Monologue

2006年11月01日(水) キミはどこを目指す?(『カブト』ネタ)

「911・・・912・・・913・・・変身!(コンプリート!)・・・じゃなかった、
 914・・・915・・・」

ブツブツブツブツブツ・・・(以下略)と、
まるで、眠れぬ夜に柵を飛び越える羊を数えるかの様に呟きながら、
加賀美は発売されたばかりの自分のCDに一枚一枚一枚一枚一枚・・・(以下略)
丁寧にサインを書き続けている。


「いらっしゃいませ〜
今なら先着1000名様までCDにサインが入ってま〜す!」

全てのCDにサインを書くのに腱鞘炎になりそうな加賀美の傍らで、
CDを手にした蓮華がイマイチやる気なさそうに呼び込みをしている。

「やっぱり屋台でCDって、あんまり売れないですね〜〜?
 加賀美せんぱ〜い」

「952・・・953・・・954・・・955・・・っと、
 仕方無ェよ、
 今日は平日だから人通りも少ないしな・・・956・・・957・・・958っと」

「おお!其処に居るのは我が友カ・ガ〜ミではないか?」

独特のアクセントを付けて呼ばれた自分の名前に、
ふとサインしていた手を止めて顔を上げると、
CDを並べた屋台の前に白いフリルのブラウスを着た神代剣が
じいやも連れずに一人で立っていた。

「こんな夜中に一体何をしているんだ?我が友カ・ガ〜ミ♪よ」

「何って、見りゃ判るだろ?
 今日発売された俺のCDにサインして売ってんだ。
 あ、そうだ!せっかくだからお前も一枚買ってくれよ!」

「カ・ガ〜ミの歌のCDだと?
ならば何枚でも何百枚でも何千枚でも買おうではないか!
オレは客としても頂点に立つ男だ!」

「マジかよ?
やった!これで即日SOLD OUTだぜ!」

加賀美は想わずガッツ・ポーズを決めながら剣の方に向って身を乗り出した。

「で?幾らなのだ?その・・・CDと云うのは・・・」

“今、これだけしか持っていないのだ”と言いながら、
剣が懐から取り出した財布の中には
10円玉と5円玉と1円玉が2、3枚ずつしか入っておらず、
CD一枚の価格には到底足りない。

所持金が全く足りない旨を告げた途端、
剣はガックリと肩を落としてしまった。

「カ・ガ〜ミの歌を是非とも聴いてみたかったのだが・・・・残念だ」




(予想外に長くなってしまったので、もう少しだけ続きます(^^;))


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