| 2003年10月11日(土) |
レオリオの『逢魔が時』日記 |
オレ達は呪われている……
オレ達が人間同士として触れ合えるのは、
この『逢魔が時』だけ……
「ほォ兄ちゃん、珍しいね、そいつぁ梟かい?」
「いやミミズクだ。 ほら『耳』みてェな飾りが有るだろ?」
好奇心に満ちた肉屋のオヤジの瞳が オレの左肩に止まっている雪の様に真白いミミズクをジロジロと眺めている。
当のミミズクは、 両瞳を閉じてコックリコックリ……と呑気な揺れを規則的に繰り返している。
時折、頬に触れてくる羽毛が、やたらとくすぐってェ。
ほぼ半日の間、眠り続けていながらも、 白ミミズクの両脚の鉤爪はオレの肩にしっかりとしがみ付いて決して離れる事は無い。 起きている時は、あんなにつれねェのに……と、オレは内心苦笑する。
今夜の夕食用に、と、オレは肉を二人分買った。
「一人分はなるべく脂の少ない処をくれ、でないとコイツが嫌がるから」
立てた親指で左肩に乗った白ミミズクを指し示すと、
「たかがペットにこんな良い肉を喰わせるなんて勿体無ェなァ、 『ミミズク』や『梟』とかってヤツは大概ネズミなんかを食べるんだろう?」
呆れた口調でブツブツ言うオヤジから肉の入った包みを受け取りながら、
「いや、コイツは、んなモン喰わねェよ……」
街を出て、しばらく歩くと鬱蒼と茂った森が見えて来た。 美味そうな肉も手に入った事だし、今夜はあそこで野宿するとすっかな?
やがて真っ赤な夕陽が地平線に触れた瞬間、 左肩に止まっていた白ミミズク……いや、オレの相方がパチッと瞳を覚ました。
大きく見開かれた瞳の色は、 地平線に沈もうとしている夕陽よりもずっと緋赤い火の様な……
バサァッ!!と真っ白な両翼を拡げて、 オレの左肩から地面へとフワリと舞い降りた相方は、 地面に降り立った瞬間、蒼い民族服を纏った金髪の少年の姿に『変化』した。 ……と言うより、こっちが彼の本当の姿だ。
「よォ!お目覚めかい?」
“パンパン……”と服に付いた土埃を払いながら立ち上がり、 くるっと振り返った相方……クラピカの瞳は既に空の様な碧青色に戻っていた。
数年前、 とある『変化系』の念使いと戦った時、 クラピカは強力な呪いを掛けられて何と!ミミズクに『変化』させられちまった。
知恵と武勇の女神ミネルバの使いで、 智恵の象徴であると云うミミズクの姿は、 頭の良いクラピカに似つかわしいと言えなくも無い(←これはクラピカ本人談)が……
苦戦の末、 念使いは何とか倒したものの呪いは解けなかった。
夜は人間の姿に戻る事が出来るが、昼間はミミズクの姿になっちまう。 しかもミミズクは夜行性だから、 昼間はずっとオレの左肩に乗ったままコックリコックリ……眠り続けるしか出来ないって訳だ。
オレ達は呪われている……
呪いを解く方法を探してオレ達は一緒に旅をしている。
もうずっと、ずっと長い間……
「さて、と……お前も起きた事だし、早速メシにするとすっか、 今日は美味そうな肉が手に入ったんだぜ♪」
ウキウキ弾んだ口調で言いながらオレが薪を拾い始めると、 背中に“ぼそ…”と小さく声が掛けられた。
「すまない、いつもお前にばかり面倒を掛けてしまって……」
「いいから、気にすんなって」
振り返って、 項垂れているクラピカの金髪をクシャ…ッと撫でてやる。 昼の間、ずっと頬に触れている羽毛と同じ柔らかさが掌に心地良い。
心の中で…… オレはクラピカに掛けられたのが、 夜にミミズクに変身しちまう呪いで無くて、まだマシだったと思っている。
だって、 もしコイツが夜にミミズクに変身したら、 オレが眠っている間に、 あの白い翼を拡げて何処かへ飛んで行っちまうかもしれねェ。
オレの手が届かない 何処か遠い遠い遠い処へ……
「あぁ〜喰った、喰った♪」
丸く膨らんだ腹をポンポンと掌で叩きながら、 パチパチ・・…と燃え盛る焚火の照り返しを受けているクラピカの顔にチラと視線を向ける。
夜の間だけしか見る事が叶わない綺麗な横顔に、つい見惚れちまっていると、 不機嫌そうに細い眉を顰め乍ら、オレをキッと鋭く睨み付ける。
「何だ?さっきから人の顔をジロジロ見て……」
怒った顔も可愛いvvが、 夜しか見れねェんだし、 せっかくだから、もっと違う表情をさせてみてェと云う欲求が、 身体の奥底から熱く湧き上がって来る……
「いや、 オレもそろそろオレらしい動物に『変化』すっかな?…と思って、よ」
ニヤリ、と唇の端を上げるオレの言葉に 緋赤く変化し掛かったクラピカの瞳が円く見開かれる。
「……お前は何の呪いも掛けられていないではないか? 一体どんな動物に『変化』しようと言うのだ?」
不思議そうに傾げられている華奢な細い首に手を掛けて、 グィッ!と強引に抱き寄せた。
そして……
オレ達は呪われている……
人間同士として触れ合えるのは、オレがお馬に……じゃ無かった(^^;)
この『逢魔が時』だけ……
(『H×H』18巻の表紙にクラピカと対でミミズクが描かれていたのを見て、 “もし19巻がレオリオだったら対で描かれるのはきっとお馬さんだろう”と安易に考え、 ちょっと『妄想』してみました。
一応元ネタは『レディ・ホーク』と云う映画だったんですが、 私が書いた所為で、やっぱり下品になってしまいました(涙)
べこさん(^^)ごめんなさい(←ちょっと私信))
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