最近、あまり本を買わなくなった。 ・・というより、買えなくなったというのが正しい。 一番大きいのがスペースの問題である。 家に何冊の本があるのか、数えてみたことはないが、学者でも作家でもない、個人としては、多いほうかも知れない。 大半が私の物、それに、私の父の本がある。 本は買ったら捨てないので、増えることはあっても、減ることはない。 しかし、本の占めるスペースが限界に達したので、もう買わないことにしたのである。 夫は、余り本に愛着のある方ではない。 だから何かにつけて、私の本を目の敵にする。 「本の重みで、家が傷む」という。 「地震が来たら、本は凶器になるぞ」などと、いい加減なことも言う。 本箱の下に寝ているわけでもないのだが・・。 そのくせ、自分も、ビジネス関係の本や、人から貰った自家製本などは、とってある。 興味や好みが違うのだから、相手を非難していると、「本で離婚」と言うことにもなりかねないので、その話題は、我が家では禁句である。 ただ「減らせないのなら買うな」という夫の言い分もわかるので、今まで持っている本をそのまま置いておく代わりに、買わないことにしたのである。 しかし時々は本屋に行く。 死ぬまでに、全部読めないくらい、家に本があるのに、何故か、家にない本に会いたくなるのである。 新しい出版物は家にないし、書店という場所と匂いが、恋しくなるのだろうか。 山積みにされた新刊書を眺め、棚に並んだ書名を見ているだけで、世の中の一面がわかる。 1,2時間はすぐ経ってしまう。 ごくたまに、新書など買う。 そのほかは図書館に行って、借りてくる。 ベストセラーなどは、順番待ちで無理だが、ちょっと時期を過ぎれば、借りられることが多いし、ない本は、よその図書館から取り寄せてもらえる。 連句では、話題になったベストセラーのことが出たりするが、私は読んでないことが多く、 仲間はずれの感じを味わうことがある。 だから、図書館と本屋は、貴重な情報源なのである。 先日、図書館で、もう旧聞になったが「バカの壁」という本を借りようとした。 話題になった時からは大分経っているので、もう借りる人もないだろうと思った。 しかし、40人も順番待ちだという。 帰ろうとして、ふと、目に付いたのが、大活字本の置いてあるコーナーだった。 弱視の人用のものだが、予約がなければ、一般の人も借りられる。 そして、なんと「バカの壁」が、棚にあるではないか。 入荷したばかりらしく、まだ新しい。 新書1冊の分量が、22ポイント活字A5版2冊になっている。 そのまま借りてきた。 活字が大きいので、どんどんページが進む。 ははあ、なるほどと思うことが書いてある。 もうじき読み終わる。 大活字本は、まだ、種類が多くないし、分量が多いので、持ち運びしにくいが、本来の利用者の邪魔にならない範囲で、これからも利用しようと思う。
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