Monologue

2002年03月18日(月) 最終日その3

「レオリオは何処にいるアルね!」

修学旅行最終日 PM9:30……

底冷えのするフェイタンの声が、宿舎の廊下に響き渡る。


「担任のクラピカもいないアルよ……何処行たね?」

センリツ教頭を始め、教師達は顔を見合わせて困惑した様に首を横に振るばかり。


「新人は責任感が無くて困るアルよ……」

チッ!と忌々しそうに唾を吐くと、

「フィンクス!パグノダ!一緒に行くアル!何としてもレオリオ見付け出してシバクアルよ!」

鬼気迫るオーラを纏って、教師達にそう宣言する。

「せ(っ)かく酒飲んで、リラ(ッ)クス出来る思たのに……ブチ壊シアルね!
生爪剥ぐ位じゃ済ませないアルよ!」

「フェイタン先生……あまり過激な体罰を与えては、教育委員会からクレームが……」

恐る恐るセンリツ教頭がそう言い掛けた時、


「待って下さい!」

凛とした声に一同が振り返ると、其処にはレオリオを伴ったクラピカが立っていた。

「クラピカ先生……」

ホッとした様に、センリツ教頭が安堵の溜息を吐く。


「最終点呼は夜9:00アル……今迄、二人で何してたアルか?」

フェイタンの上目遣いの瞳が、ジロリと二人を睨み上げる。

「すみません、湯上りに、私が彼に卓球の相手をして貰っていたのですが、
途中で気分が悪くなってしまって……」

申し訳無さそうに、クラピカは弁解する。

「レオリオは涼しい所で私を介抱してくれていたのですが、
 それで少し遅くなってしまって……」

「本当アルか?」
探る様な目付きで、疑わし気にクラピカを見つめる。

「もしかして盛り場行て酒飲んでたレオリオを庇たりしてるアルか?」

「そ、そんな事は……!」

「コイツは問題児アル!」

厳しい口調がクラピカの言葉を遮り、フェイタンの視線はレオリオを捕らえる。

「何としてでも吐かせるアルよ!」

その時、

「二人が卓球やってたって証拠なら、此処に有るぜ」


1年生番長のキルアがデジカメを片手に進み出た。

「俺達、レオリオに頼まれて卓球の写真撮ってたんでーす!」
キルアの傍らのゴンが言う。

「写真?」
「オカズにするから、こっそり撮ってくれ、って」

「バカ!いや、その……修学旅行の記念に……」

頭をボリボリ掻き乍ら、レオリオがハハハ…と微笑いながら答える。

「どうやら本当みたいね……」
センリツが、デジカメの再生写真を覗き込みながら言う。

フェイタンは、ギロリ!とレオリオを一瞥すると、

「皆!部屋へ戻るアル!」

一同に向かって叫んだ。

「明日の集合は午前7:30!
 遅刻者は全員爪剥ぐ!!言い訳は通用しないヨロシ!以上!!」

言い放つと、くるっと踵を返し、自分達の部屋へ戻って行った。


(ふぅ・・・一時はどうなる事かと思ったぜ・・・・・・)
レオリオは、額にかいた冷汗を右手の甲で拭った。



「でも・・・」
不思議そうにセンリツ教頭は首を傾げる。

「記念になるのかしら?この写真。
 ほとんど全部クラピカ先生しか写っていないんだけど・・・・・・」


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