沢の螢

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待合室
2003年09月01日(月)

病院、医院の待合室は、社会の縮図みたいな処がある。
私は、今世紀に入ってから、市の健康診断で行く以外には、ほとんど医者に掛かったことがないのだが、今回、「骨折り」で止む終えず、整形外科に行くことになった。
先週月曜日、ギブスを嵌められ、今日また行った。
もう痛みもほとんどないので、ギブスが外れるつもりで行ったら、「骨が5ミリずれてます」と言われ、またしっかりとギブスをした姿で、帰ってきた。
先週は待ち時間1時間、今日は、特別込んでいて、1時間40分待たされた。
待合室の会話や、人の動きを観察していると、なかなか面白いことがある。

私の近くにいた母と息子の会話。
息子は膝を痛めたらしく、股のあたりまで付帯で巻いた姿、母親は、小柄だがしっかりタイプ。
息子は、長い事待たされてイライラしている。
息子「ねえ、こんなに長く待つのイヤだよ」
母「だってしょうがないわよ。月曜日はいつも込むんだから」
息子「順番通りにやってるのかなあ。あの人あとから来たのに、先に呼ばれたよ」
母「リハビリの人は早いのよ。それに、診察券だけ先に出してあったかも知れないでしょ」
息子「じゃ、そうすれば良かったのに」
母「だって、いつも込んでるわけじゃないし、2度も来るのはイヤだもん」
そのうち、やっと順番が来て、母子は診察室に呼ばれる。
続いて、レントゲン、診察室と一連の流れのあとで
母「ほら、先生が、家でもリハビリしなくちゃダメだっていったじゃない。」
息子「リハビリなんてイヤだよ。続かないよ。近くの医者でやってもらうよ」
母「お医者にかかれば、その都度お金を払わなくちゃならないけど、うちでやればタダじゃない。やり方を教えてもらったんだから出来るわよ。」
息子「だって、うち狭いもん。すぐにあちこちぶつかって、痛いんだよ。近所の医者に代わりたいって、頼んでよ」
母「そう言うわけに行かないわよ。またレントゲン摂られて、初診料払わなくちゃならないもの」
息子がしきりにゴネて、母親がなだめたりすかしたりの会話は、思わず聞き惚れてしまうくらい、面白かったのだが、うまく再現出来ないので、止める。
この親子、母親は60代後半くらい、息子は40前後かと思われた。
マザコンというのは、こういう男のことかなあと思いながら、駄々っ子をあやすがごとき、母親の巧みな誘導に感心してしまった。
「あの母親は長生きするよ」と、連れ合いが言った。
やがて、会計を済ませた親子。
体の大きな息子を車椅子に乗せ、小柄な母親が、それを押して、帰って行った。

私の隣に腰掛けていた老婦人が話しかける。
「私、俳句の先生してるのよ。オタクどの辺に住んでるの」
私が地名を言うと、
「あら、じゃ、うちのほうのコミセンに来れるでしょ。6人ぐらいで愉しくやってるのよ。来ない。第3土曜日の午後からよ」
ちょうど、連句の会合と重なっている。
「あいにく・・・」と断った。
「アラそう、俳句なんかやりそうな顔に見えたのに、残念ね」
俳句顔って、あるのだろうか。
美人じゃないという事だけは、わかる。
俳句の話が消えたと思ったら、3年前に入院したいきさつやら、外国旅行の話、「今はね、何か目的を持たなくちゃいけないから俳句と、絵に絞ってるの」等々、話の聞き手を勤めさせてもらった。
「アラ、ご主人どこにいるの。奥さんほっといてダメじゃない」と、ほかの患者の邪魔にならないよう、隅っこで小さくなっている私の連れあいを、側に呼んでくれた。
80歳だという。
「来てみたら、リハビリがひとつ増えて、薬もよけいに飲まなくちゃいけないなんて、ガッカリだわ」といいながら、帰っていった。



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