| 2003年03月11日(火) |
『イジワル』(内ヒナ) |
村上くんの笑顔見たら、自然に笑ってるぼくに村上くんは「ニヤけるんやないの!」ってよく叱る。 「せっかくのオトコマエが台無しや」ってよく言う。 やって、村上くんの笑顔見たら、嬉しなるのはしゃーないやん。 スキな人の、大好きな顔見れたら、幸せや思うやん。 しかも、自分にだけしてくれた笑顔やったら、嬉しくなるやん。嬉しいて、ニヤけてしまうんも仕方ないやん。 そう言うと。村上くんはイジワルそうな笑顔浮かべながら 「やったら、内の前で笑わんようにしよ」 なんて言ってくる。 なんで!?と問うとキッパリと。 「俺が笑うとそんな情けない顔になるんやったら、笑わないでいればオトコマエをキープするんやろ?」 なんて言うから。 ぼくは悲しくて悲しくて。涙出そうになるのをじっと耐えてた。
村上くんの笑顔が、見れなくなるん? 大スキな、一番大スキな笑顔が、見れなくなるん? みんなには笑うのに、ぼくにだけは笑ってくれへんの? そんなん、いやや。
また「情けない顔してる」って言われるからと思って。 一生懸命耐えてたけど涙が溢れそうになって、見られたくなくて下向いた。 そしたら。
「ごめん、内」
イジワルやったな、って言いながら村上くんが頭をゆっくりと撫でてくれたから、恐る恐る顔をあげると困ったように笑ってる村上くんがいた。 ぼくの大スキな、笑顔や。 思った途端、安心と嬉しさから耐えきれなくて涙出てきたら、村上くんは頬に手を伸ばして涙を拭ってくれた。 その手が暖かくて、また泣きそうになったけど。
「ほら、男の子なんやから泣くな」
言って、村上くんはぼくの頬にキスを落としてくれた。 ビックリして顔をじいっと見ると、真っ赤になって顔を逸らされてしまった。 それを見て、今してくれたことが現実なんやって思ったら、一気に涙が引っ込んだ。
村上くんからの、ちゅうや・・・!
嬉しくて笑いながら村上くんに抱きつくと「暑苦しいわ」と頭をはたかれた。 やけど、抱きついた手を離そうとしないことに気づいて、また嬉しなった。
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