人の幸不幸、喜びや悲しみに関わりなく、年は巡ってくる。 子どもの頃の1年は長かったような気がするが、ある年からは、時の流れが速い。 10年が束になって、飛んでいく感じである。 考えてみると、イギリスで暮らしたのはついこの間だったような気がするのに、帰国してすでに15年経っている。 この15年は、本当に速かった。 息子が結婚して、すでに10年が過ぎた。 息子が妻を迎え、新しく所帯を構えて家を離れたとき、夫の友人から「これからは、自分の楽しみを持ちなさい」と言われ、連句を勧められた。 心が動いて、連句を始めたが、それも10年経ったことになる。 勧めた友人の方は連句を離れ、いくら誘っても、やろうとしない。 10年の間に、あんなにしっかりしていた両親は老いを深め、夫も私も最近心身の疲れを感じるようになった。 これからの10年は、確実に死に向かっていくのだが、果たして、今の精神生活が保てるかどうか。 考えると恐ろしい。 しかし、私は、元来楽天的なところがあるから、その日その日は、さほど悲惨なことも、不幸な思いをすることなく過ぎていくのだろう。 人との出会いや別れを繰り返しながら、傷ついたり、喜んだりして、また1年経つのだろう。 大晦日の街を歩きながら、そんなことを思った。 その息子夫婦が、暮れからハワイに出かけてしまった。 例年、息子の妻が、おせち料理を拵えて持ってくる。 姑が、料理の下手なことを知っているからである。 暮れまで働いて、やっと時間が出来たところで、素早く買い物と料理作りをし、車に詰め込んで持ってくる。 私には、とても出来ないことなので、いつも感謝して、彼女の才覚に任せている。 息子達は、大晦日から元日の二日まで、我が家で過ごし、そのあと、今度は彼女の実家に泊まりに行く。 今年は、暮れのうちに、「実はハワイに行きたいんだけど・・」という話があり、夫も私も賛成した。 嫁にとって、夫の実家で過ごす正月は、気働きばかりが先に立って、休めないことを知っているので、いつも、かわいそうだと思っていた。 なかなか夫婦で一緒にまとまった休みも取れないので、今回は、いいチャンスだから是非行ってらっしゃいと送り出した。 除夜の鐘の鳴る頃、息子から電話。 向こうの時間だと早朝の五時くらいである。 「気を使ってるんだよ」と夫が言った。 いつもと違って、夫婦ふたりの静かな正月となり、もうおせち料理もいいわねということになって、今朝は、少しばかりの料理を並べて新酒を酌み交わし、午後から義弟の家に出かけた。 例年なら向こうから一族揃ってくるところ、今年はこちらから行くことになった。 私たちは長男長女、正月に親戚が来ることはあっても、自分から行くことは、ほとんどないのである。 快晴とは行かないが、寒さもそれ程でなく、湘南電車に乗って、義弟の家に着いた。 甥夫婦、姪も揃って、迎えてくれた。 飲んだり食べたり、充分愉しんで帰ってきた。 行きも帰りも、電車はすいていて、道路も順調だった。 初詣の帰りらしい人たちにも、会った。 2004年の最初の日は、穏やかに終わりそうである。
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