沢の螢

akiko【MAIL

My追加

「美しい日々」
2004年12月05日(日)

昨年4月から衛星放送で、韓国ドラマ「冬のソナタ」が始まったとき、私は第1回目から見て、2,3回経つうちに、すっかりこのドラマの虜になってしまった。
日本のラジオドラマから映画化されて一世を風靡した「君の名は」、ロナルド・コールマンとグリア・ガースンのアメリカ映画「心の旅路」、それにケーリー・グラントとデボラ・カーの「めぐり逢い」、いずれも古い映画ばかりで申し訳ないが、この三つを足して3で割ったら、まさにこういうドラマが出来上がるだろうと思うような、メロドラマの王道を行く作りであった。
美男美女、すれ違い、愛し合う二人の前に立ちはだかるいくつもの枷、恋敵、なぜかひとりの女に二人の男が絡む設定になっている。
いまの日本では、枷と言われるような外的な障害はほとんど無くなって、安易に結びついては、また安易に別れるという状況が殖えているようだが、韓国は、まだまだ、親の反対とか、男女関係に古風なモラルが生きていたりするところが、ドラマの背景にあるのだろう。
「心の旅路」は、記憶喪失と、その快復がテーマであった。
「めぐり逢い」は、約束の待ち合わせ場所に急ぐ女性が、交通事故に遭い、ふたたび巡り会うまでの話が山になっていた。
「君の名は」は、愛し合う二人が、いくつもの山を越えて、結ばれるまでに、10年ほどの年月が掛かっている。
「冬のソナタ」は、脚本家が、それらを参考にしたかどうかは知らないが、二人がやっと、結ばれるまでの、いくつものエピソードの中に、これら古典的メロドラマの要素が、すべて入っている。
それに、美しく哀調を帯びた音楽、美男美女とくれば、ヒットする条件はかなっているのだが、やはり、女性が多く見るこの種のドラマの鍵は、ヒロインを愛する男役に、負うとことが大きい。
ペ・ヨンジュンは、これ以上ないと思うほど、この役にはまっていた。
初回に高校生で登場するところから、インパクトがある。
肩幅の広いがっちりした体つきながら、整った顔。
ややニヒルな高校生で、あまり笑わないが、何か、人の心を引きつける魅力がある。
高校生役の時には、眼鏡を掛けていず、少し目元がきつく見えるが、この顔も、なかなかいい。
私は、1,2回で、すっかりファンになってしまった。
この段階では、まだドラマの視聴率は、それ程高くなかったと思う。
私の友人達も、ほとんど知らなかった。
だんだん評判になってきたのは、NHKの派手な宣伝のせいもあるが、昨年末に地上波で再放映されだしてからであろう。
「ヨン様」なんて、おばさま達が騒ぐ頃には、私は、「ペ・ヨンジュン巻き」のマフラーを、とうにマスターして、街を闊歩していたのだった。
そういえば、「君の名は」でも、岸恵子が巻いたマフラーが、「真知子巻き」なんて言われて流行ったりした。
友人達も、そのころになって、やっと認識しはじめたようだった。
彼女たちに差を付けたいので、私は、空港に押しかける「ヨン様」ファンとは一線を画し、「ヨン様」なんて呼ばないし、テレビの実像もあまり話題にしないことにしている。
彼の実像も、笑顔は素晴らしいし、ファンサービスもきめ細かく、そのホスピタリティは素晴らしいが、私が好きなのは、あくまでも、ドラマ「冬のソナタであり、「冬のソナタ」のチュンサンである。

さて、「冬のソナタ」が大ヒットしたからか、韓国ドラマが、次々と放映されている。
昨年秋、「冬のソナタ」のあとに始まった「美しい日々」は、最初の1,2回のドラマの筋立てと、作りが、あまりにも、「冬のソナタ」とかけ離れていたので、見る気はせずに、ほっておいた。
この10月から、また再放映されていて、何となく見ているうちに、「冬のソナタ」とは違う意味で、悪くないなと思い始めている。
ヒロインのチェ・ジウは、似たような印象だが、相手役の、イ・ビョンホンは、どちらかというと硬派、強引で冷たいが、本当は愛に飢えている役どころ。
屈折のある難しい役を、よく演じていて、だんだんドラマの行方が面白くなってきた。
最近は、欠かさず見るようになり、土曜日の夜を心待ちにしている。



BACK   NEXT
目次ページ