり。司会はクリス・ペプラーって外人と、さとう珠緒。ま、ちょっと文句も言いたいが、この手の番組の司会者としては好感を覚えるタイプのタレントである。大体、WOWOWなんて戸田奈津子だもん。最悪だよな、よりによって指輪がこれだけノミネートされている年に。

 直後ライブとは言っても、式自体はあちらでもまだ終わっておらず、主演女優・男優部門の発表はまだだった。助演の方はすでに発表済み。助演男優賞はやはりティム・ロビンス。ティムちんおめでとう〜。って、これで「ショーシャンクの空に」の時、ノミネートすらされなかった雪辱は果たせたわね(まあ、『エド・ウッド』のマーティン・ランドーで大正解だったとは思っているけど)。ティムちんがスピーチで何喋ったか楽しみだなあ。

 司会の二人がなんやかやと喋って時間を潰す間に過ぎること数分。その間にすでに発表された部門とその受賞者の名前が、テロップが赤いバックに金の書体で出てくる。と、いきなり、

ACTOR
SEAN PENN

 ・・・ま、ショーン・ペンが獲ったのならまだ諦めもつくさ・・・、と己に言い聞かせながら、リアルタイムの気分を日記に直接アップ。

 ネットに繋いだついでに他のサイトも二つばかし見る。その中に主演男優賞の時のビリー・クリスタルのスピーチも載っていた。でもこれはBS−2の時にまっさらな状態で聞くべきコメントだったな。ビリー・クリスタルの言葉はとても嬉しかったけど。本編見る以前にあんまりにもいろいろ見ようとする私がバカだった。

 再びテレビの前へ戻ると、ショーン・ペンへのインタビューが行われていた。アホな質問されて暴れ出すことを期待していたのだが、それはなかった。大人になったね。

 でもその代わり、片手にお酒か何かの入ったグラス(輪切りのライム入り)をずっと持ってて、中の氷を食べながら受け応えをしていた。記者の人に「あ、氷食べ終わってからでいいですよ」なんて言われていた。多分、氷で口の中を冷やして、暴れたいのをガマンしていたのではないかと。なんか目ぇ恐かったし。

 その後映像は式後のパーティー会場へ。受賞者や出席者へのインタビューが続いたが、結局、この直後ライブでビルは全く映ることなく、そのまま番組は終わってしまった。

 その後、最初に録画した直前ライブを見ようと、ビデオを巻き戻し。その間に玄関へ郵便物を取りに行くと、国民年金の納付書が届いていた。何も今こんな気分の時に届かなくてもいいだろ。ああ払いたくねえ。

 気を取り直して、録画してあった直前ライブの方を見る。E!恒例なのか、こっちでいうピーコみたいに、ファッションや今日の気分についていろいろ突っ込んだ質問をする母娘のタレントが、会場にいるセレブたちにマイクを突きつけていた。生放送同時通訳なので、セリフがなんともたどたどしいのと、肝心の映像が途中二、三回、しかも何分にも渡ってとまっちゃったのにはむかついた。
以下、見られて嬉しかった有名人の映像。

 ジェイミー・リー・カーティス・・・いくつになってもお美しい。そして男前。画面がどう切り替わってもジェイミー姐さんの姿だけは見える。肩なしのドレスを着ていたが、そろそろキツイだろ(かつての美乳も垂・・)。でも色が綺麗な水色で素敵だった。インタビュアーのおばさんから「旦那さんは?」と聞かれると「ここにはいないわねえ」とだけ。昔から思っていたんだが、クリストファー・ゲストとは仲悪いんだろうか。この夫婦のツーショットって見たことないんだもの。ま、この夫婦見るからに性格違うもんなあ。ジェイミー姐さんは役も本人も常に粋で豪快だけど、クリストファー・ゲストって芸風も本人も年中鬱病みたいだし(コメディアンなのに)。そんな二人が結婚したこと自体がそもそも不思議よな。

 ユージーン・レヴィ・・・映るとは思っていなかったので、凄く嬉しかった。なんと「みんなのうた」は主題歌賞にノミネートされていたんだね。じゃやっぱクリストファー・ゲストも監督・出演者として出席しているはずだと思うんだが、どこにいるんだ。後で知ったんだが、ユージーン・レヴィはオープニングで映画同様、キャサリン・オハラと一緒にミッキー&ミッチーに扮して歌ったらしい。ぐわあ、楽しみ。同じ「みんなのうた」で、マイケル・マッキーンも綺麗な奥さんと一緒に直前ライブに映っていた。

 ウィル・フェレル・・・この人はもともと、この間までSNLで一番人気のあるレギュラーだったんだけど、去年か一昨年に映画出演に専念するために降板した。「エルフ」が最新作だけど、日本じゃビデオリリースもしてくれるかどうか・・・。ちなみに現場には妊娠中の奥さんと一緒に来ていて、「今日は誰と来ているの?」という質問に、「妻と、それから子供がここに」と、奥さんのお腹をさして言っていた。なんせこの人が出ている映画を見たことがないので、何とも言えないんだが、本人の芸風や現地での人気っぷりからすると、第二のビリー・クリスタルになる日も近いかもね。

 ジャック・ブラック・・・で、ウィル・フェレルと一緒に画面に映っていたジャック・ブラックは、「愛しのローズマリー」でグウィネス・パルトロウの相手役していたコメディアン。カイル・ガスってコメディアンと一緒にコミックバンド、テネイシャスDをやっている。でも今日のジャックの相手はカイル・ガスじゃなくてウィル・フェレル。二人でおもろいパフォーマンスをしてくれるんだろうなあ。うう、見たい。

 とまあ以上、普段日本では話題に上ることも少ない芸能人の、あまり見られない素の姿を見られてとても嬉しかったのだが、肝心のビル・マーレーは、インタビュアーがマイケル・ダグラス夫婦を映している間、ちょっとカメラが切り替わった数秒間にちらっと映っただけに終わった。多分、ちゃんとしたインタビューとかは映像が中断した時に行われていたに違いない。ちきしょー、ベン・キングスレーすら(失礼)映っていたのに。

 取り敢えずネットでビルが映っている画像をちょこちょこ拾う。お、この間のGGAの時と違って、髭剃ってるじゃん。「ザ・ライフ・アクアティック」の撮影はもう終わったのかな?

 起き抜けからいろいろ興奮しすぎた後はすっかり腑抜け状態となり、内職を進める手ものろいこと限りなし。ぐたーっとしつつ、ふと夕刊のテレビ欄を見ると、なんと! テレビ愛知で深夜2時18分から、「パラダイス・アーミー」とあるじゃないか!! 物凄く救われた気分だわ、ああこの世に神様はいるのね。

 タイミングよく大分前に買ったフジフィルムの「きれい録り 120分」が一本残っていたので早速標準で予約。字幕か吹替えかチェックしようと思って番組表を調べたところ、・・・テレビ愛知じゃないよ、メ〜テレだよ! あー、危なかった。で、確認すると音声は二ヶ国語! やったー。パラダイス・アーミーの吹替えバージョンって見たことないからすんごく嬉しいぞ。声は誰かな〜。できればゴーストバスターズとおんなじ安原義人がいいなあ。そんでもってハロルド・ライミスが牛山茂で、ジョン・キャンディが玄田哲章だったら泣くほど嬉しいぞ。でも江原正士が当ててくれてもいいかも。ここ十年のビル・マーレーの吹替えは江原正士がほとんどやっているけど、最近のビルじゃない、初期のビルの声を江原正士でやるのも新鮮でいいなあ。

 そんなこんなの内にパラアミ始まり。おおおっ、この声は江原正士! 万歳!他、ハロルド・ライミスは林一夫、ジョン・キャンディは島香裕、主人公たちボンクラ新兵をしごくウォーレン・オーツの声が意外なキャスティングで、なんと増岡弘だった。音声は思いっきりモノラルで、しかもかなり古そうである。いつ頃収録されたものなんだろう。ひょっとすると、ビル・マーレーの声を当てた第一号は安原義人じゃなくて江原正士なんだろうか。

 映像もなかなか綺麗。ビデオ持っているけど、レンタル落ちした物だから半ボケてて、昼だか夕方だが分かりゃしないんだよね。これだけでも儲けもんだわ。

 と、こんな調子で見ていたらいつまでたっても手元がお留守なので、しこしこと内職(一応、映画が終わるまでにはやり終えた)。

 はあ、それにしてもこの頃のビルはやっぱりいいねえ。ボロボロのジーンズとか破けそうなシャツとか、汚いのが似合ってて。今はスーツばっかりになっちゃって物足りんよな。

 それにしても奴は全身から薄汚さが滲み出ているね。50年生まれだから、この映画の頃だと30そこそこだったはずなんだが、若さらしい若さなんてどこにも感じられない。むしろ年が若いだけに、その年齢に見合わない汚れっぷりが余計に強く感じられてしまう。ジョン・ベルーシだって決して洗練された顔じゃないけど、ジョンはトータルすればかわいい。それに引き換えビルはほんとに汚いし、目つきも荒んでいる。まあ前科モンだからな。それに引き換え、共演しているジョン・キャンディのケガレのなさよ。つるつるのお肌、屈託のない表情・・・。この二人が同い年だなんて信じられない。

 もう何回も見たけど、何回見ても深みもひねりもゼロ、普通に下らない映画で、ああよかったなあ、と満足することしきり。

 今日みたいな日にこうして初期の、いかにも誰からも誉めてもらえなさそうな作品を見ると、オスカーが獲れなかったことで、ビル・マーレーは今後オスカー狙いの作品ばかりに出るようになってしまうのでは、と不安に刈られる。ビルがホロコーストで殺されるユダヤ人の役とかやったら最悪だわ。あ、でも、ユダヤ人の隠れ家をチクるポーランド人の役とかだったら歓迎(いいのか)。



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