「レオリオは何処にいるアルね!」
修学旅行最終日 PM9:30……
底冷えのするフェイタンの声が、宿舎の廊下に響き渡る。
「担任のクラピカもいないアルよ……何処行たね?」
センリツ教頭を始め、教師達は顔を見合わせて困惑した様に首を横に振るばかり。
「新人は責任感が無くて困るアルよ……」
チッ!と忌々しそうに唾を吐くと、
「フィンクス!パグノダ!一緒に行くアル!何としてもレオリオ見付け出してシバクアルよ!」
鬼気迫るオーラを纏って、教師達にそう宣言する。
「せ(っ)かく酒飲んで、リラ(ッ)クス出来る思たのに……ブチ壊シアルね! 生爪剥ぐ位じゃ済ませないアルよ!」
「フェイタン先生……あまり過激な体罰を与えては、教育委員会からクレームが……」
恐る恐るセンリツ教頭がそう言い掛けた時、
「待って下さい!」
凛とした声に一同が振り返ると、其処にはレオリオを伴ったクラピカが立っていた。
「クラピカ先生……」
ホッとした様に、センリツ教頭が安堵の溜息を吐く。
「最終点呼は夜9:00アル……今迄、二人で何してたアルか?」
フェイタンの上目遣いの瞳が、ジロリと二人を睨み上げる。
「すみません、湯上りに、私が彼に卓球の相手をして貰っていたのですが、 途中で気分が悪くなってしまって……」
申し訳無さそうに、クラピカは弁解する。
「レオリオは涼しい所で私を介抱してくれていたのですが、 それで少し遅くなってしまって……」
「本当アルか?」 探る様な目付きで、疑わし気にクラピカを見つめる。
「もしかして盛り場行て酒飲んでたレオリオを庇たりしてるアルか?」
「そ、そんな事は……!」
「コイツは問題児アル!」
厳しい口調がクラピカの言葉を遮り、フェイタンの視線はレオリオを捕らえる。
「何としてでも吐かせるアルよ!」
その時、
「二人が卓球やってたって証拠なら、此処に有るぜ」
1年生番長のキルアがデジカメを片手に進み出た。
「俺達、レオリオに頼まれて卓球の写真撮ってたんでーす!」 キルアの傍らのゴンが言う。
「写真?」 「オカズにするから、こっそり撮ってくれ、って」
「バカ!いや、その……修学旅行の記念に……」
頭をボリボリ掻き乍ら、レオリオがハハハ…と微笑いながら答える。
「どうやら本当みたいね……」 センリツが、デジカメの再生写真を覗き込みながら言う。
フェイタンは、ギロリ!とレオリオを一瞥すると、
「皆!部屋へ戻るアル!」
一同に向かって叫んだ。
「明日の集合は午前7:30! 遅刻者は全員爪剥ぐ!!言い訳は通用しないヨロシ!以上!!」
言い放つと、くるっと踵を返し、自分達の部屋へ戻って行った。
(ふぅ・・・一時はどうなる事かと思ったぜ・・・・・・) レオリオは、額にかいた冷汗を右手の甲で拭った。
「でも・・・」 不思議そうにセンリツ教頭は首を傾げる。
「記念になるのかしら?この写真。 ほとんど全部クラピカ先生しか写っていないんだけど・・・・・・」
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