帰宅後、Tシャツを脱ごうとしたら、何故か脱げなかった。
「あれ?」
腕を伸ばそうと試みるが、何故か思っている様に伸びない。 まるで拘束服でも着せられている様に、身動きが取れなかった。
「あれ?あれ?あれ?……おかしいな?どうして?」と言いながら、
ジタバタともがいていると母が、さらりと言った。
「Tシャツがキツイんじゃないの?」
確かに、そう言われてみればこのTシャツは所謂『チビT』(って今でも言うのだろうか?)で、身体にピッタリと密着してはいる。
だが、
「でも今朝、着た時は何とも無かったんだよ」
そう言うと、
「じゃあ『四十肩』じゃないの?」
………………………………………ガ〜〜〜ン!!!
少なからずショックを受けていると、母は間髪入れずに言った。
「いきなり腕が上手く上がらなくなったんでしょ?じゃ『四十肩』よ」
…………………………………………………………………ガ〜〜〜ン!!!
「そ…そんな、お母さん、アタシまだ三十代前半なんですけど……」
「或る日突然『来る』モノなのよ」
………母の言葉に容赦は無かった(涙)
結果的にはどうもTシャツが洗濯で縮み、繊維の伸びが悪くなっていただけだったらしい。
もがき苦しみながら脱いだ後、試しに他のTシャツを何度か脱ぎ着したり、 腕をブンブン廻したりしてみたが、特に支障は感じられなかった。
だが、
「アタシもいきなり『来た』もんねぇ……」と云う母の言葉が哀しく耳に残る。
手前味噌で恐縮だが、母は日頃から健康に留意している人で、 こまめに体操をしたり食べ物に気を付けたりしている。
それでも、或る日突然、腕が上がらなくなったりしたのだそうだ。
そう云えば、自分が以前バレエを習っていたS先生も突然『四十肩』が『来て』 いきなり左腕が上がらなくなってしまったと大騒ぎしていたな……と想起する。
バレエの先生だから日頃運動していたのは勿論、 (しかもバレエの他にヨガとジャズ・ダンスも教えていた) 自分で畑を作って無農薬の野菜を摂ったりして、 健康には「これでもかーっ!」と云う程、気を使っていたS先生でさえ『来た』のだ。
「自分だけは大丈夫」と思っていたとしても、或る日突然『それ』はやって『来る』
それは、もちろん『四十肩』に限った事では無いが……
たとえどんなに気を付けていたとしても、
自分にもいつかその日が『来る』んだろう、間違い無く……
だが一体、何才で『来る』のか?
それだけがチョット不安だ(^^;)
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