連句を趣味としている人は、今、全国にどのくらいいるのか、正確なデータはないからわからないが、短歌、俳句に比べて問題にならない少数派だということは、承知している。 そんなマイナーな文芸なのに、人間の集まるところ、どこの社会でも見られるような現象は、あちこちに見られて、手法もさまざま、人の動きもそれぞれであるのが、興味深い。 大体は、真面目な勉強家で、俳諧の道に黙って精進する人がいると思えば、連句もさることながら、人を動かす方が好きな御仁も少なくないので、政治家顔負けの権謀術数の達人や、たいこもちもいれば、色で売り込む自称美女もいる。 最近はインターネットでの付け合いも盛んになってきたためか、連句愛好者は次第に全国に増えつつあるようである。 そして、地域活性化のひとつの手立てとして、連句をやり始めたところもある。 連句は、一人で愉しむものと違い、必ず、複数で行うものである故、人の集まりが必須条件なので、その意味でも、いいジャンルなのかも知れない。 26,27日の二日間、東北地方某県主催の連句会に行った。 連句を口実に、今まで余り行ったことのない地方に行く機会が得られるのは、嬉しい。 初日は、新幹線最寄り駅に集合、バスで会場に向かう。 宿舎も兼ねた、温泉ホテル内である。 関係者の挨拶、祝辞などがあり、連句実作に入った。 6人ずつのテーブルに分けられ、3時間半程。 日ごろ顔を合わせたことのない人たちとの実作は、充分面白く、時の経つのを忘れた。 4時半に終わり、ホテルの部屋に落ち着いた。 部屋は、ほとんどが、知っている同士の組み合わせになっていて、私のところは5人だった。 大浴場で、温泉に入り、一休みして、夕食会に集合。 8時半に散会。 カラオケに行くグループもあったが、私は、サロンでお茶を飲んでから、そこで、意気投合した6人(うち一人が男性)で、一部屋に集まって連句を巻くほうに参加。 24句の付け合いが終わったのが、夜中の1時を過ぎていた。 私はバタンキューで寝てしまったが、温泉に入り直した人もいたらしい。 翌朝、なぜか5時半に目が覚めてしまったので、一人で、温泉に入りに行った。 すでに先客もいた。 源泉に浸かり、頭も醒めたところで、部屋に戻ると、みな、まだ寝ていた。 その日の予定は、みな少しずつ違う。 身支度して、一足先に、7時からの朝食に行き、バイキング方式の朝食を摂った。 ツァーで来たらしい別の団体の一人と、お喋りしながら、ダイニングルームを出るときに、同じ部屋の人たちと入れ替わりになった。 この地方が梅雨入りになったらしく、朝から雨。 予定では、山の上の古刹を中心に歩くつもりだったが、かなりの降りだったので、足元を気にしながら、最短距離だけを歩くチームに加わり、ゆっくりと一時間半程、散策。 最後は、蕎麦の美味しい店に集合して、蕎麦懐石で〆。 天気は回復しそうもないので、そのまま駅に行き、東北新幹線に乗り継いで、東京に帰る。 東京は、雨はほとんど降らなかったとか。 たった1泊の旅だったのに、とても疲れた。 今週末には、北陸地方の連句行事に行くことになっている。 今回の旅でひとつ気づいたことがある。 行き帰りの新幹線も、宿泊先のホテルでも、冷房がかなり抑えられていたことである。 真夏の外出がいやな理由のひとつは、何処に行っても、風邪を引きそうな冷房の強さである。 涼しいのは有り難いが、体を冷やす程、温度を下げることはないじゃないのと、いつも思う。 夏の風邪は治りにくいし、体が冷えるのは、健康上良くないので、私は必ず厚めのジャケットや、大判のスカーフを持って歩くが、今回の旅では、ほとんど使わなかった。 政府主導のクールビズで、こんなところにも、通達が行って、最低温度が抑えられているのだろうか。 外気温34,5度という日だったので、蒸し暑く、さすがの私も、もうちょっと冷房を効かせてもいいのではないかと思ったくらいだった。 我が家では、暑い日は、湿度を調節するが、同じ気温でも、湿度を低くすることで、かなり涼しく感じる。 真夏の旅は、疲れやすい。 新幹線にも、単に温度を下げる冷房より、湿度を抑える工夫をしてもらえたらいいと思う。
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