沢の螢

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皇太子妃の愁い
2004年06月13日(日)

私は、皇室を特に擁護する人間ではないが、このところ話題になっている雅子妃のことは、同じ女性として、大変心が痛む。
昨年体調を崩し、静養がもう半年に及んでいる。
その原因は、医学的なこともあろうが、精神的なストレスもあるらしいことは、先頃ヨーロッパ訪問にあたって、皇太子が記者会見で言われた言葉から伺える。
ひとつは、世継ぎ問題。
2年前、雅子妃に待望の赤ちゃんが生まれ、その後の記者会見で、感動に満ちた感想を述べたことは、記憶に新しい。
前の年、流産というつらいことがあったので、無事に女の子を得た喜びは、格別のものがあったとおもわれる。
ところが、その後、宮内庁の関係者が、皇太子の弟宮に、男子(とははっきり言っていないがそうとれるような)を望む発言をしたことが、問題になった。
結婚した女性なら、みな覚えがあるが、結婚した途端「赤ちゃんまだ?」と、周囲の人たちから、無遠慮に訊かれるときの気持ち。
そして、私の若い頃は、男尊女卑の考え方が根強くあったので、私も、お腹の大きいときに、夫の母から「男の子だといいわね」と何げなく言われて傷ついたことや、息子が生まれたとき、近所の人から「大手柄ね」と言われたときの、何ともいえない理不尽な気持ちを、今でも覚えている。
本来、誰からも、そんなことを言われねばならぬ理由はないのである。
公の立場にいる人だって、それは同じであるはずだ。
今の時代は、生まれてくる子が、男か女かと言うことは、昔ほど言われなくなった。
しかし、皇室をはじめとする一部の社会には、まだその感覚が生きている。
周囲の人間が、それに触れた発言を公にすることが、どれほど雅子妃を傷つけるか、わかっているのだろうか。
皇室典範云々という議論さえも、今の妃にとっては、心を苛まれる原因になる。
また、もうひとつ皇太子が言われた「雅子妃のキャリアと、それに伴う人格を否定する動きがあった事実」と言うこと。
それについて、具体的には述べられなかったが、周囲の関係者は、それが何を指すのか、わかっているはずだ。
それなのに、まるで思い当たることは何もないと言わんばかりの「医療体制を整えて・・」とか、「真意を訊きたい」とか、そんな言葉しか、出てこないのだろうか。
本当にお二人の気持ちになって、考えているのだろうか。
あれほどのキャリアと頭脳を持った素晴らしい女性を皇室に迎えたのに、それを取り巻く環境は、相変わらず古い体質のままであるらしい。
今の皇后が、民間から皇室に入ったとき、やはり人並みでない苦労をしたことは、語り継がれている。
その頃と、基本的に変わっていないのであろうか。
何人もの参与までいながら、その人達は、皇太子が、今回のような異例とも思える発言をするくらい、鈍感だったのだろうか。
「真意」の中身など、皇太子があらためて言わねばならぬのか。
見事なくらいバランス感覚があり、周囲の意見や考え方に心配りをするお人柄であることは、直に接したことのない人にもわかる。
そのお方が、余程の思いで口にしたことである。
ここに至るまでには、沢山の信号が送られてきたはずなのに、周囲の関係者達は、それを受け止め、考える努力を怠っていたのではないかと思いたくなるような、見当違いの反応の仕方である。
あれでは、皇太子も、物を言う気にもならないだろうと思った。
皇太子を取り巻く人たちは、見たところ、年配の男ばかり。
雅子妃の気持ちのわかる人間なんて、あそこにはひとりもいないのではないか。
せめて同世代の、しっかりした女性アドバイザーを置いてあげるべきではないか。
それも、皇太子の側に立って考え、妃が信頼して、気持ちを語れる人でないといけない。
この件について、発言しているのは、みなデリカシーのなさそうな男ばかり。
充分過ぎるほど、傷ついている妃の心情など、理解できないのではないか。
皇太子が、宮内庁の人間に対して、口頭でなく、文書で「真意」の説明をしたのは、いいことである。
口頭で言ったことは、聞いた人間のフィルターを通して語られ、やがて消えてしまい、間接的にしか伝わってこない。
充分意を尽くしていなくても、文章にしたことで、余計な付け足しも、省略も、為されないことになる。
皇太子妃のいたわしさ。
あの環境から脱して、静養を兼ねて、ひと月ほど海外に行かれたら、少し癒されるのではないだろうか。
・・・なんて言うことを、私は夫を宮内庁の人間に見立てて、ぶちまけたのであった。



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