沢の螢

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男女8人秋ものがたり
2004年09月06日(月)

土日、奥多摩に「カンタンをきく会」という催しを兼ねて、一泊旅行をした。
夫の友人四人がそれぞれカップルで、八人。
本当はもう一組いるが、たまたまほかの予定が重なって、今回は来なかった。
邯鄲は今頃の季節に、周囲の条件が整っていると、いい声で鳴くらしい。
らしいというのは、聞いたことがあるかも知れないが、認識していないのかも知れないと言うことである。
歳時記には、コオロギ科の虫で、美しい声で鳴くとあり、俳句にもよく詠まれる。
学名はカタカナでカンタンと書く。
たまたまグループの一人が、青梅市で毎年邯鄲を聴く会をやっていることを知っていて、参加したことがあるというので、今年はグループで一緒に行くことになった。
風雅の道を愛する人たちでもある。
新宿駅で昼過ぎに集合、青梅線に乗る。御嶽駅で下車。バスでケーブル下へ。
少し歩いて、滝本駅からケーブルに乗り、御岳山に着く。
「カンタンをきく会受付」という所で、今回の幹事役が申し込みの確認をして、宿舎として割り当てられた宿に向かった。
歩いて15分くらいだったろうか。坂道が続き、かなりきつかった。
日ごろの運動不足を痛感した。
今回の参加者は、90人くらいとのこと。
台風の予想があったので、雨が降ると虫は鳴かないからと、キャンセルした人もあったらしいが、毎年来るファンが多いようである。
小さな宿坊が沢山あり、参加者は、主催者によって、泊まる場所を割り当てられるが、私たちは、会場から遠い分、素晴らしい宿舎に当たって、ラッキーだった。
趣のあるたたずまいの宿は、一度台風で壊れたが、100年以上前から、あったという。
汗びっしょりになった体を風呂に沈め、早めの夕食となった。
「全部うちの庭で栽培した野菜です」といって出された料理は、山菜を中心に鮎の塩焼きが付き、なかなかの味だった。
食後、カンタンを聴く会の講演会場に向かう。
雨模様なので、傘を持っていく。
会場には今回の参加者が集まっている。
元多摩動物公園園長だった矢島氏が、「カンタンの生活とその環境」という題で話をする。
話の途中から、雨がだんだんひどくなる。
「今日は、外でカンタンを聞くのは無理ですね」というわけで、講演の後、テープでカンタンの声を聞かせてくれた。
天気が良ければ、みんなで外に出て、虫の声を聞きながら歩く筈であった。
矢島氏は、現在群馬の昆虫の森で、自然環境の中で、子ども達に、虫を知って貰うべく、準備中だそうである。
「どこからか採ってきて、籠に入っている姿しか見てないんです。どんな環境があれば、虫が生息できるのか知って欲しいし、直に障って、見て欲しいのです」と氏は言った。
話が終わって、けんちん汁と酒が振る舞われた。
雨が一向に止みそうもないので、足元に気をとられながら、宿に向かった。
グループの一部屋に集まり、お酒と会話を2時間ほど愉しんで就寝。
翌日は、御岳山神社の神楽を見て、ケーブルで下山。
そこから先の奥多摩に行き、「もえぎの湯」に入った。
温泉ではないようだが、最近は、あちこちに、銭湯のような浴場が出来ていて、ドライブの人たちにも人気があるらしい。
スポーツクラブの風呂場のような作りになっている。
余り広くはないが、野天風呂もあった。
そのあとで、遅い昼食を摂り、奥多摩駅から直行の新宿行きに乗り、帰路についた。
奥多摩は11月になると、紅葉で山が真っ赤に染まる。
それを求めて、沢山の人が訪れる。
春は春、夏は夏で、四季を通じて、いろいろな表情を見せる奥多摩。
今回は、カンタンを聞く催しに、一泊の宿と2食付きで、一人8000円。
いい週末であった。

夫の高校時代の友人がある時から、旧交を温めるために、集まるようになり、そのうち連れあい達も加わって、10人というのが自然にグループになった。
毎年、年一回の小旅行、日帰りのハイキングや観劇、花見、最近は温泉廻りも入って、14,5年経つ。
「体が動いて、カップルで動ける間に、せいぜい愉しもうね」が合い言葉である。
そして、いつの日か、グループの誰かが、欠けることがあっても、残った伴侶を、みんなで支えていこうねという暗黙の約束も出来ている。



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