妄想日記 

2003年02月14日(金) 切ない恋に気づいて(純アニ)

真夜中に帰ってきた兄貴は、自分の部屋には戻らずに人のベッドに寝転がっていた。
机に向かってた俺は、ノックと共に入ってきて「あったけー」と言いながらベッドに横になった兄貴を見てため息をついた。
こんな光景は珍しいことではない。つうか、ほぼ毎回のことだったから今更なんだけど。
それでも、部屋の住人である俺をまったく無視してる状況もどうなんだよ、と思って。
「兄貴、部屋に戻らないのかよ」
なんとはなしに言うと。
「だって俺の部屋寒いんだもん」
ゴロンと転がりながら言う兄貴に、あからさまにため息をつくと拗ねたような表情を浮かべた。
「だって暖房入ってないんだぜ?めっちゃ寒いってーの!」
そんなの、今帰ってきたんだから当たり前だろう。
けど、それに気づいてない兄貴はベッドの上で幸せそうな顔を浮かべてる。
それ見たら「ま、いいけど」なんて思ってしまう自分に呆れながら、机に視線を戻した。




しばらくくつろいでた兄貴が、眠くなったらしくウトウトし始めた。
そのまま寝られたら自分の寝るとこがないと思って「寝るなら部屋戻れよ」と言うと。
「ここで寝ようかな」
なんて言い始めた。
「あったかいし、ここで寝てもいい?」
寝転がったままだったから見上げる視線は「上目使い」なわけで。
ベッドの上でそんなことされたら、思うことは一つ。
「それって、誘ってるわけ?」
「はあ?何言ってんだよ」
呆れたような兄貴の声を無視してベッドに近づくと、横たわるカラダの横に手をついた。
いわゆる「押し倒した」格好になると兄貴は慌てたように体を動かしてきた。けど、それぐらいで揺らぐような柔なカラダをしてるわけなく。そのまま顔を近づけると本格的に暴れ始めた。
「誰も誘ってねーってば!」
キスしようとしたら顔を背けるから、無防備になった首筋にキスを落とすと兄貴は泣きそうな声で自分の無実を証明しようとしてきた。


けど、さあ。

好きな人にここで寝たい、なんて言われたら。
誘ってるとしか思えないし。


しかも、無防備にベッドに寝転がったりされたら。
食べたくなるのが男ってもんじゃないの?


「そんなつもりじゃねーよ・・・・」

泣きそうな声で訴えてくるけど、もちろん却下。
まだ何か言おうとする唇を強引に塞ぐ。






わかってる。
兄貴がそんなつもりはないってこと、わかってる。
けど、それじゃ嫌なんだ。
自分の前で無防備な姿をされるたび。意識されてないって思い知らされるようで。
『弟』という枠から出てないて感じて。




胸のドコか奥が痛くなった。


 < 過去  INDEX  未来 >


薫 [MAIL]

My追加