Monologue

2002年05月26日(日) ニセモノ IN 『レオ×クラ×ンド』(一応CDネタ)

「遅ぇなぁ……クラピカの奴……」

レオリオは待ち合わせ場所で、相方のクラピカが来るのを待ち続けた。

だが、待てど暮らせどクラピカはやって来ない。


「時間にうるさいアイツにしては珍しいな……

 仕方がねぇ、時間潰しにいっちょ歌でも歌うか……」


「レオリオvv」

20分も遅れて来た相方……

クラピカは少しも悪びれずに

『ハート・マーク』を二つも添付してレオリオの名前を呼んだ。


「チッ!!遅かったじゃねぇか!何やってたんだ?お前ェが遅刻するなんてよ」

「すまなかった、ちょっとヤボ用でな……」

そう言い乍ら、クラピカはレオリオの左腕に“ス…ッ”と右腕を絡ませると、

「さ、二人だけの熱い愛のランデブーに出発しようではないかvv!」

(ん?)

何だかクラピカの様子がいつもと違う。

(コイツ……何でこんなに積極的なんだ?……何か悪いモンでも拾い喰いしたのか?)

妙な違和感に首を傾げていると、

「待て!レオリオ!」

背後から聴き慣れた厳しい怒声が飛んだ。

振り返ると、何とクラピカがもう一人、
金髪を振り乱し、両肩でゼェゼェと息をしながら其処に立っている。

「騙されるな!レオリオ!……そいつはニセモノだ!!」

ビシッ!と人差し指で、レオリオと腕を組んでいるもう一人のクラピカを指差す。

「ニセの情報で私を呼び出し、その隙に私と入れ替わる魂胆だったのだ!」
 
「そうか……やっぱりな、道理で何かおかしいと思ったぜ!」

そう言い乍ら、レオリオはもう一人のクラピカの腕をバッと振り払う。

「クラピカがあんなに積極的な筈が無ぇからな……」


「フッフッフ……こんなに早く見破られるとは思わなかった……」

もう一人のクラピカは、
登場早々に正体がバレてしまった所為か、逆に開き直ってしまったらしく
不敵な微笑みを二人に向けながら堂々と宣言した。

「私は千葉県にお住まいの“ハンター・ネーム”ななかさん(仮名)が考えた
ニセ・クラピカなのだよ!」

「ニセ・クラピカだとぉ?」

レオリオは呆気に取られた口調で言う。

「そういやこないだ『レオ×クラ×ンド』に俺のニセモノが出て来たけど、
そいつのクラピカ・バージョンて訳だな?」

傍らの相方……本物のクラピカに小声でヒソヒソ囁くと、クラピカは肯き、

「どうもそうらしい……短絡思考のななか(仮名)が考えただけの事は有る。
 あまりにも安易過ぎるアイデアだ」

「だから今まで一度もおハガキ読まれねェんだぜ、アイツ……」(←(−−;))



「お前の目的は何だ!ニセモノめ!」

クラピカがキッと鋭い視線を自分のニセモノに向ける。


「私か?私の目的は………レオリオvvを私のモノにする事だ!!」

ニセ・クラピカは高らかに言い放つ。


「…………………………………は?」


呆然としている二人を尻目に、ニセ・クラピカは更に熱く語る。


「私はレオリオvvを心の底から愛しているのだ。

やたら薀蓄ばかり垂れている、顔が良いだけの唐変木に私のレオリオvvは渡さない!!」

そう言う自分だって同じ顔じゃねぇか?……と云う『お約束』ツッコミも忘れて、

「お、おい?いつから俺がお前のモノになったんだよ?」

レオリオは呆れ返りながら呟く。

「薀蓄ばかりだと?失敬な!
 私の言葉は豊かな知識に裏打ちされた論理的な………」

「豊かな知識……だと?」

フンと鼻先で嘲笑うと、

「……と云っても、真面目で石の様に堅物なお前は色事にはか・な・り・疎いでは無いか?」

あまりにも的を得たニセ・クラピカの言葉に、本物のクラピカは思わず言葉を失う。

「レオリオvvも心の底ではヒソカに物足りなさを感じているのでは無いか?」

ぐっ……と絶句したレオリオの傍らに、ニセ・クラピカは静かに歩み寄り、

ニヤリ……と誘惑する様な微笑を、薄紅色の唇に浮かべながら、

細い指先でレオリオの顎を“ツ……ッ”と撫でる。


「私なら……あ〜んな事やこ〜んな事もしてやるぞ……レ・オ・リ・オvv」

「え?……マ、マジ?」

「そして更に……」

レオリオの耳元に唇を寄せて、小声で何事かを囁く。

「え!……そんな大胆な………スゲェ……ッ!?………ウソ……★☆♪!!?
(以下自主規制)」



「私の勝ちだな……」

頬を赤らめ、鼻の下をビロ〜ンと伸ばしたレオリオの左腕に“ス…”と両腕を絡めると、
なす術も無く立ち尽くしているクラピカを尻目にくるりと踵を返す。

「さぁ、続きは『ホテル』で……」

「え?ラ、『ラブホ』?……嬉しいなぁ……」


「ま、待て!!」

仲睦まじく寄り添った二人が足を止めて振り返ると、

クラピカは激しく両肩をブルブルと震わせながら、

「わ……私だって、色事には疎いが………あ、あ〜んな事やこ〜んな事位………っ!」

必死に言葉を絞り出している彼は、まるで涙を出さずに泣いているかの様に……見えた。



ス……ッと、レオリオはニセ・クラピカから離れ、本物のクラピカの傍に歩み寄ると

淋しそうに項垂れている彼の左肩に右掌を乗せる。


「な、何故だ?」

信じられないと云う表情で、ニセ・クラピカはレオリオと傍らのクラピカをキッと睨み付ける。

「さぁ……なんでだろうな?

お前ェには悪いが、俺はどうも頑固で堅物なクラピカの方が好きみたいなんだよな」

「レオリオ……」

クラピカは、嬉しそうに安堵の溜息を、ホッと吐く。


「くっ………私は諦めないぞ!

 いつか必ずレオリオvvを私だけのハニーにしてみせる!!」


“覚えていろ!!”と捨て台詞を吐きながら、

ニセ・クラピカは『レオ×クラ×ンド』の地平線の彼方に走り去って行った。



「ちょ〜っと……勿体無かったかな?」

ガリガリ……と短く刈り込まれた黒髪を掻き乍らレオリオは呟く。

「レオリオ…………」

俯いたままクラピカは、ぼそりと呟く。

「本当に、良かったのか?………私で……」

「バ〜カ、決まってんだろ?……俺の相方はお前だけ♪」

そう言い乍ら、クラピカの額を人差し指で軽く突付く、と、

「さ、行こうぜ」

くるり……と踵を返して背中を向けた。

「あ……」

慌てて小走りで駆け寄ると、クラピカはレオリオの左腕にそ…っと右腕を絡めた。

「クラピカ……?」


「……少しだけ……次の街に着くまで、だからな……!」



頑固で堅物で………

誰よりも愛しい相方の温もりを左腕に心地良く感じながら、レオリオは嬉しそうに微笑った。


二人の冒険は、まだまだ続きます。


(『レオ×クラ×ンド』CDを聴いて思い付いたネタでした

 相変わらず好き勝手書いてしまってスミマセン(^^;))


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