| 2002年03月23日(土) |
チャンス(オカツカで三宅さん視点で例のゲームネタ) |
「健くん」 「ん?なに?」 「あのさ・・・・なんかオススメのゲーム貸してくんないかな?」 「は?どうしたの急に」 「いや・・・共演者でさ、貸してほしいてやつがいるからさ」 「へええ」
岡田は今「キャッツアイ」っていうドラマを撮ってる。 あんまり人懐っこくないから、うまくやってんのかなあなんて心配してたけど。 その岡田から共演者の話が出たから意外で、だけどうまくいってんだなあって思うと安心した。 「じゃ。今度何本か持ってくるよ」 「ああ、ありがとう」 そのときの岡田の表情は、安心したような、嬉しいような。 いつもと少し違う、あまりみたことないような顔を浮かべてた。
「なんか、あった?」 「え?なんで」
なんでと聞かれても、俺もなんて答えていいのかよくわかってないからそのときは曖昧に流したけど。 だけどそんときの岡田の表情がなんかずっと覚えてた。 ゲームを渡したときも、そのときと同じような表情を浮かべてて。 なんか、変だよなあって疑問を残しながら、そのときはそれで終った。
その謎は数ヶ月後。 思ってもみないとこから判明した。
「三宅〜!!」 井ノ原くんが俺の顔を見るなり名前呼んできたので、俺またなんかしちゃったかなあなんて思った。 だけど井ノ原くんの顔はなんだか嬉しそうに笑っていたので少しホッとしながら、 「オマエ、この前岡田にゲームソフト貸してたよな?」 「うん」 なんでそんなこと聞かれるんだろうと思ったけど、あんときのことだろうと思って答えたら、その途端井ノ原くんはすごい笑顔になった。 笑顔っていうか、ニヤニヤした笑いっていうの?そんな表情を浮かべてた。 「やっぱりな〜」 一人納得して、笑いっぱなしの井ノ原くん。 質問するだけして説明なしだから、俺には何がやっぱりなんだか全然わかんないっつーの。 「よくやった!」なんて褒められても嬉しくないって。 「井ノ原くん」 「おお〜よくやったなあ三宅!」 「だから、なにが?」 ちょっとキレ気味に言うとやっと井ノ原くんは気付いてくれたらしく。 謝りながら、手のなかにあったものを差し出してきた。 なんだろうって見ると、なんてことはない井ノ原くんの携帯だった。 何が言いたいんだかぜっんぜんわかんないってば。 思いっきり顔に出すと井ノ原くんは少し慌てながら携帯画面を指差した。 「とりあえず、これ見てみ」 言われて、わけわかんないままを覗くとそこには文字が映し出されていた。 なんだろうなんて思いながら読んでいくと、見知ったメンバーの名前が出てた。
「岡田くんにゲーム借りた・・・・・って誰が?」 「いいから、下まで見てみ」
そのまま下をスクロールしていくと、ある名前が出てきた。 今俺らの中で最も有名な人物の名前。
「塚本高史」
岡田の思い人である、塚本の名前が出てきた。
「これさ、塚本くんの日記なんだよね」 「はあ?」 「塚本くんの公式サイトでさ、メールで塚本くんの日記が配信されるってのがあるんだよ。それがこれ」 これって言われても・・・・・ 色々ツッコミたいことはあるんだけど、とりあえず最初にこれだけは言いたい。
「井ノ原くん・・・・・なんでそれが井ノ原くんの携帯に送られてくんの?」 「え?登録したから」
いや、それはわかってるっつーの!!! とぼけたような顔(本人は真面目なんだろうけど)で的外れなこと言われて、叫びだしそうな気持ちを一生懸命抑えた。 短気は剛の専売特許だし・・・・・なんて自分に言い聞かせながら、もう一度聞いてみた。 「いや、塚本関連の情報って全くわかんねーじゃん。だからちょっとでもわかったらいいなと思ってさ」 まあ、確かに俺達はこれ関連に関してはまったく弱いってことがこの前の話合いでわかった。 岡田のために何かしようと思っても思いつかなくて、そんときはとりあえず情報を仕入れようなんてことで終ったんだけど。 それから俺も雑誌見るときはチェックしたりしてたけど。 まさか、井ノ原くんがここまでしてるなんて思わなかった・・・・・ だって、俺ら一応「アイドル」だよ? しかも「天下のジャニーズ」の一員だよ? それが男の俳優のファンサイトに登録って・・・・ありえねえ、ありえねえよ!
「すげえよ・・・・井ノ原くん・・・」 「は?何が?」 「いや、なんでもない」
本人なんも思ってないとこがさらにすげえよ。 ある意味目的を達成するために真っ直ぐにそれに燃える井ノ原くんの、こーいうとこ尊敬する。
「で、話戻すけど。岡田に借りたっていうゲームってもしかして・・・?」 「あんときのだろうな」
ああやっぱり。 なんか変だなあと思ったけど、こーいうワケだってんなら納得する。
「恋する男って変わるよな」 「ああ、あの岡田がだもんなあ」
岡田って、なんに対しても少し冷めてる感じがしてた。 いっつも俺らが騒いでると一歩後ろで見てる感じで。 だから、なんに対してもあんまり燃えないのかなあとか思ってた。 その岡田が、恋に一生懸命になってるなんて。 すげえなって思った。
「けど、これチャンスだよね」 「そう!これ貸してるってことは、返すために会わないといけないってこと。逢うキッカケがあるってことなんだよ!」 「だよね!しかもあっちが気にしてるっぽいし!あっちから電話くるってことじゃん!」 「そ〜なんだよ!だからよくやった!よくぞ貸した!」
一気にテンション高くなる俺と井ノ原くん。 幸先いいぞ!とか嵐に負けてらんないぞ!なんて叫んでたら。
「ストップ!」
いつのまに来てたのか長野くんが俺と井ノ原くんにストップをかけてきた。 「なんだよ〜水差すなよ〜」 俺達がブーブー言うと、長野くんは少し真剣な顔で重大な事実を告げてきた。 「よく考えてみ。オフ会があるんだよ?そん時についでに返そうなんて思われてたらどうすんの」 「・・・・ああ〜!!」
なんてこと!そんな盲点があったなんて!!
「そうだよ、普通なら逢うってわかってんだからそん時に返そうって思うよな」 「わざわざ連絡とるよりいいもんな」 同時に叫ぶと、俺と井ノ原くんは頭を抱えた。 折角のチャンスなのに、ついでに使われたらもったいねえよ! だけど、どーすりゃいいんだよ! 「どーしよ、井ノ原くん!」 「どーしよって・・・どーしよ、長野さん!」 「えぇ、俺?・・・先に岡田から連絡取らせたほうがいいんじゃない?」 「なんて?!」 「久々にゲームプレイしたくなったから、返してほしいんだけどとか言ってさ」 「・・・・おお!頭いい!!」 「さすが長野くん!」 「そうと決まれば、岡田に連絡!」 「ラジャ!」 「いや、これから来るだろ」 「あ、そうか」
落ちつけよなんて長野くんからツッコミが入って。 俺達は岡田を待つ間、とりあえず落ちついて次の策を練ろうってことになった。
「結局塚本はゲームしてないんだろ?ならその辺ツッコンでゲームプレイさせれば?」 「そっか。わかんないとこ教えてやるからとか言ったりしてさ。そうすれば詰まるたんびに電話かかってくるし!」 「いいねえ、それ!それにしよう!」
こうして本人のいない間に次の作戦は早くも決まった。 『岡田の恋を応援しようの会』は着々と大きくなっていった。
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