沢の螢

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ただいま工事中
2005年08月27日(土)

南側に面した家が、建て替えることになり、今、解体工事中である。
いままで、110坪の敷地に、平屋の家が建っていた。
昭和30年代に建った、昔ながらの工法による木造の家である。
私の親と同年代の、明治生まれのご夫婦が住んでいたが、この5,6年の間に亡くなり、昨年後半は空き家状態で、時々、近くに住む男夫婦が、管理しに来ていた。
私たちがここに引っ越してきたのは、昭和47年、まだ若く、世間の付き合いに疎い私たちは、何かとサポートしていただいた。
特に私は、奥さんからは、親のように、相談相手になって貰い、つかず離れずの、良いお付き合いをさせていただいた。
ご主人は、社会的地位のある人だったが、少しも偉ぶったところが無く、道で会うと、向こうから挨拶してくれるような人で、私の連れ合いとも、時々話し相手になってくれた。
隣人というのは、こちらから選べないので、難しいものがある。
近所付き合いの下手な私だが、このご夫婦にだけは、イヤな思いをしたことが一度もない。
こちらから何かをするより、お世話になったことの遙かに多い関係だったが、何もお返ししないうちに、相次いで、故人になってしまった。
長男夫婦は、親たちが要介護状態になってから、半分泊まり込みで、世話をしていた。
ヘルーパーの手を借りながらであっても、毎日のように通ってくるのは、大変だったろうと思う。
私の親たちが引っ越してきたとき、ちょうど同世代なので、良いお付き合いが出来ればと思っていたが、少し遅かったようである。
双方とも、新しい人間関係を築くには、年を取りすぎていた。
両方の親たちを見て感じるのは、人が新しい環境なり、人との付き合いなりを、抵抗なく受け入れるには、エネルギーが要ると言うことである。
お隣のご夫婦は、終生自分の家で暮らせたことは、幸せだった。
そして、私の親たちは、ケア付きマンションで、暮らしている。

無人になった家が、この先どうなるのか、気になった。
転売すれば、大きな土地だから少なくも4軒の家が建つ。
どんな人たちが引っ越してくるのか。
我が家の、真南に面する家だから、そのあとのことを、大いに心配した。
しかし、今年になって、長男夫婦から「家を建て替えて住むことにしました」と聞き、ホッとした。
今までの平屋とは行かないから、2階建てにはなるらしいが、私たちとほぼ同世代、親たちと似て、いい人達である。
「よかったね」と喜んだ。
そして、先週から、いよいよ家の解体工事が始まった。
近隣に充分気を使って、工事をしている。
こういうことにも、注文主の人柄が現れるものである。
きっと住人に相応しい、良い家が建つことだろう。
沢山あった庭木のうち、大きい物はサルスベリだけ残し、あとは、数本を庭師にあづけ、大部分は処分するとのこと。
建物と庭木が無くなって、見通しが利くようになった道路から、人の通るのがよく見える。



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