Monologue

2005年12月15日(木) やさしさが裁くもの

そんな訳で(どんな訳で?)『12人の優しい日本人』の感想です。
相変わらず大した事は書いていませんが、ちょっぴりネタばれもしているので、これからご覧になる予定の方はご注意下さい。

『もしも日本に陪審員制度が有ったら』と云う仮定に基づいた物語。
選ばれた12人の陪審員達が一人の女性が犯した殺人の『有罪』か『無罪』かを判定する。

一つの事件を通して討論し合う内に12人それぞれの性格、背負っている悩み、彼らの人生などが次第に浮かび上がって来るのが興味深かった。


12人の登場人物が皆上手い役者さんばかりなので、物語がかなりテンポ良く進み、要所要所のギャグもバッチリ効いていて、普段観ている舞台よりも客席の反応が良く、声を出して笑っている人も多くて、客席が(文字通り)沸いている様な気がした。

どの役者さんも上手かったけれど、今回初舞台だと云う江口洋介さんに特に瞳を惹かれた。

舞台の前半ではほとんど台詞も無く他の役者との絡みも少なく、後ろの方でただ座って雑誌を捲ってタバコを吸っているだけなのに、そのポーズ、仕草一つ一つが決まっていて絵になるのだ。

舞台は初めてだと云ってもこれまでTVや映画で数え切れない位主演を務めて来た俳優さんだけの事はあって、演技にも貫禄が有り安定していて堂に入っている。

今回は知的な役柄だったけれど、もっとワイルドな役も見てみたいし、立ち回り等もやってみて欲しい。
他の役者さんより身体が大きいのも舞台映えする要因の一つだし、これからもっともっと舞台に出演して欲しいと想った。

『白い巨塔』で共演なさった唐沢寿明さんと舞台で共演なさるのも良さそうだ、背丈の違いを生かしたデコボココンビで刑事コメディとか・・・・・・

物語の内容は、
(三谷さんの脚本だから、まず絶対に『有罪』にはならないだろう。最初全員一致で『無罪』から始まったから、途中で『有罪』になりかかって、最後にはまた全員一致で『無罪』になって大団円てトコかな?)と予想していたら、まんまとその通りの筋書きだった。

かと云って、“先が読めちゃった”と白ける事も全く無く、とても楽しめた。

普段は目立たない平凡な小市民達の存在が段々際立って来ると云う展開も温かくて良かった。

だが観終わった後、現実世界で実際に起きている事件はこの舞台の上で起こっていた円満に解決出来る様な事件では無い。

もし本当に日本に陪審員制度が有って、この舞台に登場した優しい人達が、
満場一致で『死刑』と判定する様な哀しく残酷な犯人達が今の日本にはあまりにも多く存在している。哀しい。


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