Monologue

2002年11月28日(木) レオリオの『目覚まし時計』日記 3

現在の時刻 AM6:58・・・・・・

俺は、枕元の『目覚まし時計』(←普通に市販されている物だ)の文字盤を確認すると
万年床の中で、数十回目の重い溜息を吐いた。

元々俺は、かなり寝覚めの良い方で、起きる時間の数分前には大体瞳が覚めるので、
実は『目覚まし時計』と云うのはあまり必要無いシロモノだった。

だが・・・・・・

先日、
愛しい相方クラピカの声で目覚められると云う『目覚まし時計』を、
少々卑怯な手段を駆使して一足早く手に入れた。

早速ウキウキ♪しながらセットして布団に入ったものの、

何とそいつはまだ『試作品』で・・・・・・

し・か・も、スタッフの遊び心とやらが満載されていたヤツだったお陰で、
エライ目に遭っちまった(←男泣き)

“カチカチカチカチ・・・・・・・”と無機質な秒針の音が、部屋の中にやたらと響いて聴こえる。

AM6:59・・・・・・あと1分。

そろそろ起きるか・・・・・・・と、思いながらも
最近めっきり冷たくなった外気に当たるのが、何と無くイヤで、
布団の中でゴロリと寝返りを打つ。

(・・・・・・アイツは、ちゃんと起きられてんのかな?)

毎朝、優しく起こしてくれる処か、
むしろこっちが起こしてやらなきゃならない
低血圧で朝に弱い相方の事を、ふと想い出す。

もし、アイツが傍に居てくれたら、

『目覚まし時計』なんか無くても・・・・・・

“カチカチカチカチ・・・・・・カチッ!! ”

AM7:00ジャスト

耳障りで癇に障る『目覚まし時計』の音が“ジリリリリ・・・・・・”と鳴り始めるのと同時に、
“Purururu・・・・・・”と充電中の『携帯電話』の呼出音が鳴り響いた。

誰だよ?こんな朝っぱらから・・・・・・

俺は布団から出ると、充電アダプターが繋がったままの『携帯電話』を手に取り、
液晶画面に表示された名前を見た途端、俺の瞳はいっぺんに覚めた。

ウソだろ?マジかよ???

「も、もしもし・・・・・・?」

半信半疑で着信ボタンを押して、耳に押し充てると、

“・・・・・・瞳は覚めたか?”

受話器の向こうから聴こえて来たのは、紛れも無く『相方』・・・・・・無愛想なアイツの声だった。

「あ、ああ、もちろん・・・・・・バッチリだぜ♪」

“ジリリリリリリ・・・・・・”

けたたましく鳴り続けているベルを止め様と
『目覚まし時計』の頭頂部をバン!と軽く叩いたら、その部分が俺の掌の形に凹んじまった。

もう二度と鳴らないだろうが、
俺は元々『目覚まし時計』無しでも起きられるので、あまり気に留めない事にする。

それよりも、この・・・・・・
愛しい『相方』からの電話の方がよっぽど重要だ。

“じゃ、私は失礼する”と、事務的な口調で言い、電話を切ろうとする『相方』に向かって、

「お、おいおい!ちょっと待て!!」

俺が慌てて呼び掛けると、

“・・・・・・・何だ?”

不機嫌そうな声が返って来る。
もしかしてコイツも寝起きなんだろうか?

「そんなにすぐ切らなくたってイイじゃねェか、久し振りなんだし・・・・・・元気か?」

“あ、ああ・・・”

ウキウキ♪と弾む俺の声とは対照的に、クラピカは何処か躊躇いがちに答える。

「どうしたんだよ?
珍しいじゃねぇか、お前ェの方から電話して来るなんてよ。
しかも、こんな朝っぱらから・・・・・・」

“・・・・・・・それは、その・・・・・・”

「・・・・・・何だよ?」

何だか言い難そうにボソボソと口篭もっている『相方』に、

「気になるじゃねぇか?はっきり言えよ」とツッ込むと、

“その・・・・・・お前、
昨夜TVの『ワイド・ショー』でコメントしていたでは無いか?
“離れて暮らしている『相方』の声で起こして欲しかった”と・・・・・・・”

その瞬間、俺の背骨の上を冷たい汗がタラ〜リと伝い落ちる。

「お前、もしかして・・・・・・・観ちまったのかよ?『アレ』」

ゴクリ、と唾を飲み下しながら、思い切って問うと、
受話機の向こうで『相方』が微かに頷く気配がした。

どうやら昨日の『ストリーキング事件』は全国ネットで放映されちまったらしい・・・・・・・
大変だ(汗)


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