夫がスポーツクラブに出かけている間のこと。 いい天気なので、私は洗濯をし、それを干そうとしてベランダに出た。 シーツを竿に掛けようとして、両手を伸ばした。 竿は少し高い位置にあるので、上を向いた格好になる。 シーツを伸ばし、端をピンチで止めようとしたとき、急に体が、左によろけて、立っていられなくなった。 傍の椅子につかまったが、崩れそうになる。 とにかく、這って家の中に入り、窓の鍵を閉めた。 そのまま床に寝転がった。 私の頭にひらめいたのは、「脳卒中か」と言うことだった。 その場合は、動かないほうがいいのだろうが、救急車を呼ぶにしても、電話が要る。 また這って、携帯電話のある場所に行った。 頭痛はないし、手先、足先も動く。 歌も歌える。言葉もしっかりしている。 数字を数えてみたが、それも大丈夫である。 脳ではなさそうだなと思った。 携帯で、夫に掛けると、留守モードになっている。 スポーツクラブで、トレーニング中か、風呂に入っているらしい。 メッセージだけ入れて、そのまま床に寝た。 救急車を呼んでも、玄関に鍵が掛かっているし、意識があるから、急を要することではなさそうだ。 それから1時間くらい経っただろうか。 ガレージに車を入れる音がしたので、夫が帰ってきたと解った。 玄関を開けて、夫が走り込んできた。 「どうした」という。 ことの次第を話し、そっと立ち上がってみると、ふらついてはいるが、何とか立っていられる。 「救急車を呼ぼうか」と夫は言ったが、午後から、いつも掛かっている内科の医者に行くことにして、昼食を摂った。 吐き気はないし、食欲もある。 「貧血じゃないの」と夫が言う。 15,6年前まで、私は慢性的貧血があったが、最近は指摘されていない。 午後の診療時間になったので、夫に連れて行って貰った。 車で、15分くらいのところにある医院である。 昔入院したときの大学病院で、若い研修医の女の先生に世話になったが、その結婚相手が内科の先生で、市内で医院を開業、現在に至っている。 夫も私も、そこで検診や、何かの時の世話になっている。 今日は、連休明けということもあって、混んでいた。 1時間くらい待った。 問診で、先生の見立ては、「耳石が三半規管に当たったせいでしょう」という。 人間にも、耳石というものが出来て、それが、平衡感覚を司る三半規管に触れると、目まいを起こすのだという。 加齢や、過労などの原因で、珍しくない症状らしい。 「念のため、脳も調べましょう」と予約を入れ、血流をよくする薬を処方されて帰ってきた。 夕方から「神学講座」に行くことになっていたが、休むことにした。 最近、寝不足が続いていたので、当分、11時に寝ることにした。
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