日本で初の、上記患者と思われるケースが発症したというニュースである。 新聞社系のネットニュースにもほとんど出ているが、病気の詳細については、厚生労働省のサイトの「このページ」に詳しい。 50代の男性と見られるその人は、すでに死亡しているが、1989年に1年未満、英国に滞在したという。 私が、夫共々英国に住んでいたのは、1987年から1989年にかけての2年間。 時期が重なっている。 この関連の病気が取り上げられるようになったときから、時々我が家の話題に上るが、 今回の変異型は、日本人だというので、ちょっとしたパニックになっている。 厚生労働省によると、2004年6月現在、変異型ヤコブ病の患者は、世界で157人報告されており、 このうち英国が147人を占めている。 英国以外にはフランスやアイルランド、イタリア、米国、カナダで発症例があり、フランスとイタリアの6人を除き、 英国滞在歴があるという。 英国人患者が圧倒的に多いのは、原因になった肉牛が、英国産だからである。 私たちは、在住中に、牛肉もずいぶん食べたが、その中に汚染された牛が混じっていたかどうかはわからないし、 食べたとすれば、当時英国に滞在していたすべての人と同じく、発病する可能性があるが、100万人に1人という確率だから、 余程の運の悪さと言うことになる。 件の人は、その肉を食べてから12年後に発病、3年後に死亡した。 「私たちもそろそろ危ないね」といいながらも、「でも、もうトシだから、そうなったら潔くあきらめて、 残りの人生を清く正しく生きようね」と話している。 食べ物に絡んだ話は、表に出るのが遅い。 英国在住中、いわゆる狂牛病が話題になり、現地のテレビでも、取り上げられてはいたらしいが、私の記憶には、あまりない。 牛の病気と人との関係を、それ程危機感を持ってみていなかったのかも知れないし、なんと言っても、情報不足だったのだろう。 むしろ覚えているのは、当時、サルモネラ菌に汚染された卵のことが、イギリスで話題になり、ナマでは食べないようにと言うキャンペーンがあったことである。 スーパーに行っても、プリンや、カスタードクリームの入ったケーキを、避けたりした記憶がある。 熱い御飯に生卵を掛け、醤油を垂らして食べるおいしさは、我が家の朝食メニューの定番だったが、それ以後、ナマで食べる習慣が無くなった。 鶏インフルエンザが話題になってからは、日本でもナマでは食べない。 帰国して15年経った。 これから、そのヤコブ病を発症する可能性があるのかどうかわからないが、もう一度、英国で暮らしてみたい。 変化の激しい日本と違い、多分、街の風景は、余り変わってはいないのではないだろうか。
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