Monologue

2005年02月25日(金) 残酷な神に支配される



萩尾望都さんの『残酷な神が支配する』と云う作品。

主人公の少年ジェルミが母親サンドラの再婚相手の男性
グレッグからの性的虐待に耐え兼ねて、
ついに車に細工をしてグレッグを殺害してしまうのだが、
その車に同乗していたサンドラも一緒に死んでしまう……


グレッグの死後もグレッグに受けていた虐待の忌まわしい記憶と
サンドラを殺してしまった罪悪感に苛まれ続ける、と云うショッキングなサイコ・サスペンス。

10巻が発売された頃に買い揃えてから新刊が発売されるごとに購入していたのだが、
何故だか途中で買うのを止めてしまっていた。
(どうしても理由が想いだせない)

先日『BOOK OFF』で完結編の17巻を見掛けて立ち読みしたら、
あのどうにもこうにも救い様が無さそうだった物語がめでたく大団円を迎えていたので、
ホッとしたと同時に少々吃驚してしまった。

17巻を購入して帰宅後、持っている巻数を調べてみたら14巻まで有った。

(あと、たった2冊揃えれば良い訳ね、楽勝♪)と思い古本屋を巡って探し回ったのだが、
15巻はすぐに見付かったのに16巻だけがなかなか見付からない。

『ま○だらけ』や『BOOK OFF』の各支店をネットで調べて足を運んでみたのだが、
結局無駄足に終わってしまった。

仕方が無いので新書で購入しようと書店で取り寄せを希望した処、
何と!出版社でも在庫切れ状態で『現在重版検討中』

文字通り『検討中』なので果たしていつ『重版』されるか全く判らないとの事、
そりゃないぜセニョ〜ル(涙)

どうやら14巻以降が発売された頃『文庫版』が発売されてしまった為、
オリジナルのコミックス版は初版以降、重版されなくなってしまったらしい。

確かに『文庫版』の方が安いしお手軽だから、
『文庫版』の発売以降はおそらくコミックス版の売上が滞ってしまったのだろう。

(ちなみに『文庫版』の売れ行きは好調だそうで、
 大抵の書店で平積み処か山積み状態になっている)

……かと言って16巻だけ『文庫版』で買うのも何だか損をしたみたいな気分だ。
本棚に並べた時に一冊分だけ穴が空いたみたいに低くなるのを思い浮かべただけでも、
くやしい。

だが、幾ら古本屋を巡り巡ってもどうしても16巻を発見出来ないし、
天下の『アマゾ○』でも新刊は入手不可能、
『ユーズドブック』は1冊1500円〜と云う完全にこちらの足元を見たお値段設定(涙)

それでも仕方無く購入し様と試みたのだが、
『ユーズドブック』の代金支払方法はクレジットカードのみ!

自分はクレジットカードを持たない主義なので、
この為だけにわざわざ作るだなんて絶対イヤ!!

(実は先日、
過去に作成したクレジットカードの切替と称して送付されて来た新しいカードを
ハサミでズタズタに切り裂いてトイレに流したばかりだ)


“やはり諦めるしか無いのかなぁ……”と、

半信半疑でネットで『古本屋』を検索して探してみたら、
何と!ある『古本サイト』で16巻が販売されているのを発見した。

しかも価格は送料込み510円(安)
代金は商品到着後『郵便振込』でOKと云う良心的な対応。

申し込んだ翌日に『メール便』で届いた包みを開けると、
中に入っていた16巻は古本とは想えない程に綺麗だった。

16巻を探し求めてあちこちの『古本屋』(古くない本屋も含む)をウロウロ彷徨っていた
約1週間は正に『残酷な神に支配されている』かの様な日々だった。

だが、こうして無事に全巻揃える事が出来たし、
今にして想えばコミックス版の15・17巻が『古本屋』で手に入ったのも奇跡的なのだから、
『神様』もまんざら『残酷』では無かった様だ。

(だからきっとジェルミも救われたのだろうと、想いたい)


さて全巻揃えて読み直して、改めて萩尾望都さんの台詞の美しさに心惹かれた。

この漫画を初めて読んだ数年前は、
前半のジェルミがグレッグの性的虐待に次第に追い詰められて、
ついに殺人を犯してしまうと云うスリリングで救いの無い展開に興味を抱いていたのだが、
今読み返したら、後半のジェルミがブレッグの息子イアンに依って救われて行く……と云う
展開に強く心惹かれた。

殺人を犯したと云う罪悪感から「もう一生誰も愛さない」と決心したジェルミがイアンに愛され、彼を愛する事で「人殺しでも(他人を)愛せるだろうか?」と云う救いに辿り着いて行く展開に
ついレオリオとクラピカの面影を重ねてしまう(←結局ソレかい!)

「オレはお前の八つ当たりの相手か?
オレは受験生だぞ!
オレの作ったスープも飲まないで!
勝手に帰って来て、勝手に怒りまくって!!」

……なんて、イアンの台詞はやっぱりレオクラvvと勝手に決め付けるワタクシ(^^;)

(全てそうだと決め付けるには酷なシーンが多過ぎるのだが)


そう云えば数年前、萩尾望都さんが何かのインタヴューで
“『エヴァンゲリオン』の結末は4通り位考えられる”と答えていらしたのを読んで、
萩尾さんがいかに素晴らしいストーリー・テラーであるかをつくづく感じた覚えがある。

「その結末を聞いておけば良かった」と庵野監督がおっしゃっていたが、
私も萩尾さんが考えた『エヴァンゲリオン』の結末を是非聴いてみたい。

その中には『残酷』ばかりでは無い『神様』が導いた明るい未来も存在したのだろうか?


綾波レイが食パンを齧りながら道を走っていたと云う未来とは、また別に……


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