Monologue

2010年03月30日(火) こんな眠り姫はイヤだ!

「リリィ白銀を救えたのはキミのお陰だよ、照井竜・・・」

『インビジブル・ドーパント』ことリリィ白銀の事件が無事解決した後、
『鳴海探偵事務所』でフィリップは竜に向かって嬉しそうに瞳を輝かせながら言った。

「あの危険なメモリ摘出方法を躊躇無く、しかも正確に行うとは・・・凄い男だよ、キミは。
・・・・・・・僕のハートも逮捕されちゃったよ。」

恥ずかしそうに頬を桜紅色に染めながら小声で呟くと、
フィリップは竜の肩を両腕で抱き締め、
左頬に“チュッ”と可愛らしい音を立ててキスをする。

「何だよ!人が寝てる間に妙に仲良くなりやがって!」

ベッドで寝込んでいる翔太郎の悔しそうな声が背後から聴こえるが竜は全く気に留めない。

「フィリップ・・・
俺への礼のキスなら、もう少し右にズラして・・・その・・・」

照井・・・じゃなかった、
照れながらゴニョゴニョと恥ずかしそうに口籠る竜の態度に
“え?”とフィリップは訝しそうに眉を顰めた。

「亜樹ちゃんや翔太郎が見てるのに?・・・キミって意外と軽いんだね?」

絡めていた両腕を竜の肩から解くとフィリップは拗ねた様に頬を膨らませて、
ふいっ、と背中を向けた。

「す、すまないフィリップ!俺はそんなつもりじゃ・・・」

向けられた背中に向かって慌てて言い繕う竜の瞳の前で、
くるっと振り返るとフィリップは纏やかな唇の上に意味深な微笑みを浮かべる。

「照井竜・・・
 キミは知らないのかい?キスされた後の仲直りの儀式を・・・」

「え・・・っ?」

予想外の言葉に不意を突かれた竜の心臓が“ドクン!”と大きな音を立てた。

(そう云えば、さっきフィリップは俺を殴った時・・・)

“これは翔太郎に教わった、殴られた後の・・・仲直りの儀式さ”

(・・・と云う事は、まさか・・・!)

ツヤツヤと潤ったフィリップの唇が、まるで竜を誘う様に煌いている。
その唇に魅せられたかの様に竜はフィリップの両肩に掌を乗せると、
自らの唇をそっと近付けて行く・・・

「左も粋な事を知ってる・・・」



「よっぽど良い夢を見てるみたいね・・・竜君てば」

竜が眠ったまま瞳を覚まさなくなってしまったと云う知らせを受けた亜樹子とフィリップは
彼が住むマンションの部屋にやって来た。

竜は柔らかいベッドの上で幸せそうな微笑を浮かべながら、
スヤスヤと安らかな寝息を立てている。

「何だか・・・起こすのが悪いみたいな気になるねェ・・・亜樹ちゃん」

左手の人差し指で自分の下唇の縁をなぞりながらフィリップは呟く。

「でも!ここは心を鬼にして起こしましょう!行くわよ!フィリップ君!」

「わかったよ!亜樹ちゃん!」

“せぇの!”と声を揃えながら二人は金文字で“起きんかいボケ!”と書かれた
緑のスリッパを同時に竜の頭に“スッパ〜ン!”と思いっ切り叩き込んだ。

次回 『Hな眠り姫/決死のツインスリッパ!』

「ダメだ・・・亜樹ちゃん、やっぱり起きないよ」
「やっぱ来週まで待つしかないわね・・・」

そんな訳で来週もお楽しみに!・・・なんちって(^^;)


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