母が転んで怪我をした。
パート先の店の玄関の車止めにつまずいてしまったのだそうだ。
転倒時、両手に荷物を持っていたので、上手く掌を付けず、 脇腹を地面にしたたかぶつけたそうだ。
動く度に痛むらしく、 「アイタタ、アイタタタ……」としきりに痛がっている。
「病院行ったの?」と尋くと、 「言ったわよ!」と即答された。
「この“アタシ”が、病院に!!」
“アタシ”を強調するだけ有って、母は昔から身体が丈夫なのが自慢だ。
歯医者とか皮膚科とか、突発的な事故などでは病院に行くが、 基本的に丈夫らしく、ほとんど病院には行かずに済んでいる。
(有り難い事に、自分も基本的に健康優良で、 昔“1年間、病院に掛からず『保険証』を使わなかった家庭”(母と二人だけだが)として 区役所から粗品を貰った事も有る(閑話休題))
……その母がわざわざ病院に行った位だから、相当痛いのだろう。
「内臓とか絶対にヤバイと直感したのよ」
母の言葉に、自分も不安を煽られる。
「で、大丈夫だったの?」
母は肯きながら、
「レントゲン検査の結果は異常無いって……」
ホッと胸を撫で下ろす。
だが、
「それがひどいのよ! “大した怪我じゃ有りませんよ”って言って何の薬も出してくれないの、 『湿布薬』もこっちが頼んで無理矢理出して貰ったんだから!」
……と、母は怒っていたが、
お医者さんは普段怪我を見慣れている。
『薬』が必要な怪我か、そうで無いかきちんと見極めて、 処方するかどうか判断したのでは無いだろうか?と自分は思った。
何故なら、 自分はその逆のパターンに出会った事が有るからだ。
半年前、 通勤途中で電車が揺れた弾みに手擦りにこめかみを強打し、 かなり酷い痣になってしまった事が有ったのだが、
(今はキレイに治って跡形も無い)
その時に掛かったお医者さんが、 どう見ても“これはこの怪我に必要な薬じゃ無いだろ?”と 素人目にも判る薬を文字通り山の様に処方したのだ。
打ち身なのに、単なるビタミン剤とか血行の良くなる漢方薬とか……
痣は酷くても、傷そのものは小さい筈なのに、 大きなチューブの塗り薬を3日ごとに丸ごと1本処方したり……
お陰で治療費はとてもとてもとても高く付いてしまった(涙)
通勤途中の怪我なので、労災が下りたから良かったが……
「あんなお医者さんが居るから、 他の良心的なお医者さんまで余計な色眼鏡で見られてしまうんや!!」と
腹立たしく思った覚えが有る(実は今でも時折くやしい)
話は戻るが、
母を診たお医者さんは、必要以上の薬は処方しない様にしていたのでは無いかと思う。
母の話を更に聞くと、
母の隣りに居た高血圧の患者さんが、 「風邪気味なんで薬下さい」と言い乍ら、他の病院から貰った山の様な薬を見せたそうだ。
お医者さんは本でいちいち薬の種類などを確認しながら、
「飲み合わせの事も有るし……やはりこれ以上は出せません」と処方しなかったそうだ。
だが、 「でも『血圧の薬』はちゃんと飲んで下さい」と言っていたそうだ。
「……その患者さん、37.5分しか熱、無かったしね……」
母は言う。
それじゃ、ますます薬出したらマズイじゃねーか(^^;)
母は幸い良心的な病院に掛かった様だ。
いろいろなお医者さんが居る。
身体の事なので、良心的なお医者さんにお世話になりたいとは誰もが思う事だが、 一度病気になってお世話になってみなければ判らない。
そう云えば……
会社の近所の歯医者さんでY田先生と云う方がいらした。
この先生は腕も良いし、患者さんに対してとても良心的だった。
(余計な薬も出さなかったし、大掛かりな治療の時は事前に相談してくれたし……)
だが、
この先生は歯磨きを一人できちんと出来る様になるまで足抜けさせてくれなかったのだ!!
(あ、『歯科』通いを……と云う意味ですヨ)
歯垢が残っていると赤く染まると云う『試薬』を塗り、チョットでも磨き残しが有ろうモノなら、
「はい!ななかさん(仮名)来週また来て下さいね♪」
その度、500円ずつ取られたのだ〜〜〜(涙)
でも、そのお陰で、ちゃんと『足抜け』出来ました(^^;)
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