Monologue

2002年06月12日(水) 自己存在証明

TVを観ていたら犯罪事件の時効成立に付いての特集をやっていた。

取り上げられていたのは平成9年に逮捕された福田和子さんの事件。

彼女は14年間以上の逃亡生活を続けたが、時効成立21日前に逮捕されたのだそうだ。

逮捕当時のTVや週刊誌等で大まかな事件の概略は知ってはいたが、
今回のTVの再現ドラマを観て14年間の逃亡生活の詳細を初めて知った。


事実は小説より奇なり…と言うが、本当にドラマみたいだと思いつつ母と見入ってしまった。
(不謹慎でスミマセン)


同じ店に勤めていたホステスの一人を殺害し、亭主に手伝わせて死体を山中に埋めた後、
逃走資金60万円(彼女自身の貯金らしい)を持って大阪へ逃げる。


逃亡の為に整形手術で顔を変えたのが、何と犯行後6日目。

逃亡者は大概、転々と居場所を変えるのが常石らしいのだが、
彼女は整形した顔のまま、1ヶ所に留まって生活を続けたのが
逆に捜査の盲点になったのだそうだ。


『水商売』と云う、基本的に身元を探られない職業を選び、
マンションは自分を贔屓にしている男性客に頼んでその男の名義で借り、
電話・ガス・水道などの公共的な物も同様に他人名義で手に入れる。


だが逃亡から4年後、

ある男性から結婚を迫られて、それを渋っている彼女を怪しんだ男性の親戚筋の一人が
警察に通報した為、彼女の身元と整形後の顔がバレてしまう。


その場は何とか逃げ出し、
約28ヶ所のニセの住所と名前を使用し逃亡を続けたのだが、

時効1ヶ月前を目前に警察とマスコミが、
「逮捕する最後の最後のチャンス!」とばかりに彼女の名前と顔写真(整形前後)
唯一残っていた音声を大公開し、

全国的に情報提供を呼び掛けた処、

「顔は違うが……『声』がソックリ」
と云う通報を元に、彼女はついに逮捕されてしまった。

彼女は3度目の整形手術を受けた為、見た目の印象はかなり変わっていたが
『声』と『指紋』だけは変わっていなかったのが逮捕の決定打になったのだそうだ。


彼女は逮捕されたが、
時効成立まで逃げ切り自由を手に入れた犯罪者は多く存在する(怒)


逃亡者が整形で顔を変えただけでなく指紋を削って変えたり……などは良く聞くが、
人に依っては声も変えてしまうのだろう、と思った。


話は少し変わるが、

通信販売関係の仕事をしていると、
お客様からの問い合せの電話を取る事が多いのだが、

名前や用件よりも先に『数字』(電話番号や登録番号)をいきなり言う人が最近増えた。

そんな電話を取る度、

「この『番号』が『アナタ』なんですか?末尾一桁でも違えば『他人』だとでも言うの?」と
失礼ながら思ってしまう(−−)


登録されている『番号』を変えれば、

簡単に『他人』になれてしまう時代が近付いている様な懸念も有るが、

宮部みゆきさんの小説の例も有る様に『自分』はそう簡単に『他人』にはなれない気がする。


たとえ顔を変えても、声を変えても、指紋を潰しても……

変わらずにいる『自分』が身体の内に在る様な気がするからだ。


(何だか偉そうでスミマセン(涙)
エセ・ミステリ・ファンの血が騒いでしまったと云う事でお許し下さい)


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