沢の螢

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ご近所あれこれ(2)
2004年09月04日(土)

2004/09/04 21:22
前回の続きを書く。
それから何十年も経ち、意気軒昂だったその世代の人たちが、次々と老化してきている。
連れあいを亡くしたり、病気で介護の対象になったりしている。
私が、イジメ三婆と、ひそかに名付けていたグループも、一人は癌で、7年前に故人となった。
70歳近くになって遺されたその連れ合いは、妻亡き後、しばらく意気消沈していたが、このところ、にわかに生き生きしてきた。
カラオケに夢中になり、市内のカラオケクラブで、長をやっているらしい。
私の夫も誘われたが、「私はコーラスの方で・・」と言ったら、それ以上誘わない。
「市内の人とは、余り付き合いたくないよ」というのは、私と同意見である。
最近になり、男1人暮らしのその家に、60歳過ぎの女性が引っ越してきた。
夫が道を掃いていたら、向こうから挨拶されたらしい。
カラオケの先生をしていて、生徒の一人であるその家の2階に、間借りすることになったというのである。
多分、同じく連れあいを亡くした人なのであろう。
「大丈夫かなあ、家ごと乗っ取られるんじゃないかなあ」と、夫は要らぬ心配をしている。
ときどき、その家からデュエットの歌声が聞こえてくる。
近所では、老いらくの恋などと噂してるらしいが、本当は羨ましいのであろう。
時代が変わったと思う。
夫婦でもない、いい年の男女がひとつ屋根の下に住んでも、昔ほど驚かなくなった。
近所のうわさ話で空しい老後を送る入り、どれだけいいかわからない。
「あなたも、私が先に死んだら、あんな風にする?」と夫に訊いたら、「死んだ後のことまで考えずに、安らかに逝きなさい」という答が帰ってきた。




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