| 2002年04月12日(金) |
パクノダ先生の『うぶ茶』日記(代筆ななか) |
なんて青臭い事………と、思った。
この4月に着任したてのクラピカ先生。
新人教師の彼が初めて担任する事になったクラス……2年A組には一人の問題児が居る。
選りによって、教師になり立ての、
この『お坊ちゃん』先生に、あのレオリオの居るクラスを任せるだなんて……
゛クラピカ先生は、とても優秀なのよ゛と、
穏やかに微笑って彼を紹介したセンリツ教頭先生の言葉を想い出す。
どれ程、期待してるか知らないけど、
はっきり言って、こんな経験知らずな『お坊ちゃん』じゃ、 あのレオリオに舐められるのがオチだ。
アタシだって、
去年、彼に授業を受ける様、説得してみなかったワケじゃ無い。
でも、
「ウゼェんだよ、先生」
そう言って、小馬鹿にした様にせせら微笑うだけで……
彼は結局1度も授業に出て来なかった。
そして、レオリオは今年度も『中学2年生』のまま……『留年』
センリツ教頭先生は、一体何でアイツを退学にしないんだろう?
あんな惰性だけでダラダラと学校に来てるクセに授業も受けない、勉強もしない、
人生に目標を見出す事も出来ない、無気力なオチコボレを………
゛ずっと学校に来てるって事は、やっぱり彼は学校が好きなのよ゛
センリツ教頭先生のそんな考え方には、アタシはやっぱり追いて行けない……
「パクノダ先生」
『お坊ちゃん』………クラピカ先生が、真摯な瞳でアタシに話し掛けて来る。
「私のクラスのレオリオと言う生徒の居場所に心当たりは有りませんか?
新学期が始まってから、ずっと欠席していて……」
こういう・……
いかにも『初々しい』態度が、なんか鼻に付くのよ……ね。
「彼が一人暮らししているアパートにも行ってみたのですが、
管理人の方に尋いたら、ほとんど在宅していないそうなのです」
「ふぅん……それで?」
日誌を書く振りをして、わざと視線を机の上に落とす。
「去年、彼を担任なさっていたパクノダ先生なら、何かご存知では無いかと思いまして……」
センリツ先生はお気に入りだが、アタシはこーゆう硬苦しいのはニガテ。
「アイツなら………屋上じゃ無い?」
タバコを唇から離して、フ−ッ……と煙を吐き出しながら、素っ気無く答える。
「屋上……って、何処の?」
「この校舎の『屋上』よ、決まってるでしょ?」
アタシの答えが『おぼっちゃん』は意外だったらしく、
ただでさえデカイ瞳を更に大きく見開いてアタシを見る。
「ちなみにアイツ………レオリオは一応毎日学校に来てるから『欠席』じゃ無いわよ。
ただ授業に出て来ないだけ………」
「授業に出て来ない……って、一体何故?」
「さぁ…?」
答えながら、またタバコを唇に咥えた。
舌の上を苦い煙が滑る……
「忠告しとくけど、あのレオリオには下手に関わらない方が良いわよ。
番長とか呼ばれてるけど、放っておけば別に何もされないから……」
「放っておけば……って……」
「強引に゛授業に出ろ!゛なんて言ったら、アナタみたいなコは怪我させられるのがオチ……
無視するのが一番……」
「・……アナタは教師として恥ずかしくないんですか?」
゛チリッ……゛と、 タバコの先端を押し付けられた様な……イヤな熱……
「どんな生徒だって、大切です。
授業に出て来ないなら、出て来る様に呼び掛けるのが教師としての勤めでしょう?
……違いますか?」
なんて、青臭い……ガキ!
アタシが答えずにタバコを吹かしていると、
「彼は………
レオリオは『屋上』に居るんですね?」
『お坊ちゃん』………クラピカはそう言い捨て、職員室を出て行った。
フン!
クシャッと・……空になったタバコの箱を握り潰した。
゛アナタは教師として恥ずかしくないんですか?゛
・……何にも判りゃしないクセに……
アイツ………
レオリオは校内外で何度か暴力事件を起こしている。
風紀のフェイタン先生も、
゛今度『現場』見付けたら、必ず爪剥ぐアル゛と目を付けている程の不良。
生半可に手を出したら、
あんな青臭い『理想』なんか、
あっさり摘み取られ、簡単にもぎとられてしまうに違いない………
でも、
いっそ……その方が良いかもしれない、とアタシは意地悪く、ほくそ笑む。
人生は厳しいのよ、
少しはスッパイ思いをなさい……『お坊ちゃん』
『お坊ちゃん』……クラピカ先生がレオリオに一体『何』を摘み取られてしまったのか……
パクノダがそれを知るのは7ヶ月後の『修学旅行・最終日』の夜の事だった。
(本日『うぶ茶』を飲みながら……つい『妄想』しちゃった事、でした♪)
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