沢の螢

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夢のありか
2003年10月10日(金)

私は睡眠時間は、それ程多くない。
短い間に熟睡するほうである。
健康なときは、6時間ぐっすり寝れば、疲れは快復する。
そして、めったに夢はみない。
しかし、何かで、興奮しているとき、考え事をしたり、悩みがあるとき、あるいは、体調の悪いときは、夜中にしじゅう目が覚めるし、長い時間寝ている割には、すっきりしない。
そして、そんなときは、必ず夢をみる。
2,3日前から風邪を引き、熟睡していないせいか、このところ、バカに夢をみる。
目が覚めれば、記憶に残っていないことが多いが、時に、妙に鮮明に、夢の内容を覚えていることがある。
登場した人の名前、顔が判っている場合は、もちろんだが、知らないはずの人まで、絵心があれば復元できるくらい鮮明に顔かたちが浮かぶことがある。
夢というのは、心理学的に言うと、やはり、現実の世界と、深く関係があるのだろうか。
フロイトに依れば、さまざまな分析が出来そうだが、その辺は、詳しくないので、単純に夢は夢として、愉しんだり、ちょっと考えたりする。
漱石「夢十夜」風に、こんな夢をみた、と始めてみよう。

長い道を歩いていた。
遠くに高い建物があり、そこに行こうとしているのに、いつまで経っても、建物の大きさはそのままだった。
はじめは一人だった。
そのうちに、となりに誰かが一緒に歩いている。
横を向こうとしても、なぜか首が回らないので、その人の顔を見ることが出来ない。
しかし、知っている人のような気がした。
多分あの人だと思った。
そのうちに、隣からタバコの煙が漂ってきた。
タバコを吸わないはずの人が、なぜタバコを吹かしているのだろう。
私は前を向いたまま、「タバコはやめてください」と言った。
すると、その人は、「あなたは何でも否定形でものを言うんですね」と答えた。
そして「ふふふ」と笑う声がした。
それが女の声だった。
いつの間にか、もうひとり増えていた。
3人が横に並ぶと、道が狭くなるわと言って、そちらを見ると、誰もいない。
前を見ると、2匹の白い生き物が、走っていく。
「ふふふ」という声が遠ざかっていった。
追いかけようとするのに、足が進まない。
叫ぼうとするが、声が出ない。
生き物のうちの一人が振り返った。
手で、目を隠し、長い舌を出した。
もうひとりの生き物は、そのまま建物に入っていった。
「待って」と言ったが、声にならなかった。
目隠しをした生き物が、「ふふふ」と笑いながら、建物に入っていった。
そこで目が覚めた。

なぜこんな夢をみたのかわからない。
直後は、もっと細部まで覚えていたが、だんだん忘れてしまって、残っているのは、かけらのような、断片的な場面である。
脈絡のない、何も話に関連性のないのが、夢というものなのだろう。
バスや電車に乗っているとき、吊革につかまって、ぼんやりしているときにも、一瞬ではあるが、夢のようなものを見ることがある。
そして、すぐに、消えてしまう。
夢だったのか、ふと浮かんだ考えだったのか、判然としない。
忘れてしまうと言うことは、考えと言うより、一瞬の夢か幻と見た方がいいのだろう。
ホンのたまに、惜しかった、続きを見たかったと思うところで、目が覚めてしまうことがある。
慌てて、もう一度目をつぶっても、続きを見ることは出来ない。
「折角いい夢を見てたのに」と、恨めしい。
夢を食べてふくらんだ貘のお腹の中を、覗いてみたいものだ。



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