Monologue

2002年12月24日(火) クラピカの『クリスマス勤務』日記1

『サンタマルタ通り2丁目4番地のアパート』・・・・・・よし此処だな。

手元のメモに書かれた住所が示している安普請のアパートを見上げながら、
私はフゥと溜息を吐いた。

ふわりと白く濁る吐息が、一時忘れていた周囲の寒さを、ふと思い起こさせる。

ここの『302号室』か・・・・・・

『このメモの場所に12月24日の午後11時半に来い』と云うのが今回の依頼主の指示だ。

それにしても・・・・・奇妙な依頼主だ、と私は想う。

『待ち合わせには、必ずサンタクロースの格好をして来る事』

幾ら今日が世間では『クリスマス・イヴ』と呼ばれる
『元々の由来から遥かにかけ離れてしまったお祭り騒ぎ』とは云え、
この真っ赤なコスチュームは余りにも人目を惹き過ぎるのでは無いか?

全く危機感の無い依頼主だ。

おまけに、依頼主の指示はそれだけでは無い。

『但し、下半身には『ズボン』では無く、必ず『スカート』を着用の事!』


そう云えば『OVA版』で、
ホテルの受付嬢に変装した時、
動き辛いからと云う理由で『スカート』では無く『ズボン』を着用した時も、
各方面から激しく糾弾されてしまった。

何故だ?
何故、世間の人々は私に『スカート』を穿かせたがるのだろう?

多少の疑問は感じたが、
依頼主の指示には従わなくてはならないと云うのがこの仕事の『鉄の掟』だ。

私は仕方無く『女の子用』の『サンタ衣装』をレンタルした。
レンタルショップの店員は何の疑いも無くあっさり貸してくれた(涙)

寒さに悴んだ両掌に息を吹き掛けて、

「よし!行くとするか!」と己に気合を入れると私は
依頼主に届ける『クリスマス・プレゼント』が入った白い袋を右肩に担ぐ。

『プレゼント』が入っている筈の袋はかなり軽い。


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