沢の螢

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美容院の料金
2004年09月09日(木)

私は女のくせに無精な方で、余り美容院に行くことに熱心ではない。
若い時は、女性の髪型は、美容院でなければ出来ないようなスタイルが普通だったので、ちょくちょく行った。
パーマを掛け、ロールで巻いてカールさせ、お釜型のドライヤーに入って固め、少々風が吹いても、崩れないようなキッチリした髪型だった。
その頃は、シャンプーも、週に一度くらいしかしなかったような記憶がある。
髪の量も、ずっと多かった。
今は、毎日のようにシャンプーするので、そのせいか、髪が全体に薄くなっているような気がする。
カーラーで巻くというスタイルは、ほとんど姿を消してしまった。
みなストレートヘアで、ハンドドライヤーで乾かすスタイルである。
女性が働くのが普通になり、いちいち美容院に行かなくても、自分で形を付けられる髪型が好まれるのであろう。

さて、伸びた髪を気にしながら、2ヶ月経って、いよいよ目に余るほどになったので、美容院に行った。
駅近くの銀行に行った帰りに入ったのは、昨年まで、行っていた店であった。
最近は男性美容師が増えた。
今日行った美容院も、スタッフの8割は男である。
はじめ、私は、男の人に髪をいじられることに、なかなか馴染めなかった。
美容院に行き、「ご指名はありますか」と訊かれた時は、「誰でもいいけど、女の人にして下さい」と注文した。
しかし、現在は、そんなことを言っていられないくらい、男の美容師が多くなった。
今では、私も、抵抗感はない。
慣れると、女性美容師と違った良さもある。
私の髪は、パーマを掛けず、カットだけでスタイルを決めねばならないが、思い切って、カッとしてくれるのは男性美容師である。
昨日の美容師は20代後半と思われる男性。
鶴のように痩せて、顔は三角に尖っている。
そして、この店の男性美容師は、何故か全員髭をたくわえていて、彼も、頬と、あごに、髭を付けている。
「どんな風にカットしますか」と訊くので、「あなたみたいにして頂戴」というと、ちょっと困った顔をした。
私の顔は両顎が張っていて、丸と言うより、四角に近い。
顔の形が違うのに、髪型を同じにしても、と思ったのか。
「じゃ、冬のソナタのペ・ヨンジュンみたいなスタイルにしてくれる?」と言うと、「済みません、ぼく見てないんですよ」と逃げた。
見てないわけはないのだが、断りにくかったのであろう。
「ま、そんな感じでお願いします」というと、やっとニコッとして、私の髪に挟みを入れはじめた。
2ヶ月ぶりの美容院だから、カットのし甲斐がある。
床にザクッザクッと髪が落とされていく。
見習いスタッフが、床ブラシで掃き集める。
美容院の床が綺麗なのは、人の髪の毛で、始終床を撫でているからだそうである。
髪の油分で、床にワックスを掛けているのと同じだという。
カッとしながら、いろいろ話し掛ける。
インターネットのこと、野球の合併問題に発したストのこと、看護師をしている母親のこと、受けて返しているうちにカットが終わり、別のスタッフが、ヘアマニキュアにとり掛かった。
この美容院のいいところは、店に入り、担当美容師が決まったところで、「料金はこれこれになりますがよろしいですか」と、最初に金額を示し、客の承認を得てから、仕事にかかることである。
通常、美容院というのは、この点が曖昧だった。
店の中に料金表は掲げてあるが、かなりアバウトである。
ヘアマニキュアいくらと書いてあっても、それはシャンプーが付くのか付かないのか、また、髪の長さによってどう違うのか、終わって、請求書を見せられるまで、よくわからない。
客の方も、スーパーの買い物には、一円の誤差にも目をつり上げるくせに、美容に関しては、あまり細かなことはいわないというような、一種の気取りもあって、言われた料金を黙って払うことが多いのである。
今日の店は、その点明朗である。
ビジネスライクに処理するので、店舗を次々増やすくらい繁盛するのは、この点もあるのではないかと思った。
これも、男性スタッフが多くなったための変化であろうか。
オシャレ産業に、男の経済論理を入れる。いいことである。
女は、気取っていても、本当は、納得いかないお金は払いたくないのである。



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