| 2010年03月01日(月) |
こんなリクエストコーナーはイヤだ! |
“ただいまの曲は『Queen&Elizabeth』さんのデビューシングル『Love♡Wars』でした。”
「へぇ・・・大したモンだな、クイーンとエリザベスも・・・。 自分達の歌が、こうやってちゃんとラジオで流れるんだもんな。」
ある日の昼下がり、 『園崎若菜のヒーリング・プリンセス』を、 フィリップはいつも通りラジオの真ん前に陣取って、 翔太郎は自分のデスクで資料整理をしながら聴いていた。
“さて次の曲は、最近リクエストが増えている謎のデュオ『仮面シンガー』さんで 『Finger on the Trigger』です!“
「翔太郎!僕達の歌が若菜さんのラジオで紹介されてるよ!」 「えっ?マジかよ?」
翔太郎は思わず声を上げながら立ち上がると、 フィリップの背中にピッタリと身体を密着させ、二人一緒にラジオに耳を傾けた。
それは間違い無く、 先々週の『フーティックアイドル』の番組内で二人が熱唱した音源だった。
やがて曲は小さくフェイド・アウトして消えて行き、 スピーカーからは再び若菜の声が流れ始める。
“凄いですね!『仮面シンガー』さん! 惜しくも1週目でジミー中田に負けてしまったんですが、 最近ジワジワと彼らの曲のリクエストが増えているそうです!“
「お!俺達、凄ェじゃん!」
翔太郎の嬉しそうな言葉にフィリップも微笑いながら肯く。
“私も『仮面シンガー』さんが出演した回の『フーティックアイドル』は、 自宅のTVの前で父と観てたんですけど、 フィリップく・・・あ、いえ、黄色いマスクの子がとっても素敵でした。
マスクしててもなかなか端正な顔立ちなのが判って・・・ 若菜、大FANになっちゃいました!もうハートがフルフルです!“
「・・・だってよ!良かったな、相棒!」
翔太郎はラジオの前で耳まで真っ赤に紅潮させているフィリップの頭を右拳で、 コツンと軽く小突いた。
“あ!? 今、ブースの外にフィリップ君・・・じゃなかった、 フリップが出たんですけど、 今度『仮面シンガーさん』に『ヒーリング・プリンセス』に、 ゲストとして遊びに来てもらうと言うのはどうでしょう?“
「どうする?相棒、若菜姫がラジオに遊びに来てくれって言ってるぜ?」
「え?そ、そんな! わ、若菜さんの瞳の前になんか行ったら、僕、何も話せないよ・・・。」
“ああ!若菜さん!僕のハートもフルフルだよ・・・!”と、 ときめきに激しく脈動している心臓の真上を右掌で押さえつつ、 うわ言の様に呟いているフィリップを眺めながら、 翔太郎は可笑しそうに鳶色の瞳を細める。
“もちろん恥ずかしがり屋の『仮面シンガーさん』は、 黄色いマスクを付けたままでOKですよ! あ!そうそう・・・忘れる処でした、 青いマスクを付けた助手さんも是非いらして下さいね。“
「誰が助手さんだっっっ!!」
“それでは次は『風都ミステリーツアー』のコーナーです。 ラジオネーム『ナマクラって呼ぶな!』さんから・・・
若菜姫、聴いて下さい。
僕が仕事をしていたら、 道端で黒いレザージャケットと黒いレザーパンツを着た若い男が 破れた『すっこんぶ』の箱を、とても大事そうに拾って、 満足そうにニヤニヤ微笑んでいました。
「そんな破れた『すっこんぶ』の箱なんか、どうするんですか?」と 僕が尋いたら、 その男に「質問は受け付けない!」と怒鳴られ・・・”
次回 『Aの伝説/すっこんぶの謎』 これで決まりだ!
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