沢の螢

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艶書の行方
2004年01月04日(日)

今日から図書館が開館。
暮れに頼んであった本が来たというので、取りに行く。
ブラントーム作、小西茂也訳の「ダーム・ギャラント」。
”Les Dames Galantes” がフランス語の原題である。
文字通りの意味は「優雅な貴婦人達」とでも言うのだろうか。
しかし、実は別の意味がありそうである。
ひょんなことで、この本を読む羽目になった友人が、暮れの忘年会で話題にしたことから、私も野次馬根性で読んでみることにした。
16世紀に書かれた一種の艶書である。
近くの図書館には置いてないので、都立図書館から取り寄せて貰った。
今にもページが溶けそうに痛みの激しい本で、特別の箱に保護されて届いた。
昭和27年発行だから無理もない。
私の家には、父の代からの、100年近く経った本があるが、大事に扱っているので、いまだに印刷も製本もしっかりしている。
公共の場に置いてあった本は、半世紀保つのが珍しいのかも知れない。
件の本には、フランス王朝期の、上流社会における艶話が、挿絵入りで克明に書かれているようだ。
日本の源氏物語もそうだが、貴族の男女関係というのは、相当乱れていたらしく、それは古今東西を問わないらしい。
友人がそんな本を何故読む羽目になったのか。
私は見たことがないので、間接的に聞いた話だが、どこかのサイトの読書に関するページで、誰かに仕掛けられたらしい。
その周辺の事情の方が、面白いドラマになりそうである。

似たようなことを、別の人から聞いたことがある。
その人は、あるところで、ある男性から、「こんな本がありますよ」と、こっそりメモ書きを渡された。
「性愛対話」という題であった。
どうして?といぶかる彼女に、「ちょっと面白かったものですから」と言われ、地元の図書館に行って、借りてきた。
それぞれ夫があり、妻がある人同士の、恋愛に関する内容で、往復書簡になっている。
すぐに読み終わり、面白い本を教えていただいて有り難うございましたと、鄭重な葉書を出した。
内容に一切触れなかったのは、彼女の賢さである。
それに対して、向こうからは、返事はなかった。
あとになって何かのついでに、どうしてその本を自分にすすめたのか、さりげなく訊いてみると「そんなことがありましたっけ」と、相手は話を逸らせてしまったそうだ。
人に特定の本を薦める時は、何か意味があるか、その本にメッセージを籠める場合である。
彼女は、釈然としない顔で、私に話してくれた。
「試されたのよ。性愛に関する本なんて、普通は女の人に、ストレートには、すすめないわよ。その人は、あなたをからかったのかも知れないし、何か意図があって、あなたの反応を見たかったんじゃない?」と私は言ったが、今度の「ダーム・ギャラント」の一件で、同じようなケースだなあと、思い出した。
前の話と、今回の場合と、両者の間に、知己の関係はないから、私は余計なことは言わないが、教養ある女性に、艶書などすすめる男性というのは、一体どんな人物なのか。
そちらの方に興味がある。
そして、頭のいい彼女は、きっと仕掛けを上回る反応を示して、相手の鼻をあかせることだろう。



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