Monologue

2010年04月11日(日) こんな進化はイヤだ!

(30話中盤『ナイトメア・ドーパント』に吹っ飛ばされる翔太郎)

「な、な、何か武器は有ったっけな?」

翔太郎はズボンのポケットをごそごそ探ってみる・・・と、
右指の先につるんとした硬くて丸い感触が触れた。

僅かな希望を抱きながら取り出してみた・・・が、

「ええぇぇぇ〜ッ!?『フロッグポット』かよ!?」

録音した音声を再生する機能しか持たないメモリガジェットに、
翔太郎は絶望的な声を上げる。
あともう一つは『バッドショット』だ。

とりあえず、ダメ元でギジメモリを挿入し
『ナイトメア・ドーパント』に向かってポイと放り投げると、
『フロッグポッド』はピョンピョン跳ねながら、
“やめてよぉ!今そんな気分じゃ無いしぃ・・・”と云う台詞を白雪姫香の声で再生した。

「えっ?ひ、姫香リン?」

一瞬だけ『ナイトメア・ドーパント』は動きを止めて、周囲をキョロキョロ見回す。

「お?意外に効果有るじゃねェか・・・!」

・・・と、思ったのもつかの間、
すぐに『ナイトメア・ドーパント』は『フロッグポッド』には見向きもしなくなり、
再び翔太郎に攻撃を仕掛けて来た。

「うっわぁぁぁぁ〜〜ッ!やッべぇ〜〜〜ッ!」

続いて投げ付けた『バッドショット』も大して効果は無く、
激しい攻撃を受け、地面にゴロゴロと転がった翔太郎の頭上に
『ナイトメア・ドーパント』は、

「遊びは終わりだ!今度の一撃で楽にしてやるよ!」

「て・・・っめェみてぇなひきょうモンにやられて堪ッかよ!」

「寝言は寝てから言え!」

キッと鋭く睨み付けながら不敵に言い返す翔太郎に向かって、
居丈高に言い放つと『ナイトメア・ドーパント』は、
カッ!と大きく拡げた右掌から火の球を放った。

反射的に腕で身体を覆う翔太郎を、まるで庇うかの様に、
空の彼方から飛来した鳥の形をしたメモリガジェットが、
その小さな身体で火の球を受け『ナイトメア・ドーパント』に向かって弾き返した。

「うわぁぁッ!」

己が放った火の球をそのまま跳ね返された『ナイトメア・ドーパント』は一瞬怯む。

鳥の形をしたメモリガジェット・・・
『エクストリーム・メモリ』は空中で数回旋回すると、
翔太郎の瞳の前で緑の光をパァァァッと放った。

そして、その光の中から一人の人物が姿を現す・・・

「や!えらい遅くなってしもて、すんまへんな!」

緑の光の中から現れ、片手を上げて軽く頭を下げているのは相棒のフィリップ・・・
ではあるのだが、
長い前髪をクリップでは無く、黒ゴムで一本に結わえ、
超ド派手な柄のジャケットを羽織りセカンドバッグを抱え、
ガムをくちゃくちゃ噛んでいる・・・
その風体は普段の彼とは似ても似つかない。

「再会の挨拶はまた後でさせてもらいますよってに、
まずは『ナイトメア・ドーパント』を倒して、皆を起こしまひょッか?」

「フィ、フィリップ?
ど・・・どうしちまったんだ?お前?その格好・・・しかも何で大阪弁なんだ?」

あまりにも信じ難い相棒の変わり様に、
翔太郎は右手の人差し指をガタガタと震わせながら突き付ける。

「あん?ああ・・・これでっか?
いやぁ〜さっき僕、『ウェザー・ドーパント』の電撃喰らって死に掛けましたやろ?
で、シュラウドはんが治療してくれはったんやけど、
そん時にどうやら僕『進化』してしもうたみたいなんですわ・・・」

「し・・・『進化』だぁぁぁ?」

フィリップは「ハイ」と答えて肯くと嬉しそうにニコニコ微笑しながら、

「いやぁ・・・
これからは大阪出身の中の人(○田将○君)が、
アクセント違いのNG出さなくて済む様になるからエエわ・・・
ほな!行こか!翔太郎はん!」

そう言いながら『サイクロン・メモリ』を取り出して身構えるフィリップに、
翔太郎は呆然と呟く。

「なぁフィリップ、
俺・・・お前のその変化ってゆ〜か『進化』っつ〜か・・・に、
ちょっと追いてけそうにねェわ・・・」

「なんやて?」

カチン!と不機嫌そうに眉間に立皺を寄せるとフィリップは、
翔太郎に思いっ切り喰って掛かる。

「いきなり何言うとんねんや?
僕のパートナーは翔太郎はん、たった一人だけなんやで?
僕の『進化』に、しっかり追いて来な、あかんやろ?!」

「『進化』だか何だか知んねェけど・・・フィリップ!
お前、あまりにも今までとキャラが違い過ぎるだろうがッ!」


次回 『Sの策略/あの男とはもう別れなさい』

シュラウド 「これで来人はあの男と手が切れるわ・・・
        あの子を、あんなうだつが上がらない女ったらしの私立探偵の嫁になんて、
        絶対させてたまるもんですか!
        キャリア組でお金持ちの竜と結婚する方があの子にとって幸せなのよ!」

頑張れ翔太郎!負けるなフィリップ!
障害が有れば有る程、愛は熱く燃え上がるのだっっっ!


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