Monologue

2003年02月15日(土) ビター×スイート×バレンタイン 4

ニセ・クラピカの家を飛び出した後、
真っ直ぐ星型のお家に帰る気になれず、クラピカは特に行く宛ても無いまま
『レオ×クラ×ンド純情商店街』をふらふらと彷徨い歩いた。

あちこちに『バレンタイン』仕様にラッピングされたチョコレートが山積みされ、
恋する乙女達(一部除く)が群がって、わいわい賑わっている。

その渦中を歩いているにも関わらず、
クラピカは周囲の楽し気な雰囲気に全く加われずにいた。

(・・・・・・どうしよう?)

そもそも『バレンタインディ』は、
農業プラント『ユニウスセブン』に連合軍が核ミサイルを撃ち込み・・・
・・・じゃ無かった(←白々しい)

ローマ皇帝クラディウス二世が禁じていた兵士達の結婚にヒソカに手を貸していた
司祭バレンタインが紀元270年2月14日に処刑されたと云う史実に由来するもので、
愛の告白はともかく『チョコレート』の譲渡は全く関係無い。

(まして、あ・・・あんな恥知らずな格好など・・・・・)

『ピンク・エンジェル』のショーウィンドーにディスプレイされていたマネキン人形が着用し、
またニセ・クラピカに見せられた
総面積が極めて少ない布地で構成された衣服・・・・・
通称『勝負下着』とやらを想起しただけで、羞恥心で全身が燃え尽きてしまいそうになる。

だが・・・・・・

“こ〜んなの着て今度の『バレンタイン』にチョコ持ってお前に迫られたりしたら、
オレなんか一発で“グッ!”と来ちまうぜ♪”


“ハニーvvを・・・・・・喜ばせたいのだろう?”


(レオリオを、喜ばせたいのだろうか?私は・・・・)


自分の気持ちが良く……解らない。


毎年『バレンタインディ』になると、必ずレオリオはクラピカからのチョコレートを欲しがった。

『バレンタインディ』の由来などを考慮し、
“特に譲渡する必要性を見出せない”と云う理由で断ると、

“冷てェ事言うなよ、年に一度、自分の気持ちを相手に告白出来る日なんだぜ?

 たまにはちゃんと言ってくれよ・・・・・・”


そう言いながら陽気に微笑う彼に対して、
一体何と言えば良いのだろう?と、クラピカは想う。

どんな『言葉』を使っても決して上手くは伝えられない様な気がして、それがひどくもどかしい。

だからと云って、
レオリオやニセ・クラピカが言う様な方法は自分には不向きな気がするし……

それに、
今更、何を『告白』しなければならないと言うのだろう?


(私の気持ちなど……お前はいつも容易く見破ってしまうでは無いか…!)



頬に当たる風が急に冷たくなり、クラピカは反射的にブルッと身を震わせる。

気付くと、
既に陽は沈み、街にはネオンサインやイルミネーションが明るく燈り始めている。

道にはチョコレートを買う人影もさる事ながら、
仲睦まじく寄り添って歩く男女の姿も増え始めていた。


ふとレオリオの面影が胸を過ぎる。

彼は今頃どうしているだろう?

あの星型の家で、自分の帰りを待っているのだろうか?
たった一人で・……?

(・……そろそろ帰るとするか)

クラピカは星型のお家に向かって歩を進めた。


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