| 2003年07月05日(土) |
『童貞くんと100斬り』(隼人×直也) |
「あ、童貞くんだ」
学校帰りに一人で歩いてると、あの「恋愛セレブ」こと久米直也に遭遇してしまった。 こいつはいっつも俺らのこと馬鹿にしたように見てくるからすっげムカツク。 100斬りだかなんだかシラねエけど、そんなの羨ましくもなんともねーよ!・・・多分。
「相変わらず、一人身なのかよ」 「うっせーな、悪いかよ!」 「いや、悪くないし。むしろ羨ましいぜ。俺も戻れるなら純情だったあの頃に戻りたいしなぁ」
でたよ、また嫌味が! 演技かかったものの言い方が余計むかつく。 童貞捨てたことがそんなにエライのかよ。 ただ、ヤってるかヤってないかの違いだろ。それだけのことなんだよ。 そう、それだけのことなんだっつーの! それに、俺らは純潔を守るって決めたんだ。本当に好きな人に捧げるって決めたんだ!
「純潔ねえ・・・」 含み笑いを浮かべながら言われて、また馬鹿にされてんだろって思って久米の顔を睨もうとしたら。イキナリ顔を近づけてきて、慌てた。 「な、なんだよ!」 アップで見るやつの顔は、女子共が騒ぐだけあって整ってて。っていうかかっこいいっていうよりも・・・・・美人。 金髪と赤い唇と。見つめてくる視線がエロくて。 なんだよ、何ドキドキしてんだよ俺! 逃げようとしてんのに、逃げられなくて焦ってたら。イキナリ笑顔浮かべられて。 それがめちゃめちゃキレイで。凶悪・・・・と思ったとこに爆弾落とされた。
「その純潔、俺が奪っちゃおうかな〜」 「え・・・!?」 「守るといわれたら、奪いたくなるんだよね」
何いってんだよ、こいつ!奪うってなんだよ・・・・・ヤらせてくれるってこと? 童貞、捨てさせてくれるってこと・・・・? 視線にドキドキして、逸らすと唇に目を奪われて。そこで俺に見せつけるように赤い舌で唇を舐める仕草をされて。 はっきり言って、俺の理性は限界に達しようとしてた。
純潔同盟、解散してもいい!
勢いのまま欲望のまま、目の前の久米をいただこうとした瞬間。 「な〜んてな」 するりとかわされる腕。え?と思った瞬間、冗談だよっていつもの嫌味な笑顔されて。 「じゃ〜な。童貞くん」
そのまま目の前から遠ざかるやつを、呆然と見守ってしまった。 あとに残されたのは、空を切ったこの両腕と欲望。
また、からかわれたのか、俺?
あいつが見えなくなって、やっとそのことに気付いた。
「くっそーーーーー!!」
俺の純情を返せ!!!
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